セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

文字の大きさ
718 / 1,445
本編

63話 荒野の果てには その3

しおりを挟む
「リンドはどうだ?」

クロノスが次に腹心へ発言を求める、リンドは少し悩むと、

「はい、私も取り合えずはタロウ殿の意見に賛同致します」

と静かに答え、

「理由としましては、ルーツ殿の意見が尤もである事と、勘ですね」

と続けた、

「勘?」

「はい、ルーツ殿の観察に付け加えるとすればこの気候でしょうか、北ヘルデルは既に冬です、ヘルデルもだいぶ寒くなっているとの事でしたが、こちらはモニケンダムとほぼ同じ程度に暖かい・・・暖かいは言い過ぎですがね、少なくとも寒いと悲鳴を上げる程ではありません、少々風が強いと思いますが・・・」

「それだけか?」

「現状では、できればその要塞内を見学したいと思いますが、難しいでしょうな」

リンドがニコリとタロウを伺う、

「そうですね、私としてもそれが一番手っ取り早いとも思ったのですが・・・流石に言葉も通じない商人が自由に出入りできる所では無いですね」

「待て、ではお前はどうやって中を見て来たのだ?」

メインデルトが食って掛かる、

「・・・そうですね、幾らでもやりようはあるもので・・・その辺は俺よりもルーツの方が得意ですよ」

と何故かルーツに押し付けた、

「おいおい、それを俺に教えたのはお前だろうが」

これにはルーツも非難せざるを得ない、

「そうか?まぁ、そういう感じでやりようはあると、御味方とは言え手の内は隠すものです」

ニコリとタロウは微笑むも、メインデルトとエメリンスはいよいよ怪しいと眉を顰める、

「タロウ、物言いには気を付けてくれ、メインデルトもエメリンスも国の重鎮だ、からかう様な口を使うな」

クロノスが抑えに回り、タロウはそうですね失礼しましたと再びニコリと笑顔で会釈する、

「・・・まったく・・・お前は把握しているんだろうな」

メインデルトがクロノスを睨む、

「それはある程度、かつてはタロウとルーツのその技術でもって魔王の居場所を特定して討ち取ることが出来たのです、戦場に於いては特に有効で、平時であっても有効ですよ、はっきり言いますがルーツのお陰でヘルデルやモニケンダム、マーメールの各都市からの情報が逐次入っております、軍団長も目にしていると思いますが」

「なに・・・そうか、あの定期連絡はお前の仕事か・・・」

今度はルーツを睨むメインデルトである、

「へへ、有効活用頂ければ幸い、今のところは表立った動きはありませんがね」

ルーツがニヤリと微笑む、マーメールとは地方名である、ヘルデルと同じようにかつては王国と正面切って争いその傘下に落ちた地方であった、ヘルデルとの違いはかつての支配者が公爵に任じられる事無く一族郎党処刑された事であろうか、以後その地は表面上は王国の都市として安定した統治下にあるのであるが、独立の機運が高くそれは為政者よりも平民に顕著であった、

「そういう事か、これがお前の言っていたカゲとか言うやつか?」

「いや、これはまだ情報を集めているだけの枝葉・・・のようなものでね、まぁ、貴方には話しても良いかと思うが・・・」

とクロノスは一瞬悩み、

「うん・・・その情報にしろ、その収集手法にしろ、それをどう活かすかにしろ、それを教えてくれたのがタロウなんですよ」

「ナニ?」

メインデルトとエメリンスがタロウを睨みつける、タロウは何もここで話すことではないだろうと、口をへの字に曲げた、

「ですので、カゲに関してはまだこれからなんですが、情報の重要性に関しては各軍団長皆に重要視されていると思います、いや、そうなっていると思っておりますが・・・そうなって欲しい・・・かな?まっ、取り合えず今後考えるべきはその取り扱いと、どこまで何をどうするか、そして、どう活かすか・・・でね、これは陛下とも時折話しておりますし、ルーツ個人に頼るべきではないとも思いますので、難しい所です」

「大将、それを俺が居る前で言うのかよ」

ルーツがニヤリと微笑む、

「何度も言っているだろう、だから、ヒデオンにしろモーゼスにしろ有能な奴を任せているのだ」

「それはそうだがよ、結局ほれ・・・」

「ここでする話しではないですな」

ルーツの言葉を遮りリンドが柔らかく二人を諫めた、確かにとクロノスとルーツは押し黙る、しかしメインデルトとエメリンスは納得していない様子であった、

「この話しは別の席でゆっくりと、陛下も御存知の上での事であります、王国に仇なすものでは無い事だけは御理解下さい」

リンドがメインデルトとエメリンスに諭すように告げる、二人も陛下の名を出されては黙るしかなく、まして、リンドも把握しているのであればクロノスの暴走によるもので無い事は理解できた、

「分った・・・しかし、説明はあるのであろうな」

「はい、いずれは公になるかと、しかし、そうすることで混乱する事も考えられます、なので当分は知るべき者は限られる事を御理解下さい」

リンドの冷静な言葉にメインデルトは頷くしかなかった、

「では、ここはこんなものかな?」

クロノスが収まったようだと周囲を改めて見渡す、

「皆さんが良ければ、この高台を見つけるのも一苦労だったのですよ、中々に素晴らしい景観でしょ」

タロウがやれやれと要塞へ視線を移す、実際にタロウは昨晩要塞を一望出来る場所を探して暗闇の中をウロウロと散策したのだ、転送陣を設置した巨大な岩塊を見つけた時はこれだと歓喜し、眺望も素晴らしいこの場所はまさに景勝地と呼ぶにふさわしいと自画自賛していたりもする、

「何を呑気に」

「そりゃだって、折角ここまで足を運んでもらったんだぞ、楽しまないとさ」

「遊びじゃないんだぞ」

「半分遊びだよ、少なくとも今の俺達は仕事半分観光半分の商人一行だ、紛れる為にも楽しまないとな」

「違いねぇ」

ルーツがアッハッハと笑い、クロノスは笑いごとかと叱責する、その三人独特のやり取りにメインデルト達は何とも困った顔にならざるを得なかった。



「ここがノーバ・バネフィシア、訳すと新たな祝福の街となるのかなと思います」

要塞から一度屋敷に戻ると一行はすぐさま次の転送陣を潜った、その先は荒野の果てに建設された街である、

「いよいよですなー」

学園長が楽しそうに微笑む、転送陣は街外れのボロ屋の納戸に設置されたらしく、大柄な者はやや窮屈な思いをして潜り抜けたのであるが、転送陣を隠し、怪しい一団が出入りする事を考えればその場所は大変に有効であると誰もが感じる、

「そうですね、では歩きながら説明致します」

タロウはまずはと街の中心部へ向う事とした、

「モニケンダムよりも、アルメレに近い感じかな?」

「そうですね、モニケンダムは農業が盛んであると聞いていますが、こちらはそれほどではないです、盛んになるとしてもこれからだと思います、森にしろ野原にしろ開墾が必要でしょう」

「その辺は兵士の力を借りないのか?」

「どうでしょう、この街も先程の要塞と同じで若い街です、その上、皇帝が作った街でもありまして、退役軍人を中心にして入植させたとも聞いております、なので、本当の意味でこれからの街なのだと思います、それこそモニケンダムに攻め入った後でも、王国との戦争が激しくなった後でも、この街は最前線として重要な拠点になるでしょう、なので、為政者としても力の入れ所を探っている状態だと思いますね」

「確かに、あまり前向きに捉えたくはないが、冷静に見れば要塞との中継点だからな、何をするにも重要な都市となるであろうな」

「そうなんです」

主にタロウと学園長があーだこーだと楽しそうに話し、他の面々はその会話を耳に入れながらキョロキョロと周囲を見渡して歩いていく、その街は街がいきなり存在し、その周囲に広がるべき田畑や牧場等が極端に少ないように見えた、これはタロウの説明そのままであり、今後開発されていくのであろうとクロノス達はボンヤリと考えてしまう、荒野とは違って森も雑草の茂る丘も見える、しっかりと開墾すれば良い畑になるであろう、それでも若干の農家らしい建物群はあり、一同が出て来たボロ屋を含めた一角から抜け出ると歩行者と荷車が行き交う街道に当たった、

「で、まずは、これが街道です、先ほどは遠目に見ましたが、何と言ったかな、36番シェザー街道ですね、確か」

タロウが若干うろ覚えでその街道を指差す、

「これは広いな・・・」

「確かに」

「作りも頑丈そうですね」

「うむ、それに、なんだ、人が歩く場所を分けているのか?街中でも無いのに?」

「そのようですな・・・素晴らしい」

一同はその広さに目をむいた、王国で敷設される街道の倍ほどもあり、馬車であれば四台は並んで走れる程に広い、さらに、歩行者用の通路が両端に設置されているようで、街道を歩く者と馬車とが完全に別れて通行している様子であった、王国においては王都であってもこれほどに広い街路は敷設されていない、

「名前の由来ですが、シェザーとは皇帝の意味になります、正確には皇帝とはシェザールとかシェザーレとか呼ぶんですが、こういった品名や街道名等に皇帝の名を冠する時はシェザーと短縮して使うようです」

「ほう、それは面白い」

「そうですね、で、36番目の皇帝が敷設した街路という意味になりまして、帝国では街路には出資者の名前を冠するのが普通なのですが、こういった辺境の街路には金を出す者がいなかったのでしょうね、そうすると発注者である皇帝の名が冠されます」

「ほうほう、するとあれか36本も辺境に向けて皇帝が金を出したという事か」

「そう考えて間違いは無いです、実際、帝都周辺や大きな街に繋がる街路はほぼ全て有力貴族とか高名な金持ちの名が付いてます、ま、いろいろと事情があると思いますが、それは歴史家の仕事なのでしょうね」

「じゃろうのう、いや、興味深い、実に興味深い」

学園長は満面の笑みで小躍りするように街道に足を踏み入れた、実に楽しそうである、

「しかし、ここまで広くする必要があるのか?」

クロノスが当然の疑問を口にする、

「広ければ広いだけ便利だろ」

ルーツが真っ直ぐに伸びる街路を眺めて感心している、実際にその街路は長くどこまでも直線で続いており、街の端から外を見る限り果てが無いようにすら感じる、

「だろうがさ、手間も金もかかるんだぞ」

「確かにな」

クロノスとメインデルトが渋い顔となる、王国で街道の敷設となると大仕事であった、兵を動かすだけで済めば良いが実際は資材の搬入から拠点の移動、それに伴う糧食の確保等々、軍団長としては何とも地味でめんどくさいだけの仕事なのである、

「そうですね、ですから出資者を募るのですよ、せめて金策だけでも楽になります」

「それだ、それでその出資者は何を得るのだ?」

「その名が永遠に残ります、恐らくですが帝国が滅びたとしても街道は残ります、こんな便利なもの壊す必要が無いですからね、そうなると恐らくそのままの名が使われるでしょう」

「それはまた・・・」

「そうなのかもしれんが・・・」

クロノスもメインデルトもその理屈にはそれで良いのかとしかめっ面になる、

「ま、あれです、それは副次的な効果でしてね、やはりあれです、街道に自分の名前や家門の名前、一族の名前とかが付けば誇らしいですし、領民としても嬉しいのではないですか?それとその経路についても口出し出来るでしょう、もう少し伸ばせとか、こっちの村を通せとか、地方としては街道のあるなしで流通が大きく変わりますからね、そういう意味で領地の活性化にもなります、もし商売をしているのであれば宣伝にもなります、なので、なんとか商会街道なんてのもありますよ、あくまで王国風に言うのであればですが」

「・・・なるほど、宣伝か・・・」

「なんとも・・・逞しい」

「まったくですな」

為政者達はフルフルと頭を振り、ルーツはそういうもんかと鼻で笑う、学園長は、

「いや、それこそ利と実を取る見事な策じゃ」

と楽しそうにはしゃぐのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?

ばふぉりん
ファンタジー
 中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!  「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」  「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」  これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。  <前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです> 注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。 (読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』

とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~ -第二部(11章~20章)追加しました- 【あらすじ】 「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」 王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。 彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。 追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった! 石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。 【主な登場人物】 ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。 ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。 アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。 リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。 ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。 【読みどころ】 「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...