【完結】婚約破棄されたので隠居しようとしたら、冷徹宰相の寵愛から逃げられません

22時完結

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逃げられない執着

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    エレノアは、隠居生活の静謐な日々の中で、少しずつ自分自身の心を取り戻し始めたかに見えた。朝露に濡れる庭の花々、遠くでさざめく小川のせせらぎ、そして一面に広がる穏やかな田園風景―すべてが彼女にとって、新たな始まりを象徴するかのようであった。だが、その穏やかな日常の奥底には、ふとした瞬間に胸を締め付ける不安が潜んでいた。ヴィンセントとの邂逅以来、彼の存在は、彼女の心に深い影を落とし、逃れようとするほどに、その影はしつこく追いかけてくるのだった。

ある日の早朝、エレノアはひとり、邸宅の裏手に広がる小さな森を散策していた。霧が立ち込める中、しっとりと濡れた葉のざわめきと、遠くで聞こえる小鳥の鳴き声が、彼女の心を一時的に穏やかにしてくれる。だが、ふと立ち止まった瞬間、背後から誰かの気配を感じた。振り返ると、そこには既にヴィンセントが立っていた。彼は、いつもの無表情な顔立ちに、どこか柔らかな光を宿した眼差しで、じっとエレノアを見つめていた。

「逃げても無駄だ、エレノア嬢」と、低く囁くような声が、霧の中に響いた。
エレノアは一瞬、心臓が凍りつくような恐怖を覚えたが、すぐに深呼吸をして、冷静さを取り戻そうと努めた。
「ヴィンセント殿、どうしてまたここに?」彼女は、控えめな声ながらも、毅然とした口調で問いかけた。

ヴィンセントは、ゆっくりと一歩近づくと、答えるように静かに語りかけた。「君が隠れようとしている姿を見逃すわけにはいかない。どんなに遠くへ逃げようと、君はいつも僕の視界の中にいる。君の心の奥にある孤独と悲しみ―それが、僕には手放せない執着となっているのだ」

その言葉は、冷徹さと同時に、かすかな哀しみをも含んでいた。エレノアは、胸の内に芽生えた複雑な感情に戸惑いながらも、何とか答えを見つけようとした。「私が求めているのは、ただ静かで穏やかな日々…誰にも邪魔されず、自分自身と向き合える時間です。それを奪おうとするのは、どうかご勘弁ください」

だが、ヴィンセントは一歩も引くことなく、むしろその言葉にさらに強い執着を込めるかのように、言葉を重ねた。「逃げることは、君の本質を否定する行為だ。君が感じる孤独や痛みは、僕にとってもかつては無かった特別な感情で、君がどこへ行こうとも、その輝きは消えることはない。だからこそ、僕は君を見守り、共に歩む運命を選んだのだ」

森の中に響くその声は、まるで風に乗って彼女の耳元に忍び寄るかのようで、エレノアの心に抵抗しがたい影響を及ぼした。彼女は、その瞬間、自らの内に渦巻く感情に気づかされる。かつては、自由のために逃げ出すと決意した自分がいた。しかし、今やその決意は、ヴィンセントという存在の前では微塵の抵抗力も持たず、心の片隅に不安とともに根を下ろしてしまっているように思えた。

邸宅へと戻る道すがら、エレノアは自問自答を重ねた。ヴィンセントの訪問は、日に日にその頻度を増し、あらゆる場所で彼女を待ち受けるようになっていた。庭先で、読書にふける彼女の姿のすぐ横に、いつの間にか現れるその影。廊下を歩むときも、ふと窓の外に見える冷たい瞳のような視線。どれほど距離を置こうと、彼は決して彼女の心から遠ざかることはなかった。

ある夜、エレノアは邸宅の書斎に籠もり、日記の筆を走らせながら、ヴィンセントとの出会いから続く日々の出来事を振り返っていた。書斎の窓からは、満月が澄んだ空に浮かび、静かな夜風がカーテンを揺らしていた。彼女は、心の中で必死に自らの思いを整理しようとした。
「彼はただの執着ではなく…何か、もっと深い意味を持って僕に迫っているのではないか?」
その問いに答えは見つからず、ただ、彼の存在が日に日に自分の生活の隅々にまで染み込んでいく様を、痛感せずにはいられなかった。

翌朝、エレノアは決意を新たに、隠居生活の拠点となる邸宅の周囲に、防衛のための対策を講じようと考えた。警備の強化、周囲の住民への事情の説明、さらには信頼のおける家臣たちに、ヴィンセントがもしも無理矢理に迫ってくるような事態に備えるように命じた。だが、いくら対策を施しても、彼の存在はどこかしら、予想外の形で彼女の元に現れるのだった。

ある日、エレノアが庭で静かに花を眺めていると、突然、庭園の隅に佇む影に気づいた。そこには、先ほどまでとは異なる、微妙な表情を浮かべたヴィンセントが立っていた。彼は手に一輪の白い薔薇を持ち、まるで罪のない花のようにそっと差し出す。「エレノア嬢、どうかこの一輪の薔薇を受け取ってほしい。君への想いの証として」

その儚げな申し出に、エレノアは一瞬戸惑いながらも、心のどこかで抗いがたい温もりを感じた。しかし同時に、彼女はその行為が、自分の自由への固い決意に反するものであることを痛感した。手に取った薔薇は、しっとりと濡れていて、まるで彼の熱い想いをそのまま映し出すかのようであった。
「私の人生は、私自身が決めるもの。どうか、私の自由を尊重してほしい」――エレノアは、震える声でつぶやいた。しかし、彼の眼差しは、まるでその言葉の一つ一つを拒むことなく、むしろ深く染み入るかのように、彼女の心に宿った。

その日の夕暮れ、邸宅の広間では、エレノアとヴィンセントとの再びの対話が交わされた。暖炉の火が揺れる中、二人の間にはかすかな緊張感が漂い、互いの心の奥底に潜む思いが、言葉となって表面化し始める。ヴィンセントは、決して激しい口調ではなく、しかしその一言一言には、逃れられない執着と真摯な情念が込められていた。「エレノア嬢。君は、自分自身で決めた道を歩みたいという強い意志を持っている。その強さこそ、僕にとっては最も魅力的なものだ」と、彼は低い声で語った。

エレノアは、彼の言葉を聞きながら、心の中で葛藤を繰り広げていた。
「あなたは私を守るためにここにいるのか、それとも…ただ、私を手放せないために執着しているのか」――自問自答が彼女の心を占め、答えは容易に見つからなかった。彼女は、ヴィンセントの真意を探ろうとするが、彼はただ、穏やかに微笑み、視線を逸らすことなく答えるのだった。「君がどんなに自分を縛ろうとしても、僕の想いは変わらない。逃れようとしても、その先にあるのは、いつしか君自身が受け入れなければならない運命だ」

広間に漂う暖かな灯火の中で、エレノアはふと、今まで感じたことのない孤独と無力感に襲われるのを感じた。自分の意思で切り拓こうと決めた未来が、どうしてこんなにも簡単に乱されてしまうのか。彼女は、内心で激しい衝動に駆られながらも、静かに涙をこぼすことも許されない強さを振り絞っていた。自由と逃避、そして愛情という二つの相反する感情が、彼女の心を乱し、まるで絡み合った蔦のように絡みついて離れなかった。

その夜、エレノアは一人、月明かりの差し込む庭に出て、深い思索にふけった。澄んだ夜空に広がる星々を見上げながら、彼女は静かに呟いた。「私には、本当に逃げる道などあるのだろうか…?」と。
遠くからは、かすかにヴィンセントの足音が近づくのが聞こえ、その存在感は、今にも消え去ることなく、永遠に自分に付きまとっているように感じられた。彼の執着は、まるで影のようにどこまでも追いかけ、逃れられない運命そのものとなっていた。

翌朝、エレノアは新たな覚悟を胸に、日常の雑務に取り組もうと試みた。領地の管理、住民との交流、そして自身の内面と向き合う時間―すべてが、彼女にとっては自立への一歩であり、自由を取り戻すための戦いでもあった。しかし、ふとした瞬間に感じるヴィンセントの存在は、どれほど努力しても心の片隅から消え去ることはなく、むしろその一挙手一投足が、彼女の歩む道をしっかりと縛っているかのようであった。

昼下がり、エレノアは大きな窓辺に腰を下ろし、遠くの山並みを眺めながら、心の奥底にある叫びを感じ取ろうとしていた。そこに、再びヴィンセントが現れた。彼は、今やあらゆる時間と場所に存在するかのように、彼女の視界の隅で静かに佇んでいた。彼の声は、以前にも増して穏やかでありながらも、どこか切実な情熱を帯びていた。「エレノア嬢、君は今日もまた、一人で孤独と戦っているのか。僕は、君の苦しみを見過ごすことはできない」

その一言に、エレノアは心の奥深くで、かすかな温もりと共に、反抗と受容が交錯する感情を抱いた。彼女は、思わず視線を逸らし、窓の外の風景に目を向けた。しかし、どれほど振り返ろうとしても、ヴィンセントの姿は決して遠ざかることなく、常にそこにあった。彼の執着は、まるで彼女の魂の奥に刻まれた印のようであり、逃れようとすればするほど、より深く突き刺さるように感じられた。

その後も、日々の生活の中で、エレノアは何度となく自らの内面と向き合った。夜の帳が降りる頃、彼女は自室に籠り、日記に今日の出来事を記しながら、ヴィンセントに対する複雑な感情を整理しようと努めた。彼の温かさと冷たさ―その両面性は、彼女にとっては耐えがたい重荷でありながらも、同時に捨て去ることのできない魅力でもあった。自由を求める心と、孤独な愛情への渇望が、交錯する様はまるで、幾重にも重なり合った運命の糸のようであった。

そして、夜が更け、闇が邸宅全体を包み込む頃、エレノアは決意のうちに、ふと窓辺に立ち、月明かりに照らされる自分の横顔を見つめた。涙をこらえながらも、内心で何度も誓った。「どんなに苦しくても、私は自分の自由を取り戻す。あなたの執着に屈するわけにはいかない」と。だが、同時に彼女は、どこかで感じ始めていた――その自由の代償として、彼の執着が自分を包み込む運命が、あまりにもあっさりと受け入れられてしまう自分自身の弱さを。

ヴィンセントは、エレノアにとって逃れがたい存在となり、その存在は、日常のあらゆる瞬間に影を落としていた。どんなに頑張っても、どんなに自分の意志で未来を切り拓こうとしても、彼の言葉とその視線は、静かにしかし確実に彼女の前に立ちはだかる。まるで運命そのものが、彼女に対して皮肉にも微笑むかのように。

こうして、エレノアは、自由を求める戦いと、ヴィンセントの逃げられない執着との間で、心の中に激しい葛藤を抱えながら、日々を送ることとなった。彼女の心に生じた不安と期待、反抗と受容、そのすべてが、まるで絡み合った蔦のように、次第に二人の未来へと向かう運命の序章となっていく。
 
そして、夜明け前のひととき、エレノアは再び自室の窓際に座り、外に広がる夜明け前の薄明かりを見つめながら、心の奥底に問いかけた。「本当に、私はあなたから逃れることができるのだろうか?それとも、あなたの執着こそが、私の未来の一部となるのだろうか?」その問いの答えは、まだ見えぬ遠い明日に隠されているかのようであった。

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