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本編
81話 掲げられた旗(フラグ) その38
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しかし、エレインとしては不安も何もあったものではなかった、頭の片隅にも無かった事であり、また、人生初めての告白でもある、件の事件の折にもこのような申し入れを受けていない、まぁあの場はある意味で顔合わせで当事者はともかくその家族が了承すればそれで良く、当事者に決定権なぞ存在しない、あくまで貴族らしい婚姻を前提とした場であり、エレインと先方も幾度か顔を合わせており、知らないとは言えない程度の仲であったのだ、しかしエレインが思い出すに、確かマリアの婚姻の折にはイザークがやたらと積極的だったと記憶している、あくまで年端のいかぬ子供の記憶であったが、その時のマリアは妙に浮き沈みが激しかったように思え、両親もまた当惑していたように思う、それが数か月もしないうちに柔らかな雰囲気となり、マリアは笑顔で嫁に行くとエレインに伝え、いつの間にそうなったんだろうとエレインは思ったものである、どうやらエレインの知らぬ間に縁談は進んでいたようで、今思えばマリアも両親も変だったなと思うエレインであった、そしてその変な状況が今自分に降りかかっているのだと再認識する、つまりそれだけやっと現実的に思考できる程度には、イフナースの言葉の幻惑から解き放たれたのであった、
「その・・・不安というか・・・」
しかしだからといって思考がまとまるものでは無い、エレインはんーと首を傾げ、オリビアとテラが心配そうに覗き込む、
「なに?」
「なになに?」
どうやらどこまでも茶化す事にしたソフィアとユーリ、ニマニマとエレインを見つめ、だからとカトカとサビナが睨みつける、
「・・・こういうものなのかなって・・・」
ゆっくりと俯くエレイン、
「そうよねー、わかるー」
キャーとユーリが騒ぎ立て、
「何が分かるのよー」
さらに黄色い声で叫ぶソフィア、
「だってさー、ほら、よくよく考えればよ、そんな長ったらしく話す事じゃないじゃない」
「そう?」
「そうよー、あっ、そうだ、あんたはどうなのよ、いつの間にやらタロウとくっついてさー」
ユーリの標的がソフィアに移った、そういえばと他全員の視線がソフィアに集まる、
「えっ・・・私は別にいいでしょ」
「いい訳無いでしょ、ホントにあれよ、こいつらはね、いつの間にやらくっついててね、私も側に居たのよ、全然気付かなくね、酷いでしょー、これでも幼馴染で相棒なのよ、それを差し置いてこうなんだから失礼しちゃうわよねー」
ギャーギャーと始まるユーリ、先程の二人への不興はどこへやら、そうなんだーと目を丸くする他一同、エレインもヘーと顔を上げた、
「それはだって、今は関係無いでしょ」
ブスッと頬を膨らませるソフィア、
「いいや、エレインさんがね、相談してるのよ、それに応えないでは寮母が廃るわ」
「そんなんで廃らないわよ」
「いいえ、駄目ね、ダメダメ、あんたはホントにそういう所がダメ」
「何よそれ」
「当然でしょ、いい、こういうのはね、ちゃんと経験のある人が助言するべきよ、となればこの場にいるのは・・・」
ユーリがニマニマと全員を見渡し、
「あんたと、テラさん、エルマさんと・・・あっ、サビナー・・・アンタもだわねー」
ニヤーとその視線がサビナに向かう、
「えっ・・・だって私は・・・まだ・・・」
サビナは自分まで巻き込まれるとは思っておらず、思わず身を仰け反らせた、
「いいえ、あんたもよ、あのね、マンネルと婚約はしているんでしょ、となれば同じよ、同じ」
「なにが同じですか」
「同じでしょ、もういつでも二人で暮らしていいんだもん、あれか、その前にあのヤローを実家に紹介しなきゃ駄目か、あの親父さんは頑固だぞー」
ニヤーと微笑むユーリ、そうだけど・・・とムッと睨み返すサビナ、確かにと大きく頷くカトカとゾーイ、ゾーイはそれほど詳しくなかったが、サビナがいない時にソフィアとカトカが駄弁りだすとどうしてもサビナの話になってしまい、いつ一緒になるんだかとか、さっさと住むところを決めればいいのにとかと実に下世話である、それも数回繰り返しており流石にゾーイもその辺の事情を把握してしまっていた、
「フフン、そう言う事・・・まぁ、あんたは許してあげるわ、で、テラさんとエルマさんはどんな感じ?」
ニマーと標的を変えるユーリ、ユーリ先生ってこういう話題が好きだったのかと少しばかり驚くエルマ、ミシェレやニコリーネも驚いている、いや、先程の反応を見る限りやたらとはしゃいだうえに上機嫌で、なるほど、根っから色恋話が好きらしい、といってもミシェレもニコリーネも嫌いではない、というか大好物ではある、そしてエレインがこの面子であればと相談した意味を何となく察する二人、もしここにジャネットやサレバがいたら大騒ぎして相談どころでは無かったであろうと思う、ユーリ一人でこれなのだ、あのジャネットが興奮しない訳もなく、サレバもまた騒ぎ出したはずであった、他の生徒達も似たようなものであっただろう、
「私はだって・・・」
ムーと眉を顰めるテラ、ここはユーリに合わせるのが得策かなと思考を巡らせる、何せエレインは妙に落ち込んでいる、いや、王族に婚姻を求められ、躊躇し悩まない者は存在しないであろう、しかしながら自分の経験はあまり役に立ちそうになかった、一度目は親同士の取り決めに則った婚姻で、二度もまた似たようなものである、そのどちらも様々な状況で上手くいかなかった、それ故に今回のような当人同士の関係から始まる事象には答えようが無いなと思う、
「ウフフ、私はちゃんと恋愛結婚だったんですよ」
エルマが口を挟んだ、テラからなんとなはなしに事情を聞いており、となればエレインのこの状況には答えられないであろうと察したのだ、もうすっかりと意気投合し仲を深めた二人である、
「で、で」
ズイッと身を乗り出すユーリ、何もそこまでとミシェレとニコリーネは眉を顰めるも、無論エルマの話に興味が無い訳では無い、
「そうですねー・・・と言っても・・・あれです、お互いね、後から知ったんですけど、一目惚れってやつでして」
ウフフと微笑むエルマ、キャーと叫ぶユーリ、おいおいとカトカ達も目を細めるも、静かにその先を待つ一同、
「私がまだ弟子の頃ですね、で、兄弟子だったんですけど旦那は・・・暫くは・・・うん、特に何もなかったんです、で、向こうが王城勤めが決まって、それはめでたいって皆でお祝いして、で、その時に、ちょっといいかって・・・」
懐かしそうに微笑むエルマである、ヘーヘーヘーとユーリが囃し立て、あーそういうのもいいわねーとソフィアも呟く、思わずウンウンと大きく頷くカトカとゾーイ、ミシェレとニコリーネもポーっとエルマを見つめている、
「でも・・・そうですね、その時もほら、短くね、結婚したい・・・みたいに言われて・・・」
「でっ、でっ」
「フフッ・・・思わずハイって答えちゃったんですけどね」
「えっ、すぐに?」
「はい、ほら、なんかそういう雰囲気ありましたから、師匠もだし、奥様もだし、他の弟子達からも・・・なんですけど・・・」
「けど?」
「なんかつまんないなって思って、やっぱりやですって言ったんです」
「ありゃま・・・」
「そしたら、あの人、ダラダラと泣き出しちゃって、あーこりゃ駄目だと思って、必死に慰めて・・・フフッ、あとから言われました、素直に受けてくれればあんなにかっこ悪い事にならなかったのにって・・・そうですね、熱に浮かされてもそう言って笑ってましたから・・・よっぽどだったのかなって思います・・・」
フーと俯くエルマ、その相手ももう10年も前に亡くしている、エルマの身に醜い傷痕を残した流行り病に襲われ、エルマや義両親、子供達の看護の甲斐も無かった、
「・・・ありゃ・・・」
まずいことを聞いたかなとやっとユーリが真顔になった、これだからと顔を顰めるカトカ達、
「あっ、大丈夫ですよ、もう昔の事です、でも、そうですね、あの瞬間の事は忘れられないですね・・・だから・・・」
エルマはニコリと微笑み、
「エレインさんも、その内笑えるようになりますよ、時間の問題ですし・・・それに・・・ほら、一生にね、そう何度もある事では無いですから、特に今回は・・・そうですね・・・」
フムと言葉を整理するエルマ、静かにその先を待つエレイン、
「まず・・・これは貴族も平民も、勿論王族も関係ないと思うのですが、婚姻のね、その相手を自分から認めるって事はその人にその後の一生、ずっと側に居て欲しいって頼むことなのですよ、で、そして子供を作って家庭を築く?それはね、互いが互いを一人の大人として認めあうからこそ成立する事なのです、女性もバカではないですが、男性もねそこはバカではないですよ、ちゃんとその人なりに考えて、相手を見定めるもので・・・だから、結婚の申し込みというのは、互いを一人前の大人として認めて、その上で共にいて欲しいとなって、初めてそうなるもので・・・まぁ、私の時みたいにね、半分本能的な・・・勘ってやつかな、そういうので惹かれあう事もあるんですけれど・・・」
フーと一息入れるエルマ、ニマニマとユーリは微笑しており、なるほどなーと頷く経験の無い女性達、
「あっ、でも、あれよ、お見合いとかが悪いわけでは無いし、家同士でね決まってしまう結婚も悪いとは言ってなくて・・・」
ハッとテラをうかがうエルマ、テラは理解しておりますと無言で微笑む、ですねと微笑み返すエルマ、
「そういうのがね大事な事もあるのよ、特に貴族とかもだし、お金持ちの平民もそうだし、どうしてもそういう人達って・・・平民とね、生活が違い過ぎるから・・・私も王城に勤めてね、最初のうちはなんじゃこりゃって、そこまでメイドさんとか従者さんがやるの?って驚いたものだし・・・で、思ったのが、これじゃ確かに貴族は貴族同士で結婚しないととてもじゃないけど耐えられないし、お金持ちって言ったけど、商会同士もそうよね、やっぱりある程度お互いの常識が合致してないと、夫婦生活どころじゃなくて、生活そのものとか、仕事そのものが回らないんじゃないかなって思うかな・・・あまりにも懸け離れているんですよね・・・そういうもんかもなーって、旦那に話したらまったくだって笑ってたわね」
再び懐かしそうに微笑むエルマ、ウンウンと大きく頷くのはニコリーネとオリビアである、ニコリーネは師匠である父と共に王城に出入りをしていた経験があり、今この場にいるのも王太子妃であるパトリシアに気に入られている為で、そのエルマの言う生活の違いについてはエルマと同じように感じていた、そしてオリビアもまたメイドとしての教育を受けている、となれば貴族と平民の生活習慣の違いもまた明確に理解し、またそうするべきと考えている、
「つまりは・・・そうね、そういうのを乗り越えて、イース様、じゃない、殿下はね、あの人なりに考えて・・・エレインさんにお話ししたと思うのよ、今日もほら、一緒に話したでしょ」
ニコリと微笑むエルマ、エレインがゆっくりと頷く、
「で、私もね、あまりに浮かれているように見えて、叱りつけてやろうって思ったのね、ほら、エフェリーン様にもそうするようにって言われてて、でも、殿下はすっかり大人だったし、王族としての生き方をしっかり理解してたみたいで・・・あれよ、子供の頃から私もそうだし、陛下からも王妃様達からも延々と叩き込まれるからね、そりゃ忘れないだろうし・・・逆にほら、言われ過ぎて逆に走ってしまう人もいるらしいから少し心配してたんだけど、そういう事も無いみたいだし・・・ケルネーレス様を亡くした事も大きかったのかしら・・・すっかり・・・いや、違うわね、だから、殿下なりに考えてお話したと思うのよ、で、ちゃんと時間的な猶予?戦争が終わるまでとなると・・・正直どの程度かは分からないけど時間を設けるあたり・・・少しは紳士的だと褒めてあげてもいいかしら・・・元家庭教師としては・・・」
ウフフとテーブル上の木工細工を見つめるエルマ、確かにと頷くユーリとソフィアとテラ、
「そう・・・ですか・・・」
エレインも木工細工を見つめて小さく呟いた、エルマの言葉は大変に理解しやすかった、結婚そのものが持つ価値観を踏まえ、その上でイフナースの事も認めているらしい、エレインが思うにイフナースはよく分からない所がある、初めて会った時は今にも崩れ落ちそうな病身で、よく歩けているなと驚くほどであった、それがあれよあれよと回復し、少し顔を見せないと思ったら軍団長になっており、さらには実兄であるトーラーを部下にしている始末、そして今日のあれである、エレインは勿論イフナースを結婚相手等と考えた事は無い、王族なのだ、下級貴族でありそこからも放逐されている自分としては気さくに相手をして貰っているだけで光栄なのである、それは王家の他の人達も同様で、時折勘違いしそうになるのをオリビアが諫めてくれていたりした、
「そうね・・・だから、私としては全力で祝福したい気持ちです、王家も何かと大変だし、ここでね、見知った事を話す事も出来るけど、それは雑音ってものね・・・王族として生きるのであればその程度鼻で笑って吹き飛ばす気概が無いと駄目だと思う・・・かしら」
「ヌフフー、私もサンセー」
ユーリがニマニマと微笑み、
「サンセー?」
「賛成って事」
「ならそう言いなさい」
ムスッとソフィアに睨まれた、ニヤリと微笑み返すユーリ、どうやら反省してない様子で、まったくとソフィアは鼻で笑うと、
「・・・まぁ、私もそうね、前向きに考えるべきと思うわよ」
とエレインを見つめる、
「少しほら、茶化しちゃったけど・・・それだけ心の底から祝福してるって受け取ってもらえると嬉しいかな・・・フフッ、正式な決定はまだ先なんだろうけど・・・楽しみが増えたわね・・・あっ、あれよ、別に悪い意味で言ってないし、押し付けるつもりもないからね、嫌なら嫌って言うべきよ、そうなったらそうなったで私達としてはそれでいいし、関係が変わる訳でもないし・・・まぁ、私達はね・・・向こうは・・・どうなるか少し心配だけど・・・まぁ、あの王妃様とパトリシア様ならね、たぶんあれね、殿下が悪いって事にして割とあっけらかんとしてるかも・・・かな?・・・だから、時間もあるとなれば大いに悩めばいいんだわ、若いんだしね・・・いずれにしても・・・やっぱりエレインさんの人生だし・・・でも、ホント、エレインさんも大変だわ・・・」
スッと背筋を正すソフィア、すっかり二人が結婚するような流れになっているが、まだ申し込まれた段階に過ぎないのだ、エレイン本人はこうして悩んでおり、場合によってはイフナースの心変わりもあろう、そしてエレインの半生を思うソフィア、ソフィアが知る限りなんとも浮き沈みが激しいというか、波乱が多いというか、あっ、殿下も似たようなものだし・・・似たもの夫婦になるのかしら等と考えてしまうソフィアである、
「それもそうよねー、で、その相談なんでしょ」
ユーリはニヤついた顔のままである、
「だから・・・って、そっか、相談になってるかしら?」
「あんたはなってないわね、エルマ先生に感謝」
「あんたも一緒でしょ」
やっと真面目になった風なソフィア、それを茶化すユーリ、まったくと他の者達は眉を顰めるも、今の段階ではこの程度でいいのかもしれないなとやっと柔らかく微笑んでエレインをうかがう、エレインもまた少しばかり頬を緩めたようであった。
「その・・・不安というか・・・」
しかしだからといって思考がまとまるものでは無い、エレインはんーと首を傾げ、オリビアとテラが心配そうに覗き込む、
「なに?」
「なになに?」
どうやらどこまでも茶化す事にしたソフィアとユーリ、ニマニマとエレインを見つめ、だからとカトカとサビナが睨みつける、
「・・・こういうものなのかなって・・・」
ゆっくりと俯くエレイン、
「そうよねー、わかるー」
キャーとユーリが騒ぎ立て、
「何が分かるのよー」
さらに黄色い声で叫ぶソフィア、
「だってさー、ほら、よくよく考えればよ、そんな長ったらしく話す事じゃないじゃない」
「そう?」
「そうよー、あっ、そうだ、あんたはどうなのよ、いつの間にやらタロウとくっついてさー」
ユーリの標的がソフィアに移った、そういえばと他全員の視線がソフィアに集まる、
「えっ・・・私は別にいいでしょ」
「いい訳無いでしょ、ホントにあれよ、こいつらはね、いつの間にやらくっついててね、私も側に居たのよ、全然気付かなくね、酷いでしょー、これでも幼馴染で相棒なのよ、それを差し置いてこうなんだから失礼しちゃうわよねー」
ギャーギャーと始まるユーリ、先程の二人への不興はどこへやら、そうなんだーと目を丸くする他一同、エレインもヘーと顔を上げた、
「それはだって、今は関係無いでしょ」
ブスッと頬を膨らませるソフィア、
「いいや、エレインさんがね、相談してるのよ、それに応えないでは寮母が廃るわ」
「そんなんで廃らないわよ」
「いいえ、駄目ね、ダメダメ、あんたはホントにそういう所がダメ」
「何よそれ」
「当然でしょ、いい、こういうのはね、ちゃんと経験のある人が助言するべきよ、となればこの場にいるのは・・・」
ユーリがニマニマと全員を見渡し、
「あんたと、テラさん、エルマさんと・・・あっ、サビナー・・・アンタもだわねー」
ニヤーとその視線がサビナに向かう、
「えっ・・・だって私は・・・まだ・・・」
サビナは自分まで巻き込まれるとは思っておらず、思わず身を仰け反らせた、
「いいえ、あんたもよ、あのね、マンネルと婚約はしているんでしょ、となれば同じよ、同じ」
「なにが同じですか」
「同じでしょ、もういつでも二人で暮らしていいんだもん、あれか、その前にあのヤローを実家に紹介しなきゃ駄目か、あの親父さんは頑固だぞー」
ニヤーと微笑むユーリ、そうだけど・・・とムッと睨み返すサビナ、確かにと大きく頷くカトカとゾーイ、ゾーイはそれほど詳しくなかったが、サビナがいない時にソフィアとカトカが駄弁りだすとどうしてもサビナの話になってしまい、いつ一緒になるんだかとか、さっさと住むところを決めればいいのにとかと実に下世話である、それも数回繰り返しており流石にゾーイもその辺の事情を把握してしまっていた、
「フフン、そう言う事・・・まぁ、あんたは許してあげるわ、で、テラさんとエルマさんはどんな感じ?」
ニマーと標的を変えるユーリ、ユーリ先生ってこういう話題が好きだったのかと少しばかり驚くエルマ、ミシェレやニコリーネも驚いている、いや、先程の反応を見る限りやたらとはしゃいだうえに上機嫌で、なるほど、根っから色恋話が好きらしい、といってもミシェレもニコリーネも嫌いではない、というか大好物ではある、そしてエレインがこの面子であればと相談した意味を何となく察する二人、もしここにジャネットやサレバがいたら大騒ぎして相談どころでは無かったであろうと思う、ユーリ一人でこれなのだ、あのジャネットが興奮しない訳もなく、サレバもまた騒ぎ出したはずであった、他の生徒達も似たようなものであっただろう、
「私はだって・・・」
ムーと眉を顰めるテラ、ここはユーリに合わせるのが得策かなと思考を巡らせる、何せエレインは妙に落ち込んでいる、いや、王族に婚姻を求められ、躊躇し悩まない者は存在しないであろう、しかしながら自分の経験はあまり役に立ちそうになかった、一度目は親同士の取り決めに則った婚姻で、二度もまた似たようなものである、そのどちらも様々な状況で上手くいかなかった、それ故に今回のような当人同士の関係から始まる事象には答えようが無いなと思う、
「ウフフ、私はちゃんと恋愛結婚だったんですよ」
エルマが口を挟んだ、テラからなんとなはなしに事情を聞いており、となればエレインのこの状況には答えられないであろうと察したのだ、もうすっかりと意気投合し仲を深めた二人である、
「で、で」
ズイッと身を乗り出すユーリ、何もそこまでとミシェレとニコリーネは眉を顰めるも、無論エルマの話に興味が無い訳では無い、
「そうですねー・・・と言っても・・・あれです、お互いね、後から知ったんですけど、一目惚れってやつでして」
ウフフと微笑むエルマ、キャーと叫ぶユーリ、おいおいとカトカ達も目を細めるも、静かにその先を待つ一同、
「私がまだ弟子の頃ですね、で、兄弟子だったんですけど旦那は・・・暫くは・・・うん、特に何もなかったんです、で、向こうが王城勤めが決まって、それはめでたいって皆でお祝いして、で、その時に、ちょっといいかって・・・」
懐かしそうに微笑むエルマである、ヘーヘーヘーとユーリが囃し立て、あーそういうのもいいわねーとソフィアも呟く、思わずウンウンと大きく頷くカトカとゾーイ、ミシェレとニコリーネもポーっとエルマを見つめている、
「でも・・・そうですね、その時もほら、短くね、結婚したい・・・みたいに言われて・・・」
「でっ、でっ」
「フフッ・・・思わずハイって答えちゃったんですけどね」
「えっ、すぐに?」
「はい、ほら、なんかそういう雰囲気ありましたから、師匠もだし、奥様もだし、他の弟子達からも・・・なんですけど・・・」
「けど?」
「なんかつまんないなって思って、やっぱりやですって言ったんです」
「ありゃま・・・」
「そしたら、あの人、ダラダラと泣き出しちゃって、あーこりゃ駄目だと思って、必死に慰めて・・・フフッ、あとから言われました、素直に受けてくれればあんなにかっこ悪い事にならなかったのにって・・・そうですね、熱に浮かされてもそう言って笑ってましたから・・・よっぽどだったのかなって思います・・・」
フーと俯くエルマ、その相手ももう10年も前に亡くしている、エルマの身に醜い傷痕を残した流行り病に襲われ、エルマや義両親、子供達の看護の甲斐も無かった、
「・・・ありゃ・・・」
まずいことを聞いたかなとやっとユーリが真顔になった、これだからと顔を顰めるカトカ達、
「あっ、大丈夫ですよ、もう昔の事です、でも、そうですね、あの瞬間の事は忘れられないですね・・・だから・・・」
エルマはニコリと微笑み、
「エレインさんも、その内笑えるようになりますよ、時間の問題ですし・・・それに・・・ほら、一生にね、そう何度もある事では無いですから、特に今回は・・・そうですね・・・」
フムと言葉を整理するエルマ、静かにその先を待つエレイン、
「まず・・・これは貴族も平民も、勿論王族も関係ないと思うのですが、婚姻のね、その相手を自分から認めるって事はその人にその後の一生、ずっと側に居て欲しいって頼むことなのですよ、で、そして子供を作って家庭を築く?それはね、互いが互いを一人の大人として認めあうからこそ成立する事なのです、女性もバカではないですが、男性もねそこはバカではないですよ、ちゃんとその人なりに考えて、相手を見定めるもので・・・だから、結婚の申し込みというのは、互いを一人前の大人として認めて、その上で共にいて欲しいとなって、初めてそうなるもので・・・まぁ、私の時みたいにね、半分本能的な・・・勘ってやつかな、そういうので惹かれあう事もあるんですけれど・・・」
フーと一息入れるエルマ、ニマニマとユーリは微笑しており、なるほどなーと頷く経験の無い女性達、
「あっ、でも、あれよ、お見合いとかが悪いわけでは無いし、家同士でね決まってしまう結婚も悪いとは言ってなくて・・・」
ハッとテラをうかがうエルマ、テラは理解しておりますと無言で微笑む、ですねと微笑み返すエルマ、
「そういうのがね大事な事もあるのよ、特に貴族とかもだし、お金持ちの平民もそうだし、どうしてもそういう人達って・・・平民とね、生活が違い過ぎるから・・・私も王城に勤めてね、最初のうちはなんじゃこりゃって、そこまでメイドさんとか従者さんがやるの?って驚いたものだし・・・で、思ったのが、これじゃ確かに貴族は貴族同士で結婚しないととてもじゃないけど耐えられないし、お金持ちって言ったけど、商会同士もそうよね、やっぱりある程度お互いの常識が合致してないと、夫婦生活どころじゃなくて、生活そのものとか、仕事そのものが回らないんじゃないかなって思うかな・・・あまりにも懸け離れているんですよね・・・そういうもんかもなーって、旦那に話したらまったくだって笑ってたわね」
再び懐かしそうに微笑むエルマ、ウンウンと大きく頷くのはニコリーネとオリビアである、ニコリーネは師匠である父と共に王城に出入りをしていた経験があり、今この場にいるのも王太子妃であるパトリシアに気に入られている為で、そのエルマの言う生活の違いについてはエルマと同じように感じていた、そしてオリビアもまたメイドとしての教育を受けている、となれば貴族と平民の生活習慣の違いもまた明確に理解し、またそうするべきと考えている、
「つまりは・・・そうね、そういうのを乗り越えて、イース様、じゃない、殿下はね、あの人なりに考えて・・・エレインさんにお話ししたと思うのよ、今日もほら、一緒に話したでしょ」
ニコリと微笑むエルマ、エレインがゆっくりと頷く、
「で、私もね、あまりに浮かれているように見えて、叱りつけてやろうって思ったのね、ほら、エフェリーン様にもそうするようにって言われてて、でも、殿下はすっかり大人だったし、王族としての生き方をしっかり理解してたみたいで・・・あれよ、子供の頃から私もそうだし、陛下からも王妃様達からも延々と叩き込まれるからね、そりゃ忘れないだろうし・・・逆にほら、言われ過ぎて逆に走ってしまう人もいるらしいから少し心配してたんだけど、そういう事も無いみたいだし・・・ケルネーレス様を亡くした事も大きかったのかしら・・・すっかり・・・いや、違うわね、だから、殿下なりに考えてお話したと思うのよ、で、ちゃんと時間的な猶予?戦争が終わるまでとなると・・・正直どの程度かは分からないけど時間を設けるあたり・・・少しは紳士的だと褒めてあげてもいいかしら・・・元家庭教師としては・・・」
ウフフとテーブル上の木工細工を見つめるエルマ、確かにと頷くユーリとソフィアとテラ、
「そう・・・ですか・・・」
エレインも木工細工を見つめて小さく呟いた、エルマの言葉は大変に理解しやすかった、結婚そのものが持つ価値観を踏まえ、その上でイフナースの事も認めているらしい、エレインが思うにイフナースはよく分からない所がある、初めて会った時は今にも崩れ落ちそうな病身で、よく歩けているなと驚くほどであった、それがあれよあれよと回復し、少し顔を見せないと思ったら軍団長になっており、さらには実兄であるトーラーを部下にしている始末、そして今日のあれである、エレインは勿論イフナースを結婚相手等と考えた事は無い、王族なのだ、下級貴族でありそこからも放逐されている自分としては気さくに相手をして貰っているだけで光栄なのである、それは王家の他の人達も同様で、時折勘違いしそうになるのをオリビアが諫めてくれていたりした、
「そうね・・・だから、私としては全力で祝福したい気持ちです、王家も何かと大変だし、ここでね、見知った事を話す事も出来るけど、それは雑音ってものね・・・王族として生きるのであればその程度鼻で笑って吹き飛ばす気概が無いと駄目だと思う・・・かしら」
「ヌフフー、私もサンセー」
ユーリがニマニマと微笑み、
「サンセー?」
「賛成って事」
「ならそう言いなさい」
ムスッとソフィアに睨まれた、ニヤリと微笑み返すユーリ、どうやら反省してない様子で、まったくとソフィアは鼻で笑うと、
「・・・まぁ、私もそうね、前向きに考えるべきと思うわよ」
とエレインを見つめる、
「少しほら、茶化しちゃったけど・・・それだけ心の底から祝福してるって受け取ってもらえると嬉しいかな・・・フフッ、正式な決定はまだ先なんだろうけど・・・楽しみが増えたわね・・・あっ、あれよ、別に悪い意味で言ってないし、押し付けるつもりもないからね、嫌なら嫌って言うべきよ、そうなったらそうなったで私達としてはそれでいいし、関係が変わる訳でもないし・・・まぁ、私達はね・・・向こうは・・・どうなるか少し心配だけど・・・まぁ、あの王妃様とパトリシア様ならね、たぶんあれね、殿下が悪いって事にして割とあっけらかんとしてるかも・・・かな?・・・だから、時間もあるとなれば大いに悩めばいいんだわ、若いんだしね・・・いずれにしても・・・やっぱりエレインさんの人生だし・・・でも、ホント、エレインさんも大変だわ・・・」
スッと背筋を正すソフィア、すっかり二人が結婚するような流れになっているが、まだ申し込まれた段階に過ぎないのだ、エレイン本人はこうして悩んでおり、場合によってはイフナースの心変わりもあろう、そしてエレインの半生を思うソフィア、ソフィアが知る限りなんとも浮き沈みが激しいというか、波乱が多いというか、あっ、殿下も似たようなものだし・・・似たもの夫婦になるのかしら等と考えてしまうソフィアである、
「それもそうよねー、で、その相談なんでしょ」
ユーリはニヤついた顔のままである、
「だから・・・って、そっか、相談になってるかしら?」
「あんたはなってないわね、エルマ先生に感謝」
「あんたも一緒でしょ」
やっと真面目になった風なソフィア、それを茶化すユーリ、まったくと他の者達は眉を顰めるも、今の段階ではこの程度でいいのかもしれないなとやっと柔らかく微笑んでエレインをうかがう、エレインもまた少しばかり頬を緩めたようであった。
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不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
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⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
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【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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