アーゴットの鍛冶暮らし(お気に入り数が増えると続編でます)

toro

文字の大きさ
10 / 11

ギルド会議

しおりを挟む
鍛冶ギルドは先代ジルの家近く
東の港付近にある地下1階地上2階の建物で煉瓦造りの奥行20Mはあろうという巨大な建物である。
一階には農具の修繕依頼、釣り具、漁師に猟師の矢じりに錨まで様々な依頼が舞い込み。
それを市内の5鍛冶屋が分担して作業する
ジル、ジキル、ジン&ジンクス、ジリアン、もう一軒は加護無しではあるが地道な作業に定評のあるブルジットだ。
ジルはキースの工房の跡取り息子として引っ越した、荷物と言っても鞄一つのアーゴットはハンマーを抱えてやってきた。
キース「おう、わが婿殿よ、これからは頼むぞ、ははは」
朝から酒浸りである、よほど酒の味が気に入ったらしい。
キース「成人するまで酒ものまず、鍛冶師にそのままなったから初めてづくしだが酒はうまいなあ」
アーゴット「じゃあ俺もあとでいっぱい貰うよ」
キース「冗談言うな、加護を授けたばかりで返すって言うのか?飲んだら紋章に力が還ってしまうんだぞ?」
鍛冶ギルドの1階に飾られた8つの星の紋章には現在光がともっていない、すべて継承ずみだからだ。
アーゴット「ところが俺のはそうならないんだよ」
キースはなにをいってるんだ、まあ冗談のつもりだろうと聞き流している

アーゴット「ギルド会議にいってくるよ、あんま飲み過ぎるなよ」
そういうとドアをしめ部屋を出ていくアーゴット、ギルドは隣の建物だ。
ジキル「おう、早かったなジル」
アーゴット「ジルはよせよ父さん、今まで通りアーゴットで良い」
ジキル「それもそうか、それより小ハンマーを3本用意出来てるんだろうな?」
アーゴット「ああ、受領書たのむぜ、鉄インゴット3本なんて俺の稼ぎじゃ無理なんだからな」
ジキルは小ハンマーを机に並べて目を青く光らせる、鑑定だ。
ジキル「お前、これどこで手に入れたんだ、先々代、俺の師匠の作った小ハンマーじゃないか!」
アーゴット「何言ってるんだ、それは俺が昨日ほとんど朝までかけて打ってきた奴だぞ」
鑑定結果 小ハンマー 神に愛されし物
ジキル「お前なんで神に愛されし物の付与が出来る?これは師匠だけの異能だぞ」
アーゴット「昨日エリス神の像を教会に寄贈したからか?」
アーゴットは自分でも良く分からないといった風にとぼけてみる
ジキル「先々代は教会で働いていたことがある、その可能性はおおいにあるが、、すごいな」
ジキル「俺もジンもどうしても身につかなかったスキルだ、お前あとでスターライト鉱石も叩いてみろ」
アーゴット「わかった、じゃあ後で拾ってくるとする」
スターライト鉱石は、そのままでは微弱な光を出すだけのやたらに硬いというより、まったく加工出来ない石で、
邪魔なのでそのへんに捨てっぱなしになっている。
ジン「おうジキルさん、ギルドマスターの初仕事だな」
ジンクス「おはようございますジキルさん」
ジリアン「みなさんお揃いで」
続々と集まってくる
ジキル「じゃあギルド会議を始める。まずは先日ジルの加護を継承したアーゴットから挨拶だ」
アーゴット「はじめましてではありませんが、皆さんジルとして受けた加護に恥じぬよう頑張るつもりです、どうかご指導よろしくお願いします」
一同はアーゴットがこれほど殊勝なあいさつをするとは思っていなかったので、感心したようにうなずいた。
ジン「偉大な先代、先々代の名前と加護だ、正直君には荷が重いと思うが、キースの決めた事だ」
ジンクス「そうだな、だが君の実力を認めたわけではないぞ」
ジリアン「今後の君の働きに期待しよう」
ずいぶんと手厳しいがなんとか受け入れてもらえているようである。
ジキル「それじゃあアーゴットが打ったハンマーの贈呈にうつるが」
ジキル「お前さんたちこれ見たら驚くぞ?先に言っておくがこれはまぎれもなくアーゴットの打った物だ」
3人が目を青く光らせて鑑定の光でハンマーを見る
ジン、ジンクス、ジリアン「なっ!」
ジン「神に愛されし物の付与が出来るって言うのか?」
ジンクス「これは先々代様だけの技術では」
ジリアン「これを知っていたから先代ジルは加護を継承したのか、それならうなずける」
ジキル「違う、先代ジルもこれはまだ知らないはずだ、これはアーゴットが教会に神像を寄付したせいかもしれないと俺はにらんでいる」
ジン「神に愛されし者とは神に何かを捧げたものということか?」
ジンクス「祈りなら我らも捧げているぞ、何十年もだ」
ジリアン「神がそれほど現金だとはおもいたくないが。。。」
ジキル「それをいうなら教会を建設したものや司教様に授からない理由がわからん、文字通り神に愛される理由がアーゴットには何かあるのだろう」
ジンクス「しかし、神に愛されし者とは、、これで光属性付与を我らのギルドは再び持つことになる」
ジン「王教会には報告の義務がある、いろんな意見があるだろうが、戦時下だ、隠匿は重罪になる可能性もある」
ジキル「それはそうだろうな、できれば伏せたいがそうもいかんだろう、精霊通信で本国にはすぐ報告するさ」
ジリアン「それが良いだろうな」
ジン「しかしこのハンマー、、、なんだろうな、なんだか精度にかけるような、加護持ちの作ったものとは違うのではないか?」
ジリアン「たしかに我らが作れば、このなんとも形容しがたい細かいぶれのような感覚があるはずがないのだが」
アーゴット「それについては、先日夢枕にバッカス様が現れまして」
ジキル「バッカス様?俺のところにも夢に出てきたぞ」
ジンクス「私のところにもです」
ジン「なんだあれは夢じゃなかったのか」
アーゴット「何でも酒を瓶でのみたいから地下に流すなとか」
ジン「それは俺のところにもいいにきたぞ」
ジキル「なんて神様だ、酒のためだけにわざわざ現れたってのか」
アーゴット「それと、お前には酒の加護はやるが、鍛冶の加護はやらんと」
ジンクス「おいおい、鍛冶の加護が受けれないメンバーなんて初めてだぞ」
ジリアン「しかし酒の加護とは何でしょうな?」
アーゴット「それが酒造りをすると美味しいものがつくれる加護だそうです」
ジキル「ギルドの正式メンバーになる条件はバッカスの加護を継承する事のはず、鍛冶の加護でなくてもかまわないはずだが、みんなどう思う?」
ジンクス「たしかに言われればそうだな、それに神に愛されし者、ギルド外に置くにはいろいろと問題がある」
ジン「たしかにジキルの言う通りだ」
ジキル「意見も出そろったようだな、ではジルは正式メンバーとする、地下の酒についてはバッカスと仲が良いジルに任せよう」
ジリアン「それはいいアイデアだ、初仕事だなジル」
ジン「まったくいいアイデアだ」
ジンクス「正直あの仕事は俺も嫌だったんだ」
なぜここまで嫌がるのかさっぱりわからない、酒をぶちまけるだけの仕事が、祈るのが嫌なんだろうか?
アーゴットは体よく酒を神にささげる仕事を任されたようである。
ジキル「それでは今回の会議は解散とする」

アーゴットはさっそく地下に通じる階段を下りて木製の扉を開けてみる
酒臭い。。。とんでもない酒の匂いがする小部屋だ。
閉じこもった土と岩の地面がむき出しの場所に、長年酒をしみこませてきたのだ、
臭くて当然である。
正直立っているだけで吐きそうだ
アーゴット「なんて仕事だ。。。」
どうりでみんな嫌がるはずである。
アーゴット「さーて酒なんてどうすればいいのか、買ってきておいとけば良いのか?」

(おい、酒はお前が作れよ、買ってきた酒なんて俺はもうのみたくないぞ)

あの酒好きの神の声がきこえる

(お前が作った酒なら俺の加護で、最高になるんだ、最高の酒を頼むぞ)

アーゴット「わがまま言いやがって、わかったよ作れば良いんだろ」

アーゴットはあきらめたようにつぶやく
笑い声が聞こえたような気がした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...