セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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60話 光と影の季節 その9

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「何やってるのー!!」

午前の中頃になる、マフダの叫びが街路に響き、何事かと店舗のご婦人達が手を止め、掲示板の見物人も思わず振り返った、

「何って・・・ねー」

「ねー」

「マフダ、いたー」

「マフダー、ドーナッツ食べたーい」

「マフダー、何してるのー」

ニコリーネの肖像画店にはやたらと派手な女性達が群がっている、その中から幼女が三人マフダの元に駆け寄って来た、女性達はマフダの姉妹である、

「なによ、お邪魔するって、言ったじゃない」

「それはだって、今日の今日来るとは思わないよー」

「えー、だってさー、あれ見せられたらねー」

「ねー、親父とも相談してねー、色つきの肖像画をお店に飾っても面白いんじゃないかってなってさ」

「そうそう、店に飾れば便利じゃない?」

「名前も覚えてもらえるしねー」

「指名料も取れるかもー」

「それだよねー」

「朝から気合入れておめかししたのよー」

「ねー」

「・・・これだもんなー・・・」

マフダは妹たちを両手であやしつつガクリと項垂れた、経緯としては簡単である、昨日マフダがニコリーネに描いてもらった肖像画は絶対に騒ぎになるなと思って隠していたのであるが、今朝になって妹の一人であるサスキアがマフダの物入れから見事に見つけ出して朝食の場に持って来てしまった、特別な嗅覚を持っているのかそれとも毎朝そうやってマフダの物入れを漁っているのかは分らない、マフダは朝であるにも関わらずサスキアを怒鳴りつけてしまったのであるが、それがいけなかった、寝ぼけ眼の姉達がなんだなんだと話しに加わり、挙句親父までもが首を突っ込む、こうなると肖像画を見せなければならなくなり、マフダは渋々と説明せざるを得なかった、すると、サスキアは泣きそうな顔であったが、姉達が急にサスキアを庇ってマフダを攻め、親父もまた肖像画を見つめてこれは良いなと首を捻る、そしてなんだかんだでこうである、

「まっ、いいじゃない、商売よ商売、あんたに出せなんて言わないからー、どうせ出世しないだろうしねー」

ヒセラがニヤリとマフダをからかう、

「当たり前だよ、もー」

マフダは憤慨して頬を膨らませた、見ればニコリーネの前には見事なすまし顔のフィロメナが座っており、ニコリーネはニコリーネでいつも通りに真剣な瞳で画版に向かっている、

「あー、ニコリーネさん、御免ねー、うるさくしちゃってー」

マフダがすまなそうに声を掛けるが、マフダは集中している為にまるで無視である、マフダは何とも居た堪れなくなってしまい、

「うー、せめてちゃんと並んで、ニコリーネさんの邪魔しないで」

と姉達を睨みつけた、

「はいはい、仕方ないなー、ほれあんたら固まらないでー」

「はーい」

マフダに対しては舐め切っている姉達であるが、ヒセラの言う事は素直に聞くようにしている、せめて通行人の邪魔にはならないようにと街路の端に列を作った、しかし、

「マフダー、ドーナッツー」

「マフダー、あの甘いのなんだっけー」

「マフダー、のどかわいたー」

妹三人はマフダにまとわりついて離れない、なんのかんの言ってもこの三人はマフダに一番懐いている、他の姉達とは歳が離れているのもあるが、皆夜職ということもあり、どうしても昼は精彩が無い、まともに相手をしてくれるのは昼職であるマフダしかいなかった、そのマフダもここ最近は商会の仕事で忙しく妹達の相手をしてやっていない、妹達は事情を良く分かっていない事も手伝って遠慮なくマフダに甘え始めている、

「はいはい、ヒセラねーさん、お金頂戴、何か買ってあげるから」

「えー、私が出すの?」

「連れて来たのはそっちでしょー」

「何よー、それくらいは出しなさいよ」

「むきゃー、妹にたかるなー」

「何よ、人聞き悪いわねー」

「事実でしょー」

「もう、あんなに可愛かったマフダが口答えするなんて、ねーさん悲しいわー」

「そういうのいいから」

「はいはい、次はー」

そこへ、フィロメナが紙片を持って振り返った、なんとも嬉しそうな、恥ずかしそうな、内から湧き上がる喜びを抑えられない薄ら笑いを浮かべている、

「ありゃ、もう終わったの?」

ヒセラと姉達があっという間に集まってくる、折角の行列が台無しであった、

「ふふっ、うふふ、うん、良い感じだと思うけど、どうかしら」

フィロメナがどうだばかりに肖像画を見せびらかす、

「わっ、フィロメナねーさんだ・・・」

「うん、綺麗だねー」

「可愛くない?」

「綺麗で可愛いね」

「見せてー」

「見せてー」

「見たいー」

妹達もマフダの足元を離れてピョンピョン飛び跳ねる、

「もう」

マフダがどうしたものかとさらにその顔を赤くし、ニコリーネは心底嬉しそうにその集団を見つめている、その街路を挟んだ反対側では、

「この管が肝ってやつですね・・・」

「うん、作れるか?」

「大丈夫です、径は他の配管と一緒でいいです?」

「良いと思う・・・これ旨いな・・・」

「でしょー、ミナのおススメなのー」

「そうなのか?」

「リンゴのが好きー、レインはカスタードなのー、ねー」

「うむ、カスタードは良いぞ・・・うん」

店舗と寮の間の腰かけにミナをくっ付けたタロウとブラス、レインが座って話し込んでいる、とは言っても話し込んでいるのはタロウとブラスで、ミナとレインはドーナッツを頬張っており、ブラスはソーダ水、タロウはなんと全種類を一個ずつ買い込んで味を確かめていた、

「だから、それな、一回作ってみてどう水が流れるかを確認した方がいいな」

ドーナッツを口に突っ込みながらタロウはブラスの手元にある黒板を覗き込む、黒板には先ほど現場を見ながらタロウが指摘した改善点が書き込まれていた、ブラスは当初何を今更と難しい顔であったが、次々と指摘されるそれらに段々と興味が湧き始め、どうやらタロウという人は建築関係の知識もとんでもないぞと慌てて黒板を持ち出して最初から聞き直したのである、特に水回りに関する指摘が多かった、一階の風呂場に関してはブラスも正直初めて作った部屋であり、こんなもんだろうという妥協もあったのであるが、タロウの指摘は微に入り細を穿って水場を建物の中に入れ込むという点での知見に溢れたもので、さらに二階や三階の明り取り等も理にかなったものである、その上、構造的な部分に関してはちゃんとブラスの意見を確認しながらと職人を尊重しており、部下の二人も手を動かしながら聞いていたのであるが、その配慮は職人達の矜持をくすぐるほどに嬉しいものであった、

「でも、これだけでそんなに違います?、それになんか逆流しそうで怖いですよ」

そして、ここで議題に上がっているのが配管である、タロウは現場のみならず図面と実際に使う予定の銅管や地下から発掘されて再現された止水栓を手にして、これでは足りないとはっきりと言い切った、その上での改善案である、

「違うな、何より匂いが違う、下水道や下水用の配管はどうしようなく汚れるし臭いんだ、そうなると、その配管からその匂いが昇ってくる、ただ今回は浄化槽が未知数だから・・・うん・・・そっちも一工夫しないとだな、それとは別で、配管に関してはそれ自体が長いからな、やらないと地獄だぞ・・・」

「地獄って・・・そんなに酷いです?」

「酷いぞ、第一、あれだろ、帝国の資料とやらはまだ読んでないが、そっちでは水を流しっぱなしだったんだろ?」

「はい、そうですね」

ブラスは読んでないという割には随分と詳しいなと目をむいた、

「なら、いいんだよ、水が流れている限りは配管内は汚水で満たされているから匂いが戻ることもないと思う、これは経験してないからだけどさ」

「・・・そういう事ですか・・・」

「うん、だから帝国時代の配管はまっすぐで単純で良かったんだな・・・逆にそうでないと駄目だったんだろうな、たぶんだけどさ」

「なるほど・・・分かりました」

ブラスは黒板のタロウの図示した配管に大きく丸印を示した、それは何とも奇妙な形である、一本の配管をわざわざ二度折り返した無駄とも思える造形であった、

「で、これのさらに重要な点が・・・いや、これは実際にやってみないと分らんだろうな・・・出来たら実験には立ち会うよ、多分びっくりすると思う」

「そんなにですか?」

「うん、俺もこの構造を知った時にはへーって思ったもん、水の制御?性質っていうのかな興味深いと思うぞ」

「それはまた・・・」

「だから・・・そうだな、実験段階のやつはこの上にあたる部分は短くていい、代わりに折り返しの部分を長めに作ってくれ、管の接続はどうやってる?」

「はい、銅管ですからね、布をはめ込んでタールで目止めかなって思ってました」

「・・・それしかないか・・・」

「そうですね」

「じゃ、ついでになんだが、浄化槽の建屋だな、やっぱり壁はなくてもいいかもしらん」

「そうなんですか?」

計画では浄化槽には建屋として悪戯防止の為と作業を考慮して倉庫のような建物を予定していた、しかしタロウの持つ浄化槽の形は地面に埋まったそれである、故に壁は邪魔になると指摘し、空間が広いと逆にそれだけ苦痛になるかもしれないとも指摘していた、汚物のガスが溜まるであろうからである、

「うん、さっきも言ったが匂いもだが、スライムとヒトデと貝?」

「シジミですね」

「うん、それらの処理能力がどの程度かが分らんのだが・・・うーん、難しいがこれも最悪の状況を想定した方が良いな、実験的なのは分かるが・・・うん、だから、作業を考慮して壁は取っ払って、片屋根にしてしまおう、で、作業の際にはそれをこう大きく開ける感じかな?なんぼでも建屋の空間は狭い方がいいと思う」

「なるほど・・・そこまで考えてませんでしたね」

「うん、でだ、一段下がっているのは良いな、あれで作業空間は確保出来ているだろうし・・・そっか、魔法石がどうのとも言っていたな、板を取り出せるように・・・一枚板は止めて分割して取り出せるようには出来るか?」

「可能かと思いますが・・・仕切り板は木の予定ですから、水を吸ったらそれこそ膨れますよ、さっきのガラス鏡の話しと同じで、分割すればそれだけ嵌ってしまって動かなくなるかも・・・一枚板でも同じですけどね」

「そうだよなー・・・まぁ、あれは中で生き物同士がくっつかなければそれで良さそうだし、流れを考えても・・・まぁ、いいか、これも実験だな、そのままでいいか、で、後は・・・煙突も必要だな」

「煙突ですか?火を焚くんですか?」

「いや、これも匂い対策、匂いは上に昇る性質があるんだよ、正確に言えばガスだな」

「あー、それは分かります」

「良かった、だから、煙突・・・うん、臭気筒って呼ぶんだが、それでできれば空気を上に吸い上げたいんだよ」

「シュウキトウ・・・はい、シュウキトウですね、で吸い上げる・・・吸い上げる?」

ブラスは白墨を鳴らしながらタロウを見上げた、

「うん、その仕組みは難しいだろうな・・・簡単な風車かな?うん、これはちょっと考えておくよ、別で実験しよう」

「はい、お願いします」

「他には・・・」

タロウはドーナッツを口に放り込んで黒板を凝視する、そこへ、

「あっ、こっちか?」

ユーリがヒョイと内庭の塀を開けて顔を出した、

「なんだ?」

タロウが顔を上げると、

「あんたじゃなくてブラスさんよ」

ユーリがフラリと近寄り、

「ブラスさんね、明日の午後にエーリク先生と学園長が来るから現地説明お願いね」

「あっ、はい、分かりました」

ブラスは簡単に答えるが、

「えっ、明日?」

「そうよー、早いほうがいいでしょ」

「そうですけど・・・すいません・・・うーん・・・タロウさん御一緒お願いできます?」

「いいが・・・何の話だ?」

「改築の件なんです、その・・・今日御指摘頂いた件も含めて説明が必要になるかなと・・・思いまして」

「あらっ、あんたなんか言ったの?」

「うん、目につく限りな」

「・・・言い過ぎてないでしょうねー」

ユーリが露骨に眉根を顰める、

「いや、ユーリ先生、これは凄いです、と思います、是非やりたいですね」

ブラスは若干疲れた顔であったが、その目は真剣であった、

「あら・・・そんなに?」

「はい、あのまま工事を進めたらちょっと酷い事になっていたかもしれないです」

「えっ・・・あんた、何言ったの?」

「便利にした感じ?」

タロウは適当に答えてドーナッツに手を伸ばす、しかし、そこにはあるはずのそれが無い、ありゃ?と振り向くとトレーには何も乗ってなかった、

「あー、レインか?」

「何がじゃ?」

見ればレインは幾つめか分らないドーナッツを口にしており、

「ミナか?」

「何がー」

ミナもモグモグと口を動かしとぼけている、

「俺のドーナッツ」

「知らん」

「うん、知らん」

「このガキャー」

「食べないタロウが悪いのじゃ」

「そうだそうだ、温かいうちに食べるのが美味しいのー」

「なにー」

急に我が子と喧嘩を始めるタロウに、ブラスとユーリは何をやっているのかと呆れ顔となるのであった。
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