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第3章「奪還」編
兄妹喧嘩 雨地家 流
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それから数十秒、地響きとともに爆光する神々しい炎、それを切り裂く「鋭利な気配」。
その戦闘は一定の距離を保ったまま、狭いエントランスから広い屋外へ戦場を移す。
丁度、近くにあった、建設中の島を一周するほどの無人の高速道路。
自動車など、比にならない速さで駆け抜ける2人。
剣得は晴雲の能力で、上手く近づけず、晴雲も、剣得の出す炎に視界を阻まれ、思うように攻撃を当てられずにいる。
「やるな! 晴雲!」
「人類最強も大したことねぇな! (熱っ!)」
───刹那
剣得は爆発を推進力として、人間には…楓彩には出せないスピードで晴雲の懐に潜り込む。
「あぁ、まだまだ、本気じゃあねぇよ…晴雲!」
「──なっ!!」
そのまま、剣得の左拳は晴雲の腹にめり込む。
「ごぶっ!!」
鈍い音。
しかし
「……捕まえた」
晴雲はその左腕を両腕で掴む。
「…あまいな」
晴雲が掴んだ瞬間、剣得の左腕は神々しい炎とともに爆発し、晴雲は吹き飛ぶ。
それから晴雲が劣勢になるまでそう時間はかからなかった、ほんの数秒だろう。
晴雲はぐったりした様子で、道路を隔てている塀を背もたれに
剣得に追い詰められていた。
「ゲホッ! ……ゼェ…ゼェ……んだよ……強すぎだろ…」
晴雲は既に背もたれなしでは立っていられないほど虫の息だった。
「さぁ、詰めだ…晴雲…」
剣得は左手のひらを晴雲に向ける。
「ちっ…こんな…所で…!!」
「お前は復讐の仕方を間違えた」
晴雲の「鋭利な気配」は剣得に襲いかかるが、晴雲自体が弱っているせいか、剣得の体に傷一つつけることが出来ず、剣得の着ている白い制服に穴を開けただけだった。
「くそっ!」
その時
「まって! 剣得くん!」
突如、右側から小雨の声がする。
2人は声のした方向に目線を送る。
そこには金髪で肩をくすぐるくらいの髪の長さの女性が異型な銃を両手で持って立っていた。
「こ、小雨…生きてたのか…」
「小雨?」
晴雲の実妹、雨地 小雨だ。
小雨は銃を地面に落とし、丸腰の状態で2人に近づいてくる。
「おい、危ねぇぞ」
「ごめんね、剣得くん…晴雲と話したい事がある」
小雨は似合わない様な真剣な眼差しで剣得を見る。
「私なら大丈夫だから…剣得くんは下がってて」
「いやしかし──」
「下がってて…お願い」
剣得は小雨の事を信じて、一度、2人から距離を置く。
「ありがとう…」
小雨は剣得が遠くに行ったのを確認すると、晴雲に近寄る。
晴雲の下半身の力は抜け、その場に足を伸ばして座る。
「大丈夫? 晴雲…」
「何してんだ…おめぇ…ゲホッ! はぁ…」
「もう、晴雲の負けだよ…諦めてまた一緒にいよ?」
「はぁ!? 俺はお前を殺そうとしたんだぞ! 正気か!?」
晴雲は弱り切った顔で、小雨に殺気を向ける。
「…晴雲……晴雲には私は殺せないじゃん…」
「はぁ!?」
「ねぇ、小雨家の“喧嘩の仕方”、覚えてる?」
「……忘れたよ…そんな昔のこと…」
「だと思った…」
小雨は呆れた顔をする。
「物の取り合いは分けられるなら分ける、出なければ2人の物」
「関係ねぇな」
「そして、意見が割れたら、両方試すこと」
「……」
恐らく、雨地家の家訓だろう。
「順番はジャンケンで決めてたけど…私ジャンケン強すぎて、いっつも私の意見が通ってたけどね」
小雨はにこやかに笑う。
「ほら、手を出して」
晴雲は自分の顔の前に右拳をだす。
「ジャーンケーン」
「ポン…」
晴雲が出したのはパー。
対する小雨はチョキだ。
「…私の勝ち…じゃあ私のやり方で」
「あぁ、もう遅い、やり直せない…この血に塗られた手じゃあ、この腐った世界でお前を守ることも出来ないどころか、お前を傷つけてしまう…」
晴雲は心做しか、悲しい顔をする。
「あともう一つ、雨地家の家訓…」
「?」
「悪い方が悪いと自覚したなら謝る! これ大事!」
小雨はいつもと同じ明るい笑顔を振る舞う。
「ははっ…あぁ、すまねぇな…小雨……俺は…」
晴雲はジャンケンをした手でそのまま顔を覆う。
「ほんっとに…ロクでもねぇ兄貴だよ…」
「ホントだよバカ兄貴…」
晴雲の顔を覆っている手と顔の間から、一筋の光が落ちる。
「やり直せるのか……俺は…」
「うん、楽な道じゃないけど…」
その時。
「──小雨!! 離れろ!!」
剣得の声。
───刹那
小雨と晴雲がいた場所に大穴が空き、その瓦礫と共に2人は重力に逆らえず落ちていく。
その間、晴雲は小雨を抱き寄せ、地面との間に、クッション代わりの衝撃を生み出そうと左腕を地面に向けて伸ばすが
「ちっ」
威力が足りない。
晴雲はすかさず、小雨を抱きしめ、自分が下になるように回る。
「?」
しかし、予想していたよりも衝撃が遅い。
そう、晴雲達は見えない何かに受け止められていた。
「間に合った」
その声がする方向に目線を送ると、高速道路の下で、待っていたかのように、両手の平をこちらに向けている臨の姿が。
「これは…帝の能力か」
そして、ゆっくり下ろされ、その場に足を降ろす。
小雨は晴雲が1人で立てないことを知っていたため、肩を貸す。
「兄貴…立てないか…」
「すまない」
───刹那
頭上で何かと何かがぶつかる凄まじい破裂音が鳴る。
「っ!!」
そして、小雨の司会の外に飛び出した黒い影は、臨とは逆の方向に吹き飛び、地面を数m滑った後、むくりと起き上がる。
「っ! …あ、あれは」
黒い体、人間と同じように四肢があり、目視出来るだけで、2mは超えている身長。
細身で、肋は浮き出ている。
頭部、耳の上あたりからうねりを上げて上に伸びる2本の黒角。
目だろうか、青白く顔の上半分辺りで発光している。
何よりも特徴的な右腕。
長く、伸ばせば地面に突き刺さるくらいの長さはあり、その手には指1本1本を覆う位の鋭利な黒爪。
小雨達がその生存者の姿を見ていると、小雨と晴雲の目の前に、剣得が白い制服をなびかせて着地する。
「生存者だ……お前らは下が───」
剣得が小雨達に支持を出そうと、振り向いた瞬間、生存者の魔の手は、まさに小雨に降りかかろうとしていた。
「───え」
────刹那
晴雲は小雨を突き飛ばし、生存者の鋭利な爪の餌食になる。
晴雲の口と胸から大量の血が吹き出る。
「───がぶっ!!」
その戦闘は一定の距離を保ったまま、狭いエントランスから広い屋外へ戦場を移す。
丁度、近くにあった、建設中の島を一周するほどの無人の高速道路。
自動車など、比にならない速さで駆け抜ける2人。
剣得は晴雲の能力で、上手く近づけず、晴雲も、剣得の出す炎に視界を阻まれ、思うように攻撃を当てられずにいる。
「やるな! 晴雲!」
「人類最強も大したことねぇな! (熱っ!)」
───刹那
剣得は爆発を推進力として、人間には…楓彩には出せないスピードで晴雲の懐に潜り込む。
「あぁ、まだまだ、本気じゃあねぇよ…晴雲!」
「──なっ!!」
そのまま、剣得の左拳は晴雲の腹にめり込む。
「ごぶっ!!」
鈍い音。
しかし
「……捕まえた」
晴雲はその左腕を両腕で掴む。
「…あまいな」
晴雲が掴んだ瞬間、剣得の左腕は神々しい炎とともに爆発し、晴雲は吹き飛ぶ。
それから晴雲が劣勢になるまでそう時間はかからなかった、ほんの数秒だろう。
晴雲はぐったりした様子で、道路を隔てている塀を背もたれに
剣得に追い詰められていた。
「ゲホッ! ……ゼェ…ゼェ……んだよ……強すぎだろ…」
晴雲は既に背もたれなしでは立っていられないほど虫の息だった。
「さぁ、詰めだ…晴雲…」
剣得は左手のひらを晴雲に向ける。
「ちっ…こんな…所で…!!」
「お前は復讐の仕方を間違えた」
晴雲の「鋭利な気配」は剣得に襲いかかるが、晴雲自体が弱っているせいか、剣得の体に傷一つつけることが出来ず、剣得の着ている白い制服に穴を開けただけだった。
「くそっ!」
その時
「まって! 剣得くん!」
突如、右側から小雨の声がする。
2人は声のした方向に目線を送る。
そこには金髪で肩をくすぐるくらいの髪の長さの女性が異型な銃を両手で持って立っていた。
「こ、小雨…生きてたのか…」
「小雨?」
晴雲の実妹、雨地 小雨だ。
小雨は銃を地面に落とし、丸腰の状態で2人に近づいてくる。
「おい、危ねぇぞ」
「ごめんね、剣得くん…晴雲と話したい事がある」
小雨は似合わない様な真剣な眼差しで剣得を見る。
「私なら大丈夫だから…剣得くんは下がってて」
「いやしかし──」
「下がってて…お願い」
剣得は小雨の事を信じて、一度、2人から距離を置く。
「ありがとう…」
小雨は剣得が遠くに行ったのを確認すると、晴雲に近寄る。
晴雲の下半身の力は抜け、その場に足を伸ばして座る。
「大丈夫? 晴雲…」
「何してんだ…おめぇ…ゲホッ! はぁ…」
「もう、晴雲の負けだよ…諦めてまた一緒にいよ?」
「はぁ!? 俺はお前を殺そうとしたんだぞ! 正気か!?」
晴雲は弱り切った顔で、小雨に殺気を向ける。
「…晴雲……晴雲には私は殺せないじゃん…」
「はぁ!?」
「ねぇ、小雨家の“喧嘩の仕方”、覚えてる?」
「……忘れたよ…そんな昔のこと…」
「だと思った…」
小雨は呆れた顔をする。
「物の取り合いは分けられるなら分ける、出なければ2人の物」
「関係ねぇな」
「そして、意見が割れたら、両方試すこと」
「……」
恐らく、雨地家の家訓だろう。
「順番はジャンケンで決めてたけど…私ジャンケン強すぎて、いっつも私の意見が通ってたけどね」
小雨はにこやかに笑う。
「ほら、手を出して」
晴雲は自分の顔の前に右拳をだす。
「ジャーンケーン」
「ポン…」
晴雲が出したのはパー。
対する小雨はチョキだ。
「…私の勝ち…じゃあ私のやり方で」
「あぁ、もう遅い、やり直せない…この血に塗られた手じゃあ、この腐った世界でお前を守ることも出来ないどころか、お前を傷つけてしまう…」
晴雲は心做しか、悲しい顔をする。
「あともう一つ、雨地家の家訓…」
「?」
「悪い方が悪いと自覚したなら謝る! これ大事!」
小雨はいつもと同じ明るい笑顔を振る舞う。
「ははっ…あぁ、すまねぇな…小雨……俺は…」
晴雲はジャンケンをした手でそのまま顔を覆う。
「ほんっとに…ロクでもねぇ兄貴だよ…」
「ホントだよバカ兄貴…」
晴雲の顔を覆っている手と顔の間から、一筋の光が落ちる。
「やり直せるのか……俺は…」
「うん、楽な道じゃないけど…」
その時。
「──小雨!! 離れろ!!」
剣得の声。
───刹那
小雨と晴雲がいた場所に大穴が空き、その瓦礫と共に2人は重力に逆らえず落ちていく。
その間、晴雲は小雨を抱き寄せ、地面との間に、クッション代わりの衝撃を生み出そうと左腕を地面に向けて伸ばすが
「ちっ」
威力が足りない。
晴雲はすかさず、小雨を抱きしめ、自分が下になるように回る。
「?」
しかし、予想していたよりも衝撃が遅い。
そう、晴雲達は見えない何かに受け止められていた。
「間に合った」
その声がする方向に目線を送ると、高速道路の下で、待っていたかのように、両手の平をこちらに向けている臨の姿が。
「これは…帝の能力か」
そして、ゆっくり下ろされ、その場に足を降ろす。
小雨は晴雲が1人で立てないことを知っていたため、肩を貸す。
「兄貴…立てないか…」
「すまない」
───刹那
頭上で何かと何かがぶつかる凄まじい破裂音が鳴る。
「っ!!」
そして、小雨の司会の外に飛び出した黒い影は、臨とは逆の方向に吹き飛び、地面を数m滑った後、むくりと起き上がる。
「っ! …あ、あれは」
黒い体、人間と同じように四肢があり、目視出来るだけで、2mは超えている身長。
細身で、肋は浮き出ている。
頭部、耳の上あたりからうねりを上げて上に伸びる2本の黒角。
目だろうか、青白く顔の上半分辺りで発光している。
何よりも特徴的な右腕。
長く、伸ばせば地面に突き刺さるくらいの長さはあり、その手には指1本1本を覆う位の鋭利な黒爪。
小雨達がその生存者の姿を見ていると、小雨と晴雲の目の前に、剣得が白い制服をなびかせて着地する。
「生存者だ……お前らは下が───」
剣得が小雨達に支持を出そうと、振り向いた瞬間、生存者の魔の手は、まさに小雨に降りかかろうとしていた。
「───え」
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