禁じられた逢瀬

スケキヨ

文字の大きさ
2 / 100
序章

まぐわい②

しおりを挟む
「……くっ」

 楠ノ瀬くすのせの唇に導かれるように、俺は精を放った。

「はぁはぁ……はぁ」

 精液だけでなく生気まで全て絞りとられてしまったのではないかと思うほどの強烈な虚脱感に襲われる。
 肩で息をしながら、俺は楠ノ瀬の様子を伺った。
 彼女は白い喉をごくりと大きく動かして、俺が口内に放った精をひと思いに呑み下した。

「ぉ……おぃ」

 俺は彼女に声を掛けようとしたが、やはり声が出ない。

「……喋れる?」

 自分の手の甲で軽く口元を拭った楠ノ瀬が、俺の顔を見つめながら尋ねてくる。
 俺は無言で首を振った。

「そう……」

 彼女が目を伏せて下を向く。

「じゃあ……」

 楠ノ瀬の手が、萎えた俺のモノを再び掴んだ。

「もう一回、するね」

「ぇ……?」

 俺がかろうじて発した疑問の声を無視して、彼女は手を動かしはじめた。
 刺激を受けたそれはすぐに固さを取り戻す。さっき出したばかりなのに……。

 楠ノ瀬は俺の反応を確かめると、腰紐を解いて、俺の上に跨った。
 彼女は固くなった俺の根元を握ると、ゆっくりと腰を下ろしていく。

「あぁ……」

 今度は口じゃなかった。
 楠ノ瀬のあたたかい洞穴に、屹立した俺の息子が呑み込まれていく。

「ん……っ」

 途中、彼女が苦しそうに眉根を寄せる。
 俺のものを根元まで咥え込んでしまうと、ほっとしたようにひと息ついてから、ゆっくりと腰を振り出した。
 緩く円を描くように腰を大きく回したかと思うと、今度は上下に素早く動かす。緩急をつけた動きに俺はされるがまま翻弄される。

「ぁあ……んっ……はぁっ……」

 腰の動きに合わせて、彼女のぬめぬめとした紅い唇から悩ましげな吐息が漏れる。
 激しい動きのせいで乱れた襦袢の隙間からは、たわわな乳房がこぼれて揺れている。
 学校での彼女からは想像もできない痴態に、俺は早くも昇りつめていた。

「くっ……出る……!」

 耐えかねた俺が思わず呟くと、

「いいよ、出して……」

 楠ノ瀬がとろんとした艶っぽい表情で囁いた。

「……っ」

 俺は堪えきれずに、本日二回目の射精をした。
 呼吸の荒い楠ノ瀬が力尽きたように倒れ込んでくる。彼女の豊かな胸が、俺の腹の上で柔らかに押しつぶされた。

 汗ばんだ首筋に髪の毛が張り付いている。
 俺はそっと手を伸ばして、その髪の毛をいた。

 そんな俺の行動に驚いたのか、楠ノ瀬が弾かれたように顔を上げた。

「喋れる? 動ける?」

 俺の顔を見つめながら、彼女が矢継ぎ早に質問する。

「あーあーあー……喋れる!」

 口がきけなかったのはほんの数時間のことだというのに……。俺は無事に戻ってきた自分の声を確認するように、とりとめもない発声練習をした。

「よかったぁ」

 そう言って、楠ノ瀬が嬉しそうに笑った。
 俺は自由を取り戻した腕を動かすと、彼女の背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。

「……!」

 俺の腕の中で、楠ノ瀬がびくっと震えた。
 雨に打たれた捨て猫のような彼女の反応が可愛くて。しばらくそのまま……その華奢な体を抱きしめて離さなかった。
 彼女の方もされるがままになっている。





 ――最初に沈黙を破ったのは俺だ。

「なぁ、これはどういうことなんだ?」

「……」

「ここはどこだ? 俺はなんでここにいる? なんで楠ノ瀬は、俺とこんな……」

 続けざまに質問を投げかける俺の口を。
 楠ノ瀬の紅い唇が塞いだ。

 最初は触れるだけだった口づけが、次第に深くなっていく。俺が薄く口を開くと、彼女の厚い舌がすかさず入り込んでくる。侵入してきたそれを軽く吸ってやると、鼻にかかった甘い声がこぼれた。

 互いの唇を存分に味わってから顔を離すと、彼女が自分の人差し指を俺の唇に押し当てた。

「私からは何も言えない。……余計なことは言うな、って言われてるし……あなたに説明していいのかも、わからない」

「どういうことだ……?」

「ごめんなさい」

 楠ノ瀬は小さな声で謝って、顔を伏せた。

「……私の役目はこれで終わりだから。とりあえず、今日のところは」

 ――とりあえず?

 俺の頭の中は疑問だらけだったが、楠ノ瀬の様子を見ると、これ以上の詮索は憚られた。

 それよりも俺は、彼女の発した言葉が気になって仕方なかった。

 楠ノ瀬はさっき「今日のところは」と言った。ということは、今日みたいな機会がまたあるということなのか?
 またこうして彼女と抱き合える機会が――。

 そんな下心丸出しの期待がどれほど能天気で的外れなものだったのか……。

 俺がそのことを思い知るのは、もう少し後のことである。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...