680 / 1,445
本編
61話 計略と唄う妖鳥 その2
しおりを挟む
丁度その頃イフナースの屋敷である、一階ではガラス鏡店の営業が始まりテラ達が静かにそして落ち着いて歓迎と商談の準備を始め、厨房では珍しい事にリーニーとマフダの姿があった、二人はミーンとティルが昨日したためた黒板を手にして、
「分かりづらい・・・」
「うん、ちょっとダメダメ?・・・」
渋い顔で厳しい言葉である、
「これからまとめる所だったんですよ」
「そうなんです、だから、手加減願います」
ティルはムスっと答え、ミーンは何とも困った顔である、二人が手にした黒板にはタロウ曰くのミズアメの製法が書かれていた、しかし、昨日は突然始まったことでもあり、黒板の記録はまとまりのない雑多な乱文になっており、今日これから記録と記憶を突き合わせつつ報告書に清書する予定であったのである、
「そっか、ごめんね」
「でも、やっぱり分量が欲しいよね」
「そうだねー、カトカさんはそこが一番大事って言ってるしね」
「カトカさんはだって・・・」
「カトカさんはねー、なんか違うよねー」
「うん、あの人は別格だよね」
「そうそう、視界に入るとこう、思わず見つめちゃうよね」
「わかるそれー」
「私もー」
と随分と主題とはズレた所で盛り上がってしまった、リーニーとマフダは出勤早々にエレインから屋敷に行ってミーンとティルを手伝うようにと言われ、また何か問題でも発生したかと急いで屋敷に駆けて来たのであるが、ティルから事情を聞いてそういう事かと安堵したのである、そして、件のミズアメなるものの製法を記した黒板を確認したのであるが、それはまとめる前とは言え分量に関しては適当で、大した内容でもない、ようは小麦粉を煮てカブの絞り汁を混ぜただけである、
「でも、これでそんなに美味しいものができるの?」
マフダが話題を修正した、
「はい、それはもう、あれです、癖の無い・・・いや、若干カブの味はあるんですが、すっきりとした甘い蜜になります」
「あっ、ティルさんは食べたんだ、いいなー」
「ねー、ミーンさん帰っちゃったからね」
「そうなんだよー、昨日ほど地元民である事を恨んだことは無かったわ・・・」
「そこまで?」
「だって、ねー、ソフィアさんも知らない料理だって言うし、タロウさんも初めて作るって言うし、そこまで言われたら・・・期待しちゃうじゃない」
「タロウさんってソフィアさんの旦那さん?」
「そうよ、二人は会ってない?」
「遠目に見ただけかなー、ミナちゃんを肩に乗せてドーナッツいっぱい食べてたよ」
「あっ、それ私も見た、あの人だよね、変な服装の」
「そうそう、その人ですよ」
「へー、やっぱりあの人がソフィアさんの旦那さんなんだ・・・いたんだね」
「マフダさんそれ失礼よ」
「だって・・・話しでしか聞いてないし・・・」
「そりゃそうだけど、どんな感じの人なの?」
「どんな感じ・・・」
「そう聞かれると困るけど・・・」
「良い人みたいよ、ミナちゃんには激甘なの、ほっといたもんだからミナちゃんギャンギャン泣いててね」
「そうそう、で、戻って来たらピタッと泣き止んで、泣いてないって、真っ赤な顔でね」
「うん、ミナちゃん可愛いよねー」
「ねー」
「へー、なんか想像できるな・・・」
「そだねー」
と再び話題が逸脱する、どうしても同年代の女性が集まると手よりも仕事よりも雑談に花が咲いてしまう、さらに言えばリーニーとマフダは慣れない環境に身を置いているために若干はしゃいでもいた、朝一で何か問題があったかと緊張して走ってきたら、料理を手伝えとの事であった為、その落差から来る精神的解放感も手伝っているのであろう、
「ま、いいや、じゃ、どうしようか、昨日の分量って分かる?」
今度はリーニーが話題を修正した、
「はい、小麦粉はボールに半分くらいでしたから、それとカブは中くらいのが一つですね、ミナちゃんが切れるくらいなので、もう少し小振りかな?」
「そっか、じゃ、取り合えず目分量で作るしかないか、それでも計量は必要だよね・・・秤ってあります?」
「ありますよ、本格的ですね」
「そりゃもう、だってお仕事だしね」
「そうだよね、でね、タロウさんが言ってたんだけど、まず昨日の分量はあくまでお試しらしくて、昨日の感じだとカブの量を増やした方がいいかもって事と、煮詰める時にはゆっくりと時間を掛けた方がいいなって事でした」
「なるほど・・・となると、さっきの分量もある意味で適当?」
「そうみたいです、だって、タロウさんも初めて作るんですから、そのくせしっかり計れって言っておいて適当だったなー」
「そういうもんでしょ、じゃ、どうしようか、材料は安いとは思いたくないけど安いよね」
「うん、分量を変えて4・・・5多いかな取り合えず3つくらいかな?小麦粉は同量にしてカブの方で調整しようか」
「そだねー」
リーニーとマフダはもうだいぶ料理の試作という行為については慣れてきていた、やわらかクリームの試作も経験し、材料も大事だがその分量によって結果が大きく異なることも身に染みている、そしてなによりこの化学的な着手方法は錬金学科出身のリーニーの面目躍如でもある、
「はい、すいません、お願いします、私たちも報告書をまとめたら手伝います、あっ、チーズケーキも用意しないと」
「こっちの仕事もありますよね、では、上手い事やりましょう、取り合えず材料と道具はどれを使えばいいです?」
「用意しますね」
ティルがバタバタと動き始め、ミーンが秤を持ち出す、リーニーとマフダはさてとと腕まくりをするのであった。
その頃同屋敷の二階である、本来食堂としての役割を与えられたその部屋は、一階の忙しさと柔らかさとは大きく異なり、厳めしい顔が厳めしい表情で居並んだ挙句、皆が黙しているものだからさらに陰鬱として沈殿し緊張で張り詰めていた、メイドが二人音も無く茶の給仕に動いているが流石王族に使えるメイドである、一切の物音が無く、澱んだ空気がただかき混ぜられている、その末席を汚す事になった学園長と事務長は一体何事が始まるのかとその身を固くしており、その隣のユーリもまたどうやら本格的に厄介な事に巻き込まれたと額に皺を寄せる、タロウが絡むとこれだからとユーリは内心で溜息を吐いた、ソフィアとタロウと共に酒を呑んだ夜、少しばかりであったがタロウがどこを放浪してきたかは聞き出している、一月ほど魔族の大陸に渡り、その後王国の周辺国家を回ってきたとあっさりとタロウは説明したのであるが、それもどこまで真実かはユーリには分らない、何せタロウは妙に秘密主義的なところがある、それは冒険者時代からそうであった、大事な事はそれを必要とする人間か、それを知るべき立場の者にしか打ち明けないのである、その態度に随分と舐められたものだと腹を立てたこともあるのだが、今思えばそれが一番被害者を少なくする方法であり、その情報が機密であればそれを守りきる一番の方策であると思える、つまりタロウは今回恐らくであるが、最も大事な件をクロノスには伝えたのであろう、それが巡り巡ってこうなっている、ユーリが思うに最も最悪な事態は魔族軍の再侵攻であり、次に恐れるべきは他国の侵略であろうか、集められた面々は軍人が多く、かの大戦やクロノスの居城で仕事をしていた際に見かけた顔もある、名前までは覚えていないが、国王陛下と同席を許されるほどの高位役職者である事は確実であった、
「こういう席は慣れませんな・・・」
事務長がボソリと呟いた、
「まったくです」
ユーリもボソリと答える、
「軍人でない者には何とも・・・どのような顔をしていれば良いかも分かりかねます」
「そうですね」
「ユーリ先生であれば慣れていらっしゃるでしょう」
「それは買い被りというものです」
「そうですか?」
「はい、私は冒険者であって、軍人であった事はありませんから・・・」
「それもそうですか・・・」
ボソリボソリと二人は詮無い事を呟き合う、学園長が、
「落ち着かんもんじゃな・・・」
とさらに小声で同意を口にしたその瞬間、扉が大きく開き従者の一人が一歩進み出ると、
「国王陛下の御成りです、総員起立願います」
良く通る声が室内に響き渡る、続いてガタガタと椅子が鳴り次々と偉丈夫達が腰を上げる、ユーリ達もまたそれに倣って腰を上げ背筋を伸ばして正面を注視する、
「総員起立感謝致します、国王陛下御成りです」
再び良く通る声が響き、従者が横へ避けるとボニファースその人が紫のローブをまとってノシノシと入ってくる、その後ろにはクロノス、さらに第一ブラッケン軍団軍団長アンドリース、第二クレーフェルト軍団軍団長メインデルトが続く、そして、あからさまに場違いなタロウが最後尾に困惑した顔で付き従っていた、ユーリは正面へ視線を向けながらも視界の端でその様をとらえており、思わずタロウを凝視してしまう、すぐに視線を戻したのであるが、あまりに場違いなその風体に少しは考えろとその内心で毒づいてしまった、
「皆、忙しい所すまんな、今日は緊急かつ重大な問題が提起された為集まって貰った、対応如何によっては国の命運をも左右する事態である、発言を許された者、促された者は忌憚なくその考えを表明して欲しい」
上座に設えられたテーブルを前にしてボニファースは参加者を見渡す、ユーリはなるほど国王の本当の威厳はやっぱり違うなー、あの紫のローブのせいかしら等と考えてしまい、その考えが表に出ていなければいいなとその顔を強張らせた、
「では、着席を、進行を頼む」
ボニファースはゆっくりと腰を下ろし、それを確認してクロノスらも席に着いた、上座にはボニファースが座りその両翼に二人の軍団長、右手には文官であろうか軍人とは思えない数人とロキュスの姿がある、対して左側にはクロノスとタロウが腰を下ろした、タロウは何とも困った顔で立ち尽くしており、クロノスがその裾を引っ張って座らせたのは御愛嬌というものであろうか、上座を締める面々が座ったのを確認し、下座の参加者はゆっくりと腰を下ろす、こうして御前会議が粛々と始まったのであった。
「分かりづらい・・・」
「うん、ちょっとダメダメ?・・・」
渋い顔で厳しい言葉である、
「これからまとめる所だったんですよ」
「そうなんです、だから、手加減願います」
ティルはムスっと答え、ミーンは何とも困った顔である、二人が手にした黒板にはタロウ曰くのミズアメの製法が書かれていた、しかし、昨日は突然始まったことでもあり、黒板の記録はまとまりのない雑多な乱文になっており、今日これから記録と記憶を突き合わせつつ報告書に清書する予定であったのである、
「そっか、ごめんね」
「でも、やっぱり分量が欲しいよね」
「そうだねー、カトカさんはそこが一番大事って言ってるしね」
「カトカさんはだって・・・」
「カトカさんはねー、なんか違うよねー」
「うん、あの人は別格だよね」
「そうそう、視界に入るとこう、思わず見つめちゃうよね」
「わかるそれー」
「私もー」
と随分と主題とはズレた所で盛り上がってしまった、リーニーとマフダは出勤早々にエレインから屋敷に行ってミーンとティルを手伝うようにと言われ、また何か問題でも発生したかと急いで屋敷に駆けて来たのであるが、ティルから事情を聞いてそういう事かと安堵したのである、そして、件のミズアメなるものの製法を記した黒板を確認したのであるが、それはまとめる前とは言え分量に関しては適当で、大した内容でもない、ようは小麦粉を煮てカブの絞り汁を混ぜただけである、
「でも、これでそんなに美味しいものができるの?」
マフダが話題を修正した、
「はい、それはもう、あれです、癖の無い・・・いや、若干カブの味はあるんですが、すっきりとした甘い蜜になります」
「あっ、ティルさんは食べたんだ、いいなー」
「ねー、ミーンさん帰っちゃったからね」
「そうなんだよー、昨日ほど地元民である事を恨んだことは無かったわ・・・」
「そこまで?」
「だって、ねー、ソフィアさんも知らない料理だって言うし、タロウさんも初めて作るって言うし、そこまで言われたら・・・期待しちゃうじゃない」
「タロウさんってソフィアさんの旦那さん?」
「そうよ、二人は会ってない?」
「遠目に見ただけかなー、ミナちゃんを肩に乗せてドーナッツいっぱい食べてたよ」
「あっ、それ私も見た、あの人だよね、変な服装の」
「そうそう、その人ですよ」
「へー、やっぱりあの人がソフィアさんの旦那さんなんだ・・・いたんだね」
「マフダさんそれ失礼よ」
「だって・・・話しでしか聞いてないし・・・」
「そりゃそうだけど、どんな感じの人なの?」
「どんな感じ・・・」
「そう聞かれると困るけど・・・」
「良い人みたいよ、ミナちゃんには激甘なの、ほっといたもんだからミナちゃんギャンギャン泣いててね」
「そうそう、で、戻って来たらピタッと泣き止んで、泣いてないって、真っ赤な顔でね」
「うん、ミナちゃん可愛いよねー」
「ねー」
「へー、なんか想像できるな・・・」
「そだねー」
と再び話題が逸脱する、どうしても同年代の女性が集まると手よりも仕事よりも雑談に花が咲いてしまう、さらに言えばリーニーとマフダは慣れない環境に身を置いているために若干はしゃいでもいた、朝一で何か問題があったかと緊張して走ってきたら、料理を手伝えとの事であった為、その落差から来る精神的解放感も手伝っているのであろう、
「ま、いいや、じゃ、どうしようか、昨日の分量って分かる?」
今度はリーニーが話題を修正した、
「はい、小麦粉はボールに半分くらいでしたから、それとカブは中くらいのが一つですね、ミナちゃんが切れるくらいなので、もう少し小振りかな?」
「そっか、じゃ、取り合えず目分量で作るしかないか、それでも計量は必要だよね・・・秤ってあります?」
「ありますよ、本格的ですね」
「そりゃもう、だってお仕事だしね」
「そうだよね、でね、タロウさんが言ってたんだけど、まず昨日の分量はあくまでお試しらしくて、昨日の感じだとカブの量を増やした方がいいかもって事と、煮詰める時にはゆっくりと時間を掛けた方がいいなって事でした」
「なるほど・・・となると、さっきの分量もある意味で適当?」
「そうみたいです、だって、タロウさんも初めて作るんですから、そのくせしっかり計れって言っておいて適当だったなー」
「そういうもんでしょ、じゃ、どうしようか、材料は安いとは思いたくないけど安いよね」
「うん、分量を変えて4・・・5多いかな取り合えず3つくらいかな?小麦粉は同量にしてカブの方で調整しようか」
「そだねー」
リーニーとマフダはもうだいぶ料理の試作という行為については慣れてきていた、やわらかクリームの試作も経験し、材料も大事だがその分量によって結果が大きく異なることも身に染みている、そしてなによりこの化学的な着手方法は錬金学科出身のリーニーの面目躍如でもある、
「はい、すいません、お願いします、私たちも報告書をまとめたら手伝います、あっ、チーズケーキも用意しないと」
「こっちの仕事もありますよね、では、上手い事やりましょう、取り合えず材料と道具はどれを使えばいいです?」
「用意しますね」
ティルがバタバタと動き始め、ミーンが秤を持ち出す、リーニーとマフダはさてとと腕まくりをするのであった。
その頃同屋敷の二階である、本来食堂としての役割を与えられたその部屋は、一階の忙しさと柔らかさとは大きく異なり、厳めしい顔が厳めしい表情で居並んだ挙句、皆が黙しているものだからさらに陰鬱として沈殿し緊張で張り詰めていた、メイドが二人音も無く茶の給仕に動いているが流石王族に使えるメイドである、一切の物音が無く、澱んだ空気がただかき混ぜられている、その末席を汚す事になった学園長と事務長は一体何事が始まるのかとその身を固くしており、その隣のユーリもまたどうやら本格的に厄介な事に巻き込まれたと額に皺を寄せる、タロウが絡むとこれだからとユーリは内心で溜息を吐いた、ソフィアとタロウと共に酒を呑んだ夜、少しばかりであったがタロウがどこを放浪してきたかは聞き出している、一月ほど魔族の大陸に渡り、その後王国の周辺国家を回ってきたとあっさりとタロウは説明したのであるが、それもどこまで真実かはユーリには分らない、何せタロウは妙に秘密主義的なところがある、それは冒険者時代からそうであった、大事な事はそれを必要とする人間か、それを知るべき立場の者にしか打ち明けないのである、その態度に随分と舐められたものだと腹を立てたこともあるのだが、今思えばそれが一番被害者を少なくする方法であり、その情報が機密であればそれを守りきる一番の方策であると思える、つまりタロウは今回恐らくであるが、最も大事な件をクロノスには伝えたのであろう、それが巡り巡ってこうなっている、ユーリが思うに最も最悪な事態は魔族軍の再侵攻であり、次に恐れるべきは他国の侵略であろうか、集められた面々は軍人が多く、かの大戦やクロノスの居城で仕事をしていた際に見かけた顔もある、名前までは覚えていないが、国王陛下と同席を許されるほどの高位役職者である事は確実であった、
「こういう席は慣れませんな・・・」
事務長がボソリと呟いた、
「まったくです」
ユーリもボソリと答える、
「軍人でない者には何とも・・・どのような顔をしていれば良いかも分かりかねます」
「そうですね」
「ユーリ先生であれば慣れていらっしゃるでしょう」
「それは買い被りというものです」
「そうですか?」
「はい、私は冒険者であって、軍人であった事はありませんから・・・」
「それもそうですか・・・」
ボソリボソリと二人は詮無い事を呟き合う、学園長が、
「落ち着かんもんじゃな・・・」
とさらに小声で同意を口にしたその瞬間、扉が大きく開き従者の一人が一歩進み出ると、
「国王陛下の御成りです、総員起立願います」
良く通る声が室内に響き渡る、続いてガタガタと椅子が鳴り次々と偉丈夫達が腰を上げる、ユーリ達もまたそれに倣って腰を上げ背筋を伸ばして正面を注視する、
「総員起立感謝致します、国王陛下御成りです」
再び良く通る声が響き、従者が横へ避けるとボニファースその人が紫のローブをまとってノシノシと入ってくる、その後ろにはクロノス、さらに第一ブラッケン軍団軍団長アンドリース、第二クレーフェルト軍団軍団長メインデルトが続く、そして、あからさまに場違いなタロウが最後尾に困惑した顔で付き従っていた、ユーリは正面へ視線を向けながらも視界の端でその様をとらえており、思わずタロウを凝視してしまう、すぐに視線を戻したのであるが、あまりに場違いなその風体に少しは考えろとその内心で毒づいてしまった、
「皆、忙しい所すまんな、今日は緊急かつ重大な問題が提起された為集まって貰った、対応如何によっては国の命運をも左右する事態である、発言を許された者、促された者は忌憚なくその考えを表明して欲しい」
上座に設えられたテーブルを前にしてボニファースは参加者を見渡す、ユーリはなるほど国王の本当の威厳はやっぱり違うなー、あの紫のローブのせいかしら等と考えてしまい、その考えが表に出ていなければいいなとその顔を強張らせた、
「では、着席を、進行を頼む」
ボニファースはゆっくりと腰を下ろし、それを確認してクロノスらも席に着いた、上座にはボニファースが座りその両翼に二人の軍団長、右手には文官であろうか軍人とは思えない数人とロキュスの姿がある、対して左側にはクロノスとタロウが腰を下ろした、タロウは何とも困った顔で立ち尽くしており、クロノスがその裾を引っ張って座らせたのは御愛嬌というものであろうか、上座を締める面々が座ったのを確認し、下座の参加者はゆっくりと腰を下ろす、こうして御前会議が粛々と始まったのであった。
1
あなたにおすすめの小説
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?
ばふぉりん
ファンタジー
中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!
「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる