4 / 18
第一部
第四話 買い物
しおりを挟む
商店街を抜けた大通り沿いにある大型書店に、定期購読している雑誌の発売日だったので、序でにとりに行くことを伝えたら、翔太は「俺も欲しい物あるし」って、嫌な顔をする事なく付き合ってくれた。
大型書店に入り、翔太に「欲しいモノってなに?」って聞いたら、「参考書」って言うから、付いて行ったら、赤い表紙で有名な参考書の中から最新の『防衛大学校』の物を手に取って中をペラペラと捲って閉じた。元に戻さず、そのまま片方の手で持って、隣に並んでいた『防衛医科大学校 医学科』と背表紙に書かれた物も手に取った。
「優香も要るだろ?」
2冊を手にしてレジに向かった。
会計を済ませた翔太は、私の定期購読している雑誌を受け取るまで、少し離れた所で待っていてくれた。
白のキャンバストートバックに雑誌を納めてレジを離れた。
翔太は、片手に書店の袋をぶら下げている。
「翔太、それ預かるよ?」
書店の袋を指差してトートバックを広げて言っても、
「結構重いから、いいよ。」
という翔太を無視して、翔太の手から袋を奪ってバックに納めた。
「そうそう、翔太、晩御飯リクエストある?ランチも御馳走になったし、晩御飯くらい翔太の食べたい物リクエストにお答えします!」
翔太が真剣に考え混みだした。
「あんまり手の込んだものは作れないからね…?」
と念を押したら、
「炊き込みご飯に味噌汁、チキン南蛮とお浸し、肉じゃが、煮浸し…」
思っていたリクエストと違って、和食のメニューが翔太の口から出て来た。てっきり、イタリアンとかフレンチ的なメニューのリクエストがくると思ってたから、意外なリクエストでちょっとびっくりした。
私はトートバックからメモ帳を取り出し、リクエストされたメニューを書き上げた。
「炊き込みご飯は、ちょっとだけズルするけど許してね。流石に、今の時間から買い物して、6品全部作るってのは私には無理だから…」
と伝えると、
「えっ?全部作ってくれる気でいたの?その中から幾つかだけでいいよ。」
翔太が遠慮して言ってきた。
「ううん。私が翔太に食べて欲しいから作るの。ランチやコレのお礼もあるし…。」
と、胸でカチャっと金属音を響かせるドッグタグ を指差した。
商店街に戻り、お肉屋さんで鶏肉と牛肉を買ってたら、ウチの家御用達のお肉屋さんのおじさんが、
「初々しいカップルさんだねぇ~。これ、サービスだ。持ってけ!」
って、揚げたてのお店の手作りのコロッケを個別に袋に詰めて2個手渡して来た。
折角頂いた揚げたてのコロッケはスーパーまでの道のりで、2人してペロリと食べてしまった。
スーパーで家に無かった野菜と勉強のお供のおやつを幾つか買うことにした。
「じゃがいもや、玉ねぎとか嵩張るものは、築城のおばあちゃんがこの間送ってくれたから、買い物が少し楽でよかった。」
と、言えば、
「築城基地の航空祭に行った時にお世話になったばぁちゃん元気にしてるんだ?築城って言や、第8航空団、パンサーが配置されているんだよなぁ~。懐かしいなぁ~。」
小さい時に、一緒に築城基地の航空祭を見に行ったのも覚えていたみたいで、翔太がおばあちゃんのことも心配してくれた事も嬉しかった、でも、やっぱり戦闘機パイロットを目指しているだけあって、基地にどの航空団が配置されているかちゃんと把握している翔太は立派だと思った。
野菜を吟味している時、カートを押してくれていた翔太が、不思議そうに色々質問してきた。
「水煮してある筍や人参、ささがきのゴボウは何に使うのか?」
って、聞くから、
「炊き込みご飯だよ」
って、教えてあげた。
「時短の為に今日はコレを使うことにした。」
って、説明したら、
「だからズルって言ったんだ。」
って、納得してた。
後、ウチにあったか分からなかったので餅米の小さな袋を手にした時は、
「何で餅米なんて買うんだ?」
って、言うから、
「餅米を白米に少し加えて炊いたらモチっとしたおこわに近い感じの炊き込みご飯が美味しくなるから、って、築城のおばあちゃん直伝なの。だから、ウチで炊き込みご飯を作る時は絶対に餅米入れるんだよ。美味しいから、翔太楽しみにしてて!」
って、言ったら、へぇ~って感心された。
買ったおやつだけは自分のトートバックに入れても、6品分を4人分となると、結構な量で大きめのエコバックはパンパンになった。
詰め終わったエコバックを持とうとしたら、横からサッと手が伸びてきて翔太が、
「筋トレ代わりにもなるから…。」
と言って、軽々と持ってくれた。
「重くない?餅米買っちゃったから、余計重いでしょ?半分持とうか?」
って、聞いても
「大丈夫だって。優香、男の力舐めて貰っちゃ困るよ。」
って、平気な顔して反対の手を私に差し出してきた。
帰り道でも、翔太はずっと車道側を私の歩調に合わせて歩いてくれた。
翔太は自宅のキッチンまで文句も言わず荷物を運んでくれた。
大型書店に入り、翔太に「欲しいモノってなに?」って聞いたら、「参考書」って言うから、付いて行ったら、赤い表紙で有名な参考書の中から最新の『防衛大学校』の物を手に取って中をペラペラと捲って閉じた。元に戻さず、そのまま片方の手で持って、隣に並んでいた『防衛医科大学校 医学科』と背表紙に書かれた物も手に取った。
「優香も要るだろ?」
2冊を手にしてレジに向かった。
会計を済ませた翔太は、私の定期購読している雑誌を受け取るまで、少し離れた所で待っていてくれた。
白のキャンバストートバックに雑誌を納めてレジを離れた。
翔太は、片手に書店の袋をぶら下げている。
「翔太、それ預かるよ?」
書店の袋を指差してトートバックを広げて言っても、
「結構重いから、いいよ。」
という翔太を無視して、翔太の手から袋を奪ってバックに納めた。
「そうそう、翔太、晩御飯リクエストある?ランチも御馳走になったし、晩御飯くらい翔太の食べたい物リクエストにお答えします!」
翔太が真剣に考え混みだした。
「あんまり手の込んだものは作れないからね…?」
と念を押したら、
「炊き込みご飯に味噌汁、チキン南蛮とお浸し、肉じゃが、煮浸し…」
思っていたリクエストと違って、和食のメニューが翔太の口から出て来た。てっきり、イタリアンとかフレンチ的なメニューのリクエストがくると思ってたから、意外なリクエストでちょっとびっくりした。
私はトートバックからメモ帳を取り出し、リクエストされたメニューを書き上げた。
「炊き込みご飯は、ちょっとだけズルするけど許してね。流石に、今の時間から買い物して、6品全部作るってのは私には無理だから…」
と伝えると、
「えっ?全部作ってくれる気でいたの?その中から幾つかだけでいいよ。」
翔太が遠慮して言ってきた。
「ううん。私が翔太に食べて欲しいから作るの。ランチやコレのお礼もあるし…。」
と、胸でカチャっと金属音を響かせるドッグタグ を指差した。
商店街に戻り、お肉屋さんで鶏肉と牛肉を買ってたら、ウチの家御用達のお肉屋さんのおじさんが、
「初々しいカップルさんだねぇ~。これ、サービスだ。持ってけ!」
って、揚げたてのお店の手作りのコロッケを個別に袋に詰めて2個手渡して来た。
折角頂いた揚げたてのコロッケはスーパーまでの道のりで、2人してペロリと食べてしまった。
スーパーで家に無かった野菜と勉強のお供のおやつを幾つか買うことにした。
「じゃがいもや、玉ねぎとか嵩張るものは、築城のおばあちゃんがこの間送ってくれたから、買い物が少し楽でよかった。」
と、言えば、
「築城基地の航空祭に行った時にお世話になったばぁちゃん元気にしてるんだ?築城って言や、第8航空団、パンサーが配置されているんだよなぁ~。懐かしいなぁ~。」
小さい時に、一緒に築城基地の航空祭を見に行ったのも覚えていたみたいで、翔太がおばあちゃんのことも心配してくれた事も嬉しかった、でも、やっぱり戦闘機パイロットを目指しているだけあって、基地にどの航空団が配置されているかちゃんと把握している翔太は立派だと思った。
野菜を吟味している時、カートを押してくれていた翔太が、不思議そうに色々質問してきた。
「水煮してある筍や人参、ささがきのゴボウは何に使うのか?」
って、聞くから、
「炊き込みご飯だよ」
って、教えてあげた。
「時短の為に今日はコレを使うことにした。」
って、説明したら、
「だからズルって言ったんだ。」
って、納得してた。
後、ウチにあったか分からなかったので餅米の小さな袋を手にした時は、
「何で餅米なんて買うんだ?」
って、言うから、
「餅米を白米に少し加えて炊いたらモチっとしたおこわに近い感じの炊き込みご飯が美味しくなるから、って、築城のおばあちゃん直伝なの。だから、ウチで炊き込みご飯を作る時は絶対に餅米入れるんだよ。美味しいから、翔太楽しみにしてて!」
って、言ったら、へぇ~って感心された。
買ったおやつだけは自分のトートバックに入れても、6品分を4人分となると、結構な量で大きめのエコバックはパンパンになった。
詰め終わったエコバックを持とうとしたら、横からサッと手が伸びてきて翔太が、
「筋トレ代わりにもなるから…。」
と言って、軽々と持ってくれた。
「重くない?餅米買っちゃったから、余計重いでしょ?半分持とうか?」
って、聞いても
「大丈夫だって。優香、男の力舐めて貰っちゃ困るよ。」
って、平気な顔して反対の手を私に差し出してきた。
帰り道でも、翔太はずっと車道側を私の歩調に合わせて歩いてくれた。
翔太は自宅のキッチンまで文句も言わず荷物を運んでくれた。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる