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第3章「奪還」編
後風
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「───兄貴!!」
次に生存者が標的に選んだのは晴雲の近くで尻もちをついていた小雨だ。
「──グガァォォォ……」
「ひっ!」
小雨は恐怖で体が麻痺して動けない。
そして、振り上がる生存者の腕。
───刹那
生存者の腕は黒い血とともに粉々になる。
「小雨から離れろぉぉ!!」
晴雲の能力だ、血だらけになりながらも、自立し妹を救った。
しかし
「───はっ」
晴雲が気づいた時には生存者の残った腕は晴雲の右胸、肺を貫き、背中から飛び出ていた。
「は……ぁ……」
───刹那
剣得の炎を纏った左腕は生存者の右頬を捉え、生存者の体はその場に角を一本落として、弾丸のように吹き飛ぶ。
高速道路を支えている柱を3本ほど貫通して4本目にめり込むとぐったりして動かなくなった。
小雨はその場に倒れ込んだ晴雲に駆け寄り、上体を支える。
「あ、兄貴!! しっかりして!!」
「……ぅ…」
「おい、晴雲! しっかりしろ!」
剣得は自分の上着を脱ぎ、それを晴雲の胸を締め付けるように巻く。
「おい、寝るな! 晴雲!」
剣得は晴雲の顔の上で呼びかけるが、既に晴雲の目は閉じる寸前で、おそらくぼやけているだろう。
「……(あれ? 痛えな…死ぬのか…俺は…何も見えねぇ…小雨は?)」
視界にモザイクがかかって、そこに人が居る事だけしか分からない。
体中から血の気が引いていくのがわかる。
「兄貴!!」
────あぁ、この声…
「目を開けて!!」
────そう言えばなんでこんなことしてるんだ?
「一緒にいるって……言ったじゃん…!」
────すまないな……悪い夢だったよ…
「小雨…もう」
「兄貴! やだよ!」
もう呼吸をしていない晴雲の体に泣すがる小雨。
その時
「───剣得さん!!」
臨の臨戦を促す声に剣得は目線を上げる。
そこで剣得が目にしたのは、いつの間にか、コンクリートから抜け出し、不気味に突っ立っている生存者。
「ちっ!(さっきので倒せないのか! 完全に今までの奴らと違う……こいつはヤバすぎる…!)」
剣得はその生存者からにじみ出る明らかにレベルの違う“強さ”を感じ取り、再び左手に炎を纏わせる。
「?」
それと同時にとある異変に気づく。
「(殺気がこっちに向いていない…こちらに興味を持っていないのか……?)」
その生存者は剣得や臨を見るどころか、上を見上げ、なにかに反応しているようだった。
「おい…小雨…晴雲を連れてここから離れろ」
晴雲の亡骸に泣すがる小雨に指示を出すが、放心状態なのか、もう全てを投げ打っているのか、小雨は聞いているのかわからない様子で返事をしない。
「小雨!!」
「っ!」
「今は…今は自分のことだけ考えてくれ! 晴雲だって、最後には戻ってきたんだ! そんな晴雲の頑張りを無駄にするのはあまりにも酷すぎるだろ!」
剣得のその言葉に小雨は我に帰る。
「っ! ご、ごめんね、剣得くん…私…」
「あぁ、晴雲を連れて臨と一緒に逃げてくれ…俺はあいつが暴れないように見張ってるから」
「え? で、でも応援はいるよね…?」
「いや、1人でいい」
そうだ、1人でいい、あの生存者はおそらくこれまでの敵の中でも類を抜いている。
参戦者を増やすことは死人を増やすのと同じことだろう。
「(倒さなくていい…逃げ切れれば…)」
その時
生存者の居た場所には大きなクレーターが出来上がり、生存者の姿は消えていた。
臨の攻撃では無い、一瞬の事であったが、生存者は生物には不可能な跳躍でその場から去っていったのだ。
「───え?」
それから…生存者は姿を現さず、被害が出ないまま行方を晦ました。
今回の事件はG,S,A内の化学実験の失敗による建物の破損と世間には広まった。
そして、楓彩達だが、G,S,A本部施設の内装工事が程なくして始まってしまったため、奪還作戦に参加した人員と、剣得は神ヶ丘邸に身を置いた。
それから3時間後、午後1時。
楓彩は目を覚ました。
「……ん……ん?」
楓彩のぼやけた視界に移ったのは木製の天井。
視界がハッキリしていくにつれて、木の木目の模様が分かるようになってきた。
障子越しに差し込む日光がやけに眩しい。
そして、意識が覚醒した直後に、腹の辺りに重みを感じた。
「?」
少し、頭を持ち上げて自分の腹を見ると、腹に掛かっているタオルケットの上に同化するように丸まって寝ている白猫、シロンの姿が。
それと、同時に横目に入るあぐらをかいている人物。
「は…剣得さん……?」
首は90度にちかい角度で下に曲がり、寝落ち寸前の金髪の男性、剣得。
「え? う…あ?」
剣得は楓彩の微かな声に気づき、顔を上げる。
口からヨダレを垂らして完全に寝る寸前だったようだ。
「楓彩…起きたのか…」
楓彩は上体を起こしそのままその場にシロンを抱えて正座をする。
「え、えっと…剣得さん?」
楓彩の少し警戒した様子に
「大丈夫だ…そんなに警戒しなくても…」
「そ、そうですか…」
「えーっと…楓彩…まず、すまなかったな…俺自身よく覚えてないのだが…酷いことをしてしまったみたいで」
剣得は楓彩の顔を見ないように、気恥しい感じで右斜め下に目線を送る。
「え? あ、はい…大丈夫ですよ……っ!! は、剣得さん!?」
楓彩は気づいた、剣得の着ている恐らく瑛太から借りたであろう紺の着物の右袖に何も入っていないことに。
「み、右腕…ど、どうしたんですか!? だ、誰に!!」
「……」
犯人は楓彩だ。
しかし、その事をどうやら本人は覚えていないようだ。
「こ、これか…」
いつもなら他人にやられたと嘘を付くのだが、楓彩と戦ったからか、剣得の覚悟に変化が出た。
このまま、楓彩に嘘をついてもいい。
けど、これでは今までと変わらない。
「…これはお前にやられた」
剣得は真っ直ぐ楓彩の青い目の奥を見て告白する。
「え?」
「楓彩…“もう1人”のお前だ…」
楓彩は理解しない様子で目を見開いていた。
「私が……?」
そして、その表情は段々、絶望に歪み始める。
「楓彩…」
「な、なんてことを……あぁ…!」
楓彩の目からこぼれ落ちる雫。
そうだろう、“優しい楓彩”はこう言った反応をするだろう。
「楓彩…いい言い方が見つからないから、変に思うかもしれないが、これを戒めに、これからもう1人の楓彩と向き合っていかないか?」
「……む、無理ですよ…わ、私は無自覚なんですから…グスッ」
楓彩は完全に剣得と目を合わせなくなった。
「そうか…でも“俺と”なら話は別だろ?」
「……」
「今まで、苦しんでいたのに何もしてやれなくて本当にすまなかった…出来ればもう1度チャンスをくれないか? 楓彩…」
「うん…」
楓彩は小さく頷くと、ふと、我に返り、久しぶりに会う剣得が恋しくなった。
「は、剣得さん…」
「ん?」
「そ、その…」
「許してくれるのか? 俺を」
「は、はい…なので…その…ギュッってしてもいいですか?」
楓彩の赤く染まった顔を見て、剣得は
「珍しいじゃないか…恋しくなったか?」
図星。
「んん…そう言う訳では…」
「ほら、来いよ…」
「失礼します」
楓彩が、剣得の腰に手を回そうとしたその時。
「おーい、剣得ーー! あっ! ここにおったか!」
襖を勢いよく開けて剣得の名前を呼んだのは、瑛太と一緒に暮らしている猫耳のような物が頭から生えている着物姿の中学生くらいの少女。
遠町 花麗。
「花麗さん?」
楓彩はパッと手を正座の膝の上に乗せる。
「おぉ、花麗ちゃんか…どうした?」
「ちゃ、ちゃん…」
「おぉ、楓彩もおったか…剣得?」
花麗は部屋に入ってくると剣得の隣に四つん這いになって
「剣得ぉ…楓彩と何をしておったのだぁ?」
「ん? お話をしてただけだぞ?」
花麗は楓彩を一瞬見ると
「剣得ぉ…またスリスリさせてはくれぬか?」
完璧なまでの上目遣い。
「仕方ないな…」
「やったぁ」
花麗は剣得の膝の上に座ると、頭を剣得の胸に擦り付ける。
「んにゃぁ…気持ちいなぁ…」
まるでおやじみたいな声を上げてさらに密着する花麗。
「あ、あの…花麗さん!」
「ん? なんだ? 楓彩もスリスリしたいのか? 剣得は気持ちいいぞぉ?」
「そ、そんなことは分かってます! は、離れてください!」
楓彩は立ち上がって花麗の両肩を掴んで引っ張る。
「にゃあ! 何をする!」
「剣得さんは今から私とギュッってするんです!」
「むぅ! ウチが先にやったんだから、終わるまでまっとれ! バカ者ぉ!」
お互いに顔を赤くし、頬を膨らませて睨み合う。
「むぅー!」「むぅー!」
花麗は猫のような姿勢で耳の毛を逆立てて、楓彩は両耳の横にある寝癖をとんがらせて、まるで猫の喧嘩の様な絵面だ。
「おいまてまて!」
剣得は左手で、2人のぶつかり合う視線を遮る。
「喧嘩はやめてくれ!」
その時
「おーい、花麗ー?」
部屋の前の廊下を瑛太が通る。
その後
「し、失礼しました! 総督!!」
「ふぇぇ…痛いぞ…瑛太ぁ…」
瑛太は深くお辞儀をしていた。
瑛太がゲンコツしたであろう頭頂部を両手で抑える花麗。
そして、瑛太は襖を閉め、花麗とともに消えていった。
部屋に残されたのは布団の上で正座をする楓彩とその布団のそとであぐらをかく剣得。
「……楓彩?」
「………」
「するか?」
「…は、はい!!」
その後、楓彩と剣得はショウ、臨、いろは の順で入室され、楓彩の望みは叶わなかった。
次に生存者が標的に選んだのは晴雲の近くで尻もちをついていた小雨だ。
「──グガァォォォ……」
「ひっ!」
小雨は恐怖で体が麻痺して動けない。
そして、振り上がる生存者の腕。
───刹那
生存者の腕は黒い血とともに粉々になる。
「小雨から離れろぉぉ!!」
晴雲の能力だ、血だらけになりながらも、自立し妹を救った。
しかし
「───はっ」
晴雲が気づいた時には生存者の残った腕は晴雲の右胸、肺を貫き、背中から飛び出ていた。
「は……ぁ……」
───刹那
剣得の炎を纏った左腕は生存者の右頬を捉え、生存者の体はその場に角を一本落として、弾丸のように吹き飛ぶ。
高速道路を支えている柱を3本ほど貫通して4本目にめり込むとぐったりして動かなくなった。
小雨はその場に倒れ込んだ晴雲に駆け寄り、上体を支える。
「あ、兄貴!! しっかりして!!」
「……ぅ…」
「おい、晴雲! しっかりしろ!」
剣得は自分の上着を脱ぎ、それを晴雲の胸を締め付けるように巻く。
「おい、寝るな! 晴雲!」
剣得は晴雲の顔の上で呼びかけるが、既に晴雲の目は閉じる寸前で、おそらくぼやけているだろう。
「……(あれ? 痛えな…死ぬのか…俺は…何も見えねぇ…小雨は?)」
視界にモザイクがかかって、そこに人が居る事だけしか分からない。
体中から血の気が引いていくのがわかる。
「兄貴!!」
────あぁ、この声…
「目を開けて!!」
────そう言えばなんでこんなことしてるんだ?
「一緒にいるって……言ったじゃん…!」
────すまないな……悪い夢だったよ…
「小雨…もう」
「兄貴! やだよ!」
もう呼吸をしていない晴雲の体に泣すがる小雨。
その時
「───剣得さん!!」
臨の臨戦を促す声に剣得は目線を上げる。
そこで剣得が目にしたのは、いつの間にか、コンクリートから抜け出し、不気味に突っ立っている生存者。
「ちっ!(さっきので倒せないのか! 完全に今までの奴らと違う……こいつはヤバすぎる…!)」
剣得はその生存者からにじみ出る明らかにレベルの違う“強さ”を感じ取り、再び左手に炎を纏わせる。
「?」
それと同時にとある異変に気づく。
「(殺気がこっちに向いていない…こちらに興味を持っていないのか……?)」
その生存者は剣得や臨を見るどころか、上を見上げ、なにかに反応しているようだった。
「おい…小雨…晴雲を連れてここから離れろ」
晴雲の亡骸に泣すがる小雨に指示を出すが、放心状態なのか、もう全てを投げ打っているのか、小雨は聞いているのかわからない様子で返事をしない。
「小雨!!」
「っ!」
「今は…今は自分のことだけ考えてくれ! 晴雲だって、最後には戻ってきたんだ! そんな晴雲の頑張りを無駄にするのはあまりにも酷すぎるだろ!」
剣得のその言葉に小雨は我に帰る。
「っ! ご、ごめんね、剣得くん…私…」
「あぁ、晴雲を連れて臨と一緒に逃げてくれ…俺はあいつが暴れないように見張ってるから」
「え? で、でも応援はいるよね…?」
「いや、1人でいい」
そうだ、1人でいい、あの生存者はおそらくこれまでの敵の中でも類を抜いている。
参戦者を増やすことは死人を増やすのと同じことだろう。
「(倒さなくていい…逃げ切れれば…)」
その時
生存者の居た場所には大きなクレーターが出来上がり、生存者の姿は消えていた。
臨の攻撃では無い、一瞬の事であったが、生存者は生物には不可能な跳躍でその場から去っていったのだ。
「───え?」
それから…生存者は姿を現さず、被害が出ないまま行方を晦ました。
今回の事件はG,S,A内の化学実験の失敗による建物の破損と世間には広まった。
そして、楓彩達だが、G,S,A本部施設の内装工事が程なくして始まってしまったため、奪還作戦に参加した人員と、剣得は神ヶ丘邸に身を置いた。
それから3時間後、午後1時。
楓彩は目を覚ました。
「……ん……ん?」
楓彩のぼやけた視界に移ったのは木製の天井。
視界がハッキリしていくにつれて、木の木目の模様が分かるようになってきた。
障子越しに差し込む日光がやけに眩しい。
そして、意識が覚醒した直後に、腹の辺りに重みを感じた。
「?」
少し、頭を持ち上げて自分の腹を見ると、腹に掛かっているタオルケットの上に同化するように丸まって寝ている白猫、シロンの姿が。
それと、同時に横目に入るあぐらをかいている人物。
「は…剣得さん……?」
首は90度にちかい角度で下に曲がり、寝落ち寸前の金髪の男性、剣得。
「え? う…あ?」
剣得は楓彩の微かな声に気づき、顔を上げる。
口からヨダレを垂らして完全に寝る寸前だったようだ。
「楓彩…起きたのか…」
楓彩は上体を起こしそのままその場にシロンを抱えて正座をする。
「え、えっと…剣得さん?」
楓彩の少し警戒した様子に
「大丈夫だ…そんなに警戒しなくても…」
「そ、そうですか…」
「えーっと…楓彩…まず、すまなかったな…俺自身よく覚えてないのだが…酷いことをしてしまったみたいで」
剣得は楓彩の顔を見ないように、気恥しい感じで右斜め下に目線を送る。
「え? あ、はい…大丈夫ですよ……っ!! は、剣得さん!?」
楓彩は気づいた、剣得の着ている恐らく瑛太から借りたであろう紺の着物の右袖に何も入っていないことに。
「み、右腕…ど、どうしたんですか!? だ、誰に!!」
「……」
犯人は楓彩だ。
しかし、その事をどうやら本人は覚えていないようだ。
「こ、これか…」
いつもなら他人にやられたと嘘を付くのだが、楓彩と戦ったからか、剣得の覚悟に変化が出た。
このまま、楓彩に嘘をついてもいい。
けど、これでは今までと変わらない。
「…これはお前にやられた」
剣得は真っ直ぐ楓彩の青い目の奥を見て告白する。
「え?」
「楓彩…“もう1人”のお前だ…」
楓彩は理解しない様子で目を見開いていた。
「私が……?」
そして、その表情は段々、絶望に歪み始める。
「楓彩…」
「な、なんてことを……あぁ…!」
楓彩の目からこぼれ落ちる雫。
そうだろう、“優しい楓彩”はこう言った反応をするだろう。
「楓彩…いい言い方が見つからないから、変に思うかもしれないが、これを戒めに、これからもう1人の楓彩と向き合っていかないか?」
「……む、無理ですよ…わ、私は無自覚なんですから…グスッ」
楓彩は完全に剣得と目を合わせなくなった。
「そうか…でも“俺と”なら話は別だろ?」
「……」
「今まで、苦しんでいたのに何もしてやれなくて本当にすまなかった…出来ればもう1度チャンスをくれないか? 楓彩…」
「うん…」
楓彩は小さく頷くと、ふと、我に返り、久しぶりに会う剣得が恋しくなった。
「は、剣得さん…」
「ん?」
「そ、その…」
「許してくれるのか? 俺を」
「は、はい…なので…その…ギュッってしてもいいですか?」
楓彩の赤く染まった顔を見て、剣得は
「珍しいじゃないか…恋しくなったか?」
図星。
「んん…そう言う訳では…」
「ほら、来いよ…」
「失礼します」
楓彩が、剣得の腰に手を回そうとしたその時。
「おーい、剣得ーー! あっ! ここにおったか!」
襖を勢いよく開けて剣得の名前を呼んだのは、瑛太と一緒に暮らしている猫耳のような物が頭から生えている着物姿の中学生くらいの少女。
遠町 花麗。
「花麗さん?」
楓彩はパッと手を正座の膝の上に乗せる。
「おぉ、花麗ちゃんか…どうした?」
「ちゃ、ちゃん…」
「おぉ、楓彩もおったか…剣得?」
花麗は部屋に入ってくると剣得の隣に四つん這いになって
「剣得ぉ…楓彩と何をしておったのだぁ?」
「ん? お話をしてただけだぞ?」
花麗は楓彩を一瞬見ると
「剣得ぉ…またスリスリさせてはくれぬか?」
完璧なまでの上目遣い。
「仕方ないな…」
「やったぁ」
花麗は剣得の膝の上に座ると、頭を剣得の胸に擦り付ける。
「んにゃぁ…気持ちいなぁ…」
まるでおやじみたいな声を上げてさらに密着する花麗。
「あ、あの…花麗さん!」
「ん? なんだ? 楓彩もスリスリしたいのか? 剣得は気持ちいいぞぉ?」
「そ、そんなことは分かってます! は、離れてください!」
楓彩は立ち上がって花麗の両肩を掴んで引っ張る。
「にゃあ! 何をする!」
「剣得さんは今から私とギュッってするんです!」
「むぅ! ウチが先にやったんだから、終わるまでまっとれ! バカ者ぉ!」
お互いに顔を赤くし、頬を膨らませて睨み合う。
「むぅー!」「むぅー!」
花麗は猫のような姿勢で耳の毛を逆立てて、楓彩は両耳の横にある寝癖をとんがらせて、まるで猫の喧嘩の様な絵面だ。
「おいまてまて!」
剣得は左手で、2人のぶつかり合う視線を遮る。
「喧嘩はやめてくれ!」
その時
「おーい、花麗ー?」
部屋の前の廊下を瑛太が通る。
その後
「し、失礼しました! 総督!!」
「ふぇぇ…痛いぞ…瑛太ぁ…」
瑛太は深くお辞儀をしていた。
瑛太がゲンコツしたであろう頭頂部を両手で抑える花麗。
そして、瑛太は襖を閉め、花麗とともに消えていった。
部屋に残されたのは布団の上で正座をする楓彩とその布団のそとであぐらをかく剣得。
「……楓彩?」
「………」
「するか?」
「…は、はい!!」
その後、楓彩と剣得はショウ、臨、いろは の順で入室され、楓彩の望みは叶わなかった。
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この度ついに完結しました。
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今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
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