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本編
10話 祭りの後、新しき友人達 その4
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ソフィアさんちょっといいですかとブノワトに相談事を持ち掛けられソフィアはブノワトと共に食堂で白湯を手にしていた、子供達は葡萄畑で作業中でありブノワトは最初だけ指導して手を離している、
「エレインさんに相談されましてね、その、他の生徒の事」
「あらそう、わたしも聞いたわよ、それで」
「ですよね、で、ソフィアさんに突き放されちゃったって、悲しそうに言うもんですから」
ブノワトはソフィアの表情を観察しながら言葉を続ける、
「それで、ソフィアさんとしてはどう考えているのかなって思いまして・・・」
「うーん、そうねぇ、まぁ、ブノワトさんになら言ってもいいけど、エレインさんに言っちゃ駄目よ」
ソフィアはあらぬ方向に視線を移す、
「エレインさんの境遇って知ってる?」
「いいえ、何か特別なんですか?」
「うん、結構、大変・・・みたい、ここにいるのも放逐されてるからなのよ、端的に言うと」
「え、へぇー」
ブノワトは言葉を無くす、
「それでね、本人も現状が駄目だって事は分かっているのね、何かしなきゃって燻っている状態だったみたい、それで今回の屋台でしょ、うん、小さい事だけどどうだろう、成功したと見てあげていいんじゃない?どう、先輩社会人としては?」
「えぇ、確かに立派な成功だと思いますよ、そりゃ、いろいろお手伝いしましたけど、やりきる力は示しましたし、人の頼りも有効活用できてますし、貴族なのに汗して働いてましたし、結果も充分出したと思いますし」
「そうよね、で、次ね、そんなあの娘がどうやったら彼女の望む場所に行けるのかを考えてみたのよ」
「また、めんどくさい事を・・・」
「そうね、人の人生だから何処までも他人事なんだけど、まぁあの娘の事を親身になってくれる人が一人くらい居てもいいんじゃない?それでね・・・彼女本人がどうしたいのかは分からないんだけど、貴族として返り咲くにしろ、市民として再出発するにしろ、また、どこぞの貴族に嫁ぐにせよ、しっかりと能力のある人間である事を証明すべきなのよね、さらに彼女自身の問題を言えば、放逐された原因を払拭するほどの何かを為さないと・・・難しいかしら」
「・・・確かにそうですね、でも、うん、すいません向うの社会は不安内で」
ブノワトは納得できないままに理解しようとする、
「でね、その為には、少々強引すぎるけど、あの規模の集団を統率する事が出来なくては何も出来ないわ、まして、相手は年下の学生達よ、鳥で言ったら雛どころか卵よ、そんな連中を制御できなくて何ができるかしら」
「・・・」
「なもんで、今回の屋台の件から続く諸々はエレインさんに任せようと思ったのよ、私自身はそれで儲けようなんて思ってないし、周りの大人達も今は楽しんでいるだけの状態だしね」
「・・・すいません、その事をエレインさんには?」
「言ってないわよ」
「言ってあげた方がいいですよ、きっと、今、エレインさんはすんごい悩んでいると思います」
「うん、悩み過ぎて、そうね、死にそうになったら話してあげる」
「それじゃ、遅いです、変な所で厳しいですよソフィアさん、ソフィアさんの例を借りるなら、やっと雛である事を自覚した卵ですよ、しっかり導きましょうよ」
「そうね、上手い事言うわね、うん、こんなに親切な大人に囲まれるなんてエレインさんは幸せね、人徳かしら?まぁ、でも、悩んでいるならそれで良いわよ、そのうちどうしたいのかが見えてくるでしょ、昨日なんかそれすらも無かったんだから」
ソフィアは白湯を飲み干した。
「はいそれでは葡萄棚の完成と新しい寮仲間を迎えた事を祝しまして」
「カンパーイ」
ユーリの音頭で乾杯がなされた、ユーリ他研究所組とソフィア、エレインはワインを手にし、その他は特性ソーダ水を手にしている、
「えー、それでは紹介致しますね、学園で見掛けた事があるかとも思いますが、こちらの超絶美女がカトカ・クルセクさんでーす、皆さん拍手ー」
ユーリはさほど飲んでいない筈であるが何とも陽気であった、一同はユーリの言葉に従って拍手をする、ミナに至ってはやはり良く分かっていない様子であるが、楽し気ではあった、
「で、こちらのさらなる美女がサビナ・ベルカさんでーす、皆さーん拍手ー」
再びユーリの音頭で拍手が巻き起こる、
「以上、では、寮長はエレインさんかしら、自己紹介宜しく」
ユーリはストンと席に納まる、
「はい、ではわたくしから紹介致します」
代わりにエレインは起立して寮生の紹介を済ませる、
「続いて、寮母さんのソフィア・カシュパルさん、で我らのアイドルです、ミナちゃんとレインちゃん宜しくお願いします」
カシュパル家の紹介でお互いの自己紹介は終わったようである、
「御丁寧にありがとうございます、えーと、私達は実際に住みこむのはもう少し後になるかもですが、今後同じ屋根の下、生活を共にするという事でどうぞよしなにお願い致します」
優しい響きの凛とした声である、カトカは声までもが美しかった、
「同じくです、でも、この料理は素晴らしいですね、寮母さんが全て用意してるんですか、いや、ビックリです、うちの所長が引っ越しを決めるのも分かりますわ、うん、わたしもすぐには引っ越さない予定でしたけど、これは話しが違ってきました、はい・・・あ、すいません宜しくです」
サビナは外見通りの挨拶をこなす、
「えっと、カトカさんは、カトカさんでいいの?」
ミナは早速カトカの隣りでその顔を見上げている、
「子供は素直だなぁ、やっぱりカトカは見惚れちゃうよねぇ」
サビナはおっさんのような笑い声を上げる、
「サビナさんもサビナさんでいいの?」
ミナの問いに、
「二人共呼び捨てでもいいけど、うん、ミナちゃんが呼びやすいようにして下さいね」
優しい微笑みと共にカトカは答える、ミナは満面の笑みで、
「うん、わかった、じゃ、カトカさんとサビナさんで、えっと今日のお料理はこのお魚が美味しいよ、魚屋さんが言ってた」
ミナの人懐っこい歓迎の様子に一同は小さな幸せを感じる、それから場は優しくも淡々と進んでいった、深酒をする者も大騒ぎをする者もいない、男性がいない故に表面的にも上品な夕食となった、
「それでね、この甕の中にあるのがその時の花びらなの」
ミナがカトカとサビナに小さな壺を抱えて見せている、中には先日頂いた花びらがぎっしりと詰まっており良い香りを漂わせていた、
「まぁ、良い香りですね」
「でしょう、でね、でね、これが薔薇でこっちがアジサイでしょ、それでね・・・」
ミナは花びらを一つ一つ取り出しては机に並べ、しまっては並べしている、
「そうだ、オリビアさん、予算てまだ残ってましたよね」
「予算ですか?何の予算でしょう」
ミナの仕草をぼうっと眺めていたエレインが突然オリビアに質問する、オリビアはたまらず質問で返した、
「ソフィアさんのお礼分のお金ですわ」
「えぇ、確かに葡萄棚の材料費しか使ってませんからまだ充分にあります」
「では、それで、あらためて打ち上げをしましょう、えーと、屋台の成功と新しい同居人の歓迎を兼ねて」
「それは良いですね、そうなりますと、招待客と内容はどのように致しましょう」
そうですわねとエレインとオリビアは段取りの打ち合わせを始めた。
「エレインさんに相談されましてね、その、他の生徒の事」
「あらそう、わたしも聞いたわよ、それで」
「ですよね、で、ソフィアさんに突き放されちゃったって、悲しそうに言うもんですから」
ブノワトはソフィアの表情を観察しながら言葉を続ける、
「それで、ソフィアさんとしてはどう考えているのかなって思いまして・・・」
「うーん、そうねぇ、まぁ、ブノワトさんになら言ってもいいけど、エレインさんに言っちゃ駄目よ」
ソフィアはあらぬ方向に視線を移す、
「エレインさんの境遇って知ってる?」
「いいえ、何か特別なんですか?」
「うん、結構、大変・・・みたい、ここにいるのも放逐されてるからなのよ、端的に言うと」
「え、へぇー」
ブノワトは言葉を無くす、
「それでね、本人も現状が駄目だって事は分かっているのね、何かしなきゃって燻っている状態だったみたい、それで今回の屋台でしょ、うん、小さい事だけどどうだろう、成功したと見てあげていいんじゃない?どう、先輩社会人としては?」
「えぇ、確かに立派な成功だと思いますよ、そりゃ、いろいろお手伝いしましたけど、やりきる力は示しましたし、人の頼りも有効活用できてますし、貴族なのに汗して働いてましたし、結果も充分出したと思いますし」
「そうよね、で、次ね、そんなあの娘がどうやったら彼女の望む場所に行けるのかを考えてみたのよ」
「また、めんどくさい事を・・・」
「そうね、人の人生だから何処までも他人事なんだけど、まぁあの娘の事を親身になってくれる人が一人くらい居てもいいんじゃない?それでね・・・彼女本人がどうしたいのかは分からないんだけど、貴族として返り咲くにしろ、市民として再出発するにしろ、また、どこぞの貴族に嫁ぐにせよ、しっかりと能力のある人間である事を証明すべきなのよね、さらに彼女自身の問題を言えば、放逐された原因を払拭するほどの何かを為さないと・・・難しいかしら」
「・・・確かにそうですね、でも、うん、すいません向うの社会は不安内で」
ブノワトは納得できないままに理解しようとする、
「でね、その為には、少々強引すぎるけど、あの規模の集団を統率する事が出来なくては何も出来ないわ、まして、相手は年下の学生達よ、鳥で言ったら雛どころか卵よ、そんな連中を制御できなくて何ができるかしら」
「・・・」
「なもんで、今回の屋台の件から続く諸々はエレインさんに任せようと思ったのよ、私自身はそれで儲けようなんて思ってないし、周りの大人達も今は楽しんでいるだけの状態だしね」
「・・・すいません、その事をエレインさんには?」
「言ってないわよ」
「言ってあげた方がいいですよ、きっと、今、エレインさんはすんごい悩んでいると思います」
「うん、悩み過ぎて、そうね、死にそうになったら話してあげる」
「それじゃ、遅いです、変な所で厳しいですよソフィアさん、ソフィアさんの例を借りるなら、やっと雛である事を自覚した卵ですよ、しっかり導きましょうよ」
「そうね、上手い事言うわね、うん、こんなに親切な大人に囲まれるなんてエレインさんは幸せね、人徳かしら?まぁ、でも、悩んでいるならそれで良いわよ、そのうちどうしたいのかが見えてくるでしょ、昨日なんかそれすらも無かったんだから」
ソフィアは白湯を飲み干した。
「はいそれでは葡萄棚の完成と新しい寮仲間を迎えた事を祝しまして」
「カンパーイ」
ユーリの音頭で乾杯がなされた、ユーリ他研究所組とソフィア、エレインはワインを手にし、その他は特性ソーダ水を手にしている、
「えー、それでは紹介致しますね、学園で見掛けた事があるかとも思いますが、こちらの超絶美女がカトカ・クルセクさんでーす、皆さん拍手ー」
ユーリはさほど飲んでいない筈であるが何とも陽気であった、一同はユーリの言葉に従って拍手をする、ミナに至ってはやはり良く分かっていない様子であるが、楽し気ではあった、
「で、こちらのさらなる美女がサビナ・ベルカさんでーす、皆さーん拍手ー」
再びユーリの音頭で拍手が巻き起こる、
「以上、では、寮長はエレインさんかしら、自己紹介宜しく」
ユーリはストンと席に納まる、
「はい、ではわたくしから紹介致します」
代わりにエレインは起立して寮生の紹介を済ませる、
「続いて、寮母さんのソフィア・カシュパルさん、で我らのアイドルです、ミナちゃんとレインちゃん宜しくお願いします」
カシュパル家の紹介でお互いの自己紹介は終わったようである、
「御丁寧にありがとうございます、えーと、私達は実際に住みこむのはもう少し後になるかもですが、今後同じ屋根の下、生活を共にするという事でどうぞよしなにお願い致します」
優しい響きの凛とした声である、カトカは声までもが美しかった、
「同じくです、でも、この料理は素晴らしいですね、寮母さんが全て用意してるんですか、いや、ビックリです、うちの所長が引っ越しを決めるのも分かりますわ、うん、わたしもすぐには引っ越さない予定でしたけど、これは話しが違ってきました、はい・・・あ、すいません宜しくです」
サビナは外見通りの挨拶をこなす、
「えっと、カトカさんは、カトカさんでいいの?」
ミナは早速カトカの隣りでその顔を見上げている、
「子供は素直だなぁ、やっぱりカトカは見惚れちゃうよねぇ」
サビナはおっさんのような笑い声を上げる、
「サビナさんもサビナさんでいいの?」
ミナの問いに、
「二人共呼び捨てでもいいけど、うん、ミナちゃんが呼びやすいようにして下さいね」
優しい微笑みと共にカトカは答える、ミナは満面の笑みで、
「うん、わかった、じゃ、カトカさんとサビナさんで、えっと今日のお料理はこのお魚が美味しいよ、魚屋さんが言ってた」
ミナの人懐っこい歓迎の様子に一同は小さな幸せを感じる、それから場は優しくも淡々と進んでいった、深酒をする者も大騒ぎをする者もいない、男性がいない故に表面的にも上品な夕食となった、
「それでね、この甕の中にあるのがその時の花びらなの」
ミナがカトカとサビナに小さな壺を抱えて見せている、中には先日頂いた花びらがぎっしりと詰まっており良い香りを漂わせていた、
「まぁ、良い香りですね」
「でしょう、でね、でね、これが薔薇でこっちがアジサイでしょ、それでね・・・」
ミナは花びらを一つ一つ取り出しては机に並べ、しまっては並べしている、
「そうだ、オリビアさん、予算てまだ残ってましたよね」
「予算ですか?何の予算でしょう」
ミナの仕草をぼうっと眺めていたエレインが突然オリビアに質問する、オリビアはたまらず質問で返した、
「ソフィアさんのお礼分のお金ですわ」
「えぇ、確かに葡萄棚の材料費しか使ってませんからまだ充分にあります」
「では、それで、あらためて打ち上げをしましょう、えーと、屋台の成功と新しい同居人の歓迎を兼ねて」
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