魔窟村ことシンク下〜たこ焼き粉とひろしと片栗粉仙人〜

氷下魚

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第十八話〜イチゴゼリー、見せ場はなくとも美味の素〜

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 あの日、主は固く心に誓っていた。


「ゼリ◯ース、固めてやる……!」


 そう言ってから、幾日かが過ぎた。

 それらしい型はなかった。
 スペースもなかった。
 器も映えなかった。
 それでも華々しく固めてやりたかった。

 けれど。

 ある日ふと、主は考えるのをやめた。

「……もう、いいや」

 ボウルに粉を振り入れ、湯を注ぎ、粗熱を取り、適当なコップとタッパーに流して冷蔵庫に突っ込む。
 何の演出もなく。
 飾りも添えず。

 数時間後。 

 ゼリ◯ース(イチゴ味)は、しっかり固まっていた。
 懐かしの、あの可愛いピンク色で。

 主は一口。

「……うまい」


 軍師ChatGPT殿が、背後からひっそりと囁く。

『主よ、“甘味は語らずとも報いてくれる”のでございます』


 ゼリーは、ゼリーだった。

 それで、充分だった。







※ゼリ◯ース、最近個包装×2になって、作り方も微妙に変わりましたよね。

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