生き残りBAD END

とぅるすけ

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第5章 「罪」偏

楓彩にとって…

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 雨が降る中、剣得は楓彩を目の前に緊張していた。

「楓彩…話すことがある…」

 剣得の緊張感を感じたのか動物達は楓彩から去っていく。

「あっ…行っちゃった…剣得さん? 話って…?」
「お前の事についてだ…」

 剣得の空気につられて楓彩の表情も重くなる。

「私の…事…?」
「あぁ、お前の正体についてだ…」

 楓彩は首を傾げる。

「私の正体…って…剣得さん? 何を言ってるんですか?」
「…」

 剣得の真剣な眼差しを見た楓彩はただ事ではないことを悟った。

「以前…彩楓が話してくれたことを覚えているか…?」
「はい…」
「その話の中に出てきた組織…そいつらが今回、楓彩を誘拐した奴らだ」 
「そ、それと私に何の関係が…?」

 楓彩はまだ、状況を上手く把握出来ておらず、その組織が剣得達に身代金でも請求したものだと思っている。

「その組織は、彩楓と、お前のお父さんを監禁していた連中なんだ…」
「え…?」

 楓彩の中で何かが繋がりかけた。

「わ…私が……“アスモ…デウス”……?」

 この時だけは天然の楓彩も察しが良かった。

「だが、確証は持てない…血液検査では陰性だからだ…」
「それってどういう…」

 剣得の心は今にも潰されそうだが、楓彩から目を話そうとはしなかった。

 「わからない…けど…奴らが狙ったってことは…何かあるんだろ……お前に…」

 楓彩は目を細めてうつむいた。

「剣得さん……私は…もしも、それが本当なら…受け入れます…」
「え…」
 
 予想外な程の素直さに剣得は面を食らってしまった。

「楓彩…お前…」

 楓彩は擦り音を立てながら剣得に擦り寄ってくる。

「でも…私はそんなことどうでもいいんです…」
「……」

 そして、剣得の胸に頭を押し当てる。
 2人を雨音が包み込む。

「もしも、そうなった時に、剣得さんは私のことをどう思うんですか…?」

 楓彩は顔を上げて剣得の目を真っ直ぐ見つめる。
 剣得も、楓彩の青い瞳の奥を見る。
 そして、目尻に浮かぶ涙も。
 本当は楓彩も怖いのだ。
 ただでさえ混乱を招くような事態が起きたのに、自分を覆すような真実を突きつけられたのだ。
 常人なら考えることは決心を放棄する。

「どうなんですか…」

 楓彩はいつの間にか握りしめていた服を掴む手に力を入れる。

「…俺は……」

 仮に、楓彩が、“アスモデウス”と呼ばれる生存者《サバイバー》なら、剣得はG,S,Aの総督としての義務を果たすため、楓彩を抹殺しなければならない。

「…楓彩を一生守る…当たり前だろ? “娘”を裏切る父親がいるかよ…」

 剣得は優しく太陽の様に微笑む。

「…うん…よかった…私はそれだけでいいです…」

 気づけば雨は止み、雲の間から、昼上がりの太陽の光がカーテンの様に降り注いでいた。

───そうだ…責任とかじゃない…俺は俺がしたいことをする…。俺は自分勝手だからな…───


「剣得さん?」
「…? なんだ?」
「お腹空きました…!」
「早いな…ったく…」



 同時刻、島外、城壁上。

「よっと、ありがとさん…」
「キエェーーー…」

 鳥型の生存者《サバイバー》の背中から飛び降りる黒いフード付きのローブを着た男。

「下がっていいよー…」

 生存者《サバイバー》は風を巻き起こして去っていく。

「さてと…ん? この壁の素材は生存者《サバイバー》の好まない素材か…頭使ってるなぁ…さてと…姫さん奪還しますかね? ……“ベルさん”」

『ソレハ…マチガッテル…ソレナラ…オマエモ…“ベルサン”』

 突如、空から降りてくる、細身の黒い人型 生存者《サバイバー》。

「あはは…そうだね…じゃあ“ブブさん”?」
『アァ…』




 同時刻。
 ショウの工房では。

「はぁ…ちょっと難しいかなぁー…」

 ショウはパソコンに向かって、キーボードを叩き、何やら難しそうな数式を解いていた。

「んん? 計算ミスった…? いやぁ私に限ってそんなこと…」

 頭をかいて、再びキーボードを叩く。
 その時、

「……───っ!?」

 突如、背後に気配を感じる。
 ショウは咄嗟に、手元に置いてあった拳銃を回して取り、振り向いて構える。

「…危ねぇな…」

 後ろにいたのは頬に絆創膏を貼った彩楓で、右手で握っている納刀された刀の柄で拳銃の照準をずらしていた。

「彩楓?」



 その後、彩楓はソファで横になり、寝息を立てていた。

「寝に来ただけかよ…」

 ショウは背もたれに体重を移して、左後ろのソファで寝ている彩楓を見る。

「ふふっ…楓彩に似て可愛い寝顔してるね…さすが兄妹…」
「なに見てんだ…」
「うわぁっ! 起きてた!」

 彩楓は目を半開きにして、ショウを見る。

「お前の目線で起きたんだよ…」
「つーか…なんでここで寝るわけ?」
「静かそうなのと、最近寝てなかったから眠い…」
「あっ、そうだ…あんたさ、楓彩の身体のことに関して何か知ってる?」

 ショウは近くの薬品などが乱雑に置かれている机には肘を置く。

「ん? 知っていることは胸が小さいことくらいだな…あと、身長も…」
「女を見る目最低ね…」
「そんなもんだろ…男なんて…」
「なに? そのヤリ〇ンみたいなこと言って…あんた童貞でしょ? どうせ…」

 ショウは目を細めて彩楓を見下す。

「“俺は違うが”お前は未経験なのは分かるな…」
「なっ! や、やったことあるし! そ、そんな子供じゃないし…! やりまくりだし…!!」
「へぇ…そうか…」

 彩楓は上体を起こして立ち上がると、ショウに歩み寄る。

「な…なによ!」

 彩楓は左手をショウの後頭部に回して、ぐいっとお互いの顔を近づける。

「───へっ!?」
「やりまくりなんだろ…?」

 そして、トドメの甘い声。
 その声に、ショウは顔を赤くして目を泳がせる。

「なーんてな…さすがに俺も鬼じゃない…初めては好きなやつとやるといいさ…」
「な、なによ…バカ……(なんなのよーー!!)」

 彩楓は、ソファに座り直し、

「楓彩についてか…悪いが、本当になにも知らないな…」
「そう…(じゃあ確時睡眠症も、知らないってことか…)」
「それだけか? 俺は寝るぞ…」
「うん…ありがと……あと、次今みたいな真似したらぶん殴るからね!」

 ショウは顔を真っ赤にして右拳を見せる。

「ははっ…おやすみ…」

 彩楓はそう言って寝てしまった。
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