セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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76話 王家と公爵家 その53

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レイモンド子爵邸の庭園に出た一行は男達とそれ以外に別れて散策する事となった、イザークが是非こちらの馬を見て欲しいとクンラートらを厩舎へ案内し、マリアがアンネリーンらに庭園内の植物を説明して回る、そこへイージスも合流してレアンと共に駆け回り始め、アーレントは当然として、アンシェラも待ってーっと大声を上げて駆け出した、慌てて追いかけるコーレイン伯爵家のメイドであったが、子供達はすぐに足を止めて植栽を見物しており、ホッと安堵したようで、しかしすぐに何やら叫んで駆け出す子供達、メイドの悲鳴が庭園に響き、なにをやっているのやらとアンネリーンらは微笑みつつも、

「これは聞いた事があります・・・」

子供達を横目にマリアの案内は続いていた、アンネリーンもタロウから聞いていたとは言え、これほどまでに歓待されるとはと少しばかり意表を突かれたようであったが、マリアが指し示しつつ丁寧に説明する植物群に目の色を変えてしまう、なにせ名前であれば聞いた事がある花やら植物やらがふんだんに植えられているのである、ユスティーナとマルヘリートも確かに聞いた事はあるかしらと一緒になって感心していたりする、

「はい、惜しむらくはこちらでも冬はどうしても花も実もつけません、満開となった際にはまた足を運んで頂ければ幸いと思います、特に初夏の頃ですかね、香りも素晴らしいのです」

マリアが優しく微笑む、マリアとしてもこの来客は急な事であった、昨晩タロウとリンドがイザークを連れて夕食時に顔を出し、なにかあったのかと色めき立つも、イザーク本人が困った顔で付き従っている為、最も懸念された不幸では無いなとすぐに安堵し気の抜けた笑みを浮かべてしまった、そしてタロウが一つお願いしたいと言い出したのが公爵家と伯爵家の接待であった、それは別に構わないがと当主であるイェフが快諾したのであるが、その相手がこのスヒーダムにも悪名が届いているコーレイン公爵家であるという、それは流石にとイェフは難色を示すも、イザークがその人となりを説明し、さらには毎日顔を合わせていると口添える、イザークが言うのであればとイェフは納得したようで、さらにクレオノート伯爵家も共にするとなればこれはマリアが素直に喜んだ、ユスティーナとレアン、マルヘリートとはすっかり良い関係を築いていた、そして王城でユスティーナらと会合を持ったことはあったが、こちらには招いていない、そういう事であればと奮起してしまったマリアであったりする、

「そう・・・こんなに温かいのに・・・でも寒いのかしら?」

アンネリーンがニコリと微笑む、その顔からはすっかり険が落ちていた、ユスティーナとレアンは今朝アンネリーンの顔とマルヘリートの顔を見て、どうやら上手く行ったようだと安堵している、二人供に優しく柔らかい笑みを浮かべており、しかし若干疲れているようでもあった、アンネリーン曰く、昨晩は遅くまで話し合ってしまったとの事で、単純な寝不足らしく、マルヘリートも冬の夜は長いですねと微笑む、アンネリーンはあなたがエルシェ様の思い出話をせっつくからとマルヘリートを優しく見つめ、そうですねとマルヘリートははにかんでいた、なるほど、そういう事かとユスティーナは良かったですねとアンネリーンに微笑み、レアンも嬉しそうにマルヘリートに祝福の言葉を送っている、

「はい、寒いのです、陽があればこれほどに温かいのですが、やはり朝夕ですとか曇りの日はどうしても外套が欲しくなりますね、屋敷でも暖炉に火を入れなければなりません」

マァと驚くアンネリーン、

「ですが、ヘルデルの寒さとはまるで別物と思います、エレインからもモニケンダムは痛い程寒いと聞いておりました」

「そうね、痛いくらいだわね」

ユスティーナがニコリと微笑む、

「確かにね・・・でも、ヘルデルはそれに加えて雪が酷いのですよ」

「まぁ・・・雪ですか・・・」

「そうなの、もう、ちゃんと処理をしないと城から出るのもままならなくて」

「そうですね、あの雪は少しばかり酷いです」

マルヘリートも笑顔で口を挟む、

「そうね・・・あれね、冬はこっちに来ようかしら、転送陣とやらを自由に使えればそれも可能よね」

「そうですね、でも、あれはあれで困ったものなんです」

「そうなの?」

「はい、昨晩もタロウさんがいきなり駆け込んできて・・・もっと早く言ってくれれば準備をしましたのに、急に思いついたとかなんとか・・・まぁ、お世話になっておりますから、それにアンネリーン様とユスティーナ様を迎えられるとなれば断るどころか光栄な事でありますし」

マリアが困ったように微笑む、

「準備なんて不要ですよ、雪の無い景色と明るい陽光だけでも私としては嬉しい限りです」

ユスティーナが笑顔で受けると、その通りだわねとアンネリーンも微笑んだ、実際に実に気持ちが良い、どうしても冬は人を鬱屈とさせる、いかに慣れていようがそれは変わらない、久しぶりに気持ちの良い晴天と春を思わせる大気に触れ、アンネリーンもユスティーナも身体が軽くなったと感じる程に晴れ晴れとしてしまっている、

「フフッ、そう言って頂けるとこちらの不手際をタロウさんのせいにしなくて済みますね、あっ、で、こちらが茶の木になります」

「まぁ・・・これがそうなの?」

「はい、エレインのお店で提供されておりますが、もう試されましたでしょうか?」

「勿論よ、本当の茶と聞いて驚いてしまったけど、これがそうなのね」

「そうなのです、こちらの木の新芽の先の小さな若葉を集めて加工したものがお茶になります、こちらは当主が試しにどれほど大きくなるものかとただただ育ててみているものになります」

ヘーっと貴人達が見上げるその木は冬だというのに青々とした葉を茂らせた中程度の樹木であった、さらにマリアは若葉をとる為に本来であれば育ち過ぎないように加工する事や、飲料とする為の作業を説明する、そんなに手間がかかっていたのと感心する貴人達、マリアはどれもこれもすぐ隣の都市国家から齎された技術であるとし、

「タロウさんから他の幾つかの加工方法を聞いておりまして、次の収穫時には緑色の茶を作ろうかと思っています」

と続けた、

「緑色・・・」

「それは面白そうね」

「はい、タロウさんの国ではその緑色の茶の方が一般的らしいのです、成功したら皆様にもお届けしますね」

ニコリと上品に微笑むマリアであった、そしてその頃厩舎では、

「では、軽く街を見物に行きましょう」

イザークが騎乗した一行に振り返る、大きく楽しそうに頷く一同、馬上にあるのはイザークを筆頭にクンラートにレイナウト、カラミッドとリシャルト、さらにはクンラートの護衛として近衛が四名、中々の大所帯となっており、さらに乗馬できなかったクンラートの従者達が数名厩舎の脇に控えていた、

「しかし、貴様が馬に乗れんとはな」

クンラートがニヤーと意地悪気にタロウを見下ろす、

「悪かったですね」

フンとタロウはそっぽを向いて顔を顰めた、

「確かにな、しかし、この鞍は貴様が伝えたものであろう?」

レイナウトもニヤニヤとタロウを見下ろす、イザーク曰く屋敷の鞍には全てタロウが教えた鐙を付けており、これにより格段に快適になったと自慢気で、確かにそうなのだとクンラートらと共に暫く鞍談義を楽しんだようであった、

「そうですけど・・・知識と経験は乖離するものですよ、私に乗馬の技術が無くても知識は伝えられるでしょう」

ムスッと言い返すタロウ、確かになと笑うレイナウトである、

「では、こちらへ、こちらの馬は繊細ですから、優しく扱って頂くと宜しいかと思います」

イザークがスッと手綱を引けば馬は素直に従ったようである、クンラートらはそのようだなと微笑み、普段よりも丁寧に手綱を操ったようで、その馬達もゆるゆると指示に従う、そして一行はカッカッと子気味よい蹄の音を鳴らして街に向かった、タロウは取り敢えずとそれに従う事とする、イザークからは馬車を用意してあると言われているが、あれはあまり好みでは無いし他の従者達も同伴するのであれば一緒に歩きますよと遠慮していた、タロウは馬車の改良もその内やろうと思いつつやってないなと思い出す、実際そうなるとブラスとリノルトを巻き込まなければなと考え、さらにはかなりの大仕事になるとも思う、しかしリノルトの鍛冶技術があればそれなりのものになると確信していたし、ブラスの器用さもまた頼りになる、まぁ、帝国の問題が治まったらゆっくりやろうと思うタロウであった、そして、一行は爽やかな冬の日差しの中街中に入る、ぞろぞろと続く騎馬と従者の集団に市民達はおっ、と足と手を止め振り返り、イザークの姿を認めて会釈をする、タロウはスヒーダムの街に出る度市民のそのにこやかな笑顔を目にしていた、ボニファースと共に訪れた時もこの街の人々は大変に愛想が良く、また穏やかである、この地の穏やかさがそのまま乗り移ったかのような人柄で、イザークもまた笑顔で会釈に答え、クンラートらも自然と頬を緩ませてしまう、そしてそのまま街の端を通り抜けタロウが手を入れた耕地に至った、イザークとしては他に見せるものが無かった事とタロウが同行している事もあり、話のネタとしてもここが最適であろうと考えたらしい、タロウとしても昨晩その旨を相談されており、そんなに見物するものがないのかと首を傾げてしまったが、これはその地に住む者として当然の思考なのだと思い出す、毎日目にしている景色や物となるとそれがどれだけ素晴らしいものであったとしても日常の光景に過ぎず、わざわざ見せるものでは無いと考えてしまうし、価値を見損なうもので、観光地の開発を考えた場合、その価値を見出す事は現地人には難しかったりする、つまりイザークにとってはスヒーダムのあらゆる光景は当然のもので、特別な価値は認められず、しかし、ボニファースにしろクンラートにしろ外来客からすればその当然の光景が目新しく感じ、また特別なものとなる、タロウは急な話しでもあるしそれでいいよと受けるも、王国の最南端であるこのスヒーダムはそれだけでも観光地として、また療養地としても最適であろうなと考えている、ちゃんとそれらしく整備する必要があるが、この穏やかな気候と自然があればそれだけで訪れる価値があるとも思う、さらに温泉でもあればこれ以上ないとも思うし、ボニファースは別荘の建設を本気で考えているらしい、今はまだそれどころではないと側近に留められているらしく、昨日も少しばかりボヤいていた、そりゃそうだとタロウでさえ思うも、その大半を雪国が占める王国としてはこのスヒーダムやその周辺の地は別世界と言っても良い程に隔絶した地方であったりする、

「ほう、これはまた興味深いな・・・」

一行が脚を止めたのはタロウが適当に耕作したその土地である、なだらかな斜面はもうすっかり耕され、さらに果樹用の足場とする為であろう、数人の農夫が砂利を敷き詰め踏み固めていた、なるほどこうするのかとタロウが感心していると、農夫達が一行に気付いて手を止めて顔を上げる、イザークが作業を続けるように言い渡すと素直に従ったようであった、

「ですね、どうでしょうタロウさん、だいぶ根付いたと思いますが」

イザークが馬から降りて、タロウが植えた樹木に近寄る、

「そうですね、順調そうです」

タロウが額に滲んだ汗を軽く拭いてゴムの木の根元を探る、タロウが植えたバナナとマンゴー、ゴムの木はすっかり落ち着き根張りも力強いものであった、どうやらタロウの見込み通りにこの地の気候に合ったものと思われる、

「それは良かった、イージスもバナナでしたか、あれをもう一度食べたいとうるさくて・・・」

バナナ?とクンラートらも馬から下りつつイザークを睨む、

「そっかー、まぁ、苗の方は?」

「はい、屋敷で育成中です、そちらも今のところは問題無いとの事です」

「それも良かった、やっぱりどうしても実際に育ててみないと分からないからね、バナナも美味しいけど、このマンゴーも美味いんだ、あっ、ゴムは食えないからね」

「はい、伺っていますよ、実を付けるのが楽しみです」

柔らかく微笑むイザーク、その顔は荒野の天幕のそれとは大きく異なる、この地で育ったイザークとしてはあの雪と寒風に包まれた地は辛いものであろう、常に眉間に皺が寄り顔色も灰色であった、それがすっかり弛緩して血色が良くなっている、

「イザーク殿、そのバナナとは何ですかな?」

カラミッドが堪らず口を挟んだ、クンラートとレイナウト、リシャルトも雄大な景色を眺めながら聞き耳を立てている様子で、

「はい、この木がそれになります、黄色く細長い果物でして、大変に美味なのです、タロウ殿曰く国によっては麦に代わる主食であるとか、種類にもよると聞いておりますが、確かに大変に腹持ちが良く、また恐ろしい程に食べやすい果物なのです」

素直に答えるイザーク、タロウはあー・・・これはと目を細めるも、

「ほう・・・タロウ殿、どういうことなのかな?」

ニコニコとタロウに詰め寄るカラミッドであった。
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