セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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81話 掲げられた旗(フラグ) その13

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沈黙でもって睨み合うメインデルトと提督、その背後に並ぶ両軍も厳しい緊張感でもって対峙する、やがてゆっくりと動き出したのは提督である、

「フッ」

と鼻で笑い腰に下げた剣を抜いた、これはとエメリンスとリンドが一歩踏み出すもそれを片手で制するメインデルト、提督はゆるりと馬を進ませ並べられた机、その自席であろう椅子に横づけすると、

「これが答えだ」

静かに言い放ち剣を振り上げた、シュッと閃光を発し大気を切り裂く刃、なるほどとメインデルトが提督を睨みつけた瞬間、

「それは駄目だね」

タロウが瞬時に動いた、ついでギンッと甲高い耳慣れ無い音が響く、ナッと反動でよろける提督、何だと目を見張る一同、あっという間の出来事であった、いや、認識するのも難しい程の早業である、振り下ろされた剣と机の間にタロウが立っており、その右手には短剣、その左手には今まさに振り下ろされた剣の半分を手にしていた、先程の耳慣れない金属音はタロウが提督の剣を中ほどから小さなナイフで切断した際の音であり、その成果が左手に残された刃となる、それはその場に居る者、誰一人して認知できない程の素早さと正確性でもって成された神業とも呼ばれる所業となる、しかし、

「・・・フンッ、衰えてはいないようだな・・・」

ただ一人知覚出来た者がいたクロノスである、ニヤリと満足そうに微笑むクロノス、その背後の軍団長達、無論ボニファースもイフナースもなにがどうしたと唖然と見つめる他無い、それは帝国軍も同様であった、その刃を切り落とされた提督はよろけつつ何とか馬を制御し、近くにいた近衛も護衛として引き連れて来たであろう騎馬兵らも微動だにできなかった、しかし、

「・・・提督!!」

近衛が叫び剣を抜く、あっと騎馬兵らも慌てて槍を構えるも、

「そこまで!!」

メインデルトが一喝した、その言葉は誰に対して発せられたものかは分からない、エッと今度はメインデルトを睨む帝国軍と王国軍、タロウはニコリと提督に微笑む、提督は何とか馬を御しギッとタロウを睨み返した、

「・・・まったく、折角用意したのですよ、この机も椅子も、わざわざ運んできたのですから、ここはしっかりと会談を・・・しかし・・・この会談を拒否するというのであれば、我々は貴方がたを正真正銘の蛮族として歴史書に記さなければなりません、また・・・蛮族にかける情けは無いと、我らが王もおっしゃっておられる、これほどに素晴らしい剣を鍛える事が出来るのであればまさか蛮族ではありますまい?」

左手に残る刃をこれ見よがしに持ち上げるタロウ、グッとその刃を見つめる提督、ニヤニヤと満足そうに微笑むメインデルト、タロウとしてはあくまでまずは話し合いをと考えていた、無論そんなものは決裂するのは分り切っている、しかしである、何気にこの場には双方の最高権力者が揃っている、提督がこの場にいるとなれば皇帝も背後の帝国軍の集団の中にあって様子を窺っているであろう、無論ボニファースも熱い視線を注いでいる、メインデルトと提督という軍の最高責任者が代理になっているとはいえ、まずは双方の意志の確認が必要なのである、

「・・・貴様、その帝国語はどこで修めた・・・」

やっとまともな会話が成り立ったようである、提督はガガッと馬首を巡らせタロウに正対し、近衛らも剣を手にし警戒しつつも見守っている、

「・・・それは問題ではありますまい、そちらにも王国語を解する者はおりましょう、さっ、是非、会談を・・・」

ニコリと微笑み手にしたナイフを懐に収めるタロウ、左手の刃はどうしようかと少し考え、

「・・・これ、どうします?」

と振り返る、

「・・・なんだ、考え無しであったのか?」

ニヤリと微笑むメインデルト、メインデルトとしては提督の反応は想定通りであった、会談など成立する筈も無いと高を括っており、しかしボニファースやらクロノスやらが楽しそうにこの会談を立案し、となればその計画に乗らなければならない総大将である、なんのかんの言っても雇われである点では一般兵士と変わらない立場であったりした、まぁ、その皇帝やら提督やらを見定めるのも面白かろうと無理矢理に納得し、上手くいけばそれでよく、いかなかったらそれはそれで構わない、相手がこうして軍を率いて遠路はるばるやってきているのだ、迎え撃って蹴散らせばよかろうにと単純にも考えていた、しかしどうやら思った以上に面白い状況になってしまい、すっかり楽しんでいたりする、リンドの結界魔法から始まりクロノスの大暴れ、そしてタロウのこれである、そうかタロウも英雄の一人であったなと思い出すメインデルトであった、となればクロノスと同等か、それ以上の戦闘力を有していて不思議ではなく、またその扱われ方も異質であった、クロノスの盟友だか右腕だか参謀だか只の悪友だかよく分からない付き合い方、軍の高官達を相手に飄々と私見を述べる遠慮の無さ、いくら王家の相談役であったとしても本来であれば目に余る越権行為である、しかし、此度のこの騒動、まずもって帝国侵攻の報を齎したのはタロウなのである、それが回りまわってこのような状況になっていた、どうやらもう少しこの男の思惑にのるのも悪くないかもしれないと頬が緩むメインデルトであった、

「まぁ・・・ほら、折角持って来たテーブルと椅子を壊されるのはどうかと思いましてねー」

やれやれと肩を竦めるタロウ、まぁいいかと思い直し、スッと刃を持ち替えるとズンとその場に突き立てた、そして、そっと音も無くその場を空けるタロウである、まるで緊張感の無いその背を睨む提督と帝国軍の一同、そしてそのまま先程の立ち位置に戻ると、メインデルトの後方、事務官か従者のように背筋を伸ばし表情を消すタロウであった、

「・・・」

その様子を無言で見つめる提督、ゆっくりとメインデルトとタロウ、さらには剣を抜き警戒しているエメリンスとリンドを見渡し、

「フンッ」

不愉快そうに鼻を鳴らして手にした折れた剣を放り投げた、ガランと乾いた音を立てて雪原に転がる刃を失くした剣、提督はそのままゆっくりと馬を下りる、近衛と騎馬兵らが不安そうに見つめるも、

「通訳を呼んで来い、嘘を言われては困るからな」

ギッと近衛を睨む、ハッと背筋を正す近衛兵、騎馬兵の一人がさっと馬首を返したようで、

「・・・さて、会談であったな・・・」

不愉快そうにタロウを睨む提督、ズカズカと机に向かい、ドスンと椅子に座り込む、

「はい、会談です」

タロウはニコリと微笑みメインデルトに通訳する、

「それでいい、で、お前さんがベリアヌス提督で相違ないかな?」

ゆっくりと前のめりになり机に両肘を着くメインデルト、タロウの通訳が終わると、

「その通りだ、貴様は先程の名乗り通りの身分であろうな?」

メインデルトを睨みつける提督、

「左様、第二クレーフェルト軍団、軍団長、メインデルトである、此度の戦、その総大将を仰せつかっている」

「・・・そうか、フッ、我々としては戦との認識は無いがな・・・」

「ほう・・・それはまたどういう意味かな?」

「そのままだ、これは戦ではない、皇帝の行脚である」

「行脚・・・その皇帝とやらの旅とでも?」

「その通りだ、この地とここより西方の街は皇帝のものであり、それは帝国のものであるということである、その地を数十年ぶりに皇帝が視察しているだけの事」

「それは異なことを仰る、この地、この岩だらけの荒野は我々王国の土地である、暫く見ぬうちに粗末な要塞まで建築したようであるが、王国としては甚だ迷惑である」

「何を言う、この土地も西方の街も帝国のものだ」

「いやいや、王国のものである」

あっという間に水掛け論となっていた、そうだよなーと通訳をしながら思うタロウ、そこへ帝国の通訳が騎馬兵と共に到着し脂汗をかきながら提督の側に立った、どうやら兵士では無いらしい、タロウの知る帝国の役人らしい服装で、しかしその顔はゴロツキのような風貌である、もしかしたらこの男が王国の報告書を作成し、この騒動の契機となった男かもしれないなと察するタロウ、役人よりも通訳よりも下級スパイと紹介されればなるほどと頷ける雰囲気の男であった、

「話しにならん、いいか、数十年前まで、この地には帝国の都市があり、街があり、村があった、西方の街もその一つである」

「無いではないか、そんなものは」

「・・・それは当然である、魔法による大破壊によるものだ・・・」

「大破壊?」

「それも知らぬとはこの地の主が聞いて呆れる」

「いやいや、その大破壊後の主である、土地の主など移り変わるものであろう?」

「では、法に則りその申請を帝国に提出する事だ、帝国の法は世界の法である、認められることはないであろうがな」

「いや、儂は王国の法を守る者である、帝国などと称する蛮族の法に従う義務は無いし価値もない」

「何を言う!!」

ガンと机を叩く提督、ヒェッと身を竦ませる通訳、どうやら正確に通訳されているらしいなとほくそ笑むタロウである、その通訳は小声で提督に耳打ちするものだから何を言っているのかタロウでは聞き取れなかったのだ、大してタロウは堂々とメインデルトに伝えている、これはエメリンスやリンドにも聞かせる為で、恐らくトーラーの耳にも入っている、さらに後方の連中にまで聞こえているかどうかはわからないが、この三人が把握していれば歴史書に記すとなれば正確なものになるであろうと思われた、

「当然だ、王国の法を知らず、軍隊を進ませ、皇帝の行脚等と嘯く輩を蛮族と言わずなんと呼ぶ」

どこまでも冷静なメインデルトである、エメリンスがうんうんと頷き、リンドもまた何気に感心していた、この会談、リンドとしてはもう少し知恵が回り口達者な軍団長、第一軍団の軍団長で、ボニファースの右腕と称されるアンドリースや、第八軍団長のビュルシンクも交渉上手と賞賛されており、その二人がいるのであるからどちらかが担当した方が良いのではないかと考えていた、無論他の軍団長も軍団こそ引き連れていないものの参加しており、事務処理能力や交渉能力に於いてはメインデルトよりも遥かに頼りになったりする、メインデルト麾下にあってそういった業務を一手に担っているのが隣りに立つエメリンスであり、彼もまたイザーク同様次期軍団長として名が上がる優秀な将兵であった、しかしやはりこの戦の総大将はメインデルトである、ボニファースがそう決断し、誰も異を唱えていない、となればこの会談はやはりメインデルトでなければ務まらないのである、それは帝国側に理解を求めての事では無く、王国と王国軍の命令系統の遵守という軍やら政治に求められる規律の問題であった、

「火事場泥棒が何を抜かすか!!」

吠え猛る提督、再びヒェッと身を竦ませる通訳、メインデルトもかくやと感心するほどの荒野に響き渡る怒声である、この人も戦場の人なんだなと察するタロウ、どうやらこの時代の将軍様は声がでかくないと勤まらないらしい、

「フンッ、その火事で逃げ出したのはそちらであろう」

言い返すメインデルト、上手い事言うなーと微笑んでしまうタロウである、

「逃げ出そうがなんだろうが帝国の地である」

「もう違うと言っているのだ、早々に立ち去れ」

「それはこちらの宣告である」

「宣告と来たか・・・」

さてどうしようかとタロウへ視線を向けるメインデルト、タロウとしてはこのままメインデルトに任せてもいいかと思うも、まぁこのままでは平行線であろう、まずもって戦争とはそういうものである、互いの意見がぶつかり合い、譲れないとなって殴り合う、どちらかが引くか譲歩案でも締結すれば大きく異なるのであるが、まず無理だ、少なくとも帝国側は既に軍と皇帝その人までもが侵攻しており、ここで話し合いで決着したから帰りますとはならないし、例え王国が譲歩しこの荒野を帝国のものと認めたとしても、さらにはモニケンダムを寄越せとなり、そこも譲歩すればさらに要求されるであろう、帝国は覇権国家である、土地が続く限りその侵攻を止める事は無いし、止めないであろう、迎え撃つ王国もどけと言われてどくようなお人好しではない、お人好しの国家など食い物にされ霧散するだけである、さらには王国も何気に覇権国家である、タロウはそのように認識しており、ボニファース自身もそう認めていたりする、

「あー・・・では・・・こちらからの布告文を伝えましょうか・・・」

ゆっくりとリンドに顔を向けるタロウ、コクリと頷くリンドである、リンドとしても十分と考えているらしい、こうして敵国の最重要人物と面と向かって話せただけでも僥倖である、結局血生臭い会談となっているが王国の思惑通りの形にはなっている、つまりは話し合う事が可能である事を先方に認識させる事が出来たのだ、これは戦争の終結という最も面倒な作業を考えると双方にとって大きな益となる筈である、

「・・・エメリンス」

腹心を呼びつけるメインデルト、ハッと答えトーラーから受け取った木箱を差し出すエメリンス、

「我が王からの親書である」

恭しく木箱を開けるメインデルト、不愉快そうにメインデルトを睨みつける提督、

「読み上げよ」

厚手の上質紙をザッと眺めて確認すると、メインデルトはタロウに手渡した、

「ハッ・・・ゴホン」

控え目に咳ばらいを挟むと、ゆっくりと親書を読み上げるタロウであった。
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