セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

55話 5本の光柱 その12

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翌日、神殿とギルドを招いての打合せは急遽午後に変更された、午前の内に王家と領主へ報告し対応策の協議が必要とされた為である、王家にはロキュスらが向かい、領主邸へは学園長とユーリが向かった、そして出た結論は似通ったものとなる、神殿への技術提供はしない事、生徒達への教育に関しても暫くは控える事、この2点であった、領主であるカラミッドとしては、魔法技術の発展は嬉しい事であるが、これはあまりにも突飛であり、さらに構築も難しくないとなれば混乱や悪用される事がまず懸念される、できれば自由に使える程に広まる事があればそれも良しとは考えるが、今は難しいであろうと渋い顔であり、その背後に立つライニールも何とも困った顔であった、国王とクロノスもまた、催事で使う程度であればそれも良かろうとのほほんとしたものであったが、学生でも使いこなせるほどに簡単な物となると話は大きく変わって来る、便利な魔法であるし、今後より発展していく余地もある、現時点では魔法学園の秘術として隠匿するのが最善であろうとなった、つまり権力者双方共に神殿側への技術供与は認めず、出来たものは仕方がないから暫く隠せ、という事らしい、実際にユーリとゾーイによっていとも簡単に作り出された光柱を見れば、取り敢えずそう言うしかなく、学園長とロキュスがその結論へと巧みな話術で誘導した事もある、そして、学園に戻った学園長とロキュス達は取り敢えず自分達の思惑通りの言葉を引き出せた事を報告し合い、さて次はとなる、

「そうですね・・・」

ユーリが運用に関して口を開く、光柱は5つ構築予定である、神殿が4つ、ギルドが1つ、技術を公開しないのであればこちら側から人員を割く必要が出てくる、昨日夕刻までかかったがゾーイを始めとしたロキュスの弟子達はしっかりと習得しており、ロキュス自身もまた自分流に変更を加えて再現して見せている、驚いた事に学園長も簡単に使って見せ、さらに事務長もたどたどしくも構築して見せた、やはりそれほどに簡易で扱いやすい魔法であるという証明ともなる、

「ですので、どうでしょう、私がギルドを担当します、最もあれですね大きいものになると思うので私ともう一人欲しいですかね、あっ、あれです構築が大変という訳ではなく一人で動くのは宜しく無いという観点からですね、うん、なので、各神殿にも二人ずつ担当を派遣する形でどうでしょうか?」

ユーリの提案に特に異論は出なかった、その場で各担当が決まり、全体を監修する名目で学園長が監督役となる事になった、ロキュスは当初それは儂の仕事であろうと憤慨したが、ロキュスの名は王国全土に轟いている、その名を出すと後々めんどくさい事になるぞと学園長と弟子達に諫められ、渋々と黙り込んだ、

「はい、では午後の対応についてですが」

と打合せは進んだ、そしてその時間となる、本来であれば今日この時間は美容服飾研究会が講堂を使う予定であった、突然の変更に主に女生徒から非難の声が上がったが、ユーリとサビナが説明に走ると渋々と治まったようで、何より久しぶりにユーリの姿を見たかつての生徒達がどうせまた変な事を始めたのであろうと別の噂話に花が咲く始末であった、

「いいからさっさと帰りなさい、研究会は明日しっかりやるからね」

サビナの怒号が響き、その噂話も強制的に散らされる、

「悪いわねー」

「いえいえ、状況は想像してましたから」

ユーリの疲れた顔にサビナは笑顔で答えるしかない、ついでにそのままユーリの手伝いをする事になり、やっと静かになった学園に来客が集まり始め、サビナと事務員が手分けしつつ講堂へと案内していく、

「さて、お集まりですかな?」

学園長が演題に立ち賓客達を見下ろした、やや無礼な感じではあったが神殿と商工ギルドからはそれぞれ訪問者が増えている、前回の打ち合せで見た顔は勿論有ったがさらに二人から三人、恐らく魔法に長けたものであろう、

「すいません、遅れました」

そこへ、ライニールが駆け込んで来た、さらに、

「すまんな、同席するぞ」

カラミッド自らリシャルトを引き連れて講堂に入って来る、

「これはクレオノート伯、お忙しい中ありがとうございます」

学園長の大袈裟な声に来客達は驚いて振り返り、

「是非、しっかりと見たくてな、邪魔はせんぞ」

カラミッドはニヤリと微笑み、学園長も笑顔で頷いた、午前中の打合せ通りの来訪である、ユーリが領主邸の大広間を選んで披露した件の魔法は規模が小さいものであった、ユスティーナとレアンも面白そうだと立ち会ったのであるが、三人を前にしてユーリは実際はもっと巨大なものになりますと説明しており、であれば実物を見てみたいとカラミッドはわざわざ足を運んだのである、レアンは自分も見たいと不満の声を上げたが、ユーリが何とか当日の楽しみですと宥めすかして事無きを得ている、一緒に来れば良かろうとも思うが、政治的な話にもなりかねずそうなると些かめんどくさい事になるであろう、何より祭りの楽しみが一つ減る事になる、ユスティーナもユーリの心配を察して助太刀してくれたのも大きかった、

「ありがたき幸せ、では」

学園長はゴホンと咳払いを挟み、

「お集まりの皆様には急遽打合せの時間を変更するという何とも無礼な対応になってしまった事、先に謝罪させて頂きたい、ですが、その不興をも軽く吹き飛ばすほどの叡智をお見せする事が出来るとここに確約致します」

随分と仰々しい挨拶であった、謝罪を口にするのは分かるが、かなりの強気である、

「では、実際に披露致します、その後祭りの対応につきましては個別に相談したいと考えます」

学園長はそう締め括りユーリに目配せする、そしてユーリの手によって光柱の魔法が披露された、昨日のソフィアのそれよりも慣れた分だけ流麗に作業を進め、あっという間に講堂内は昼さえ凌ぐ光に満たされる、

「これは凄い・・・」

「想像以上ですね」

「うむ、以前のそれとは全く違いますな」

「・・・素晴らしい」

反応は上々である、そしてカラミッドも、

「なるほど、この規模であれば街中でも目立つであろうな」

「そうですね、いや、たかが二日でこれほどの魔法を作り上げるとは・・・」

一度目にしている為に感動は薄いが、やはりその大きさと明るさにすっかり感心し、リシャルトもまた事の経緯を知る者として改めて魔法学園の、引いてはユーリその人の底力を思い知る、ライニールから様々な情報を引き出してはいるが今一つその正体が判然としない人物であり、ソフィアもそうであるのだが、これは何としても領主側に取り込んでおく必要があると再認識するに至った、

「で、この状態ですと半日以上持つ事も確認しております」

学園長が光柱を背にして説明を加える、

「この状態が基本となります、要望としてありました個別に色を変える点についてはのちほど、また、この光柱自体は安全である事も御確認下さい」

学園長は光柱に歩み寄ると無造作に手を突っ込む、光柱はピクリとも姿を変えず、学園長も熱いでも痛いでも無い、そして涼しい顔で振り返ると、

「ま、明るすぎて目には悪いですな」

とここが笑いどころと笑顔になるがそれに釣られる者はいなかった、

「うむ、皆さん驚いていらっしゃるようだ、そうですね、このように危険は無い魔法です、この中は分かる人には魔力の流れがそよ風のように感じられますでしょうな、中々に気持ちが良いですぞ」

さらにニヤリと微笑むが反応は無い、

「むっ、ま、そうですな、まず、観衆は近寄らせない方が良いと思います、何故ならば」

とユーリへ視線を走らせ、ユーリはサッと近寄ると土鍋の蓋を閉じた、途端光柱は跡形も無く消えた、一瞬の事である、

「なんと・・・」

「いや、これは便利な・・・」

あまりにも都合の良すぎる魔法であった、一同は言葉を無くして押し黙るしかなく、

「このように土鍋を中心にして展開しておりましてな、何かの拍子で土鍋に何かあれば大変に不細工な事になるでしょう、その辺も含めて・・・うん、まずは、お披露目は以上です、ご覧頂いたように催事に用いるには格好の魔法となりました、故に少々難解かつ複雑なものになってしまいましてな、そこで当日はこちらから人員を派遣して対応させて頂きたいと思います、勝手ながらその人員も選抜しておりました、何事も先手に負け無しといいますからな」

ニコニコと悪びれること無く方便を口にし、思わずカラミッドは狡猾だなと口の端を上げた、そして打合せは小さな集団に別れて進められる、講堂内には5本の光柱が聳え立ち、それを見上げながらあーだこーだと活発に議論が交わされ、やがてそれぞれに理想とする色が選択されたようで、さらに、

「これは土鍋でなければ駄目なのか?」

「儀式の様式に落とし込むことは可能であろうか?」

「当日の段取りを打合せしたいのだが」

とやはり実際の運用を念頭に置いた質問が飛び交い始めた、

「はい、そこでなのですが、まずは一旦お持ち帰り頂きたいです、実際の魔法を御覧頂いてどういうものかを御理解頂いたと思います、で、祭り当日なのですが、恐らくですが何らかの祭壇であるとか、人員の配置であるとかそれぞれにあるかと思います、それを明日・・・は早いですな、明後日、祭りの前日になってしまいますが改めてこの場で打合せとしたいと考えます、勿論ですが、皆さんお互いの擦り合わせも必要でしょう、期日が無くて申し訳ないとも思いますが、如何でしょうかな?」

学園長の言葉に、それもそうかとそれぞれに小声で意見が交わされ、

「分かりました、確かに時間も無いですが学園長の提案も尤もです、こちら側の対応も改めて練り直しましょう」

商工ギルドの代表者が賛同を示し、ギルドがそう言うならと神殿側も頷いた、

「ありがとうございます、では、明後日・・・そうですね、不測の事態も考えて朝一からという事で」

朝一とは公務時間開始の鐘の音と同時という意味合いになる、一同は同意を示し、打合せは一旦終了となった、

「楽しみだな、皆、期待しているぞ」

その様子を無言で眺めていたカラミッドは満足そうに微笑みサッサと講堂を辞した、一同は静かに頭を下げてその背を見送る、この間ロキュスは改めて今回の魔法について悩んでいた、人はそれぞれ得意としている魔法系統が存在する、俗に六大属性と呼ばれるもので、火水土風光闇であり、その亜種として精霊魔法と称される正確には疑似精霊魔法と呼ぶべき系統、空間魔法と呼ばれる大変に人を選ぶ系統、それから明確に区分されていないが、時間と次元と呼称するべき系統があった、他にあるとすれば魔族が得意としている本来の精霊魔法もあるが、それは現時点では全くの未知である、而して今回の光柱魔法を分析する限り、どうも得手不得手の波が非常に小さいのであった、光柱の大元になる灯りの魔法こそそれは顕著であったが、光柱本体を構築する際には純粋な魔力のみを使用していた、根幹に使われている結界魔法が良い例で、さらに土鍋に貯め込む魔力もより純粋な魔力そのものである、このような使い方はまず例が無かった、ロキュスが探求の主目的に置いている、魔力そのものの研究の純粋な活用例と言える、黙して考えるほどにロキュスの心中には嫉妬と焦燥の念が渦巻き、しかしと諫める自分も在った、これは新たな天啓であろう、自分は探求に専念してしまい、具体的な活用に関してはまるで無関心であった、今回の事件は突発的に連鎖して起こった稀有な事例であり、その中心にいるユーリとソフィアの実力は大戦時において十分に把握し、一目も二目も置いている、さらにこの場にいないがタロウという強大な異分子の存在もある、何とかこの三人を研究者として招聘しなければと再認識し、しかし、自分以上に我儘で気分屋な連中をどうすれば使えるかとも考える、今朝王城の打合せにおいて陛下から賜った言葉が胸に刺さる、

「あれらは好きにさせておけ、他人に靡く類の人種では無い、少々距離を置いて観察するのが賢いやり方だ」

陛下の権威を持ってしてもその言いなりになる事は無い連中である、自分程度が何をした所でどうにもならないのであろう、ここは悔しいがパウロに任せ、計画通りにゾーイをその下に置く事で縁を作りつなぎ役としておこう、それが老獪で鳴るロキュスの出した結論であった。
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