【完結】地味令嬢を捨てた婚約者、なぜか皇太子が私に執着して困ります

22時完結

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公爵家の圧力と皇太子の決意

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 朝靄が侯爵邸を包み込み、静謐な一日の始まりを告げる中、セシリアは昨夜までの激動の日々を胸に、新たな覚悟とともに目を覚ました。だが、彼女の心には未だ消えぬ不安が渦巻いていた。あの日、社交界で皇太子アレクシスの情熱的なアプローチを受け、そしてエドワードの後悔と弱さを目の当たりにした彼女は、自身の未来に対する決断を迫られていた。そんな中、さらなる試練が待ち受けていたのは、彼女の過去に深く関わる公爵家の圧力であった。

 エドワードの裏切りが公然となった後、彼の家族はすぐさまセシリアへの非難と軽蔑の言葉を口にし始めた。特に、公爵令嬢として嫁ぎ先に選ばれた麗しき女性――その美貌と気品は、社交界における理想そのものであった――は、堂々とセシリアを嘲笑い、彼女の存在を「地味」なものと決めつけ、冷ややかな視線を投げかけた。彼女は、貴族社会の中で当然とされる美貌や華やかさこそが価値とされる現実を、容赦なく晒すかのように振る舞った。

 侯爵邸では、エドワードの家族や周囲の貴族たちが、次第にセシリアに対して圧力をかけるようになった。彼らは、かつての婚約破棄の事実を盾に、彼女が本来あるべき存在から遠ざけられるべきだという主張を繰り返した。宴会や社交の席では、彼女に対するささやきが飛び交い、無情な噂は次第にその信用を傷つけ、彼女の名誉を貶めるための口実と化していった。
 
 ある昼下がり、侯爵邸の大広間に集う一族とその来客たちの前で、気品に溢れる公爵令嬢が、あえてセシリアを話題に持ち出す場面があった。彼女は、柔らかな笑みの裏に鋭い非難の眼差しを隠しながら、あたかも上流階級の掟を体現するかのように語り始めた。
「この世において、真の美しさとは外見のみならず、気品と威厳に宿るものです。セシリア嬢は、その点で……残念ながら私たちの期待を裏切っていると言わざるを得ません」
 その言葉は、集まった貴族たちの間に一瞬のざわめきをもたらし、セシリアの心に重く突き刺さる痛みとなった。彼女は、言葉を発することなくただ静かにその場を見つめ、過去の裏切りや自己否定の思いが再び胸を締め付けるのを感じた。しかし、彼女の内面には、これまでの数々の出会いと試練によって磨かれた強さが、ひそかに息づいていた。

 その頃、遠く宮殿では、皇太子アレクシスが自らの部屋にこもり、深い思索に耽っていた。彼は、セシリアに対する激しい愛情と執着心だけでなく、彼女を取り巻く公爵家の圧力にも心を痛めていた。冷徹でありながらも、人としての温かみを持つ彼は、セシリアが不当に貶められている現実に、どうしても耐えられなかった。
 
 彼は、側近たちを呼び寄せ、密やかな会議を始めた。広間に集まった忠実な侍従や顧問たちは、アレクシスの厳粛な表情と言葉に耳を傾けた。
「セシリア嬢は、私にとってただの一人の令嬢ではない。彼女は、我が心の灯火であり、未来への希望そのものだ。だが、貴族社会の中には、彼女の内面にある真の美しさを認めようとしない者たちがいる。彼らは、エドワードの過ちを利用し、彼女を貶め、私たちの前から追いやろうとしている」
 その言葉は、集まった者たちの中に共感と怒りを呼び起こし、誰もが胸中で賛同の意を示した。アレクシスは、決して自らの愛情や決意を揺るがすことはないと固く誓い、次第にその覚悟を言葉にしていった。
 
 「私は、いかなる圧力にも屈せず、セシリア嬢を守り抜く。たとえ、どんな高貴な血筋の者が我が前に立ちはだかろうとも、彼女の未来を奪うことは許さない。彼女は私のもとに属し、永遠に守られるべき存在なのだ」
 
 その決意の言葉は、まるで冷たい鋼の如く会議室に響き渡り、忠誠を誓う側近たちの心に強い火を灯した。アレクシスは、セシリアを傷つけようとする貴族たちに対して容赦なく対抗する覚悟を示し、その日以来、彼の行動はより一層厳格で、情熱に満ちたものとなっていった。

 一方、侯爵邸では、エドワードの心の中にも複雑な思いが渦巻いていた。かつて自らがセシリアを捨てたことへの後悔と、今更ながらも取り戻そうとする気持ちが入り混じり、彼は密かに家族に説得を試みたり、セシリアに会いに行こうとしたりした。しかし、彼の存在は、既に貴族社会において忌避される対象となっており、その努力はむなしくも受け入れられることはなかった。エドワードは、心の中で自己嫌悪と後悔に苛まれながらも、取り返しのつかない過去を悔やむだけに終わり、自らの存在意義を見失い始めていた。

 そんな中、ある日の夕暮れ、侯爵邸の庭園で、セシリアはひとり、月明かりに照らされながら静かに佇んでいた。柔らかな夜風が、彼女の頬を撫で、過ぎ去った日々の痛みをかすかに和らげるかのように感じられた。彼女は、窓越しに見える遠い宮殿の灯りをぼんやりと眺めながら、心の奥底にある不安と、新たに芽生え始めた希望の光に思いを馳せていた。

 その時、ふとした気配に背筋を冷やし、振り返ると、遠くから一台の馬車がゆっくりと侯爵邸へと近づいてくるのが見えた。馬車の車輪が石畳を打つ音が、夜の静寂を破り、やがて彼女の元へと辿り着く。セシリアは胸の高鳴りを感じながらも、不思議な期待と恐れの入り混じった心境で、その姿を見つめた。

 馬車から降り立ったのは、いつもの威厳を漂わせる皇太子アレクシスであった。彼は、深い憂いと決意に満ちた眼差しでセシリアを見つめると、静かに足を進め、彼女の前に立った。
「セシリア嬢、どうか私の言葉に耳を傾けてほしい」
 その声は、これまで以上に厳粛でありながらも、どこか温かな情熱を孕んでいた。彼は続ける。
「我が心は、君に対する愛情で満たされ、君を守るためなら何事も厭わぬ覚悟を持っている。今日、この瞬間も、貴族社会のあらゆる圧力が君を傷つけようとしていると知った。だが、私は決してその手から君を奪わせはしない。君は私のもの、永遠に」
 
 アレクシスのその宣言は、闇夜の中に確固たる光となって輝き、セシリアの心に深い安心と同時に新たな葛藤を呼び起こした。彼女は、これまでの苦難と傷が一瞬にして蘇るのを感じながらも、内に秘めた強さがじわじわと芽生えていくのを感じた。
 
 その後、日々は更なる波乱を孕みながら進んでいった。公爵家の圧力は次第に激しさを増し、社交界ではセシリアを取り巻く陰口や軽蔑の声が絶えなかった。宴会の席では、麗しい公爵令嬢が何度も彼女を見下す発言を繰り返し、噂話は次第にエドワードの失態と結びつけられ、彼女の心に深い孤独を刻んでいった。しかし、そんな中でも、皇太子アレクシスは日ごとにその決意を固め、セシリアへの愛と守るべきという責任感に燃えていた。

 ある日、宮殿において開かれた大規模な晩餐会の夜、華麗な装飾と煌びやかな音楽が溢れる中、社交界の頂点に立つ者たちが一堂に会する中、ついに決定的な瞬間が訪れた。宴の最中、あえて席を離れた公爵家の代表が、堂々とセシリアに向けた非難の言葉を放った。
「セシリア嬢、あなたはこの場にふさわしくない。貴族の血筋に生まれながら、己の価値を分かっていないのです」
 その言葉は、会場に一瞬の静寂と冷たい視線をもたらし、誰もがその重みを感じた。セシリアの頬は僅かに赤らみ、しかしその瞳には涙は見せず、むしろ決意の色が宿っていた。その瞬間、会場の奥から低い声が響いた。
「許されぬ!」
 
 振り返ると、そこにはアレクシスが厳かな面持ちで立っており、鋭い眼差しで公爵家の代表を睨みつけていた。彼は、静かだが確固たる声で続けた。
「セシリア嬢は私のもとにあり、どんな者も彼女に不当な言葉を投げかける権利はない。貴族社会の偽りの掟や、エドワードの愚かさを盾にするような意見は、今日ここで終わらせる」
 
 その瞬間、会場は一斉にざわめき、誰もがその言葉の重みと、皇太子の揺るぎない決意を感じ取った。アレクシスは、さらに続けた。
「私がここにいるのは、ただ一つ、セシリア嬢を守るためである。君たちがどれほどの圧力をかけようとも、彼女の心は私が守る。今後、一切の非難や侮蔑は私の前で沈黙するのだ」
 
 その宣言は、会場に流れる空気を一変させ、貴族たちは互いに顔を見合わせながらも、言葉を失った。公爵家の権威にしがみつく者たちでさえ、皇太子の毅然たる態度に圧倒され、反論の声を上げる者はいなかった。
 
 晩餐会が終わり、夜も更ける頃、侯爵邸に戻る道すがら、セシリアは月光に照らされた庭園の石畳を一歩一歩歩みながら、心の中で自らの未来と向き合っていた。彼女は、これまで受けた数々の侮蔑と非難、そしてその中で芽生えた恐れと悲しみを、ひとつひとつ丁寧に噛み締めながら、やがてそれらを乗り越える力を感じ始めていた。
 
 「私には、もう過去に縛られる理由はない。私の心は、今や新たな光を求め、真実の愛に導かれている……」
 
 そう呟く彼女の瞳には、冷徹な世相に抗う決意と、皇太子アレクシスの激しい愛情によって守られるという確信が、次第に深く根付いていった。
 
 一方、宮殿では、アレクシスがその日の出来事を振り返りながら、書斎に腰を下ろしていた。彼は、セシリアを守るために自らの立場や、貴族社会の堅固な掟に真っ向から挑む覚悟を改めて胸に刻み、筆を取り、未来への計画を綴り始めた。
 
 「セシリア嬢よ、君が感じる痛みや孤独を、私が一身に受け止めよう。たとえ公爵家の圧力がどれほど激しくとも、私の決意は揺るがない。君と共に歩む未来は、必ずや世の中の偏見を打ち砕き、新たな愛の形を示すだろう」
 
 その言葉は、彼自身の心の中で燃え上がる熱き決意と、何よりもセシリアへの揺るぎない愛情の証であった。彼は、側近たちに対しても、強固な指示を出し、セシリアの名誉を守るための具体策を練り上げ、翌日からの社交界での対応を綿密に計画した。
 
 こうして、公爵家によるあらゆる圧力と、社交界に巣食う偏見に対して、皇太子アレクシスは決して譲歩せず、セシリア嬢の守護者としての立場を確固たるものにしていった。その姿は、すでに上流社会において一種の伝説となりつつあり、彼の強い意志と真摯な愛情は、やがて多くの者たちに希望と勇気を与える存在となった。

 セシリアは、厳しい現実の中で自らの価値を再認識し、かつての悲しみを力に変えて歩み出す決意を新たにした。彼女の瞳には、今や内に秘めた静かな強さと、未来への明るい展望が映し出され、どんな嵐にも負けない意志が宿っていた。エドワードの遠い後悔や、公爵家の虚勢がいかに彼女を追い詰めようとも、彼女自身は、アレクシスの愛という確かな盾に守られていることを感じ取っていた。

 この日以降、貴族社会においては、セシリアと皇太子アレクシスの関係が、ただ単に噂や羨望の対象となるだけでなく、真実の愛と勇気が如何にして困難を乗り越えるかを示す模範として語り継がれることになるのであった。貴族たちが抱える虚飾と偏見の中で、真実の愛が勝利する瞬間――それは、彼ら自身が知らず知らずのうちに求め続けていた希望そのものでもあった。

 こうして、日々の厳しい圧力と闘いの中で、皇太子アレクシスの決意はますます固くなり、彼はセシリア嬢の未来を守るため、どんな犠牲も厭わない覚悟を胸に刻んだ。そして、セシリアもまた、その愛情に応えるべく、己の心と向き合いながら、新たな一歩を踏み出す決意を固めたのだった。

 ――この先、貴族社会の古びたしきたりと、現実の厳しさに挑む二人の愛が、どのような未来を切り拓いていくのか。それは、まだ誰にも分からない。しかし、確かなのは、真実の愛と揺るぎない決意が、どんな困難さえも乗り越え、永遠に輝き続けるということであった。
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