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王都の王城、王太子の執務室。
そこは今、この世の終わりのような空気が漂っていた。
「……痛い。顔が痛い。心が痛い。なぜ僕はこんな目に遭わなければならないんだ」
執務机に突っ伏して呻いているのは、クロード王太子殿下だ。
その顔は、先日アジュカから送られてきた『激辛クリーム』の効果で、まだほんのりと赤く腫れ上がっている。
かつての「麗しの貴公子」の面影は、茹で上がったタコのようになって消え失せていた。
「殿下、泣き言を言っている場合ではありません」
冷徹な声で告げたのは、文官長だ。
彼の目の下には濃い隈ができている。アジュカがいなくなってからの激務で、彼もまた限界を迎えていた。
「決済書類が溜まっています。至急、この三十件の案件に承認を」
「三十件!? 無理だ! 顔が痛くて文字が読めない!」
「目は腫れていません。読めます」
文官長は容赦なく書類の束をドンと置いた。
「そもそも、これらの案件は全て、先週中に処理されていなければならなかったものです。殿下が『ミーナとピクニックに行く』と言ってサボったせいで、現場はパニックになっています」
「うるさいな! 王子の僕が休んで何が悪い!」
「王族の責務を果たしてから休んでください。……ああ、アジュカ様がいらした頃は、こんな初歩的なミスは起きなかったのに」
「ッ……!」
まただ。
この数日、誰も彼もが口を開けば「アジュカ様は」「アジュカ様なら」と言う。
まるで自分がアジュカの劣化コピーだと言われているようで、クロードのプライドはズタズタだった。
「だ、大体なんだあの女は! 僕の顔をこんなにして! これこそ不敬罪で死刑だ!」
「あのクリームには『パッチテストをしてからお使いください』との注意書きが同封されていましたよ。それを無視して顔全体に塗りたくったのは殿下です」
「文字が小さすぎて読めなかったんだ!」
「アジュカ様なら、重要な注意書きは赤線で囲って付箋をつけてくださっていましたね……」
「比較するなぁぁぁ!!」
クロードが頭を抱えて絶叫したその時、隣の部屋からさらに甲高い悲鳴が響いてきた。
「イヤァァァ! またニキビができてるぅぅ!」
バンッ! と扉を開けて入ってきたのは、顔を包帯でぐるぐる巻きにしたミーナだった。
「クロード様ぁ! どうにかしてください! あのアジュカの毒薬のせいで、私のお肌がボロボロですぅ!」
「お、おお、ミーナ……可哀想に……」
クロードはふらふらと立ち上がり、ミーナを抱きしめようとした。
しかし、ミーナはその手をパシッと払いのけた。
「触らないでください! クロード様の顔の赤みが移ったらどうするんですか!」
「えっ……」
「それより、もっと高級な塗り薬を買ってください! 東方の『エリクサー入りクリーム』、一個金貨五十枚するやつ!」
「ご、五十枚……?」
クロードは凍りついた。
今の王太子の財布には、銅貨一枚すら入っていない。
アジュカへの慰謝料、これまでの浪費の補填、そして今回の治療費で、王室費は完全に底をついていた。
「む、無理だ……。父上から『これ以上の予算超過は廃嫡だ』と言われている……」
「はぁ? ケチ!」
ミーナが露骨に顔を歪めた。
その表情は、いつもの「守ってあげたくなる天使」ではなく、ただの「金のかかる我儘女」そのものだった。
「なっ……ミ、ミーナ? 今、なんて……」
「だってそうじゃないですかぁ! 王子様のくせにお金がないなんて、詐欺ですぅ! アジュカ様を追い出せば、もっと贅沢できるって言ったじゃないですか!」
「そ、それは……」
「もういいです! 私、実家に帰らせていただきます!」
ミーナはプンプンと怒って部屋を出て行ってしまった。
「あ……待って……」
クロードの手が空を切る。
残されたのは、積み上がった書類の山と、冷ややかな目をした文官長だけ。
「……殿下。現実逃避は済みましたか?」
「…………」
クロードは椅子にへたり込んだ。
なぜだ。
なぜこんなことになった。
アジュカという「お目付け役」がいなくなれば、自由で輝かしい未来が待っているはずだったのに。
ふと、机の引き出しの奥に、一冊のノートが挟まっているのが見えた。
アジュカが使っていた、地味な革表紙のノートだ。
何気なく手に取り、開いてみる。
そこには、びっしりと細かい文字で、今後の公務の予定や、リスク管理のメモ、そしてクロードの体調を気遣う言葉が書かれていた。
『X月X日。殿下は季節の変わり目に風邪をひきやすい。執務室の温度調整を徹底すること』
『Y月Y日。隣国大使は甘いものが苦手。茶菓子は塩気のあるクラッカーに変更』
『Z月Z日。殿下が自信をなくされているようだ。些細なことでも褒めて、モチベーションを上げること』
「…………あ」
クロードの手が震えた。
彼女は、ただ口うるさいだけではなかった。
誰よりも僕を見て、僕のために――見えないところで、これだけのことをしてくれていたのか。
「僕は……なんて馬鹿なことを……」
初めて、本心からの後悔が胸を締め付けた。
だが、時すでに遅し。
彼女はもう、手の届かない場所にいる。
しかも、最強に恐ろしい公爵の腕の中に。
「う、うわあああああん!!」
王城の執務室に、王子の情けない泣き声が響き渡った。
文官長はそっと耳栓をして、無心で書類仕事を再開した。
◇
一方その頃、ヴァレンタイン公爵領。
「――ぶえっくしょい!」
私は盛大なクシャミをした。
「どうした、アジュカ。風邪か?」
隣を歩くシリウス様が、心配そうに自分の上着を私の肩にかけてくれる。
「いえ、誰かが噂しているようです。たぶん、あのバカ王子あたりが泣き言でも言っているのでしょう」
私は鼻をすすり、目の前の光景に意識を戻した。
私たちがいるのは、領地の山間部にある秘湯地帯だ。
湯気が立ち上る岩場からは、硫黄の香りが漂ってくる。
「すごい湯量ですわ……! これなら、大規模な温泉リゾートが作れます!」
私の目は、またしても金貨の形になっていた。
「アジュカ。クリームの次は温泉か?」
「当然です! 『スノー・ホワイト・クリーム』で得た資金を元手に、次はこの温泉街を再開発します!」
私はあらかじめ用意していた図面を広げた。
「ターゲットは、王都の疲れ切った貴族たち。キャッチコピーは『癒やしと美の楽園・ヴァレンタイン温泉』! 高級旅館を建設し、地元の食材を使った料理と、私のクリームを使ったエステを提供します!」
「……君の商才には恐れ入るな」
シリウス様は図面を覗き込み、感心したように頷く。
「王都の貴族たちは、日々の派閥争いや社交で疲弊している。……特に最近は、王城がカオス状態でストレスが溜まっているらしいからな」
「ええ。そこが狙い目です。現実逃避したいお金持ちから、ふんだんに外貨を獲得するのです!」
私は握り拳を作った。
「シリウス様、このあたりの土地、全て公爵家の所有ですよね?」
「ああ。好きに使っていい」
「言いましたね? では、早速建築士を手配して……あ、その前に!」
私はふと、あることを思いついた。
岩場の陰に、ちょうど二人が入れそうな大きさの、天然の露天風呂がある。
「……試しに入ってみませんか? 泉質調査として」
「今からか? 混浴で?」
シリウス様がニヤリと笑う。
私は慌てて手を振った。
「ち、違います! 足湯です! 足だけ!」
「残念だな。私は構わないのだが」
「私が構います!」
私たちは岩場に座り、靴と靴下を脱いで、熱めのお湯に足を浸した。
「あぁ~……生き返るぅ……」
「ふぅ。……悪くないな」
絶景の山々を眺めながらの足湯。最高だ。
これが「仕事(視察)」だなんて、バチが当たりそうなくらい贅沢な時間だ。
「……ねえ、シリウス様」
「ん?」
「私、ここに来てよかったです」
自然と、本音が口をついて出た。
「王都にいた頃は、毎日何かに追われているようで、こんな風に景色を楽しむ余裕なんてありませんでした。……今は、忙しいけど楽しいです」
「そうか」
シリウス様は、お湯の中で私の足に自分の足を軽く触れさせた。
「私もだ。君が来てから、毎日が鮮やかになった」
彼は私の肩を引き寄せ、頭を乗せた。
「このリゾートが完成したら……一番風呂は二人で入ろうか」
「……っ! そ、それは……」
「予約だ。……拒否権はないぞ」
耳元で囁かれ、私は湯気以上に顔を赤くした。
商売の話をしていたはずなのに、いつの間にかこの甘い空気に持ち込まれる。
この攻防戦、私の勝率は未だにゼロだ。
「……検討しておきます。貸切料金は高くつきますよ?」
「望むところだ。私の全財産を払ってもいい」
私たちは顔を見合わせて笑った。
王都でのドロドロとした崩壊劇など知る由もなく、こちらの領地では、着々と「愛」と「利益」が積み重なっていたのである。
そこは今、この世の終わりのような空気が漂っていた。
「……痛い。顔が痛い。心が痛い。なぜ僕はこんな目に遭わなければならないんだ」
執務机に突っ伏して呻いているのは、クロード王太子殿下だ。
その顔は、先日アジュカから送られてきた『激辛クリーム』の効果で、まだほんのりと赤く腫れ上がっている。
かつての「麗しの貴公子」の面影は、茹で上がったタコのようになって消え失せていた。
「殿下、泣き言を言っている場合ではありません」
冷徹な声で告げたのは、文官長だ。
彼の目の下には濃い隈ができている。アジュカがいなくなってからの激務で、彼もまた限界を迎えていた。
「決済書類が溜まっています。至急、この三十件の案件に承認を」
「三十件!? 無理だ! 顔が痛くて文字が読めない!」
「目は腫れていません。読めます」
文官長は容赦なく書類の束をドンと置いた。
「そもそも、これらの案件は全て、先週中に処理されていなければならなかったものです。殿下が『ミーナとピクニックに行く』と言ってサボったせいで、現場はパニックになっています」
「うるさいな! 王子の僕が休んで何が悪い!」
「王族の責務を果たしてから休んでください。……ああ、アジュカ様がいらした頃は、こんな初歩的なミスは起きなかったのに」
「ッ……!」
まただ。
この数日、誰も彼もが口を開けば「アジュカ様は」「アジュカ様なら」と言う。
まるで自分がアジュカの劣化コピーだと言われているようで、クロードのプライドはズタズタだった。
「だ、大体なんだあの女は! 僕の顔をこんなにして! これこそ不敬罪で死刑だ!」
「あのクリームには『パッチテストをしてからお使いください』との注意書きが同封されていましたよ。それを無視して顔全体に塗りたくったのは殿下です」
「文字が小さすぎて読めなかったんだ!」
「アジュカ様なら、重要な注意書きは赤線で囲って付箋をつけてくださっていましたね……」
「比較するなぁぁぁ!!」
クロードが頭を抱えて絶叫したその時、隣の部屋からさらに甲高い悲鳴が響いてきた。
「イヤァァァ! またニキビができてるぅぅ!」
バンッ! と扉を開けて入ってきたのは、顔を包帯でぐるぐる巻きにしたミーナだった。
「クロード様ぁ! どうにかしてください! あのアジュカの毒薬のせいで、私のお肌がボロボロですぅ!」
「お、おお、ミーナ……可哀想に……」
クロードはふらふらと立ち上がり、ミーナを抱きしめようとした。
しかし、ミーナはその手をパシッと払いのけた。
「触らないでください! クロード様の顔の赤みが移ったらどうするんですか!」
「えっ……」
「それより、もっと高級な塗り薬を買ってください! 東方の『エリクサー入りクリーム』、一個金貨五十枚するやつ!」
「ご、五十枚……?」
クロードは凍りついた。
今の王太子の財布には、銅貨一枚すら入っていない。
アジュカへの慰謝料、これまでの浪費の補填、そして今回の治療費で、王室費は完全に底をついていた。
「む、無理だ……。父上から『これ以上の予算超過は廃嫡だ』と言われている……」
「はぁ? ケチ!」
ミーナが露骨に顔を歪めた。
その表情は、いつもの「守ってあげたくなる天使」ではなく、ただの「金のかかる我儘女」そのものだった。
「なっ……ミ、ミーナ? 今、なんて……」
「だってそうじゃないですかぁ! 王子様のくせにお金がないなんて、詐欺ですぅ! アジュカ様を追い出せば、もっと贅沢できるって言ったじゃないですか!」
「そ、それは……」
「もういいです! 私、実家に帰らせていただきます!」
ミーナはプンプンと怒って部屋を出て行ってしまった。
「あ……待って……」
クロードの手が空を切る。
残されたのは、積み上がった書類の山と、冷ややかな目をした文官長だけ。
「……殿下。現実逃避は済みましたか?」
「…………」
クロードは椅子にへたり込んだ。
なぜだ。
なぜこんなことになった。
アジュカという「お目付け役」がいなくなれば、自由で輝かしい未来が待っているはずだったのに。
ふと、机の引き出しの奥に、一冊のノートが挟まっているのが見えた。
アジュカが使っていた、地味な革表紙のノートだ。
何気なく手に取り、開いてみる。
そこには、びっしりと細かい文字で、今後の公務の予定や、リスク管理のメモ、そしてクロードの体調を気遣う言葉が書かれていた。
『X月X日。殿下は季節の変わり目に風邪をひきやすい。執務室の温度調整を徹底すること』
『Y月Y日。隣国大使は甘いものが苦手。茶菓子は塩気のあるクラッカーに変更』
『Z月Z日。殿下が自信をなくされているようだ。些細なことでも褒めて、モチベーションを上げること』
「…………あ」
クロードの手が震えた。
彼女は、ただ口うるさいだけではなかった。
誰よりも僕を見て、僕のために――見えないところで、これだけのことをしてくれていたのか。
「僕は……なんて馬鹿なことを……」
初めて、本心からの後悔が胸を締め付けた。
だが、時すでに遅し。
彼女はもう、手の届かない場所にいる。
しかも、最強に恐ろしい公爵の腕の中に。
「う、うわあああああん!!」
王城の執務室に、王子の情けない泣き声が響き渡った。
文官長はそっと耳栓をして、無心で書類仕事を再開した。
◇
一方その頃、ヴァレンタイン公爵領。
「――ぶえっくしょい!」
私は盛大なクシャミをした。
「どうした、アジュカ。風邪か?」
隣を歩くシリウス様が、心配そうに自分の上着を私の肩にかけてくれる。
「いえ、誰かが噂しているようです。たぶん、あのバカ王子あたりが泣き言でも言っているのでしょう」
私は鼻をすすり、目の前の光景に意識を戻した。
私たちがいるのは、領地の山間部にある秘湯地帯だ。
湯気が立ち上る岩場からは、硫黄の香りが漂ってくる。
「すごい湯量ですわ……! これなら、大規模な温泉リゾートが作れます!」
私の目は、またしても金貨の形になっていた。
「アジュカ。クリームの次は温泉か?」
「当然です! 『スノー・ホワイト・クリーム』で得た資金を元手に、次はこの温泉街を再開発します!」
私はあらかじめ用意していた図面を広げた。
「ターゲットは、王都の疲れ切った貴族たち。キャッチコピーは『癒やしと美の楽園・ヴァレンタイン温泉』! 高級旅館を建設し、地元の食材を使った料理と、私のクリームを使ったエステを提供します!」
「……君の商才には恐れ入るな」
シリウス様は図面を覗き込み、感心したように頷く。
「王都の貴族たちは、日々の派閥争いや社交で疲弊している。……特に最近は、王城がカオス状態でストレスが溜まっているらしいからな」
「ええ。そこが狙い目です。現実逃避したいお金持ちから、ふんだんに外貨を獲得するのです!」
私は握り拳を作った。
「シリウス様、このあたりの土地、全て公爵家の所有ですよね?」
「ああ。好きに使っていい」
「言いましたね? では、早速建築士を手配して……あ、その前に!」
私はふと、あることを思いついた。
岩場の陰に、ちょうど二人が入れそうな大きさの、天然の露天風呂がある。
「……試しに入ってみませんか? 泉質調査として」
「今からか? 混浴で?」
シリウス様がニヤリと笑う。
私は慌てて手を振った。
「ち、違います! 足湯です! 足だけ!」
「残念だな。私は構わないのだが」
「私が構います!」
私たちは岩場に座り、靴と靴下を脱いで、熱めのお湯に足を浸した。
「あぁ~……生き返るぅ……」
「ふぅ。……悪くないな」
絶景の山々を眺めながらの足湯。最高だ。
これが「仕事(視察)」だなんて、バチが当たりそうなくらい贅沢な時間だ。
「……ねえ、シリウス様」
「ん?」
「私、ここに来てよかったです」
自然と、本音が口をついて出た。
「王都にいた頃は、毎日何かに追われているようで、こんな風に景色を楽しむ余裕なんてありませんでした。……今は、忙しいけど楽しいです」
「そうか」
シリウス様は、お湯の中で私の足に自分の足を軽く触れさせた。
「私もだ。君が来てから、毎日が鮮やかになった」
彼は私の肩を引き寄せ、頭を乗せた。
「このリゾートが完成したら……一番風呂は二人で入ろうか」
「……っ! そ、それは……」
「予約だ。……拒否権はないぞ」
耳元で囁かれ、私は湯気以上に顔を赤くした。
商売の話をしていたはずなのに、いつの間にかこの甘い空気に持ち込まれる。
この攻防戦、私の勝率は未だにゼロだ。
「……検討しておきます。貸切料金は高くつきますよ?」
「望むところだ。私の全財産を払ってもいい」
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