【完結】悪役令嬢なのに、冷酷王太子に愛されすぎています

22時完結

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徐々に心を開く王太子

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冷酷な王太子の一面

エリナがリオネルと「婚約者」としての時間を過ごすようになってから数週間が経った。リオネルは相変わらず冷静で冷淡な態度を崩さないが、その中にわずかな変化を感じる瞬間があった。

ある日、エリナは宮廷図書館でリオネルと偶然出会った。彼は厚い書物を何冊も積み重ねて、真剣な表情で読み込んでいる。

「殿下、こんな時間にここで何を?」
恐る恐る声をかけると、リオネルは少しだけ顔を上げた。

「外交の記録を確認しているだけだ。」

その答えにエリナは驚いた。彼が自ら積極的に国務に取り組んでいる姿を見るのは初めてだったからだ。

「殿下は…本当に国を背負っているのですね。」
思わず感心したように呟くと、リオネルはわずかに眉をひそめた。

「当たり前だ。俺が背負わなければ、誰がこの国を守る?」

その言葉には揺るぎない決意と、どこか孤独な響きがあった。

リオネルの過去

エリナはその夜、侍女のリナからリオネルの過去について聞かされた。

「殿下は幼い頃から厳しい教育を受け、感情を抑えるよう教え込まれてきたのです。」
リナの話によれば、リオネルは幼少期に母親を失い、父王からは冷淡に接されて育ったという。

「だからこそ、あのように冷たい態度を取るのですね…」
エリナは胸が痛むような思いでその話を聞いた。

「ですが、エリナ様。殿下がエリナ様に見せる表情は、他の誰にも見せないものだと思います。」

リナのその言葉に、エリナは驚きと同時に少しだけ嬉しさを感じた。

距離が近づくきっかけ

翌日、宮廷で小規模な舞踏会が開かれた。エリナはリオネルの隣に立ち、「婚約者」としての役割を果たすことを求められる。

「エリナ、お前も踊れ。」
突然リオネルが手を差し出した。

「え…でも私、踊りはあまり得意では…」

戸惑うエリナを見て、リオネルは少しだけ笑みを浮かべたように見えた。

「俺のリードに従えばいい。」

そう言って彼が手を握った瞬間、エリナの心臓は大きく跳ねた。

「殿下、少し手が…温かいですね。」

エリナの何気ない言葉に、リオネルは一瞬だけ目を伏せた。そして、ほんの少しだけ力を込めて彼女の手を握り直した。

「お前が冷たすぎるだけだ。」

冷たい言葉の裏に隠れた優しさを感じ、エリナは思わず微笑んだ。

彼の優しさを垣間見る瞬間

ある日、エリナが誤って書類を散らばらせてしまったとき、リオネルが黙ってそれを手伝ってくれた。

「殿下、すみません。私の不注意で…」
謝るエリナに対して、リオネルはため息をつきながら言った。

「お前は本当に落ち着きがないな。」

そう言いながらも、彼は一枚一枚丁寧に書類を拾い上げていく。その仕草に、エリナはふと彼の手がとても大きく、そして優しいことに気づいた。

「殿下は…とても器用ですね。」

エリナが褒めると、リオネルは少しだけ顔を赤らめたように見えた。

「無駄話をしている暇があったら、もっと集中しろ。」

冷たく言われたものの、その言葉の奥に少しだけ優しさが感じられた。

徐々に変わる関係

リオネルが少しずつエリナに対して心を開いていく中で、2人の関係は以前とは違うものになりつつあった。

「エリナ、明日の予定は把握しているか?」
「はい、殿下。しっかり準備を整えております。」

リオネルが自然にエリナを頼るようになり、エリナもそれに応える形で積極的に行動するようになっていった。

決定的な出来事

ある日の夜、エリナが庭園で一人静かに過ごしていると、突然リオネルが現れた。

「こんなところで何をしている?」

彼の声に驚いて振り返ると、彼はどこか疲れた表情を浮かべていた。

「少し風に当たりたくて…殿下こそ、大丈夫ですか?」

エリナの問いかけに、リオネルはしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。

「お前がここにいると、なぜか落ち着く。」

その言葉にエリナは驚きながらも、胸がじんわりと温かくなった。

「それはきっと、殿下が私を信じてくださっているからです。」

エリナが微笑みながら答えると、リオネルは目を伏せ、何かを言いかけてやめた。そして、少しだけためらった後、彼はエリナの肩にそっと手を置いた。

「俺にとって、お前は必要な存在だ。」

その言葉は、これまでの彼の態度とは全く異なる真摯さを帯びていた。
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