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本編
80話 儚い日常 その10
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そろそろ夕飯時かという頃合い、寮の三階、研究所の中央テーブルにユーリとゾーイ、カトカとサビナ、サレバとコミン、ルルとレスタとケイスも同席し、タロウを囲んでいた、そして、
「で、どういうことなの?」
ユーリは見事な仏頂面でタロウを睨みつけ、何もそこまでと眉を顰める他の面々、
「なんだよ、大した事じゃないよ」
タロウもそこまで怒るなよと顔を顰めるも、ユーリの不興は変わらない、サレバもその場に居た為なんか自分が怒られてるみたいと小さくなってしまう、
「大した事よ、ああいうのはね、先に私に言いなさい、私に」
ムスッと言い切るユーリ、その気持ちは分かるけどとサレバは目を細め、他の面々は何がどうなっているんだかと静かに見守っている、
「そりゃ・・・だって、俺もさ、なんとなく思いついただけだし・・・」
「そうだろうけど、順番ってものがあるでしょ」
「そうだけど・・・その場のノリってやつも重要だし?」
「ノリってなによ」
「ノリはノリだよ」
「ノリで適当な仕事すんな」
「適当にはやってないよ・・・ねぇ?」
タロウがサレバに助けを求めるもサレバはサレバでハァーと小さく頷くしかない、別にサレバは怒られていないのであるが、気は引けるのだろう、あっ、その気持ち分かると微笑んでしまうタロウ、
「まったく・・・で、どういう事?」
フーと一息ついて声を一段落すユーリ、植物園での突発的な打合せの後、職人三人は丁度いいと学園長に取っ捕まり農学科の講師達と共に工学科の講師達の下へ行ったらしい、新しい農法の研究と浴場の建設等の相談と学園長は言っていたが、それを聞いて逃げるに逃げられるずついて行くしかなかった三人、どうやらタロウその人がいなくてもその周りの人物達には結局こうして良いように使われるのだなと悟るブラス、まぁ仕事になるからいいかと思いつつ、アッ、エーリクがいるんだったと血の気を無くしていた、リノルトも同様で、バーレントは俺必要ですか?と素直に学園長に聞いていたりする、何を言う、あの店のガラス窓は貴様の仕事であろう、なればこそ必要だとハッキリ言われ、あっあれも作るのかと目を丸くする三人、風呂場の高所にあの窓があれば気持ちが良かろうと満面の笑みを見せる学園長、エッそこまで図面が出来ているのかとさらに驚く三人である、そしてそれを見送ったユーリとサレバとコミン、取り合えずとサレバとコミンは顔と手を洗い、さて寮に戻るかとなったのであるが、バッタリとタロウに出くわし、タロウはニヤーと微笑むユーリに捕まって、こうなっている、真面目に仕事をすればこれだからと苦笑するタロウ、タロウさんも大変だなーと完全に他人事であったコミンである、
「あー・・・まぁ、難しくはないよ、ほら、モヤシの育成方法は教えただろう?」
やれやれと続けるタロウである、サビナとカトカとゾーイが黒板に何やら書き付け始め、あっ、私もそうした方がいいのかなと手持無沙汰になるコミン、サレバもムーとその黒板を見つめ、ルルとケイスとレスタは身を乗り出して黒板を覗く、
「そうね、それは聞いてる」
「あれと似たような感じでね、ほら、あれはさ、陽の光を当てない事で成長させないようにしているんだけどね、となれば逆も可能なんだな、この逆ってのは環境の事ね、つまりは・・・なんていうか・・・ハッキリ言うと、建物の中で野菜を育てるって事なんだけど・・・」
エッとタロウを見つめる一同、サレバもそこまでは聞いてないかもと目が丸くなる、タロウは、この薄暗い状態の植物園では芽は出るだろうけど大きく育てるのは難しいかもと言い出し、講師達も同意見のようであった、無論サレバもそう思う、植物園を使えるとなって興奮したのであるが、実際に作業をしてみれば温かい事と雨風が防げる点は有効と思うが、陽の光は足りないと思われた、雪が無ければとも思ったが、そうでなくてもこの季節は陽の出る日が少ない、思った以上に思ったようにはいかないのかもなーとはしゃぎながらも考えていたサレバ、タロウがであれば光柱が太陽光の代わりになるかもと言い出し、そこから議論が白熱し、タロウはユーリに作ってもらって、それで実験しようと言い出し、一旦収束している、
「・・・なにそれ?」
「そのままだよ」
「・・・えっと、そんな事できるんですか?」
コミンが思わず口を挟む、
「うん、出来る」
あっさりと答えるタロウ、エッと目を剥く女性達、
「ほら、よく考えてみ、鉢植えで育てられるんであれば、他に必要なのは定期的な水やりと、ある程度の温かさと陽の光と植物によっては虫?」
「虫?」
ん?とユーリが首を傾げ、
「ハイ、虫大事です」
サレバがバリっと背筋を伸ばす、
「だねー、ほら、受粉っていってね、花が咲いてからね、実を結ぶには受粉が必要な野菜って結構多いんだよね、で、それをやってくれるのが虫、ミツバチとか・・・カナブンとかもかな?勿論あれだ、人の手でも出来るんだけど、手間だよね」
「はい、手間です」
サレバが叫び、そうなんだーと呟くユーリ、
「知らなかったのー?」
ニヤーと微笑むタロウ、ムッとユーリが睨み返すも、黙っているあたり知らなかった可能性が高い、
「まぁ、取り合えずそれはおいておいて・・・でも、上手くやれば蜂蜜も採れるのかな・・・まぁ、いいや、で、となればだ、陽の光に関しては、このね、光柱の灯りで代用できるとしたら・・・どうなる?」
「部屋の中で栽培できます!!」
グワッと立ち上がりかけるサレバ、コミンが抑えようとするもそこまでではなかったようである、
「そっ、サレバさんも賢いねー」
ニコーと微笑むタロウ、そうなんですーと踏ん反り返るサレバ、コミンがやれやれと目を細め、ルルとレスタがクスクスと笑う、
「・・・そういう事か・・・」
ムーと腕を組むユーリ、サレバ達がなるほどと黒板を鳴らした、どうやらそれぞれに理解したらしい、何気に難しい事を言っているんだけど、飲み込みが早いよなーこいつらはとタロウは微笑み、
「そっ、まぁ、上手く行けばよ、あくまでね、で、俺の故郷だと、実は土も必要無くてね」
エッとタロウを見つめる女性達、
「それも野菜によるんだけど、水と・・・そうだね、スポンジだけで食べれるくらいに大きくなる野菜もある、スポンジをね土代わりに使って、水だけで育てるんだけど・・・肥料もあればあった方がいいのかな、あれは、まぁいいや、レタスっていう野菜だね、こっちでは無いよね?」
「聞いた事無いです、食べたいです」
いよいよ立ち上がるサレバ、ドウドウとサレバを抑えるコミン、
「そのうちねー」
「どんなのですか?」
「あー、キャベツをお洒落にした感じ」
「なんじゃそりゃ?」
ユーリが苦笑し、カトカ達も首を傾げる、ムーとタロウを睨むルルとレスタとケイス、どうやらまた出し惜しむ癖が発動しているらしい、
「うん、まぁ、美味しいかどうかでいったらただのね、葉物野菜なんだけどさ」
「でも、重要なんですよね」
サビナがギンとタロウを睨む、今日のタロウの講義で野菜の重要性をとくと説明されている、そしてタロウが口にする程の野菜となればその利便性は高いのであろう、
「そだねー、気軽に食べれるしね、サンドイッチに挟んでも美味いし、マヨソースを付けるだけでも美味いね、うん、あれは便利だよ」
「食べたいです」
再び立ち上がるサレバ、ドウドウと抑えるコミン、しかしサレバは落ち着かず、ルルもニヤニヤ微笑みつつドウドウと抑えに回る、
「ん、まぁ、待っててよ」
ニコリと微笑むタロウ、すっかりサレバも遠慮が無い、植物園でタロウと共に作業をした事もあり、一気にその距離を近くしている、しかし傍から見る限りは大きく変わっていない、しかしコミンは随分と仲良くなったんだなーとその微細な変化に気付いていた、
「でまぁ・・・そんな感じでね、農業ってやつはね、工夫次第で面白いもんなんだ、で、建物の中でも育てられるとなれば土地が必要無くなる」
タロウが続ける、これにもエッと驚く女性達、
「だろ?土地が必要無くて、土があればいいってことになって、となれば土を耕す苦労もない・・・土そのものをね、育てる必要はあるし、雑草は細かく抜かなきゃ駄目だと思うんだけど、それでもさ、例えばこの寮のね、全ての部屋に鉢植えを置いて、それも三段くらいに積み重ねて、で、それらがちゃんと収穫できるとなれば・・・どう?同じね、面積の畑、仮に建物の一階部分の面積がそうとなれば、単純に考えて三倍・・・どころかその三倍の収獲になるのかな?上手く行けばだよ、あくまでね、ようは同じ面積の畑よりも収穫物は多いって事だね」
ホヘーとタロウを見つめるサレバ、カトカらはカッカと黒板を鳴らし、うーんとその様を想像するコミンとルルとケイスとレスタ、ユーリも大きく首を傾げ、そんな事が出来るのかと眉間に皺が走る、
「で、それが植物園みたく温かさを維持できて、陽の光を光柱に変えられれば、季節に関係なく収獲できちゃう、だろ?陽の光はある、温かさもある、世話をする人もある、土もある、虫はまぁ工夫するとして・・・うん、出来そうだよね・・・植物が育ってその実を収穫できる条件が大体揃っているんだな・・・」
どう?とタロウは微笑む、ポカンとタロウを見つめるサレバとコミンとユーリ、
「・・・それ、どこまで本気?」
ユーリがゆっくりと目を細める、
「どこまでも本気だよ、うん、出来ないことは無いと思うよ、ただあくまで今後の研究次第、それと野菜にもよるかな・・・レタスもそうだけど、トマトとかね、他にも・・・キャベツ・・・難しいかな、カブ・・・タマネギ・・・んー、こっちでよくみる野菜はやってみないと分からないかな・・・あっ、イチゴとかメロンとかは出来るかもしれないし、ブドウ・・・どうだろうなー」
「小麦は駄目ですか?」
「それもやってみないとだね、こっちはだって冬小麦でしょ」
「はい」
「だから・・・ごめん、俺もあれだ、あんまり詳しくなくてね、だから、今後の研究次第、がんばって」
ニヤリとサレバに微笑むタロウ、
「がんばります!!」
猛然と立ち上がるサレバ、もうコミンもルルも抑えるつもりはないらしい、
「・・・で、それをうちの講師に言ったの?」
やれやれと本題に戻るユーリ、
「さわりだけね、ほら、サレバさんも聞いてたでしょ?」
「はい、聞いてました、でも、光柱がどうのこうのです!!」
大声で答えるサレバ、これはとコミンがその肩に手を置き、ルルも手を伸ばしてやっと座らせた、
「そっ・・・で、光柱のなんだっけ、影響とかなんとかってのは?見えない生物を殺すとかなんとか?」
ユーリがジロリとタロウを睨み、エッと顔を上げるカトカとサビナとゾーイ、
「うん、それもなんとなく思いついてね、まぁ、俺が見る限りは大した事は無いんだけど・・・でもあるのかなーって感じで、もしくはそうできるかなって感じ・・・かな?」
「重大問題よ」
ユーリの視線に力が籠る、
「そだねー、でも、現状は大丈夫だと思うよ」
「そうは聞いてないけど」
「そう?なんて言ったっけ・・・俺?」
首を傾げながらサレバに確認するタロウ、
「えっと、あれです、見えない生物を殺してるかもとか、改良を加えれば成長させられるようにできるかもって」
前のめりになるサレバ、
「あー・・・言ったなー、うん、思いついたそのままだねー」
「ちょ、それこそこっちの問題じゃない」
「だから、思いついただけだってば、実際ほら、見えない生物の実験の時も酵母のあれのときも別になんの影響もなかったろ?」
「そう・・・なの?」
不安になってカトカに確認するユーリ、しかしそのカトカも大きく首を傾げている、まずもって先の二つのその実験、どちらも光柱の灯りの下でやっている、となればその見えない生物を殺している事実は確認できないし、光柱の灯りを使わない状況下との比較も出来ようがない、なんとも言えないですと正直に答えるカトカ、タロウは、
「まぁ、実験的にはそうなんだけど、だから、逆に考えてね、あの光柱の質を変えて見えない生物を殺すようにすればいいんだよ」
エッと顔を上げるカトカとゾーイ、
「で、それは恐らくかなり強力な光になって、人の身体にもね、なんらかの影響が出るかもなんだけど、そういうのを局所的・・・例えば風呂場とか、トイレとか、厨房の一部とか、カビが生えるのが分かり切った場所に設置する、倉庫とかもいいよね、あと病院かな・・・するとどうなる?」
「カビが生えない?」
「そっ、カビもね、何気にやっかいだからさ、一度生えると洗い落としてもすぐに生えてくる、それを防止できるってわけ、で、さらに考えて視点を変えれば、植物に有効な灯りを作り出せるかもだね、陽の光よりも植物に有効な灯り?で、それを昼も夜も無く植物に当てると、育ちが良くなる・・・となれば最高だけどねー・・・あと、魔力だね、何気にほら、光柱の灯りって魔力も振り撒いてるじゃない?ごくごく微量だけど」
「それはまぁ・・・そうね・・・」
エッとユーリを見つめるカトカとゾーイとサビナ、光柱の開発においてユーリはそんな事は一言も言及していなかった筈である、
「そりゃそうだよね、光柱の仕組みってのは、中央の明るい部分の中で魔力を光に変えて、それがあっちこっちに拡散しているんだから、となればその光と一緒にね、魔力もある程度拡散してしまうもんなんだ、俺が見るに、注いだ魔力の半分くらいしか光になってないんじゃない?」
今度はタロウを見つめる三人、サレバとコミンはそうなんだーと呆けており、ルルとレスタとケイスはそんな事まで考えているのかと呆然としてしまう、
「それはだって、そういうものだもの」
ユーリがブスリと答える、
「うん、そういうもんだと思う」
タロウはニコリと微笑み、
「だから、その余った分の魔力でも、光そのものでもいいんだけど改良の方法があるかなって思ってね、だから・・・ほら、野菜もね、魔力によって成長させられるかもしれないし、でも、あくまでほら、野菜だけ?俺達みたいなね、大きい動物には影響しない程度にって・・・あまりに都合がいい話しではあるんだけど、その塩梅と検証が大変・・・なんだよなー・・・だから、後でじっくり相談しようと思ってたんだよ、簡単な内容ではないしね・・・」
フーと一息入れたタロウであった。
「で、どういうことなの?」
ユーリは見事な仏頂面でタロウを睨みつけ、何もそこまでと眉を顰める他の面々、
「なんだよ、大した事じゃないよ」
タロウもそこまで怒るなよと顔を顰めるも、ユーリの不興は変わらない、サレバもその場に居た為なんか自分が怒られてるみたいと小さくなってしまう、
「大した事よ、ああいうのはね、先に私に言いなさい、私に」
ムスッと言い切るユーリ、その気持ちは分かるけどとサレバは目を細め、他の面々は何がどうなっているんだかと静かに見守っている、
「そりゃ・・・だって、俺もさ、なんとなく思いついただけだし・・・」
「そうだろうけど、順番ってものがあるでしょ」
「そうだけど・・・その場のノリってやつも重要だし?」
「ノリってなによ」
「ノリはノリだよ」
「ノリで適当な仕事すんな」
「適当にはやってないよ・・・ねぇ?」
タロウがサレバに助けを求めるもサレバはサレバでハァーと小さく頷くしかない、別にサレバは怒られていないのであるが、気は引けるのだろう、あっ、その気持ち分かると微笑んでしまうタロウ、
「まったく・・・で、どういう事?」
フーと一息ついて声を一段落すユーリ、植物園での突発的な打合せの後、職人三人は丁度いいと学園長に取っ捕まり農学科の講師達と共に工学科の講師達の下へ行ったらしい、新しい農法の研究と浴場の建設等の相談と学園長は言っていたが、それを聞いて逃げるに逃げられるずついて行くしかなかった三人、どうやらタロウその人がいなくてもその周りの人物達には結局こうして良いように使われるのだなと悟るブラス、まぁ仕事になるからいいかと思いつつ、アッ、エーリクがいるんだったと血の気を無くしていた、リノルトも同様で、バーレントは俺必要ですか?と素直に学園長に聞いていたりする、何を言う、あの店のガラス窓は貴様の仕事であろう、なればこそ必要だとハッキリ言われ、あっあれも作るのかと目を丸くする三人、風呂場の高所にあの窓があれば気持ちが良かろうと満面の笑みを見せる学園長、エッそこまで図面が出来ているのかとさらに驚く三人である、そしてそれを見送ったユーリとサレバとコミン、取り合えずとサレバとコミンは顔と手を洗い、さて寮に戻るかとなったのであるが、バッタリとタロウに出くわし、タロウはニヤーと微笑むユーリに捕まって、こうなっている、真面目に仕事をすればこれだからと苦笑するタロウ、タロウさんも大変だなーと完全に他人事であったコミンである、
「あー・・・まぁ、難しくはないよ、ほら、モヤシの育成方法は教えただろう?」
やれやれと続けるタロウである、サビナとカトカとゾーイが黒板に何やら書き付け始め、あっ、私もそうした方がいいのかなと手持無沙汰になるコミン、サレバもムーとその黒板を見つめ、ルルとケイスとレスタは身を乗り出して黒板を覗く、
「そうね、それは聞いてる」
「あれと似たような感じでね、ほら、あれはさ、陽の光を当てない事で成長させないようにしているんだけどね、となれば逆も可能なんだな、この逆ってのは環境の事ね、つまりは・・・なんていうか・・・ハッキリ言うと、建物の中で野菜を育てるって事なんだけど・・・」
エッとタロウを見つめる一同、サレバもそこまでは聞いてないかもと目が丸くなる、タロウは、この薄暗い状態の植物園では芽は出るだろうけど大きく育てるのは難しいかもと言い出し、講師達も同意見のようであった、無論サレバもそう思う、植物園を使えるとなって興奮したのであるが、実際に作業をしてみれば温かい事と雨風が防げる点は有効と思うが、陽の光は足りないと思われた、雪が無ければとも思ったが、そうでなくてもこの季節は陽の出る日が少ない、思った以上に思ったようにはいかないのかもなーとはしゃぎながらも考えていたサレバ、タロウがであれば光柱が太陽光の代わりになるかもと言い出し、そこから議論が白熱し、タロウはユーリに作ってもらって、それで実験しようと言い出し、一旦収束している、
「・・・なにそれ?」
「そのままだよ」
「・・・えっと、そんな事できるんですか?」
コミンが思わず口を挟む、
「うん、出来る」
あっさりと答えるタロウ、エッと目を剥く女性達、
「ほら、よく考えてみ、鉢植えで育てられるんであれば、他に必要なのは定期的な水やりと、ある程度の温かさと陽の光と植物によっては虫?」
「虫?」
ん?とユーリが首を傾げ、
「ハイ、虫大事です」
サレバがバリっと背筋を伸ばす、
「だねー、ほら、受粉っていってね、花が咲いてからね、実を結ぶには受粉が必要な野菜って結構多いんだよね、で、それをやってくれるのが虫、ミツバチとか・・・カナブンとかもかな?勿論あれだ、人の手でも出来るんだけど、手間だよね」
「はい、手間です」
サレバが叫び、そうなんだーと呟くユーリ、
「知らなかったのー?」
ニヤーと微笑むタロウ、ムッとユーリが睨み返すも、黙っているあたり知らなかった可能性が高い、
「まぁ、取り合えずそれはおいておいて・・・でも、上手くやれば蜂蜜も採れるのかな・・・まぁ、いいや、で、となればだ、陽の光に関しては、このね、光柱の灯りで代用できるとしたら・・・どうなる?」
「部屋の中で栽培できます!!」
グワッと立ち上がりかけるサレバ、コミンが抑えようとするもそこまでではなかったようである、
「そっ、サレバさんも賢いねー」
ニコーと微笑むタロウ、そうなんですーと踏ん反り返るサレバ、コミンがやれやれと目を細め、ルルとレスタがクスクスと笑う、
「・・・そういう事か・・・」
ムーと腕を組むユーリ、サレバ達がなるほどと黒板を鳴らした、どうやらそれぞれに理解したらしい、何気に難しい事を言っているんだけど、飲み込みが早いよなーこいつらはとタロウは微笑み、
「そっ、まぁ、上手く行けばよ、あくまでね、で、俺の故郷だと、実は土も必要無くてね」
エッとタロウを見つめる女性達、
「それも野菜によるんだけど、水と・・・そうだね、スポンジだけで食べれるくらいに大きくなる野菜もある、スポンジをね土代わりに使って、水だけで育てるんだけど・・・肥料もあればあった方がいいのかな、あれは、まぁいいや、レタスっていう野菜だね、こっちでは無いよね?」
「聞いた事無いです、食べたいです」
いよいよ立ち上がるサレバ、ドウドウとサレバを抑えるコミン、
「そのうちねー」
「どんなのですか?」
「あー、キャベツをお洒落にした感じ」
「なんじゃそりゃ?」
ユーリが苦笑し、カトカ達も首を傾げる、ムーとタロウを睨むルルとレスタとケイス、どうやらまた出し惜しむ癖が発動しているらしい、
「うん、まぁ、美味しいかどうかでいったらただのね、葉物野菜なんだけどさ」
「でも、重要なんですよね」
サビナがギンとタロウを睨む、今日のタロウの講義で野菜の重要性をとくと説明されている、そしてタロウが口にする程の野菜となればその利便性は高いのであろう、
「そだねー、気軽に食べれるしね、サンドイッチに挟んでも美味いし、マヨソースを付けるだけでも美味いね、うん、あれは便利だよ」
「食べたいです」
再び立ち上がるサレバ、ドウドウと抑えるコミン、しかしサレバは落ち着かず、ルルもニヤニヤ微笑みつつドウドウと抑えに回る、
「ん、まぁ、待っててよ」
ニコリと微笑むタロウ、すっかりサレバも遠慮が無い、植物園でタロウと共に作業をした事もあり、一気にその距離を近くしている、しかし傍から見る限りは大きく変わっていない、しかしコミンは随分と仲良くなったんだなーとその微細な変化に気付いていた、
「でまぁ・・・そんな感じでね、農業ってやつはね、工夫次第で面白いもんなんだ、で、建物の中でも育てられるとなれば土地が必要無くなる」
タロウが続ける、これにもエッと驚く女性達、
「だろ?土地が必要無くて、土があればいいってことになって、となれば土を耕す苦労もない・・・土そのものをね、育てる必要はあるし、雑草は細かく抜かなきゃ駄目だと思うんだけど、それでもさ、例えばこの寮のね、全ての部屋に鉢植えを置いて、それも三段くらいに積み重ねて、で、それらがちゃんと収穫できるとなれば・・・どう?同じね、面積の畑、仮に建物の一階部分の面積がそうとなれば、単純に考えて三倍・・・どころかその三倍の収獲になるのかな?上手く行けばだよ、あくまでね、ようは同じ面積の畑よりも収穫物は多いって事だね」
ホヘーとタロウを見つめるサレバ、カトカらはカッカと黒板を鳴らし、うーんとその様を想像するコミンとルルとケイスとレスタ、ユーリも大きく首を傾げ、そんな事が出来るのかと眉間に皺が走る、
「で、それが植物園みたく温かさを維持できて、陽の光を光柱に変えられれば、季節に関係なく収獲できちゃう、だろ?陽の光はある、温かさもある、世話をする人もある、土もある、虫はまぁ工夫するとして・・・うん、出来そうだよね・・・植物が育ってその実を収穫できる条件が大体揃っているんだな・・・」
どう?とタロウは微笑む、ポカンとタロウを見つめるサレバとコミンとユーリ、
「・・・それ、どこまで本気?」
ユーリがゆっくりと目を細める、
「どこまでも本気だよ、うん、出来ないことは無いと思うよ、ただあくまで今後の研究次第、それと野菜にもよるかな・・・レタスもそうだけど、トマトとかね、他にも・・・キャベツ・・・難しいかな、カブ・・・タマネギ・・・んー、こっちでよくみる野菜はやってみないと分からないかな・・・あっ、イチゴとかメロンとかは出来るかもしれないし、ブドウ・・・どうだろうなー」
「小麦は駄目ですか?」
「それもやってみないとだね、こっちはだって冬小麦でしょ」
「はい」
「だから・・・ごめん、俺もあれだ、あんまり詳しくなくてね、だから、今後の研究次第、がんばって」
ニヤリとサレバに微笑むタロウ、
「がんばります!!」
猛然と立ち上がるサレバ、もうコミンもルルも抑えるつもりはないらしい、
「・・・で、それをうちの講師に言ったの?」
やれやれと本題に戻るユーリ、
「さわりだけね、ほら、サレバさんも聞いてたでしょ?」
「はい、聞いてました、でも、光柱がどうのこうのです!!」
大声で答えるサレバ、これはとコミンがその肩に手を置き、ルルも手を伸ばしてやっと座らせた、
「そっ・・・で、光柱のなんだっけ、影響とかなんとかってのは?見えない生物を殺すとかなんとか?」
ユーリがジロリとタロウを睨み、エッと顔を上げるカトカとサビナとゾーイ、
「うん、それもなんとなく思いついてね、まぁ、俺が見る限りは大した事は無いんだけど・・・でもあるのかなーって感じで、もしくはそうできるかなって感じ・・・かな?」
「重大問題よ」
ユーリの視線に力が籠る、
「そだねー、でも、現状は大丈夫だと思うよ」
「そうは聞いてないけど」
「そう?なんて言ったっけ・・・俺?」
首を傾げながらサレバに確認するタロウ、
「えっと、あれです、見えない生物を殺してるかもとか、改良を加えれば成長させられるようにできるかもって」
前のめりになるサレバ、
「あー・・・言ったなー、うん、思いついたそのままだねー」
「ちょ、それこそこっちの問題じゃない」
「だから、思いついただけだってば、実際ほら、見えない生物の実験の時も酵母のあれのときも別になんの影響もなかったろ?」
「そう・・・なの?」
不安になってカトカに確認するユーリ、しかしそのカトカも大きく首を傾げている、まずもって先の二つのその実験、どちらも光柱の灯りの下でやっている、となればその見えない生物を殺している事実は確認できないし、光柱の灯りを使わない状況下との比較も出来ようがない、なんとも言えないですと正直に答えるカトカ、タロウは、
「まぁ、実験的にはそうなんだけど、だから、逆に考えてね、あの光柱の質を変えて見えない生物を殺すようにすればいいんだよ」
エッと顔を上げるカトカとゾーイ、
「で、それは恐らくかなり強力な光になって、人の身体にもね、なんらかの影響が出るかもなんだけど、そういうのを局所的・・・例えば風呂場とか、トイレとか、厨房の一部とか、カビが生えるのが分かり切った場所に設置する、倉庫とかもいいよね、あと病院かな・・・するとどうなる?」
「カビが生えない?」
「そっ、カビもね、何気にやっかいだからさ、一度生えると洗い落としてもすぐに生えてくる、それを防止できるってわけ、で、さらに考えて視点を変えれば、植物に有効な灯りを作り出せるかもだね、陽の光よりも植物に有効な灯り?で、それを昼も夜も無く植物に当てると、育ちが良くなる・・・となれば最高だけどねー・・・あと、魔力だね、何気にほら、光柱の灯りって魔力も振り撒いてるじゃない?ごくごく微量だけど」
「それはまぁ・・・そうね・・・」
エッとユーリを見つめるカトカとゾーイとサビナ、光柱の開発においてユーリはそんな事は一言も言及していなかった筈である、
「そりゃそうだよね、光柱の仕組みってのは、中央の明るい部分の中で魔力を光に変えて、それがあっちこっちに拡散しているんだから、となればその光と一緒にね、魔力もある程度拡散してしまうもんなんだ、俺が見るに、注いだ魔力の半分くらいしか光になってないんじゃない?」
今度はタロウを見つめる三人、サレバとコミンはそうなんだーと呆けており、ルルとレスタとケイスはそんな事まで考えているのかと呆然としてしまう、
「それはだって、そういうものだもの」
ユーリがブスリと答える、
「うん、そういうもんだと思う」
タロウはニコリと微笑み、
「だから、その余った分の魔力でも、光そのものでもいいんだけど改良の方法があるかなって思ってね、だから・・・ほら、野菜もね、魔力によって成長させられるかもしれないし、でも、あくまでほら、野菜だけ?俺達みたいなね、大きい動物には影響しない程度にって・・・あまりに都合がいい話しではあるんだけど、その塩梅と検証が大変・・・なんだよなー・・・だから、後でじっくり相談しようと思ってたんだよ、簡単な内容ではないしね・・・」
フーと一息入れたタロウであった。
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聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
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「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
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不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
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アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
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『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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