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本編
16話 開店 その6
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「なんであなたが居るんですの」
研修を終えた女性陣が食堂に入ると、トーラーが茶を片手に涼しい顔をしている、天敵を見付けたエレインは疲れた顔を隠さずに開口一番でこの有様であった、
「なんでって、仕事だよ、我が妹よ、明日から模擬販売であったか?男手も欲しいだろうとの上からの配慮だ、喜べ」
トーラーは涼しい顔のままである、
「それは・・・喜べないですが感謝はしますわ、やんごとなき人達へは」
エレインは納得しつつも認める事に躊躇している、
「はいはい、仲良くね、折角スイランズ君が気を利かしたのよ、あの朴念仁にしては大したものなんだから、それに、トーラーさんをお願いしたのはあなたでしょ、忘れたの?」
ソフィアが仲裁に入る、
「それはそうですけど・・・宿とかはどうなるのです?」
エレインは渋々と確認する、
「あぁ、それは別に取るよ、女子寮に泊まるわけにはいかんだろ、興味はあるがな」
「ほら、そういう所をですね・・・」
エレインが食って掛かりそうになる所をソフィアは制して、
「はいはい、そこまでね、トーラーさん、夕食は一緒にしましょう、朝食はどうします?」
「ありがとう、ソフィアさん、朝食は宿で出る手筈だ、夕食は馳走になれるのであれば嬉しい、リシア様達から評判を聞いております」
トーラーはソフィアに対して口調を改めたようである、その正体をクロノスから打ち明けられた為でもあるが、
「むー、では、扱き使いますからね、覚悟しておきなさい」
ふんとエレインはそっぽを向いた、一連の遣り取りを傍観していた女性陣はにやつく口元を隠しもしていない、
「で、明日は大丈夫?かなりの大仕事になると思うけど」
ソフィアはエレインに問う、
「はい、何とかなるかと思います、それと学生達は明後日に別けました、来賓の方々に失礼の無いようにと思いまして」
「そう、それは良いかもね、そっか、他の人達はもう帰ったの?」
「えっと、まだおりますよ、今日作った分の取り合いをしていると思います」
エレインはオリビアに視線を向けるとオリビアはその通りと頷いて見せた、
「なら、どう?お湯を沸かしたから洗髪しなさい、お湯はたっぷり沸かしたからね全員できるはずよ」
「ホントですか、やったー」
綺麗好きのケイスがいの一番に歓声を上げた、
「では、皆さんに声をかけますね」
「はい、では、私は段取りを」
パウラが店舗に走り、オリビアは内庭に走った、
「すいません、ソフィアさんまた、お手間を取らせまして・・・」
エレインは恐縮するが、
「気にしないで、そうね、ミナとレインも洗ってあげて、ミナは逃げるけど捕まえていいからね」
ニヤリと笑みする、
「では私達もオリビアを手伝いましょう、先にそうね御婦人方から洗髪してあげないと」
エレインは残りの女性陣を連れて内庭へ出る、
「さて、夕食準備ね、トーラーさんはどうします?」
「お気遣いありがとうございます、周辺を散策致します、夕食は日暮れ前で宜しいでしょうか?」
「はい、それで」
と食堂はあっという間に無人になるのであった。
模擬販売兼来賓接待の日である、午前中から婦人達とエレインはバタバタと動き回り、邪魔になってはいけないとミナとレインは一階の個人部屋から眺めている、
「おう、選別だ」
そうこうしているうちに正午となった、一番に来たのはヘッケル夫妻とコッキーである、
「ようこそ、お三方」
エレインがニコヤカに迎えるが荷台を曳いたブラスに視線を取られる、
「新品だ、足りるかどうかわからんが使ってくれ」
ブラスは荷台の筵を取って荷を見せた、
「わ、これは綺麗なベンチですね、えっこんなにですか?」
エレインは驚く、
「えぇそうよ、旦那が張り切って作ったもんだからね、丈夫に出来てるわよ、使ってあげて」
「そうですね、すっかり忘れていました、注文する予定だったのですが」
とエレインは恐縮するも、
「あー、これはほら選別だから、素直に受け取る事」
ブノワトがブラスに笑みすると、
「おう、その通りだ、大したもんじゃないが使ってやってくれや」
満面の笑みを浮かべるブラスにエレインは素直に感謝を伝えたのであった、
「じゃ、早速並べようぜ、通路と木戸の下あたりかな」
「あっ、すいません、トーラー手伝いを」
エレインはトーラーを紹介しつつ作業を指示する、
「へー、お兄さんいたんだー、でも、貴族様でしょ、いいの?」
ブノワトはニヤケ顔となり、
「ヒエー何か凄い剣を履いてますよ、なんか恐れ多いですー」
コッキーがブノワトの影に隠れてトーラーを窺っている、
「あぁ、気にしないでいいですよ、お二人はこちらへ、お店の方も見て下さい」
二人を店舗へ連れてくると、
「あら、ブノワトじゃん、コッキーもいるじゃない」
店舗内で仕込み中の婦人部の一人が二人の顔見知りであったようである、
「あー、姉さんじゃん、なに此処で働くのー、良かったねー」
キャイキャイと話が弾む、
「そっか、じゃ、このガラス容器はメーデルさんで作ったの?」
「はい、どうでしょう、って会計の脇にあると目立ちますねー」
コッキーは自身の作品をほれぼれと見直す、
「これ良いわよ、他の店にも売れるんじゃない?でもガラスは高いからなー」
「それはそうですよ、それだけの価値があると思いますよ」
ブノワトが胸を張る、
「うんうん、そうだよねー、あ、会長どうします?もう始めます?」
「そうね、じゃ、ブラスさんが来たら商品紹介から始めてみて、接客担当は?」
「はいはい、私です、今行きますね」
ひょいと店舗からマフレナが出てくる、ちなみに従業員は皆パトリシアから贈られた白く輝く前掛けを着けている、統一した衣装はそれだけで目を引き、これも一つの売りになりそうであった、
「さて、忙しくなるわね」
エレインはふんと鼻を鳴らして気合を入れ直すのであった。
研修を終えた女性陣が食堂に入ると、トーラーが茶を片手に涼しい顔をしている、天敵を見付けたエレインは疲れた顔を隠さずに開口一番でこの有様であった、
「なんでって、仕事だよ、我が妹よ、明日から模擬販売であったか?男手も欲しいだろうとの上からの配慮だ、喜べ」
トーラーは涼しい顔のままである、
「それは・・・喜べないですが感謝はしますわ、やんごとなき人達へは」
エレインは納得しつつも認める事に躊躇している、
「はいはい、仲良くね、折角スイランズ君が気を利かしたのよ、あの朴念仁にしては大したものなんだから、それに、トーラーさんをお願いしたのはあなたでしょ、忘れたの?」
ソフィアが仲裁に入る、
「それはそうですけど・・・宿とかはどうなるのです?」
エレインは渋々と確認する、
「あぁ、それは別に取るよ、女子寮に泊まるわけにはいかんだろ、興味はあるがな」
「ほら、そういう所をですね・・・」
エレインが食って掛かりそうになる所をソフィアは制して、
「はいはい、そこまでね、トーラーさん、夕食は一緒にしましょう、朝食はどうします?」
「ありがとう、ソフィアさん、朝食は宿で出る手筈だ、夕食は馳走になれるのであれば嬉しい、リシア様達から評判を聞いております」
トーラーはソフィアに対して口調を改めたようである、その正体をクロノスから打ち明けられた為でもあるが、
「むー、では、扱き使いますからね、覚悟しておきなさい」
ふんとエレインはそっぽを向いた、一連の遣り取りを傍観していた女性陣はにやつく口元を隠しもしていない、
「で、明日は大丈夫?かなりの大仕事になると思うけど」
ソフィアはエレインに問う、
「はい、何とかなるかと思います、それと学生達は明後日に別けました、来賓の方々に失礼の無いようにと思いまして」
「そう、それは良いかもね、そっか、他の人達はもう帰ったの?」
「えっと、まだおりますよ、今日作った分の取り合いをしていると思います」
エレインはオリビアに視線を向けるとオリビアはその通りと頷いて見せた、
「なら、どう?お湯を沸かしたから洗髪しなさい、お湯はたっぷり沸かしたからね全員できるはずよ」
「ホントですか、やったー」
綺麗好きのケイスがいの一番に歓声を上げた、
「では、皆さんに声をかけますね」
「はい、では、私は段取りを」
パウラが店舗に走り、オリビアは内庭に走った、
「すいません、ソフィアさんまた、お手間を取らせまして・・・」
エレインは恐縮するが、
「気にしないで、そうね、ミナとレインも洗ってあげて、ミナは逃げるけど捕まえていいからね」
ニヤリと笑みする、
「では私達もオリビアを手伝いましょう、先にそうね御婦人方から洗髪してあげないと」
エレインは残りの女性陣を連れて内庭へ出る、
「さて、夕食準備ね、トーラーさんはどうします?」
「お気遣いありがとうございます、周辺を散策致します、夕食は日暮れ前で宜しいでしょうか?」
「はい、それで」
と食堂はあっという間に無人になるのであった。
模擬販売兼来賓接待の日である、午前中から婦人達とエレインはバタバタと動き回り、邪魔になってはいけないとミナとレインは一階の個人部屋から眺めている、
「おう、選別だ」
そうこうしているうちに正午となった、一番に来たのはヘッケル夫妻とコッキーである、
「ようこそ、お三方」
エレインがニコヤカに迎えるが荷台を曳いたブラスに視線を取られる、
「新品だ、足りるかどうかわからんが使ってくれ」
ブラスは荷台の筵を取って荷を見せた、
「わ、これは綺麗なベンチですね、えっこんなにですか?」
エレインは驚く、
「えぇそうよ、旦那が張り切って作ったもんだからね、丈夫に出来てるわよ、使ってあげて」
「そうですね、すっかり忘れていました、注文する予定だったのですが」
とエレインは恐縮するも、
「あー、これはほら選別だから、素直に受け取る事」
ブノワトがブラスに笑みすると、
「おう、その通りだ、大したもんじゃないが使ってやってくれや」
満面の笑みを浮かべるブラスにエレインは素直に感謝を伝えたのであった、
「じゃ、早速並べようぜ、通路と木戸の下あたりかな」
「あっ、すいません、トーラー手伝いを」
エレインはトーラーを紹介しつつ作業を指示する、
「へー、お兄さんいたんだー、でも、貴族様でしょ、いいの?」
ブノワトはニヤケ顔となり、
「ヒエー何か凄い剣を履いてますよ、なんか恐れ多いですー」
コッキーがブノワトの影に隠れてトーラーを窺っている、
「あぁ、気にしないでいいですよ、お二人はこちらへ、お店の方も見て下さい」
二人を店舗へ連れてくると、
「あら、ブノワトじゃん、コッキーもいるじゃない」
店舗内で仕込み中の婦人部の一人が二人の顔見知りであったようである、
「あー、姉さんじゃん、なに此処で働くのー、良かったねー」
キャイキャイと話が弾む、
「そっか、じゃ、このガラス容器はメーデルさんで作ったの?」
「はい、どうでしょう、って会計の脇にあると目立ちますねー」
コッキーは自身の作品をほれぼれと見直す、
「これ良いわよ、他の店にも売れるんじゃない?でもガラスは高いからなー」
「それはそうですよ、それだけの価値があると思いますよ」
ブノワトが胸を張る、
「うんうん、そうだよねー、あ、会長どうします?もう始めます?」
「そうね、じゃ、ブラスさんが来たら商品紹介から始めてみて、接客担当は?」
「はいはい、私です、今行きますね」
ひょいと店舗からマフレナが出てくる、ちなみに従業員は皆パトリシアから贈られた白く輝く前掛けを着けている、統一した衣装はそれだけで目を引き、これも一つの売りになりそうであった、
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