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対峙する悪魔 2
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石畳が泡を立てながら溶けていく。
塩酸で石灰岩を溶かす実験を思い出した。
地面に滴り落ちた大量の血溜まりのせいだろう。
赤いというよりは黒に近いおびただしい量の血液が石畳に拡がっている。
光に貫かれた異形の者から流れ出る血液。
「この攻撃は天使かァッッ! ……背中から奇襲するとは相変わらず卑劣なッッ!」
下腹部を押さえながら憎悪の篭もった声で呻く。
アンドラスを貫いた、光の筋に見えたものの正体……。
それは、セラだった。
白く輝く大きな翼が光の筋となって見えたのであった。
「黙りなさい! 聖域を侵す害獣に卑劣呼ばわりされる謂れはありませんっ!」
俺が見た優しい表情の彼女はそこには居なかった。
別人のように険のある目で刺さるような言葉を放つセラに対し、背筋が凍る感覚を覚えた。
……セラさん、なのか?
俺の送ってきた人生の中で、他の誰かに対してここまで明確な敵意を剥き出しにしたことがあっただろうか?
そもそも、凶器を携えた者同士が命のやりとりをする場面自体、遭遇確率が限りなく低い世の中である。
その場面に居合わせたとして、俺はきっと何も出来ない。
……現に、今もこうして立ち尽くしているだけなのだから。
「わたくし大天使セラが、正義の名に於いて悪魔を浄化しますっ!」
全く重さを感じさせない動きで振るわれる、身の丈を大きく超える円錐状のランス。
相当な重量があるだろうに、まるで棒切れでも扱うようにセラはそのランスを振るう。
「この地に足を踏み入れた罪、その身で償いなさい!」
脇腹に手を当てよろめくアンドラスにランスを突きつけそう言い放った。
反撃の暇を与える間も無く、再びセラのランスがアンドラスを貫いた。
正確に言えば貫いた瞬間は見てはいない。
セラが猛烈な速さでアンドラスを通り抜けたと思ったら、胴と下半身が分断されそうな程の大穴を開けたアンドラスがそこに立っていた。
俺に見えたのはそれだけだ。
またも攻撃の瞬間を肉眼で捉えることは出来なかった。
素人目に見てもアンドラスの負った傷は致命傷に見える。
「グッッ……、出し抜いたつもりかもしれんがッ、何か忘れてないかァッッ? ……役立たずが殺される様を良く見ておけェッッ!」
立っていられなくなったのか、膝を地につけ鳥頭が鼻で笑う。
もっとも、鳥なので表情はわからないのだが。
セラが悪魔を一蹴するのを静観していた俺は背後にふと気配を感じた。
セリカでもセラでもアンドラスでも無い、別の何かが背後に迫っている。
――唸り声?
「ご主人さま!!」
生臭い匂いが鼻についた瞬間、肩がえぐられるような激しい痛みが走る。
痛みを感じると同時に、悲鳴のようなセリカの声が聞こえた。
直後、衝撃とともに周りの風景が流れるように過ぎていく。
あぁ、石畳の上を物凄いスピードで滑っているのか……。
俺は地面を転がっていた。
セリカと一緒に。
正確には両腕で抱きかかえられるようにして。
うっ、と小さく呻き声を漏らすセリカ。
あれだけの速度で背中を地面に擦りつけながら滑走したのだ……。
摩擦による痛みは相当なものだと容易に想像がついた。
すえたような匂いの正体は巨大な黒い狼であった。
俺の背後には口を大きく開けた狼が居た、鋭い牙で眼前の獲物に喰らいつく間際の。
映画で剣闘士がバーバリライオンと闘うシーンを連想したが、姿形は狼のものだ。
どうやら噛み付かれたらしく、肩口を激痛が襲う。
セリカが割って入ってくれなければ、首筋をガブリとやられて絶命していただろう。
もしくは頭から丸かじりにされて美味しくいただかれるところだった。
「まさかしもべが潜んでいたなんて……、不覚でした」
アンドラスに対峙していたセラが反転し、狼の口目掛けてランスを突き立てそう言う。
俺をかじった狼が抵抗すら許されず、一撃で葬り去られる。
その狼が息絶える背後で不可解な動きがあった。
膝を折った状態のアンドラスが自身の腕を深々と剣で斬り付けたのだ。
死を悟って自刃でも始めたのだろうか?
瀕死に見えた悪魔からどす黒いオーラのようなものが溢れ出ているのを感じた。
「おい、後ろだっ!セラ!」
地面に転がったままで、俺は咄嗟にセラの名前を呼び捨てで叫んでいた。
あれは自刃なんかじゃない、何かしらの攻撃を加える為の下準備だったんだ。
俺の声は間に合わず、セラの右の翼が根元付近からバッサリと両断されるのが目に入る。
光の粒子をあげながら翼が消滅していく。
叫び声を耳にし、セラが振り向くのと同時の出来事。
アンドラスは自らの血で血塗れになった剣を、セラ目掛けて力任せに投げつけたのだ。
「奇襲のお返しだ、天使よッッ! 我が呪いは成就したッッ、懊悩煩悶して朽ちるが良いわァッッッ!!」
断末魔ともつかないような金切り声をあげながらアンドラスがスーっと消えていった。
その場に大量の黒い羽を撒き散らしながら。
夜の帳とともに辺りは突如として静寂に包まれた。
「終わった、……のか?」
腕を伝って指先から血が滴っていくのが判った。
割と派手に出血しているようだが、不思議と痛みは感じない。
牙が刺さる瞬間はその痛みだけで気を失うかと思った程痛かったのだが。
「……おい、しっかりしろ!」
目を閉じたまま倒れている彼女の傍に駆け寄った。
今は自分の痛みよりも彼女の安否しか考えられなかった。
辺りはもう完全に夜の世界が訪れていた。
オレンジ色の光に灯されながら横たわる彼女の手を握り締めた。
脈も呼吸も停まっていないようでひとまずは安心する。
噴水の四隅を囲うように備え付けられた街路灯。
石畳を滑走する俺達は、この街路灯に接触する事でようやく停止したのであった。
自分の背中が支柱にぶつかるようにしてまで俺を守ってくれたセリカ。
なんでそこまでして俺なんかを助けようとしてくれるんだ、この子は……。
「……終わったみたいだ、何から何まで本当にすまない」
力を込めて強く、彼女の手を握りなおした。
それに呼応するように、俺の手を握り返す感触がする。
んっ、と小さく吐息を漏らしセリカの目が開く。
良かった……、意識を取り戻した。
暖色の照明に照らされる美しい顔に雫が落ちる。
涙が頬を伝う感触がした。
俺は堰を切ったように溢れ出た涙を止めようと、奥歯を噛み締めて涙を堪える。
安堵の涙か、感謝の涙か、痛みによるものか、混乱によるものか。
それは自身にもわからないが、眼から流れ出る汁を俺は自身の意思で止めることは出来なかった。
涙を流すなんて何年ぶりだろうか……。
泣くという事象すらとうの昔に忘れたはずなのに。
「無事……、ではないですね。 でも、良かったです」
セリカは嗚咽を堪えきれないでいる俺の首の後ろに両手を回すと、そのまま自分のほうに引き寄せ、優しく抱き締めた。
柔らかな感触が暖かさと共に伝わってきた。
それと同時に、鼻腔に拡がる嗅ぎ慣れた香りに心が安らいでいくように感じた。
気に入って常に車に置いてあった、車内の芳香剤と同じ香りがした。
---------
「お二方を危険な目に合わせてしまって、お詫びの言葉もございません」
バカでかいランスを地面に預けると、セラが俺達二人にお辞儀をする。
「とんでもない、セラさんが来てくれなければ今頃、俺達は……」
「いえ、こうなるであろう事は予想出来たはずなのです。 結界のほころびは三日前から分かっていた事なのですから」
どれくらいの時間が経っただろうか。
話せる状態になった、と確認したのであろう。
両膝を地面に着き、胸の前で両手を重ねた状態でセラが謝罪を述べる。
先程までの光景を思い出し、血まみれになった手に視線を落とす。
止まっていた痛覚が元に戻り、よもや忘れるなとばかりに再び激痛が襲ってくる。
「お二方の転移により、この国を覆う結界の一部に亀裂が生じたのです。 わたくしがお話しした雑務とは、この結界を修復することだったのです」
説明自体はなんとなく理解は出来たが、痛みによりその内容は全く頭に入って来なかった。
「一体の悪魔とその軍勢が侵入することを許してしまいましたが、修復は成功しました」
間接的とはいえ、襲撃の原因は俺にもあったということか。
悪魔、天使、結界、……依然としてわからないことだらけである。
ひとまずわかっていることは、眼前の二人が命の恩人であること。
それだけは確かだ。
「満身創痍とはいえ、全員ひとまず無事で良かった。 そして、役立たずな俺を助けるために身を呈して戦ってくれたのは二人だ」
「助けられてばかりですまない、……ありがとう、セリカ。 ありがとう、セラさん」
感謝の言葉を伝えるぐらいしか俺に出来る事は無かった。
動かすことすらままならない腕を垂らしたままで、二人に向って頭を下げる。
「もうお礼ならさっき頂きましたよ、ご主人さま」
いたずらな笑みを浮かべながら俺の言葉にそう応えるセリカ。
「気に病む必要はありませんよ、わたくしは務めを果たしただけです」
ついさっきまでの絶対零度の冷たい表情を浮かべていた人間と同じだとは思えないような、優しい表情を俺に向けるセラ。
一体、どっちが本当の彼女なんだ……?
「ひとまず危険は去りました、聞きたい事は山ほどあるでしょうがまずは手当てが先です」
そうセラに促され、俺は痛む箇所を庇いながら立ち上がった。
そして、互いに感謝の意を伝え合うセリカとセラに伴われ、広大な中庭を後にして神殿内へ戻っていくのだった。
塩酸で石灰岩を溶かす実験を思い出した。
地面に滴り落ちた大量の血溜まりのせいだろう。
赤いというよりは黒に近いおびただしい量の血液が石畳に拡がっている。
光に貫かれた異形の者から流れ出る血液。
「この攻撃は天使かァッッ! ……背中から奇襲するとは相変わらず卑劣なッッ!」
下腹部を押さえながら憎悪の篭もった声で呻く。
アンドラスを貫いた、光の筋に見えたものの正体……。
それは、セラだった。
白く輝く大きな翼が光の筋となって見えたのであった。
「黙りなさい! 聖域を侵す害獣に卑劣呼ばわりされる謂れはありませんっ!」
俺が見た優しい表情の彼女はそこには居なかった。
別人のように険のある目で刺さるような言葉を放つセラに対し、背筋が凍る感覚を覚えた。
……セラさん、なのか?
俺の送ってきた人生の中で、他の誰かに対してここまで明確な敵意を剥き出しにしたことがあっただろうか?
そもそも、凶器を携えた者同士が命のやりとりをする場面自体、遭遇確率が限りなく低い世の中である。
その場面に居合わせたとして、俺はきっと何も出来ない。
……現に、今もこうして立ち尽くしているだけなのだから。
「わたくし大天使セラが、正義の名に於いて悪魔を浄化しますっ!」
全く重さを感じさせない動きで振るわれる、身の丈を大きく超える円錐状のランス。
相当な重量があるだろうに、まるで棒切れでも扱うようにセラはそのランスを振るう。
「この地に足を踏み入れた罪、その身で償いなさい!」
脇腹に手を当てよろめくアンドラスにランスを突きつけそう言い放った。
反撃の暇を与える間も無く、再びセラのランスがアンドラスを貫いた。
正確に言えば貫いた瞬間は見てはいない。
セラが猛烈な速さでアンドラスを通り抜けたと思ったら、胴と下半身が分断されそうな程の大穴を開けたアンドラスがそこに立っていた。
俺に見えたのはそれだけだ。
またも攻撃の瞬間を肉眼で捉えることは出来なかった。
素人目に見てもアンドラスの負った傷は致命傷に見える。
「グッッ……、出し抜いたつもりかもしれんがッ、何か忘れてないかァッッ? ……役立たずが殺される様を良く見ておけェッッ!」
立っていられなくなったのか、膝を地につけ鳥頭が鼻で笑う。
もっとも、鳥なので表情はわからないのだが。
セラが悪魔を一蹴するのを静観していた俺は背後にふと気配を感じた。
セリカでもセラでもアンドラスでも無い、別の何かが背後に迫っている。
――唸り声?
「ご主人さま!!」
生臭い匂いが鼻についた瞬間、肩がえぐられるような激しい痛みが走る。
痛みを感じると同時に、悲鳴のようなセリカの声が聞こえた。
直後、衝撃とともに周りの風景が流れるように過ぎていく。
あぁ、石畳の上を物凄いスピードで滑っているのか……。
俺は地面を転がっていた。
セリカと一緒に。
正確には両腕で抱きかかえられるようにして。
うっ、と小さく呻き声を漏らすセリカ。
あれだけの速度で背中を地面に擦りつけながら滑走したのだ……。
摩擦による痛みは相当なものだと容易に想像がついた。
すえたような匂いの正体は巨大な黒い狼であった。
俺の背後には口を大きく開けた狼が居た、鋭い牙で眼前の獲物に喰らいつく間際の。
映画で剣闘士がバーバリライオンと闘うシーンを連想したが、姿形は狼のものだ。
どうやら噛み付かれたらしく、肩口を激痛が襲う。
セリカが割って入ってくれなければ、首筋をガブリとやられて絶命していただろう。
もしくは頭から丸かじりにされて美味しくいただかれるところだった。
「まさかしもべが潜んでいたなんて……、不覚でした」
アンドラスに対峙していたセラが反転し、狼の口目掛けてランスを突き立てそう言う。
俺をかじった狼が抵抗すら許されず、一撃で葬り去られる。
その狼が息絶える背後で不可解な動きがあった。
膝を折った状態のアンドラスが自身の腕を深々と剣で斬り付けたのだ。
死を悟って自刃でも始めたのだろうか?
瀕死に見えた悪魔からどす黒いオーラのようなものが溢れ出ているのを感じた。
「おい、後ろだっ!セラ!」
地面に転がったままで、俺は咄嗟にセラの名前を呼び捨てで叫んでいた。
あれは自刃なんかじゃない、何かしらの攻撃を加える為の下準備だったんだ。
俺の声は間に合わず、セラの右の翼が根元付近からバッサリと両断されるのが目に入る。
光の粒子をあげながら翼が消滅していく。
叫び声を耳にし、セラが振り向くのと同時の出来事。
アンドラスは自らの血で血塗れになった剣を、セラ目掛けて力任せに投げつけたのだ。
「奇襲のお返しだ、天使よッッ! 我が呪いは成就したッッ、懊悩煩悶して朽ちるが良いわァッッッ!!」
断末魔ともつかないような金切り声をあげながらアンドラスがスーっと消えていった。
その場に大量の黒い羽を撒き散らしながら。
夜の帳とともに辺りは突如として静寂に包まれた。
「終わった、……のか?」
腕を伝って指先から血が滴っていくのが判った。
割と派手に出血しているようだが、不思議と痛みは感じない。
牙が刺さる瞬間はその痛みだけで気を失うかと思った程痛かったのだが。
「……おい、しっかりしろ!」
目を閉じたまま倒れている彼女の傍に駆け寄った。
今は自分の痛みよりも彼女の安否しか考えられなかった。
辺りはもう完全に夜の世界が訪れていた。
オレンジ色の光に灯されながら横たわる彼女の手を握り締めた。
脈も呼吸も停まっていないようでひとまずは安心する。
噴水の四隅を囲うように備え付けられた街路灯。
石畳を滑走する俺達は、この街路灯に接触する事でようやく停止したのであった。
自分の背中が支柱にぶつかるようにしてまで俺を守ってくれたセリカ。
なんでそこまでして俺なんかを助けようとしてくれるんだ、この子は……。
「……終わったみたいだ、何から何まで本当にすまない」
力を込めて強く、彼女の手を握りなおした。
それに呼応するように、俺の手を握り返す感触がする。
んっ、と小さく吐息を漏らしセリカの目が開く。
良かった……、意識を取り戻した。
暖色の照明に照らされる美しい顔に雫が落ちる。
涙が頬を伝う感触がした。
俺は堰を切ったように溢れ出た涙を止めようと、奥歯を噛み締めて涙を堪える。
安堵の涙か、感謝の涙か、痛みによるものか、混乱によるものか。
それは自身にもわからないが、眼から流れ出る汁を俺は自身の意思で止めることは出来なかった。
涙を流すなんて何年ぶりだろうか……。
泣くという事象すらとうの昔に忘れたはずなのに。
「無事……、ではないですね。 でも、良かったです」
セリカは嗚咽を堪えきれないでいる俺の首の後ろに両手を回すと、そのまま自分のほうに引き寄せ、優しく抱き締めた。
柔らかな感触が暖かさと共に伝わってきた。
それと同時に、鼻腔に拡がる嗅ぎ慣れた香りに心が安らいでいくように感じた。
気に入って常に車に置いてあった、車内の芳香剤と同じ香りがした。
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「お二方を危険な目に合わせてしまって、お詫びの言葉もございません」
バカでかいランスを地面に預けると、セラが俺達二人にお辞儀をする。
「とんでもない、セラさんが来てくれなければ今頃、俺達は……」
「いえ、こうなるであろう事は予想出来たはずなのです。 結界のほころびは三日前から分かっていた事なのですから」
どれくらいの時間が経っただろうか。
話せる状態になった、と確認したのであろう。
両膝を地面に着き、胸の前で両手を重ねた状態でセラが謝罪を述べる。
先程までの光景を思い出し、血まみれになった手に視線を落とす。
止まっていた痛覚が元に戻り、よもや忘れるなとばかりに再び激痛が襲ってくる。
「お二方の転移により、この国を覆う結界の一部に亀裂が生じたのです。 わたくしがお話しした雑務とは、この結界を修復することだったのです」
説明自体はなんとなく理解は出来たが、痛みによりその内容は全く頭に入って来なかった。
「一体の悪魔とその軍勢が侵入することを許してしまいましたが、修復は成功しました」
間接的とはいえ、襲撃の原因は俺にもあったということか。
悪魔、天使、結界、……依然としてわからないことだらけである。
ひとまずわかっていることは、眼前の二人が命の恩人であること。
それだけは確かだ。
「満身創痍とはいえ、全員ひとまず無事で良かった。 そして、役立たずな俺を助けるために身を呈して戦ってくれたのは二人だ」
「助けられてばかりですまない、……ありがとう、セリカ。 ありがとう、セラさん」
感謝の言葉を伝えるぐらいしか俺に出来る事は無かった。
動かすことすらままならない腕を垂らしたままで、二人に向って頭を下げる。
「もうお礼ならさっき頂きましたよ、ご主人さま」
いたずらな笑みを浮かべながら俺の言葉にそう応えるセリカ。
「気に病む必要はありませんよ、わたくしは務めを果たしただけです」
ついさっきまでの絶対零度の冷たい表情を浮かべていた人間と同じだとは思えないような、優しい表情を俺に向けるセラ。
一体、どっちが本当の彼女なんだ……?
「ひとまず危険は去りました、聞きたい事は山ほどあるでしょうがまずは手当てが先です」
そうセラに促され、俺は痛む箇所を庇いながら立ち上がった。
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