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「コンシュ・ワイズマン! 貴様との婚約は、今この時をもって破棄する!」
王立学園の卒業パーティー。
その華やかな会場の空気は、第一王子ジェラルドの絶叫によって一瞬にして凍りついた。
シャンデリアの光を反射する金髪を振り乱し、ジェラルドは私、コンシュ・ワイズマンを指差している。
その腕には、小動物のように震える桃色髪の男爵令嬢、ミナがしがみついていた。
周囲の貴族たちがざわめき出し、扇子で口元を隠しながらヒソヒソと囁き合う。
「あれが噂の悪役令嬢……」
「とうとう愛想を尽かされたか」
「公爵令嬢としての矜持はないのかしら」
身に覚えのない誹謗中傷が聞こえてくるが、私はドレスの裾を優雅に払い、扇子をパチンと閉じた。
そして、内心でガッツポーズをした。
(待ちに待った瞬間が、ついに来たわ!)
表情筋を総動員して「冷徹な悪役令嬢」の仮面を維持しつつ、私は静かに口を開く。
「……殿下。それは、正式な通告と受け取ってよろしいのですか?」
「当たり前だ! 貴様のような冷酷で心の貧しい女は、この国の王妃にふさわしくない! ミナを見ろ。彼女は純粋で、優しくて、僕の心を癒やしてくれる真実の愛の相手なんだ!」
ジェラルドが酔いしれたように叫ぶ。
隣のミナが「殿下ぁ……」とうっとりした声を上げた。
私は心の中で電卓を叩き始めた。
婚約破棄の理由は「真実の愛」。こちらの有責事項は今のところ提示されていない。
つまり、これは完全なる「あちらの都合」による契約不履行だ。
「貴様がミナにした数々の悪行、知らぬとは言わせんぞ! 教科書を破いただろう!」
「いえ、破いておりません」
私は即答した。
「嘘をつくな! ミナが泣いていただろう!」
「その時刻、私は図書室で王国の税収報告書を読み込んでおりました。司書の方と、第三騎士団の団長が証人です。あ、ちなみに教科書が破れていたのは、ミナ様がご自身でお菓子を食べながら開き、クリームがついたページを強引に剥がそうとしたからでは?」
「なっ……!?」
ミナがびくりと肩を震わせる。
「で、では、階段から突き落とした件はどうだ! あれは大怪我をするところだった!」
「その時刻、私は財務大臣と『下水道整備の予算配分』について激論を交わしておりました。議事録も残っております。ちなみにミナ様が転んだのは、ドレスの裾が長すぎるのにヒールで走ったからという目撃証言が、使用人たちから多数上がっております」
「ええい、うるさい、うるさい!」
ジェラルドは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「理屈ばかり捏ね回しやがって! そういうところが可愛げがないと言うんだ! お前には情というものがないのか!」
「情で国は治まりませんから」
「き、貴様……っ!」
周囲の視線が、次第に「悪女への軽蔑」から「正論すぎて怖い」というものに変わっていく。
よし、いい流れだ。
私は一歩前へ進み出た。
ジェラルドとミナが、気圧されて半歩下がる。
「殿下の仰りたいことはよくわかりました。つまり、私には可愛げがなく、ミナ様のような愛らしさもない。ゆえに、婚約を破棄したいと」
「そ、そうだ! 僕が選ぶのはミナだ!」
「承知いたしました」
私はニッコリと微笑んだ。
それは、獲物を前にした商人の笑みだとも知らず、ジェラルドは勝ち誇ったような顔をする。
「ふん、やっと自分の立場を理解したか。身を引くなら、これ以上の罪は問わないでやろう」
「感謝いたします、殿下。……ところで」
私は懐から、あらかじめ用意していた分厚い羊皮紙の束を取り出した。
ずっしりと重いそれは、まるで辞書のようだ。
「……なんだ、それは」
「精算書です」
「は?」
ジェラルドが間の抜けた声を出す。
私は羊皮紙をパラリと広げ、流れるような手付きで読み上げ始めた。
「まず、婚約期間中に私が殿下の公務を代行した件について。本来、殿下が行うべき視察、書類決済、式典への出席。これらを私が代行した回数は計四百八十二回。王族の公務手当を時給換算し、深夜残業代と休日出勤手当を上乗せして、金貨三千枚」
「なっ……」
「次に、殿下がこれまでにやらかしたトラブルの尻拭い費用。隣国の使者への暴言に対する慰謝料の立替、無断で購入された絵画の返品キャンセル料、カジノでの負け分の補填。これらが締めて金貨五千枚」
会場がざわめく。
「カジノ?」「隣国への暴言?」と、王子の資質を問う囁きが大きくなる。
私は構わず続ける。
「さらに、ミナ様への教育費。殿下は『ミナを王妃にする』と仰いましたが、現在のミナ様のマナーでは外交問題に発展します。よって、私が手配した家庭教師代、および私が直接指導した際の技術料。私のコンサルティング料は少々お高いので、これが金貨千五百枚」
「お、お前……金の話ばかり……!」
「愛がないなら金で解決する。これが大人のルールです、殿下」
私は羊皮紙を次々とめくっていく。
「そして極めつきは、今回の『一方的な婚約破棄』に対する慰謝料です。王家からの打診で始まった婚約を、個人的な感情で、しかも公衆の面前で破棄する。これにより私の名誉は傷つき、今後の縁談にも支障が出ます。精神的苦痛に対する慰謝料として、金貨一万枚を請求させていただきます」
「い、一万……!?」
ジェラルドが目を白黒させる。
合計すると、国家予算の端数ほどになる金額だ。
「合計、金貨一万九千五百枚。……ですが、今回は『卒業記念キャンペーン』としまして、端数の五百枚は勉強させていただきます」
私は胸元から、携帯用のインクと羽ペンを取り出した。
そして、別の書類――『婚約解消および債務承認弁済契約書』を、ジェラルドの目の前に突きつける。
「さあ、殿下。ここにサインを。これがあれば、私は二度と殿下の前に姿を現しませんし、殿下とミナ様の『真実の愛』を邪魔することもありません。サインひとつで、自由が手に入るのです」
「ぐ、ぐぬぬ……」
ジェラルドは脂汗を流している。
払えるわけがない。彼にそんな蓄えはないのだから。
だが、ここでサインしなければ、彼の「やらかし」リストが公になり、廃嫡の可能性すら出てくる。
「殿下? どうなさいました? 愛のために、すべてを捨てると仰ったのでは?」
「う、うるさい! 書けばいいんだろう、書けば!」
ジェラルドは私からペンをひったくり、震える手でサインをした。
ミナが「殿下、かっこいい……?」と不安そうに見上げているが、彼はそれどころではない。
書き終わった契約書を、私は素早く回収した。
インクが乾くのを確認し、厳重に懐へしまう。
勝った。
これで私は自由だ。
しかも、莫大な活動資金(債権)まで手に入れた。
「ありがとうございます、ジェラルド様! これにて契約成立です!」
先ほどまでの冷徹な表情はどこへやら。
私は満面の笑みを浮かべ、スカートをつまんで最上級のカーテシーを披露した。
「今後は請求書を毎月、王宮へ送らせていただきますね。分割払いも利息付きで対応可能ですのでご安心を。……ああ、それと」
私は会場の出口へと向かいながら、一度だけ振り返った。
呆然と立ち尽くす元婚約者と、その恋人に向かって、明るく手を振る。
「今後のトラブル処理は、私の新しい店『ワイズマン万事相談所』へどうぞ! もちろん、別料金ですが!」
会場の扉を押し開ける。
夜風が心地よい。
背後で誰かが叫んでいる気がするが、もう私には関係のないことだ。
こうして私は、悪役令嬢という汚名と引き換えに、念願の「自由」と「起業資金」を手に入れたのだった。
(さあ、忙しくなるわよ!)
廃屋同然の物件を借りる手付金、看板の発注、事務用品の買い出し。
頭の中はすでに、明日のスケジュールのことでいっぱいだった。
これが、すべての始まり。
後に『影の宰相』とまで呼ばれることになる私の、記念すべき第一歩である。
王立学園の卒業パーティー。
その華やかな会場の空気は、第一王子ジェラルドの絶叫によって一瞬にして凍りついた。
シャンデリアの光を反射する金髪を振り乱し、ジェラルドは私、コンシュ・ワイズマンを指差している。
その腕には、小動物のように震える桃色髪の男爵令嬢、ミナがしがみついていた。
周囲の貴族たちがざわめき出し、扇子で口元を隠しながらヒソヒソと囁き合う。
「あれが噂の悪役令嬢……」
「とうとう愛想を尽かされたか」
「公爵令嬢としての矜持はないのかしら」
身に覚えのない誹謗中傷が聞こえてくるが、私はドレスの裾を優雅に払い、扇子をパチンと閉じた。
そして、内心でガッツポーズをした。
(待ちに待った瞬間が、ついに来たわ!)
表情筋を総動員して「冷徹な悪役令嬢」の仮面を維持しつつ、私は静かに口を開く。
「……殿下。それは、正式な通告と受け取ってよろしいのですか?」
「当たり前だ! 貴様のような冷酷で心の貧しい女は、この国の王妃にふさわしくない! ミナを見ろ。彼女は純粋で、優しくて、僕の心を癒やしてくれる真実の愛の相手なんだ!」
ジェラルドが酔いしれたように叫ぶ。
隣のミナが「殿下ぁ……」とうっとりした声を上げた。
私は心の中で電卓を叩き始めた。
婚約破棄の理由は「真実の愛」。こちらの有責事項は今のところ提示されていない。
つまり、これは完全なる「あちらの都合」による契約不履行だ。
「貴様がミナにした数々の悪行、知らぬとは言わせんぞ! 教科書を破いただろう!」
「いえ、破いておりません」
私は即答した。
「嘘をつくな! ミナが泣いていただろう!」
「その時刻、私は図書室で王国の税収報告書を読み込んでおりました。司書の方と、第三騎士団の団長が証人です。あ、ちなみに教科書が破れていたのは、ミナ様がご自身でお菓子を食べながら開き、クリームがついたページを強引に剥がそうとしたからでは?」
「なっ……!?」
ミナがびくりと肩を震わせる。
「で、では、階段から突き落とした件はどうだ! あれは大怪我をするところだった!」
「その時刻、私は財務大臣と『下水道整備の予算配分』について激論を交わしておりました。議事録も残っております。ちなみにミナ様が転んだのは、ドレスの裾が長すぎるのにヒールで走ったからという目撃証言が、使用人たちから多数上がっております」
「ええい、うるさい、うるさい!」
ジェラルドは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「理屈ばかり捏ね回しやがって! そういうところが可愛げがないと言うんだ! お前には情というものがないのか!」
「情で国は治まりませんから」
「き、貴様……っ!」
周囲の視線が、次第に「悪女への軽蔑」から「正論すぎて怖い」というものに変わっていく。
よし、いい流れだ。
私は一歩前へ進み出た。
ジェラルドとミナが、気圧されて半歩下がる。
「殿下の仰りたいことはよくわかりました。つまり、私には可愛げがなく、ミナ様のような愛らしさもない。ゆえに、婚約を破棄したいと」
「そ、そうだ! 僕が選ぶのはミナだ!」
「承知いたしました」
私はニッコリと微笑んだ。
それは、獲物を前にした商人の笑みだとも知らず、ジェラルドは勝ち誇ったような顔をする。
「ふん、やっと自分の立場を理解したか。身を引くなら、これ以上の罪は問わないでやろう」
「感謝いたします、殿下。……ところで」
私は懐から、あらかじめ用意していた分厚い羊皮紙の束を取り出した。
ずっしりと重いそれは、まるで辞書のようだ。
「……なんだ、それは」
「精算書です」
「は?」
ジェラルドが間の抜けた声を出す。
私は羊皮紙をパラリと広げ、流れるような手付きで読み上げ始めた。
「まず、婚約期間中に私が殿下の公務を代行した件について。本来、殿下が行うべき視察、書類決済、式典への出席。これらを私が代行した回数は計四百八十二回。王族の公務手当を時給換算し、深夜残業代と休日出勤手当を上乗せして、金貨三千枚」
「なっ……」
「次に、殿下がこれまでにやらかしたトラブルの尻拭い費用。隣国の使者への暴言に対する慰謝料の立替、無断で購入された絵画の返品キャンセル料、カジノでの負け分の補填。これらが締めて金貨五千枚」
会場がざわめく。
「カジノ?」「隣国への暴言?」と、王子の資質を問う囁きが大きくなる。
私は構わず続ける。
「さらに、ミナ様への教育費。殿下は『ミナを王妃にする』と仰いましたが、現在のミナ様のマナーでは外交問題に発展します。よって、私が手配した家庭教師代、および私が直接指導した際の技術料。私のコンサルティング料は少々お高いので、これが金貨千五百枚」
「お、お前……金の話ばかり……!」
「愛がないなら金で解決する。これが大人のルールです、殿下」
私は羊皮紙を次々とめくっていく。
「そして極めつきは、今回の『一方的な婚約破棄』に対する慰謝料です。王家からの打診で始まった婚約を、個人的な感情で、しかも公衆の面前で破棄する。これにより私の名誉は傷つき、今後の縁談にも支障が出ます。精神的苦痛に対する慰謝料として、金貨一万枚を請求させていただきます」
「い、一万……!?」
ジェラルドが目を白黒させる。
合計すると、国家予算の端数ほどになる金額だ。
「合計、金貨一万九千五百枚。……ですが、今回は『卒業記念キャンペーン』としまして、端数の五百枚は勉強させていただきます」
私は胸元から、携帯用のインクと羽ペンを取り出した。
そして、別の書類――『婚約解消および債務承認弁済契約書』を、ジェラルドの目の前に突きつける。
「さあ、殿下。ここにサインを。これがあれば、私は二度と殿下の前に姿を現しませんし、殿下とミナ様の『真実の愛』を邪魔することもありません。サインひとつで、自由が手に入るのです」
「ぐ、ぐぬぬ……」
ジェラルドは脂汗を流している。
払えるわけがない。彼にそんな蓄えはないのだから。
だが、ここでサインしなければ、彼の「やらかし」リストが公になり、廃嫡の可能性すら出てくる。
「殿下? どうなさいました? 愛のために、すべてを捨てると仰ったのでは?」
「う、うるさい! 書けばいいんだろう、書けば!」
ジェラルドは私からペンをひったくり、震える手でサインをした。
ミナが「殿下、かっこいい……?」と不安そうに見上げているが、彼はそれどころではない。
書き終わった契約書を、私は素早く回収した。
インクが乾くのを確認し、厳重に懐へしまう。
勝った。
これで私は自由だ。
しかも、莫大な活動資金(債権)まで手に入れた。
「ありがとうございます、ジェラルド様! これにて契約成立です!」
先ほどまでの冷徹な表情はどこへやら。
私は満面の笑みを浮かべ、スカートをつまんで最上級のカーテシーを披露した。
「今後は請求書を毎月、王宮へ送らせていただきますね。分割払いも利息付きで対応可能ですのでご安心を。……ああ、それと」
私は会場の出口へと向かいながら、一度だけ振り返った。
呆然と立ち尽くす元婚約者と、その恋人に向かって、明るく手を振る。
「今後のトラブル処理は、私の新しい店『ワイズマン万事相談所』へどうぞ! もちろん、別料金ですが!」
会場の扉を押し開ける。
夜風が心地よい。
背後で誰かが叫んでいる気がするが、もう私には関係のないことだ。
こうして私は、悪役令嬢という汚名と引き換えに、念願の「自由」と「起業資金」を手に入れたのだった。
(さあ、忙しくなるわよ!)
廃屋同然の物件を借りる手付金、看板の発注、事務用品の買い出し。
頭の中はすでに、明日のスケジュールのことでいっぱいだった。
これが、すべての始まり。
後に『影の宰相』とまで呼ばれることになる私の、記念すべき第一歩である。
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