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本編
76話 王家と公爵家 その11
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それからタロウ達三人は寮へと戻った、ブラスらも食堂に戻っていたようで、ライニールと三人で切り分けた竹を見下ろし打合せ中で、なんだこれはと子供達にウルジュラとレアン、さらにウルジュラを迎えに来たのであろうアフラが炬燵に入って竹を弄り回している様子、
「あっ、ごめん、ほったらかしちゃって」
タロウはササッと男達の輪に加わり、カトカとゾーイはモーと口を尖らせる、軽く振り回された挙句何やら依頼されそうになった上に何も言われていないのだ、こっちこそほったらかしだろうと不満を抱くのも当然で、しかし、
「カトカさーん、これなにー」
「初めて見るねー」
「変なのー」
ウルジュラに呼びつけられハイハイと炬燵を囲む輪に加わるカトカとゾーイ、先程まで記録していた黒板を手に詳しく説明を始める、ウルジュラとレアンはヘーとあっさりとしたものであったが、アフラはこれはと目の色を変える、さらにレインはムーと大変に難しそうな顔で竹を睨みつけ、子供達はよくわかんないーと竹を叩き合わせていい音がするーと楽しそうである、ちなみにブロースとフロールの姿は無い、タロウらが内庭でゴソゴソやっている間にフェナが迎えに来たようだ、
「これは・・・申し訳ありません、報告書をまとめて頂けると嬉しいのですが」
ギッとカトカとゾーイを睨むアフラ、そこまでするーとウルジュラはめんどくさそうにアフラを伺い、しかし、その顔が真剣なものであった為か、ありゃ、こりゃ本気だとそれ以上茶化す事は無かった、
「はい、すいません、明日中になると思いますが、宜しいでしょうか」
ゾーイが即座に事務的に答える、カトカもそうなるなーと黒板を再確認していた、
「それで結構です、出来るだけ早くと思いますが、あと、こちら数本頂ければと思うのですが」
「あっ、それは」
とカトカとゾーイが振り向く、その先では男達が立ったままテーブルを囲んであーだこーだとやっており、カトカはソッと立ち上がり、すいませんとタロウにアフラの要望を伝える、
「ん、いいと思うよ、あっ、クロノスにも話したことないと思うから、そういう事で」
タロウがヒョイと顔を上げ、そうなのかと驚くアフラ、ブラスが気を利かせてか竹を数本差し出し、こちらをお持ち下さいと丁寧な対応である、ありがとうございますと笑顔で受け取るアフラであった、そして、
「あっ・・・」
とタロウは大きく首を傾げた、まだなにあるのかとタロウを見つめる職人二人とライニール、
「・・・でもさ、よく考えるとあれだな、日傘の相談してたんだよな・・・そっち・・・何も解決してないな・・・」
どうしたもんだかと頬を指先で軽くかくタロウ、アッとブラスとリノルトが叫んでしまい、確かにそうかもとライニールもハッとする、
「まぁ・・・だから将来的には竹をね、栽培して活用すればいいって事にして、とりあえずあれだ、日傘のあれは鉄かなんかで作ってみなよ、布の方も今日明日で対応できるって事じゃないんだろ?」
「えっと・・・はい、そっちはまた別でして・・・」
「うん、そうですね、一応あれです並行して進める感じですが・・・どうなるかは今の所不確かですね・・・」
ブラスとリノルトが顔を見合わせる、
「だよね、で、ほら、中心の持ち手の部分は木にしてさ、止める部分とかの機構は把握してる?」
「はい、それは勿論、機構って程のあれじゃないですけど。どちらかと言えば・・・そのなんだ、布の広がる部分ですか、先の方、そこがかなり細かいというか繊細というか、そういう感じですね」
「だね、じゃ、それで取り合えずやってみなよ、あれはどうしても女性達が使うものになるだろうからさ、手が触れる部分はなんぼでも柔らかくて手触りが良い方が良いに決まってるだろうし、全体的にも軽く丈夫にしてあげれば良いよね・・・まぁ・・・そんな感じかな・・・うん、また少し話しが変わるけど、ガラス鏡と一緒さ、俺がエレインさんにあげたやつ、正直な所、君らの作るガラス鏡はあれに比べたらまだまだ全然未熟だもん、日傘にしてもそれと同じだよ、いきなりあれと同じ物を作れってのは到底無理なんだから、少しずつでいいから近づける、その過程でね、君らが作り上げる日傘ってのが形になっていくもんなんだから、急ぐ必要はないよ」
ガラス鏡?とブラスとリノルトは首を傾げ、アーあれかと思い出したようである、エレインがタロウから預かっているという輝きにしろ映りにしろ細工にしろ全ての技術が自分達のそれよりも遥かに高い代物で、これはとんでもないなと二人は勿論の事バーレントも度肝を抜かれている、
「・・・確かにですね・・・」
「はい・・・ですが、王都にも北ヘルデルにも負けたくないですよ」
ムーと眉を顰める職人二人、ライニールは思わずフフッと微笑んでしまう、学園の先輩であるこの二人が職人らしい意地を見せている姿に同じモニケンダム人として頼もしさを感じてしまっていた、
「それはそれさー、エレインさんに関わってればね、そっちの品も見る事があるだろうし、となれば、切磋琢磨ってやつだ、お互いに影響し合って良い物を作ればいい、材にしても王国は広いぞ、この竹に負けないぐらいに便利で都合のいい材がどこかにあるかもしれないしね、それはだって俺も知らないし、君らとしても把握しきれてないんだろ?もしかしたら学園長が知識として持っているかもだけど・・・でもあの人のあれは知識であって技術じゃないし・・・まぁ、そんな感じかな、いずれにしてもそうやってね技術は発展していくもんなんだから、君らが今出来る事をやってみて、他の地方の技術も貪欲に取り入れる、向こうも恐らくこっちの技術を取り入れるだろうけど、そうやってより良い物になるし、ひいては・・・うん、王国全体の技術向上に繋がっていくもんだ、そういうもんだろ?」
ニヤリと微笑むタロウ、それもそうかと頷く二人、うんうんと嬉しそうに微笑むライニールである、それから、もう午後も遅い時間だからと客人達はぞろぞろと寮を後にした、さらにマフダがノール達を迎えに来て、また明日ーと元気に帰途に就く三人、ミナもまた明日ーと竹を振り回して見送り、こりゃ危ないとタロウに怒られムーと睨み返している、そして、
「じゃ、先にあっちか」
タロウが厨房に向かい、籠一杯の果物やら干し果物を食堂に運び込んだ、
「今度はなにー?」
ミナが今日は楽しいなーと満面の笑みでタロウに駆け寄り、カトカとゾーイもハッと顔を上げる、二人は炬燵に黒板を並べて確認作業中であった、アフラからも直接言われている、やるのであればやってしまってもいいかな等と話していたが、どうやら今日はもう一つあるらしい、
「んー、実験だ」
「ジッケンだー!!ミナ好きー」
「はいはい、じゃ、どうしようかな、ミナはちゃんと手を洗ってこい、レイン、庭の葡萄少しもらうぞ」
「好きにせい」
眉を顰めて竹をいじくりまわしていたレインが不愉快そうに答える、ありゃなんかあるのかなとタロウは感付くも、まぁ後でもいいかと内庭へ向かい、
「お手々洗うー」
とミナは厨房へ駆け込んだ、そして、
「実験の趣旨を説明しまーす」
タロウが厨房から煮沸消毒していたビーカーと、内庭の葡萄棚からレインの意向で収穫されずにカラカラに干からびて物悲し気にプラプラと揺れていた葡萄を数房手にして戻るとテーブルに並べて一同を見渡した、
「なにやるのー」
ミナがワクワクと微笑みながらリンゴに手を伸ばす、
「ふふん、まぁ、仕込みは簡単で、ただ時間がかかる、たぶん5日以上かな、7日ぐらいはみておきたい」
「そんなにですか?」
カトカがムゥと眉を顰める、
「そんなにです、モヤシみたいなもんだって言ったろ」
「あー・・・確かにあれも時間かかりましたね」
果物を見つめて呟くゾーイ、
「そういう事、それからもう二日くらいかな、いろいろやってやっと使える段階になると思うんだけど・・・」
とタロウも腕を組んで首を傾げ、
「アッ」
と大声を上げた、今度はなんだとタロウを睨む女性達、
「あー・・・リノルトさんに頼めば良かったなー・・・あれがないとあれにはならない・・・まっいっか、大したもんじゃないし、リノルトさんなら簡単に作ってくれるだろうし・・・」
タロウは残念そうに呟く、
「なんですか?鉄製品?」
「うん、鉄のね、四角い箱が欲しかったんだ、まぁ、いいよ、時間はある、でだ」
タロウがさてどうするかと集められた材料を見渡すと、
「戻りましたー」
玄関口がバタバタと騒がしくなる、
「あっ、帰って来た」
ミナがヒョイと玄関を覗く、やがて、ルルが一番に入って来た、
「わっ、どうしたんですか、皆さんで」
と足を止めると、その背にケイスがドンとぶつかり、おわっとつんのめるルル、ケイスはケイスでゴメーンと額を押さえており、危ないなーと微笑んでしまうカトカとゾーイであった。
それから夕食後の時間となる、タロウは暖炉に向かって竹を削って何やらやっており、炬燵を囲むのは大人達と生徒達、研究所の四人が額を付き合わせて何やら真面目な打合せ中で、エレインとテラとオリビア、ジャネットにグルジア達も何やら相談中となる、ニコリーネはコテンとテーブルに頭を乗せてスースーと安らかな寝息を立てている、ソフィアもすっかり炬燵に慣れたのか静かに編み物を楽しんでいる様子であった、ミナとレイン、サレバとコミンが入浴中となっている、
「・・・じゃ、これはこれでいいか・・・」
「そう思います、清書は必要ですけどね」
「ですねー、そっかー・・・あれですねー、もうサビナ先生はあっち組なのかなー・・・」
カトカが寂しそうに呟く、
「そうねー、あっち組だわねー」
ユーリがテーブルに顎を乗せてサビナを恨みがましく見上げ、サビナがムッと睨み見返すも言葉は無い、ゾーイはまったくと薄い笑みを浮かべてしまう、
「・・・そんな言い方はどうですかねー・・・」
暫しの沈黙の後、やっとサビナが言い返した、
「・・・他の言い方思い付かないなー」
「だねー、私のサビナが取られちゃったー」
「寂しいですねー」
「なー」
とカトカもテーブルに顎を乗せてユーリの真似をし始める、なにやってんだかと睨みつけるサビナ、
「まぁまぁ、こっちの仕事が一つ片付いたんですからいいじゃないですか」
ゾーイがやんわりと間に入る、昨日のタロウの講義、これをまとめるのが今日の研究所の仕事の一つであったのだが、サビナは朝一番で学園に向かいメイド科の講師達にこういう内容であったと報告している、講師達は講義の開催とその内容を耳にして是非参加したいと興奮気味であったのだが、参加者が王族や領主の母娘と聞きそれは邪魔しては駄目だとあっさりと身を引いている、サビナはあーそうなるよなーと少しばかり不憫に思い、早々に報告にいったのだ、しかし、当然であるが講師達はこれは凄いと大騒ぎになってしまい、さらに日傘やら立体縫製とやらで製作された服を見てみたいとなる、そうなるだろうなとサビナも想定していた、エレインから今日の予定を聞いており、ユスティーナとの会合が終わったあたりで店にお邪魔することとしており、それまでの間にと、大量の黒板を講師達やオリビアを含めた生徒達とでまとめることになった、それはあっという間にそれなりの形になっている、なるほど、こういった作業も人手があれば速いものなのだなと思い知るサビナであった、さらに新たな視点も得ている、昨日の講義では貴族と職人の視点での意見が多かったが、メイドの視点、実際に着るであろう者や維持管理をする者の意見もあり、大変に興味深いものとなっている、料理では無いがより深みが出て来たとそう感じるサビナであった、
「それは確かにねー、あっ、んで、タケはいいとして・・・あっちはどうする?」
「はい、私やりますよ」
テーブルに顎を乗せただらしない体勢のままユーリが問い、カトカが答える、
「ん、じゃ、お願い・・・」
ユーリはやれやれと背を正して振り返る、その先には新たな実験だとタロウが準備した品がガラス容器の中に鎮座していた、しかしそれを見る限り、ただただ果物を水につけただけの代物で、しかしカトカの解説によれば黒糖も溶かし込んでいるらしい、故に少々濁って見えるし、それぞれの果物の色も溶け込み始めているように見えた、果物はリンゴの皮、冬ミカンの皮、市販の干し葡萄そのまま、内庭の干からびた葡萄、となっており、リンゴは赤いのと黄色いの、冬ミカンも二種類程が漬け込まれている、そしてリンゴとミカンの果実は夕食に供されていた、
「でー・・・あれなんなのさ」
そのままグルーリと首を巡らしタロウを睨むユーリ、タロウはタロウでこちらに背を向けシュッシュッとタケとやらを削っており、タロウの周りには細い短冊状になった板が散らかっている、
「・・・」
ジトーッとタロウを睨むユーリ、あーこれはとゾーイが微笑み、
「すいません、タロウさん」
と一声かけた、ヘッ?と振り返るタロウ、
「あれ、なによ」
同じ問いを繰り返すユーリ、
「ん、あれ?」
「あれよ」
「あー、まぁ、見てなって、成功したら教えるー」
ニヤーと微笑むタロウ、すぐに視線を戻してしまい、コノーと頬を引きつらせるユーリ、
「まったく、ソフィア、あんた聞いてないの?」
標的をソフィアに変えるも、
「知らないわねー」
即座に答えるソフィアである、
「・・・また、エルフだなんだって言わないわよねー」
「あー、どだろねー、エルフさんの所だと・・・ほら、私は何言ってるか全然分かんなかったんだけど、タロウさんはねー、すぐに会話してたからー、私も知らない事かもよー」
「なっ、何よそれ」
「私に聞かないでー」
「タロー・・・」
「秘密ー」
こいつらはーとさらに顔を歪めるユーリに、もうと苦笑するしかない他三人、しかし、
「アッ」
とタロウが振り返る、なんじゃと睨み返すユーリ、
「うん、悪い、ちょっと真面目な話だ、カトカさんゾーイさん、さっきの続き」
「あっ、はい、良かった、忘れてなかったんですね」
ゾーイがサッと背筋を但し、
「はいはい、黒板用意します?」
とカトカもしゃんとする、
「うん、あった方がいいな、ソフィア、悪い、君もいいか?」
エッ私?と顔を上げるソフィア、これにはエレインとテラ、ジャネット達も振り返ってしまう、
「他には・・・そっか、生徒さん達もいた方がいい?」
何故かユーリに確認するタロウ、
「・・・何よそれ、そんなに重要なの?」
「重要も重要」
「ありゃ・・・内容によるけどさ・・・その内容が分かんないんじゃ判断しようがないわよ」
「それもそうだ、あー・・・ほら、魔法石の件、無色の」
エッとタロウを見つめるユーリ、ソフィアもアラッと手を止め、エレインらもタロウを見つめてしまうのであった。
「あっ、ごめん、ほったらかしちゃって」
タロウはササッと男達の輪に加わり、カトカとゾーイはモーと口を尖らせる、軽く振り回された挙句何やら依頼されそうになった上に何も言われていないのだ、こっちこそほったらかしだろうと不満を抱くのも当然で、しかし、
「カトカさーん、これなにー」
「初めて見るねー」
「変なのー」
ウルジュラに呼びつけられハイハイと炬燵を囲む輪に加わるカトカとゾーイ、先程まで記録していた黒板を手に詳しく説明を始める、ウルジュラとレアンはヘーとあっさりとしたものであったが、アフラはこれはと目の色を変える、さらにレインはムーと大変に難しそうな顔で竹を睨みつけ、子供達はよくわかんないーと竹を叩き合わせていい音がするーと楽しそうである、ちなみにブロースとフロールの姿は無い、タロウらが内庭でゴソゴソやっている間にフェナが迎えに来たようだ、
「これは・・・申し訳ありません、報告書をまとめて頂けると嬉しいのですが」
ギッとカトカとゾーイを睨むアフラ、そこまでするーとウルジュラはめんどくさそうにアフラを伺い、しかし、その顔が真剣なものであった為か、ありゃ、こりゃ本気だとそれ以上茶化す事は無かった、
「はい、すいません、明日中になると思いますが、宜しいでしょうか」
ゾーイが即座に事務的に答える、カトカもそうなるなーと黒板を再確認していた、
「それで結構です、出来るだけ早くと思いますが、あと、こちら数本頂ければと思うのですが」
「あっ、それは」
とカトカとゾーイが振り向く、その先では男達が立ったままテーブルを囲んであーだこーだとやっており、カトカはソッと立ち上がり、すいませんとタロウにアフラの要望を伝える、
「ん、いいと思うよ、あっ、クロノスにも話したことないと思うから、そういう事で」
タロウがヒョイと顔を上げ、そうなのかと驚くアフラ、ブラスが気を利かせてか竹を数本差し出し、こちらをお持ち下さいと丁寧な対応である、ありがとうございますと笑顔で受け取るアフラであった、そして、
「あっ・・・」
とタロウは大きく首を傾げた、まだなにあるのかとタロウを見つめる職人二人とライニール、
「・・・でもさ、よく考えるとあれだな、日傘の相談してたんだよな・・・そっち・・・何も解決してないな・・・」
どうしたもんだかと頬を指先で軽くかくタロウ、アッとブラスとリノルトが叫んでしまい、確かにそうかもとライニールもハッとする、
「まぁ・・・だから将来的には竹をね、栽培して活用すればいいって事にして、とりあえずあれだ、日傘のあれは鉄かなんかで作ってみなよ、布の方も今日明日で対応できるって事じゃないんだろ?」
「えっと・・・はい、そっちはまた別でして・・・」
「うん、そうですね、一応あれです並行して進める感じですが・・・どうなるかは今の所不確かですね・・・」
ブラスとリノルトが顔を見合わせる、
「だよね、で、ほら、中心の持ち手の部分は木にしてさ、止める部分とかの機構は把握してる?」
「はい、それは勿論、機構って程のあれじゃないですけど。どちらかと言えば・・・そのなんだ、布の広がる部分ですか、先の方、そこがかなり細かいというか繊細というか、そういう感じですね」
「だね、じゃ、それで取り合えずやってみなよ、あれはどうしても女性達が使うものになるだろうからさ、手が触れる部分はなんぼでも柔らかくて手触りが良い方が良いに決まってるだろうし、全体的にも軽く丈夫にしてあげれば良いよね・・・まぁ・・・そんな感じかな・・・うん、また少し話しが変わるけど、ガラス鏡と一緒さ、俺がエレインさんにあげたやつ、正直な所、君らの作るガラス鏡はあれに比べたらまだまだ全然未熟だもん、日傘にしてもそれと同じだよ、いきなりあれと同じ物を作れってのは到底無理なんだから、少しずつでいいから近づける、その過程でね、君らが作り上げる日傘ってのが形になっていくもんなんだから、急ぐ必要はないよ」
ガラス鏡?とブラスとリノルトは首を傾げ、アーあれかと思い出したようである、エレインがタロウから預かっているという輝きにしろ映りにしろ細工にしろ全ての技術が自分達のそれよりも遥かに高い代物で、これはとんでもないなと二人は勿論の事バーレントも度肝を抜かれている、
「・・・確かにですね・・・」
「はい・・・ですが、王都にも北ヘルデルにも負けたくないですよ」
ムーと眉を顰める職人二人、ライニールは思わずフフッと微笑んでしまう、学園の先輩であるこの二人が職人らしい意地を見せている姿に同じモニケンダム人として頼もしさを感じてしまっていた、
「それはそれさー、エレインさんに関わってればね、そっちの品も見る事があるだろうし、となれば、切磋琢磨ってやつだ、お互いに影響し合って良い物を作ればいい、材にしても王国は広いぞ、この竹に負けないぐらいに便利で都合のいい材がどこかにあるかもしれないしね、それはだって俺も知らないし、君らとしても把握しきれてないんだろ?もしかしたら学園長が知識として持っているかもだけど・・・でもあの人のあれは知識であって技術じゃないし・・・まぁ、そんな感じかな、いずれにしてもそうやってね技術は発展していくもんなんだから、君らが今出来る事をやってみて、他の地方の技術も貪欲に取り入れる、向こうも恐らくこっちの技術を取り入れるだろうけど、そうやってより良い物になるし、ひいては・・・うん、王国全体の技術向上に繋がっていくもんだ、そういうもんだろ?」
ニヤリと微笑むタロウ、それもそうかと頷く二人、うんうんと嬉しそうに微笑むライニールである、それから、もう午後も遅い時間だからと客人達はぞろぞろと寮を後にした、さらにマフダがノール達を迎えに来て、また明日ーと元気に帰途に就く三人、ミナもまた明日ーと竹を振り回して見送り、こりゃ危ないとタロウに怒られムーと睨み返している、そして、
「じゃ、先にあっちか」
タロウが厨房に向かい、籠一杯の果物やら干し果物を食堂に運び込んだ、
「今度はなにー?」
ミナが今日は楽しいなーと満面の笑みでタロウに駆け寄り、カトカとゾーイもハッと顔を上げる、二人は炬燵に黒板を並べて確認作業中であった、アフラからも直接言われている、やるのであればやってしまってもいいかな等と話していたが、どうやら今日はもう一つあるらしい、
「んー、実験だ」
「ジッケンだー!!ミナ好きー」
「はいはい、じゃ、どうしようかな、ミナはちゃんと手を洗ってこい、レイン、庭の葡萄少しもらうぞ」
「好きにせい」
眉を顰めて竹をいじくりまわしていたレインが不愉快そうに答える、ありゃなんかあるのかなとタロウは感付くも、まぁ後でもいいかと内庭へ向かい、
「お手々洗うー」
とミナは厨房へ駆け込んだ、そして、
「実験の趣旨を説明しまーす」
タロウが厨房から煮沸消毒していたビーカーと、内庭の葡萄棚からレインの意向で収穫されずにカラカラに干からびて物悲し気にプラプラと揺れていた葡萄を数房手にして戻るとテーブルに並べて一同を見渡した、
「なにやるのー」
ミナがワクワクと微笑みながらリンゴに手を伸ばす、
「ふふん、まぁ、仕込みは簡単で、ただ時間がかかる、たぶん5日以上かな、7日ぐらいはみておきたい」
「そんなにですか?」
カトカがムゥと眉を顰める、
「そんなにです、モヤシみたいなもんだって言ったろ」
「あー・・・確かにあれも時間かかりましたね」
果物を見つめて呟くゾーイ、
「そういう事、それからもう二日くらいかな、いろいろやってやっと使える段階になると思うんだけど・・・」
とタロウも腕を組んで首を傾げ、
「アッ」
と大声を上げた、今度はなんだとタロウを睨む女性達、
「あー・・・リノルトさんに頼めば良かったなー・・・あれがないとあれにはならない・・・まっいっか、大したもんじゃないし、リノルトさんなら簡単に作ってくれるだろうし・・・」
タロウは残念そうに呟く、
「なんですか?鉄製品?」
「うん、鉄のね、四角い箱が欲しかったんだ、まぁ、いいよ、時間はある、でだ」
タロウがさてどうするかと集められた材料を見渡すと、
「戻りましたー」
玄関口がバタバタと騒がしくなる、
「あっ、帰って来た」
ミナがヒョイと玄関を覗く、やがて、ルルが一番に入って来た、
「わっ、どうしたんですか、皆さんで」
と足を止めると、その背にケイスがドンとぶつかり、おわっとつんのめるルル、ケイスはケイスでゴメーンと額を押さえており、危ないなーと微笑んでしまうカトカとゾーイであった。
それから夕食後の時間となる、タロウは暖炉に向かって竹を削って何やらやっており、炬燵を囲むのは大人達と生徒達、研究所の四人が額を付き合わせて何やら真面目な打合せ中で、エレインとテラとオリビア、ジャネットにグルジア達も何やら相談中となる、ニコリーネはコテンとテーブルに頭を乗せてスースーと安らかな寝息を立てている、ソフィアもすっかり炬燵に慣れたのか静かに編み物を楽しんでいる様子であった、ミナとレイン、サレバとコミンが入浴中となっている、
「・・・じゃ、これはこれでいいか・・・」
「そう思います、清書は必要ですけどね」
「ですねー、そっかー・・・あれですねー、もうサビナ先生はあっち組なのかなー・・・」
カトカが寂しそうに呟く、
「そうねー、あっち組だわねー」
ユーリがテーブルに顎を乗せてサビナを恨みがましく見上げ、サビナがムッと睨み見返すも言葉は無い、ゾーイはまったくと薄い笑みを浮かべてしまう、
「・・・そんな言い方はどうですかねー・・・」
暫しの沈黙の後、やっとサビナが言い返した、
「・・・他の言い方思い付かないなー」
「だねー、私のサビナが取られちゃったー」
「寂しいですねー」
「なー」
とカトカもテーブルに顎を乗せてユーリの真似をし始める、なにやってんだかと睨みつけるサビナ、
「まぁまぁ、こっちの仕事が一つ片付いたんですからいいじゃないですか」
ゾーイがやんわりと間に入る、昨日のタロウの講義、これをまとめるのが今日の研究所の仕事の一つであったのだが、サビナは朝一番で学園に向かいメイド科の講師達にこういう内容であったと報告している、講師達は講義の開催とその内容を耳にして是非参加したいと興奮気味であったのだが、参加者が王族や領主の母娘と聞きそれは邪魔しては駄目だとあっさりと身を引いている、サビナはあーそうなるよなーと少しばかり不憫に思い、早々に報告にいったのだ、しかし、当然であるが講師達はこれは凄いと大騒ぎになってしまい、さらに日傘やら立体縫製とやらで製作された服を見てみたいとなる、そうなるだろうなとサビナも想定していた、エレインから今日の予定を聞いており、ユスティーナとの会合が終わったあたりで店にお邪魔することとしており、それまでの間にと、大量の黒板を講師達やオリビアを含めた生徒達とでまとめることになった、それはあっという間にそれなりの形になっている、なるほど、こういった作業も人手があれば速いものなのだなと思い知るサビナであった、さらに新たな視点も得ている、昨日の講義では貴族と職人の視点での意見が多かったが、メイドの視点、実際に着るであろう者や維持管理をする者の意見もあり、大変に興味深いものとなっている、料理では無いがより深みが出て来たとそう感じるサビナであった、
「それは確かにねー、あっ、んで、タケはいいとして・・・あっちはどうする?」
「はい、私やりますよ」
テーブルに顎を乗せただらしない体勢のままユーリが問い、カトカが答える、
「ん、じゃ、お願い・・・」
ユーリはやれやれと背を正して振り返る、その先には新たな実験だとタロウが準備した品がガラス容器の中に鎮座していた、しかしそれを見る限り、ただただ果物を水につけただけの代物で、しかしカトカの解説によれば黒糖も溶かし込んでいるらしい、故に少々濁って見えるし、それぞれの果物の色も溶け込み始めているように見えた、果物はリンゴの皮、冬ミカンの皮、市販の干し葡萄そのまま、内庭の干からびた葡萄、となっており、リンゴは赤いのと黄色いの、冬ミカンも二種類程が漬け込まれている、そしてリンゴとミカンの果実は夕食に供されていた、
「でー・・・あれなんなのさ」
そのままグルーリと首を巡らしタロウを睨むユーリ、タロウはタロウでこちらに背を向けシュッシュッとタケとやらを削っており、タロウの周りには細い短冊状になった板が散らかっている、
「・・・」
ジトーッとタロウを睨むユーリ、あーこれはとゾーイが微笑み、
「すいません、タロウさん」
と一声かけた、ヘッ?と振り返るタロウ、
「あれ、なによ」
同じ問いを繰り返すユーリ、
「ん、あれ?」
「あれよ」
「あー、まぁ、見てなって、成功したら教えるー」
ニヤーと微笑むタロウ、すぐに視線を戻してしまい、コノーと頬を引きつらせるユーリ、
「まったく、ソフィア、あんた聞いてないの?」
標的をソフィアに変えるも、
「知らないわねー」
即座に答えるソフィアである、
「・・・また、エルフだなんだって言わないわよねー」
「あー、どだろねー、エルフさんの所だと・・・ほら、私は何言ってるか全然分かんなかったんだけど、タロウさんはねー、すぐに会話してたからー、私も知らない事かもよー」
「なっ、何よそれ」
「私に聞かないでー」
「タロー・・・」
「秘密ー」
こいつらはーとさらに顔を歪めるユーリに、もうと苦笑するしかない他三人、しかし、
「アッ」
とタロウが振り返る、なんじゃと睨み返すユーリ、
「うん、悪い、ちょっと真面目な話だ、カトカさんゾーイさん、さっきの続き」
「あっ、はい、良かった、忘れてなかったんですね」
ゾーイがサッと背筋を但し、
「はいはい、黒板用意します?」
とカトカもしゃんとする、
「うん、あった方がいいな、ソフィア、悪い、君もいいか?」
エッ私?と顔を上げるソフィア、これにはエレインとテラ、ジャネット達も振り返ってしまう、
「他には・・・そっか、生徒さん達もいた方がいい?」
何故かユーリに確認するタロウ、
「・・・何よそれ、そんなに重要なの?」
「重要も重要」
「ありゃ・・・内容によるけどさ・・・その内容が分かんないんじゃ判断しようがないわよ」
「それもそうだ、あー・・・ほら、魔法石の件、無色の」
エッとタロウを見つめるユーリ、ソフィアもアラッと手を止め、エレインらもタロウを見つめてしまうのであった。
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「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
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「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
とびぃ
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
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子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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