セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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本編

34話 研究会と講習会 その11

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その日の夕食後、食堂にはエレインの光の精霊が浮かび、サビナとカトカを中心として下着の勉強会が開かれた、夕食中にユーリから研究会の件が報告され、そういう事であればギルドでの講習会にも使えるものにしようと急遽始まったのである、

「なるほど、強制下着に支える下着それと形成下着ですか」

「実に理にかなってますね、面白いです」

サビナとカトカは初見であった、何やらやっているなとは思っていたし、下着を着けた女性達の変化にも気付いていたが、接点が少なかった為と、ユーリとソフィアが話題にも出さなかった為、直接関わる事が無かったのである、

「そうなんです」

オリビアが冷静に答え、

「はい、ですので、その人に合った物を作るのが肝要であると、そう思います」

テラが補足し、

「ふふん、理にかなっているとは良い表現ですわね」

何故かエレインが自慢げに微笑んだ、

「ふんふん、そうしますと一般的・・・が難しいのか、個々人で大きく変わりますよね、表現が難しいな・・・」

カトカは黒板を数枚並べ書記に徹している様子である、しかし、文章化にやや難儀しているようであった、何やら書き込んでは消し、消しては書いてと忙しい、

「私みたいのはどうなんだろう、何にしろデカイから、やっぱり強制下着になるのかしら」

サビナは自身の腕回りから腰回りまで、全身に視線を走らせ呟いた、

「そうですね、強制下着で良いと思います、しかし、上手いこと納めないと胸が主張しすぎるかもしれません」

「はい、ソフィアさんから指導された点で重要なのは、服を来た状態で綺麗に見せる事ですね」

「なるほど、服を着た状態ですね」

カトカが白墨を鳴らし、

「うーん、そうなると変に形を作らないで自然に見せるのも大事って事ね」

「はい、ですので、実は私のなんかは不自然かなって感じもするんですよね」

テラが自身の胸に視線を落とす、

「えー大丈夫だよー、テラさんのはちゃんと綺麗だよー」

ジャネットが顔を上げてテラを擁護する、

「まぁ、ありがとうございます、何か差し上げるものあったかしら?」

テラがニコニコと周りを見渡し、

「あ、なら、頂戴、そのおっきいの、別けて」

「えー、これは駄目ですよー」

「えー、ケチー」

ジャネットは明るく笑い作業に戻った、ジャネットとケイスは勉強会の輪から外れて自分の下着に金具を取り付けている、エレイン達は昼の内にブノワト製の金具を取り付けており、その機能性を声高に自慢した、当然というべきか、それを聞いたジャネットとケイスはエレインにねだったのである、

「あー、何か良い感じなんじゃない?」

「そうね、サビナは真面目な娘だからねー、勘も良いし、勉強好きだし、人あたりも良いしね、そこにカトカの文章力があれば良い物が出来るはずよー」

勉強会の輪に入っていないユーリとソフィアは、壁際のテーブルで二人静かにその様子を眺めている、勿論の事であるがユーリはワインを手にしており、ソフィアも珍しく御相伴に預かっていた、

「あ、そうだ、ねーねー、下着に名前付けるって話しどうなったー」

再びジャネットが顔を上げる、

「あー、考えてなかったですね」

エレインがそう言えばと思い出す、

「じゃ、今、付けちゃおうぜ、何だっけ、下着の総称とそれぞれの下着の名前だっけ?」

「そうですね、矯正下着とか形成下着では売れないと思いますよー、なんか堅苦しいですからー」

ケイスも顔を上げる、

「そうね、じゃ、皆いることですし、決めてしまいましょうか」

エレインは席を立って黒板に向かうと、ミナとレインの悪戯書きをサッと拭って白墨を手にする、

「えっと、下着の総称、それと、矯正下着、支える下着、形成下着っと」

4つの項目を書き付けて振り返る、

「案はありますか?」

「はい、ソフィアさんの名前を付けたいです」

ジャネットが元気良く手を上げた、

「えっ、わたし?」

傍観者に徹していたソフィアはワインをこぼしそうになりながら甲高い悲鳴を上げた、

「勿論です、下着の総称はソフィアさんから貰うのが当然だと思います」

「そうですね、そこは譲れないと思います」

ジャネットとケイスは同意見のようである、嬉しそうにソフィアへキラキラとした視線を送る、

「あ、では、私も賛同します」

オリビアが手を上げ、

「じゃ、私も」

テラも同意した、

「ちょっと・・・」

ソフィアが口元を拭いながら席を立ちかけた瞬間、

「はい、私も、では多数決でソフィアさんの名前を頂く事にしまして、どう名付けましょうか」

エレインが黒板にソフィアと書き付け、

「ま、ちょっと、エレインさん」

ソフィアは珍しく慌てており、

「あっはっは、ソフィア、これはあんたの負けだわ勝負にもなってないけど」

ユーリが楽しそうに笑う、

「な、ユーリまで何言ってるのよ」

「大丈夫ですよー、ソフィアって名前は結構聞く名前ですからー」

「そうですよ、良くある名前じゃないですかー」

「いや、そういう問題じゃなくて」

「はい、はい、でも、ソフィアだとなんかあれね親しみが無いわよね、堅苦しい感じ・・・愛称とかがいいのかしら?」

「そうですか?」

「じゃ、ソフィーとか、ソアとか、ソフティーとか?」

「あ、それ、可愛い」

「あんたらねー」

「えー、いいじゃないですか」

「・・・もう、何?あたしには拒否権は無いの?」

「ありますよ、でも多数決で決まりましたから」

「そうですよ、多数の意見と少数の意見、どちらが正しいと思われます?」

「いや、そうかも・・・じゃなくて」

「じゃ、あれです、パッと聞いて分かりずらくすればいいんですよ」

「そうね、そうなると、ソフティーとかいいんじゃない?」

「あ、いいですね、柔らかい感じで、親しみ安いですし」

「そうですね、それに呼びやすそうですし」

「はい、じゃ、総称はソフティーで決定ね」

エレインが板書し、

「もう、あー、好きにすればいいわ」

ソフィアはむくれてドカリと席に着く、

「あっはっは、そうね、好きにすればいいわよね」

ユーリが楽しそうにソフィアの肩を叩き、ソフィアはジロリとユーリを睨む、

「えーでもソフティーであれば、ソフィアさんとは直接結びつかないですよ」

「そうですね、あ、命名の件も書いておこうかしら」

カトカが黒板を持ち上げ、

「カトカさん、ホントに止めて、勘弁して、お願いだから」

ソフィアの鳴き声が響き、一同は一笑いすると、

「じゃ、そうなると、強制下着はテラさんの名前がいいわね、テラ、テラ・・・」

「はい、テーラとか」

「ターリー」

「テイラー・・・男の名前ね」

「じゃ、テーラ、ターリー、テラ、他にある?」

「テーラがいいと思います、ソフティーのテーラですね、うん、お店でも言いやすいです」

「なるほど、では、テーラで」

そうして残り二つの下着にも名前が付けられた、

「まとめると、総称がソフティー、矯正下着がテーラ、支える下着がオーリ、形成下着がエーレ、こんな感じかしら?」

エレインが腕を組んで黒板を見直す、

「そうですね、うん、カッコイイと思います」

「確かに商品名として考えればお洒落ですね」

「うん、解説書もだいぶ書きやすくなったかな」

「こうなると、販売時にもこの名称で統一するように働きかけましょうか」

テラが黒板を見ながら提案する、

「そうね、服屋さんが一斉にこの名前を使えば一般名称として普及し易くなると思うわね」

エレインが白墨を置いて手を叩きつつ答える、

「へへ、何か話しが大きくなってきたなー」

ジャネットが楽しそうに笑い、

「そうですね、でも、こんな思い付きでいいんでしょうか」

ケイスは微笑みながら疑問を呈す、

「ま、名前なんてそれらしければそれでいいんじゃない?分かり易いのが一番よ」

「そっか、そうだよね」

ジャネットとケイスは微笑みあうが、

「いや、これは中々に歴史的瞬間かもしれませんよ」

「そうだね、だって、これが向こう何十年も人口に膾炙すると考えたら・・・」

「はい、やはり、命名の由来も補記しておきましょう」

カトカは手にした黒板に勢いよく書き込み始め、

「あー、だから嫌なのよー」

若干酔いが回ったソフィアが嫌そうにカトカを睨む、

「まぁ、いいじゃないの、これも生きた証よ」

「な、あんたはもー、他人事だと思ってー」

「他人事だもーん、それにね、たぶんだけど、歴史ってやつはこうやって何気ない場所から生まれていくものなのよ」

「あん、なにカッコつけてるのよ、ユーリのくせに」

「そっか、歴史に立ち会ったのか、すごいね、凄いことだよー」

ジャネットが楽しそうにはしゃぎだし、

「そうだね、いや、これは歴史を作ったといっても過言ではないですよ」

ケイスは嬉しそうに胸を張る、その一言に皆はオーと感嘆の声を合唱し、

「ふふ、そうですね、向こう何十年も使われ続ける物になれば嬉しいですわね」

エレインの嬉しそうな微笑みに、一同は賛同の意を表するのであった。
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