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本編
69話 お風呂と戦場と その5
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正午を過ぎた頃合いでタロウが寮に戻ると、
「あー、やっと来たー」
ミナが寝台からタロウに飛び付き、
「おわっ、どした?」
タロウは慌ててミナを抱き抱えた、
「お帰りなさーい」
見れば食堂内には生徒達が揃っており、思い思いにダラダラとしている、
「あらっ、早いとは聞いてたけどホントに早いね」
タロウはニヤリと微笑む、
「はい、片付けはすぐに終わりましたー」
サレバが両腕を上げて嬉しそうである、今日は学園祭の後始末だけで放課となったらしいそれは昨日の時点でそう告知されている、学園祭そのものは正しく大成功で終わった、見物人からの評価も高く、本来の目的であったクロノスとカラミッドの邂逅も無事に終えている、それ自体の意義は薄くなっていたが、大衆の面前で状況を表明するには充分であったようで街中では王家との繋がりについて議論が巻き起こっているらしい、しかし学園ではそれ以上にクロノスとウルジュラの存在が大きかった、その正体を明かす前にクロノスはイフナースらと学園祭の出し物をあっちだこっちだと遊びまわっており、その対応をした生徒達は自慢気にその時の事を語り、また、ウルジュラ達王妃一行の対応をした者達も同様で、クロノスはその逞しさと常識離れした運動能力を、ウルジュラはその可愛らしさと天真爛漫な様子を誇張されて語られていた、まさにアイドル扱いであったのだ、
「そうか、じゃ、始めるか、ソフィアは?」
「いるわよー」
そこへヒョイと厨房からソフィアが顔を出す、
「おっ、じゃ、後は・・・ユーリと・・・エレインさんとテラさんは・・・仕事かな?」
「はい、先に済ませて下さいとの事でした」
オリビアが静かに答え、
「そっか、だよね、あっ、ニコリーネさんは?」
「お仕事ー、裏山ー、邪魔しちゃダメー」
ミナがタロウに抱きついたままキャーキャー喚いた、
「そっか、じゃ、その三人様は後回しでいいだろ、じゃ、ユーリを呼んできて・・・かな?」
「あっ、私行きます」
ルルがヒョイと腰を上げた、タロウがそのまま階段へ戻りかけたからで、気を利かせたのであろう、
「あっ、ごめんね、こっちは準備・・・大した事はないか・・・」
「そうね、しっかり頼むわよ」
ソフィアがニヤリと笑って席に着いた、
「そうか?」
「そうよ、いい、あんた達、難しくないけど大事な事だからね、ちゃんと聞く事」
ソフィアが急に説教口調で生徒達を見渡した、生徒達はソフィアがそこまで言うほどなのかと驚きつつもハーイと明るい返事が食堂を満たす、
「ん、じゃ、ミナもちゃんと聞く事」
「わかったー」
タロウはミナを床に下ろしてまずはと黒板に向かって何やら書き付け始めた、すぐにルルが研究所の四人と姿を現し、ミーンとティルも丁度来たところのようで、
「わっ、皆さんお揃いで早いですね」
とタロウと同じように軽く驚いている、
「あっ、ミーンさんとティルさんもさっさと座ってね、特にティルさんかな?責任重大だよー」
タロウがニヤリと振り返る、
「えっ、あっ、はい、頑張ります」
ティルはそう答えるしかなく、取り合えず愛用の黒板を取り出して席に着いた、
「では、座学はさっさとやってしまって、後はジャンケンだな」
タロウはポンポンと手を叩いて白墨の粉を落とすが、
「ジャンケン?」
「なによそれ?」
とユーリが早速と疑問を呈した、
「?あっ・・・あれ、教えてなかったか?」
タロウは不思議そうに首を傾げた、
「知らないわよ・・・多分だけど・・・」
「そうね、初めて聞くかも」
ユーリばかりかソフィアまでもが眉根を寄せており、この二人がこうであるとなると他の面々もポカンとしている、まるで聞き慣れない単語なのであろう、
「ありゃ・・・そっか・・・こっちに来て長いけど・・・まぁいいか、それは後で、じゃ、始めるぞ」
とタロウは全員を見渡してゴホンと咳ばらいを挟むと、
「では、お風呂、その使い方を説明致します、特に皆で使うものだから、少々あれだ、細かい取り決めになってしまうけど、互いに不愉快な状況にならないようにする為には大事だから、ちゃんと守る事、それと、俺が説明する事はあくまで基本的な事だから、今後お風呂を使っていって、その都度取り決めが増えるかもしれないけどね、まぁ、大枠となる部分を提供したいと思います」
今日のこの会合は風呂の使い方の講習であった、寮の改築は数日前に終えているが、その改築された設備は未だ未使用のままである、今のところ有効活用されているのは厨房のそれで、厨房に設置された上水道と陶器版の湯沸し器は見事なまでに大活躍していた、特に皿洗いの時の利便性は大きく向上しており、ソフィアは勿論、生徒達にも好評である、そして、やっと風呂から使う事になった、これは明日以降予定されている関係者への説明会に向けて予行演習が必要であろうとタロウとユーリが言い出した為で、本来であれば改築が終わった日から使う事も出来たのであるが、学園祭が挟まり、バタバタと忙しくなった為に延期されていたのである、なにもそこまで慎重になる必要は無いと思うが、ソフィアがそれはじっくりと慌てずに対応するべきだと言い出した事もあった、これには理由がある、この場にあって風呂の経験があるのはソフィアのみで、そのソフィアもまた初めて風呂を体験した時にはどうすれば良いのかと軽く混乱し騒動を起こしている、それもそれを体験したのはエルフの里であったりする、タロウは当たり前のようにエルフと会話を交わしていたが自分はそうではなく、案内として親切な若者が手伝ってもくれたのであるが、それでもやはり言葉が通じないと何かと不便なもので、大変に苦労し気恥ずかしい思いもし、挙句思いもしない騒動にもなった、風呂自体の有用性はすぐに気付き、その気持ち良さも理解した為、風呂に対する理解は有り、改築工事を行うにあたって、なら風呂を作りたいと言い出したのはソフィアである、何ら嫌悪している訳ではない、つまりソフィアが慎重であるべきとしたのは、その経験上、風呂の文化の無い生徒達にとって風呂は危険である以上に気恥ずかしいものになるだろうと予測した上での事なのである、タロウとしてはさっさと使えるようにして一風呂浴びたいと願っていたのであるが、ソフィアの強硬な態度を見るにここは自重するのが良いであろうと引き下がっている、やはり妻の意見は大事なのであった、
「で、まずは構造からね」
タロウは黒板に書き付けた風呂場の模式図を差しつつ説明を始めた、特に難しい事は無く、事ある毎に建築図面に触れていた生徒達にとっては今更といった内容ではあり、さらに実物も目にしている、しかし、改めて説明されればなるほどと頷く部分も多い、そして、
「で、使い方に移ります、ここ大事、まずは照明ね、これはほら、ゾーイさんの作ってくれたあれを設置しましたんで、ちょっと高い所にあるけど、踏み台を用意してあるから上手い事使ってくれ、この脱衣所もお風呂そのものも暗いからね、ここで何かやる時は遠慮なく使いましょう、皆魔力持ちだろうしね、暗い中で無理して作業する必要は全く無いからね、で、厨房の湯沸し板、これと同じ物が三つ付けてあります、これは皆も覗いただろうけど、この三つが大事、奥にあるこの浴槽、ここに付いている大きなやつね、これがお風呂用の湯沸し板、この浴槽にお湯を溜める時に使います、で、この手前にある二つ、これが身体を洗う時に使います」
タロウが流れるように模式図を指し示す、フンフンと生徒達は頷いているが、可哀そうなのはティルであった、一人黒板に向かって忙しい、
「でね、この二つに関しては使いながら改良が必要かなって思ってました、片方は立ったままでも使えるようになっていて、実際に使ってみて欲しいんだけど、こう頭の上からお湯が落ちる、降りかかる感じかな?雨のように」
タロウが身振り手振りで説明すると、ヘーという感心の声が響いた、ソフィアもその仕掛けは初めて見る様子でそんなものあったかしらと首を傾げている、
「これはこれで気持ちいいんだよ、シャワーって呼んでいるんだけどね、二人が同時に並んで使えるように作ったつもりだから、仲良く使って欲しいかな・・・そうだね、ほら、忙しい時とかはこれだけで済ませたりもするんだな、お湯に浸かるまでも無く身体を洗いたい時とかね、まぁ、使ってみてよ、便利だから」
「すいません、それだけでもいいんじゃないですか?」
ジャネットが疑問を口にした、他にも同意の者がいるようで、幾つかの顔が確かにと頷いていた、
「そだね、身体を洗うという点ではその通り・・・なんだけど」
タロウはニヤリと微笑み、
「お湯に浸かる快感を知ったらそんな事は言えなくなるぞー」
と続けた、
「快感ですか?」
「そっ、快感、ケイスさんは蒸し風呂が好きなんだっけ?」
「あっ、はい、好きです」
ケイスがピョンと背筋を伸ばした、何気にケイスが一番熱心に講義に耳を傾けている、使い慣れた蒸し風呂では無いが、どうやらソフィアの話を聞く限り蒸し風呂に近いもので、もしかしたらタロウ以上に熱望していたのはケイスかもしれない、
「あれも気持ちいいよね、俺も好きなんだがさ、それとはまた違った気持ち良さがあるからね、まぁ、一度はお湯に使ってみなさい、絶対気に入るから」
「楽しみです」
ケイスが満面の笑みを浮かべ、ジャネットはそういうものなのかなーと取り合えず納得する事としたらしい、
「だから、ジャネットさんの言う事は正しいよ、さっきも言ったけど、汗を流すとか身体を洗う程度であればシャワーで充分、お風呂はね、どちらかというと気持ち良くなる為と、より健康になる為?」
「健康?」
今度はユーリが口を挟む、
「そっ、お湯に浸かると分かるんだけど、体中の血液が一気にこう流れが良くなるんだな、で、汗もかく、運動に頼らない汗って感じ、運動した後ってなんか気持ち良くなるだろ?まぁ、その程度の意識でいいと思うけどね、あっ、忘れてた、お風呂に入る前も入った後も水分補給はしっかりね、思った以上に身体は水分を出しているみたいだからさ、でだ、話しを戻すと、シャワーはそういう事で、で、ここからが取り決めっていう感じになるんだけど、まずはこのシャワーで、身体の汚れを軽く落として、こっちに椅子を用意してあるから、ここで腰を下ろしてしっかりと身体を洗う事、もう一つの湯沸かし器はその為ね、こっちは四人くらいが並んで使えるようにしてあるからここも仲良く使う事、石鹸とかスポンジとかも用意してあるから好きに使っていいよ」
オオーッと歓声が響いた、石鹸とスポンジは高級品である、以前パトリシアから贈られた石鹸は当の昔に使い切ってしまっており、スポンジは大事に使っているがそれほど耐久性のあるものではない、さらに言えばスポンジは海産物由来である、王国では都市国家からの輸入に頼っており、大変に高価であった、
「あっ、そっか、スポンジは一人一個あったほうがいいよね、気兼ね無く使えるでしょ」
「えっと、頂けるんですか?」
グルジアがそろそろと問いかける、
「うん、いっぱいあるからお好きにどうぞ、他にも面白いものがあるんだけど・・・まぁ、それも後回しで、でだ、なんだっけ、あれだ、ここで身体を洗って、髪を洗いたければそれもここで、で、シャワーでもう一回かな身体を流してもいいし、ここで手桶で流しても良いし、なんにしろ身体を綺麗にして泡も綺麗に落としてから、湯舟、お湯に浸かる」
タロウは黒板を見ながら説明を続ける、生徒達は石鹸だスポンジだとそっちに興味が移ってしまっている様子であった、
「で、ここからが、大事、お湯に浸かったらゆっくりと浸かる事、それと熱いときは無理せず水を入れる事、それと無理して浸かり続けないこと、これ大事」
「あー、それ先に言っておきなさい」
ソフィアが嫌そうに口を挟む、
「そだねー、ソフィアが初めて風呂に入った時なんだけど」
「その話しじゃなくて」
ソフィアが甲高い声でタロウの言葉を遮った、エッと一同の視線がソフィアに向かう、
「あっ、駄目?」
「駄目よ」
「でもさー」
「でもさじゃない」
「あー・・・じゃ、こう言えばいいかな、長湯っていうか、湯あたりっていうんだけど、浸かり過ぎると逆に気持ち悪くなるんだよね、身体が熱くなりすぎちゃうんだな、だから、始めの内はあったまったかなーって感じの所でお湯から上がるくらいで充分ね、気持ち良いからって調子に乗らないこと、何事もやりすぎは駄目、慣れてきたら、つまり何度か風呂に入っていればその加減は何となくわかるから、慣れないうちは気を付ける事」
タロウはニヤニヤと微笑む、ソフィアが初めての風呂で見事に湯あたりし、エルフが数人がかりで風魔法で快方していた光景を思い出していた、何ともだらしない姿でありソフィアとしても思い出したくない事である、ソフィアが慎重であったのはこの経験から来たのであろう、確かに風呂は気持ち良く清潔なのは理解できた、しかし慣れていないと痛い目を見る、特に調子に乗りやすい若者にとっては大事な事だとソフィアは実体験から懸念していたのだ、
「なによ、なにかあったの?」
ユーリがニヤリとソフィアを伺う、
「別にいいでしょ、あんたには関係ないわよ」
ソフィアがジロリと睨み返した、
「あら酷いわねー、数少ない友人に対してー」
「友人なら黙ってなさい」
「わっ、コワー・・・ミナー、ソフィアが怖いー」
ユーリがおちゃらけてミナに逃げるも、
「むー、ソフィーを虐めちゃダメー」
ミナはどこまでもソフィアの味方である、決してユーリの側に付く事は無いであろう、
「そうね、ユーリは駄目ね」
「そうだ、ユーリはダメだー」
「もう、なによ、ちょっと聞いただけでしょ」
「それでもダメだー」
「そうよ、駄目よ、あんたは」
「ソフィアー、煽らないでよ、タロウ、あんた何とかしなさい」
「・・・俺には無理だ」
「ちょっと・・・」
事態の収拾からあっさりと逃げ出したタロウにユーリは唖然としてしまう、その間もソフィアとミナはギャーギャーと喧しく、生徒達も研究所の面々も何気にこの痴話喧嘩も久しぶりかもなと微笑むが、ミーンとティルは何をやっているのやらと呆れ顔となるのであった。
「あー、やっと来たー」
ミナが寝台からタロウに飛び付き、
「おわっ、どした?」
タロウは慌ててミナを抱き抱えた、
「お帰りなさーい」
見れば食堂内には生徒達が揃っており、思い思いにダラダラとしている、
「あらっ、早いとは聞いてたけどホントに早いね」
タロウはニヤリと微笑む、
「はい、片付けはすぐに終わりましたー」
サレバが両腕を上げて嬉しそうである、今日は学園祭の後始末だけで放課となったらしいそれは昨日の時点でそう告知されている、学園祭そのものは正しく大成功で終わった、見物人からの評価も高く、本来の目的であったクロノスとカラミッドの邂逅も無事に終えている、それ自体の意義は薄くなっていたが、大衆の面前で状況を表明するには充分であったようで街中では王家との繋がりについて議論が巻き起こっているらしい、しかし学園ではそれ以上にクロノスとウルジュラの存在が大きかった、その正体を明かす前にクロノスはイフナースらと学園祭の出し物をあっちだこっちだと遊びまわっており、その対応をした生徒達は自慢気にその時の事を語り、また、ウルジュラ達王妃一行の対応をした者達も同様で、クロノスはその逞しさと常識離れした運動能力を、ウルジュラはその可愛らしさと天真爛漫な様子を誇張されて語られていた、まさにアイドル扱いであったのだ、
「そうか、じゃ、始めるか、ソフィアは?」
「いるわよー」
そこへヒョイと厨房からソフィアが顔を出す、
「おっ、じゃ、後は・・・ユーリと・・・エレインさんとテラさんは・・・仕事かな?」
「はい、先に済ませて下さいとの事でした」
オリビアが静かに答え、
「そっか、だよね、あっ、ニコリーネさんは?」
「お仕事ー、裏山ー、邪魔しちゃダメー」
ミナがタロウに抱きついたままキャーキャー喚いた、
「そっか、じゃ、その三人様は後回しでいいだろ、じゃ、ユーリを呼んできて・・・かな?」
「あっ、私行きます」
ルルがヒョイと腰を上げた、タロウがそのまま階段へ戻りかけたからで、気を利かせたのであろう、
「あっ、ごめんね、こっちは準備・・・大した事はないか・・・」
「そうね、しっかり頼むわよ」
ソフィアがニヤリと笑って席に着いた、
「そうか?」
「そうよ、いい、あんた達、難しくないけど大事な事だからね、ちゃんと聞く事」
ソフィアが急に説教口調で生徒達を見渡した、生徒達はソフィアがそこまで言うほどなのかと驚きつつもハーイと明るい返事が食堂を満たす、
「ん、じゃ、ミナもちゃんと聞く事」
「わかったー」
タロウはミナを床に下ろしてまずはと黒板に向かって何やら書き付け始めた、すぐにルルが研究所の四人と姿を現し、ミーンとティルも丁度来たところのようで、
「わっ、皆さんお揃いで早いですね」
とタロウと同じように軽く驚いている、
「あっ、ミーンさんとティルさんもさっさと座ってね、特にティルさんかな?責任重大だよー」
タロウがニヤリと振り返る、
「えっ、あっ、はい、頑張ります」
ティルはそう答えるしかなく、取り合えず愛用の黒板を取り出して席に着いた、
「では、座学はさっさとやってしまって、後はジャンケンだな」
タロウはポンポンと手を叩いて白墨の粉を落とすが、
「ジャンケン?」
「なによそれ?」
とユーリが早速と疑問を呈した、
「?あっ・・・あれ、教えてなかったか?」
タロウは不思議そうに首を傾げた、
「知らないわよ・・・多分だけど・・・」
「そうね、初めて聞くかも」
ユーリばかりかソフィアまでもが眉根を寄せており、この二人がこうであるとなると他の面々もポカンとしている、まるで聞き慣れない単語なのであろう、
「ありゃ・・・そっか・・・こっちに来て長いけど・・・まぁいいか、それは後で、じゃ、始めるぞ」
とタロウは全員を見渡してゴホンと咳ばらいを挟むと、
「では、お風呂、その使い方を説明致します、特に皆で使うものだから、少々あれだ、細かい取り決めになってしまうけど、互いに不愉快な状況にならないようにする為には大事だから、ちゃんと守る事、それと、俺が説明する事はあくまで基本的な事だから、今後お風呂を使っていって、その都度取り決めが増えるかもしれないけどね、まぁ、大枠となる部分を提供したいと思います」
今日のこの会合は風呂の使い方の講習であった、寮の改築は数日前に終えているが、その改築された設備は未だ未使用のままである、今のところ有効活用されているのは厨房のそれで、厨房に設置された上水道と陶器版の湯沸し器は見事なまでに大活躍していた、特に皿洗いの時の利便性は大きく向上しており、ソフィアは勿論、生徒達にも好評である、そして、やっと風呂から使う事になった、これは明日以降予定されている関係者への説明会に向けて予行演習が必要であろうとタロウとユーリが言い出した為で、本来であれば改築が終わった日から使う事も出来たのであるが、学園祭が挟まり、バタバタと忙しくなった為に延期されていたのである、なにもそこまで慎重になる必要は無いと思うが、ソフィアがそれはじっくりと慌てずに対応するべきだと言い出した事もあった、これには理由がある、この場にあって風呂の経験があるのはソフィアのみで、そのソフィアもまた初めて風呂を体験した時にはどうすれば良いのかと軽く混乱し騒動を起こしている、それもそれを体験したのはエルフの里であったりする、タロウは当たり前のようにエルフと会話を交わしていたが自分はそうではなく、案内として親切な若者が手伝ってもくれたのであるが、それでもやはり言葉が通じないと何かと不便なもので、大変に苦労し気恥ずかしい思いもし、挙句思いもしない騒動にもなった、風呂自体の有用性はすぐに気付き、その気持ち良さも理解した為、風呂に対する理解は有り、改築工事を行うにあたって、なら風呂を作りたいと言い出したのはソフィアである、何ら嫌悪している訳ではない、つまりソフィアが慎重であるべきとしたのは、その経験上、風呂の文化の無い生徒達にとって風呂は危険である以上に気恥ずかしいものになるだろうと予測した上での事なのである、タロウとしてはさっさと使えるようにして一風呂浴びたいと願っていたのであるが、ソフィアの強硬な態度を見るにここは自重するのが良いであろうと引き下がっている、やはり妻の意見は大事なのであった、
「で、まずは構造からね」
タロウは黒板に書き付けた風呂場の模式図を差しつつ説明を始めた、特に難しい事は無く、事ある毎に建築図面に触れていた生徒達にとっては今更といった内容ではあり、さらに実物も目にしている、しかし、改めて説明されればなるほどと頷く部分も多い、そして、
「で、使い方に移ります、ここ大事、まずは照明ね、これはほら、ゾーイさんの作ってくれたあれを設置しましたんで、ちょっと高い所にあるけど、踏み台を用意してあるから上手い事使ってくれ、この脱衣所もお風呂そのものも暗いからね、ここで何かやる時は遠慮なく使いましょう、皆魔力持ちだろうしね、暗い中で無理して作業する必要は全く無いからね、で、厨房の湯沸し板、これと同じ物が三つ付けてあります、これは皆も覗いただろうけど、この三つが大事、奥にあるこの浴槽、ここに付いている大きなやつね、これがお風呂用の湯沸し板、この浴槽にお湯を溜める時に使います、で、この手前にある二つ、これが身体を洗う時に使います」
タロウが流れるように模式図を指し示す、フンフンと生徒達は頷いているが、可哀そうなのはティルであった、一人黒板に向かって忙しい、
「でね、この二つに関しては使いながら改良が必要かなって思ってました、片方は立ったままでも使えるようになっていて、実際に使ってみて欲しいんだけど、こう頭の上からお湯が落ちる、降りかかる感じかな?雨のように」
タロウが身振り手振りで説明すると、ヘーという感心の声が響いた、ソフィアもその仕掛けは初めて見る様子でそんなものあったかしらと首を傾げている、
「これはこれで気持ちいいんだよ、シャワーって呼んでいるんだけどね、二人が同時に並んで使えるように作ったつもりだから、仲良く使って欲しいかな・・・そうだね、ほら、忙しい時とかはこれだけで済ませたりもするんだな、お湯に浸かるまでも無く身体を洗いたい時とかね、まぁ、使ってみてよ、便利だから」
「すいません、それだけでもいいんじゃないですか?」
ジャネットが疑問を口にした、他にも同意の者がいるようで、幾つかの顔が確かにと頷いていた、
「そだね、身体を洗うという点ではその通り・・・なんだけど」
タロウはニヤリと微笑み、
「お湯に浸かる快感を知ったらそんな事は言えなくなるぞー」
と続けた、
「快感ですか?」
「そっ、快感、ケイスさんは蒸し風呂が好きなんだっけ?」
「あっ、はい、好きです」
ケイスがピョンと背筋を伸ばした、何気にケイスが一番熱心に講義に耳を傾けている、使い慣れた蒸し風呂では無いが、どうやらソフィアの話を聞く限り蒸し風呂に近いもので、もしかしたらタロウ以上に熱望していたのはケイスかもしれない、
「あれも気持ちいいよね、俺も好きなんだがさ、それとはまた違った気持ち良さがあるからね、まぁ、一度はお湯に使ってみなさい、絶対気に入るから」
「楽しみです」
ケイスが満面の笑みを浮かべ、ジャネットはそういうものなのかなーと取り合えず納得する事としたらしい、
「だから、ジャネットさんの言う事は正しいよ、さっきも言ったけど、汗を流すとか身体を洗う程度であればシャワーで充分、お風呂はね、どちらかというと気持ち良くなる為と、より健康になる為?」
「健康?」
今度はユーリが口を挟む、
「そっ、お湯に浸かると分かるんだけど、体中の血液が一気にこう流れが良くなるんだな、で、汗もかく、運動に頼らない汗って感じ、運動した後ってなんか気持ち良くなるだろ?まぁ、その程度の意識でいいと思うけどね、あっ、忘れてた、お風呂に入る前も入った後も水分補給はしっかりね、思った以上に身体は水分を出しているみたいだからさ、でだ、話しを戻すと、シャワーはそういう事で、で、ここからが取り決めっていう感じになるんだけど、まずはこのシャワーで、身体の汚れを軽く落として、こっちに椅子を用意してあるから、ここで腰を下ろしてしっかりと身体を洗う事、もう一つの湯沸かし器はその為ね、こっちは四人くらいが並んで使えるようにしてあるからここも仲良く使う事、石鹸とかスポンジとかも用意してあるから好きに使っていいよ」
オオーッと歓声が響いた、石鹸とスポンジは高級品である、以前パトリシアから贈られた石鹸は当の昔に使い切ってしまっており、スポンジは大事に使っているがそれほど耐久性のあるものではない、さらに言えばスポンジは海産物由来である、王国では都市国家からの輸入に頼っており、大変に高価であった、
「あっ、そっか、スポンジは一人一個あったほうがいいよね、気兼ね無く使えるでしょ」
「えっと、頂けるんですか?」
グルジアがそろそろと問いかける、
「うん、いっぱいあるからお好きにどうぞ、他にも面白いものがあるんだけど・・・まぁ、それも後回しで、でだ、なんだっけ、あれだ、ここで身体を洗って、髪を洗いたければそれもここで、で、シャワーでもう一回かな身体を流してもいいし、ここで手桶で流しても良いし、なんにしろ身体を綺麗にして泡も綺麗に落としてから、湯舟、お湯に浸かる」
タロウは黒板を見ながら説明を続ける、生徒達は石鹸だスポンジだとそっちに興味が移ってしまっている様子であった、
「で、ここからが、大事、お湯に浸かったらゆっくりと浸かる事、それと熱いときは無理せず水を入れる事、それと無理して浸かり続けないこと、これ大事」
「あー、それ先に言っておきなさい」
ソフィアが嫌そうに口を挟む、
「そだねー、ソフィアが初めて風呂に入った時なんだけど」
「その話しじゃなくて」
ソフィアが甲高い声でタロウの言葉を遮った、エッと一同の視線がソフィアに向かう、
「あっ、駄目?」
「駄目よ」
「でもさー」
「でもさじゃない」
「あー・・・じゃ、こう言えばいいかな、長湯っていうか、湯あたりっていうんだけど、浸かり過ぎると逆に気持ち悪くなるんだよね、身体が熱くなりすぎちゃうんだな、だから、始めの内はあったまったかなーって感じの所でお湯から上がるくらいで充分ね、気持ち良いからって調子に乗らないこと、何事もやりすぎは駄目、慣れてきたら、つまり何度か風呂に入っていればその加減は何となくわかるから、慣れないうちは気を付ける事」
タロウはニヤニヤと微笑む、ソフィアが初めての風呂で見事に湯あたりし、エルフが数人がかりで風魔法で快方していた光景を思い出していた、何ともだらしない姿でありソフィアとしても思い出したくない事である、ソフィアが慎重であったのはこの経験から来たのであろう、確かに風呂は気持ち良く清潔なのは理解できた、しかし慣れていないと痛い目を見る、特に調子に乗りやすい若者にとっては大事な事だとソフィアは実体験から懸念していたのだ、
「なによ、なにかあったの?」
ユーリがニヤリとソフィアを伺う、
「別にいいでしょ、あんたには関係ないわよ」
ソフィアがジロリと睨み返した、
「あら酷いわねー、数少ない友人に対してー」
「友人なら黙ってなさい」
「わっ、コワー・・・ミナー、ソフィアが怖いー」
ユーリがおちゃらけてミナに逃げるも、
「むー、ソフィーを虐めちゃダメー」
ミナはどこまでもソフィアの味方である、決してユーリの側に付く事は無いであろう、
「そうね、ユーリは駄目ね」
「そうだ、ユーリはダメだー」
「もう、なによ、ちょっと聞いただけでしょ」
「それでもダメだー」
「そうよ、駄目よ、あんたは」
「ソフィアー、煽らないでよ、タロウ、あんた何とかしなさい」
「・・・俺には無理だ」
「ちょっと・・・」
事態の収拾からあっさりと逃げ出したタロウにユーリは唖然としてしまう、その間もソフィアとミナはギャーギャーと喧しく、生徒達も研究所の面々も何気にこの痴話喧嘩も久しぶりかもなと微笑むが、ミーンとティルは何をやっているのやらと呆れ顔となるのであった。
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アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
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⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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