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大聖堂の扉が開かれた瞬間、私は自分自身が巨大な光の渦になったような錯覚を覚えました。
天井の高いドームから降り注ぐ正午の陽光が、私の纏う純白のドレスに反射し、数千の光の粒となって堂内に飛び散ります。
バージンロードの先に立つアリステア様は、眩しさに耐えるように目を細め、けれど一瞬たりとも私から視線を逸らそうとはしません。
(ああ……見て。私の美しさが、ついに神域にまで達してしまったわ)
私は、父の腕に添えた指先に力を込め、一歩ずつ、彼のもとへと進みました。
参列者たちの溜息が、静かなさざ波のように私の背中を追いかけてきます。
それは悲鳴にも似た、圧倒的な光への畏怖。
「……エリヤーヌ。君は、本当に……」
祭壇の前で私を迎えたアリステア様の声は、震えていました。
その瞳には、私の放つ光が、涙の膜となってキラキラと砕け散っています。
「殿下。泣かないで。貴方のその涙を、私はこれからの長い人生をかけて、すべて光の粒に変えて差し上げますわ」
私は、彼の震える手を取りました。
司祭の言葉が遠くで響く中、私たちは互いを見つめ合いました。
「かつて、私は貴方に『婚約破棄』を提案いたしました。それは、貴方を私の影から救い出すための、最高の慈悲でしたわ」
「……ああ。だがあの時、私は自分の魂が死ぬ音を聞いた」
「ええ、わかっております。貴方は私のいない自由よりも、私の隣にいる不自由を選ばれた。……なんて救いようのない、愛すべき方」
私は完璧な微笑みを浮かべました。
光の粒が、二人の重なり合う指の間で、パチパチと祝福の火花を散らしています。
「アリステア様。貴方の幸せは、私という太陽に焼かれ続けること。……ならば、私はその望みを生涯、叶え続けて差し上げます」
「……それが私の、唯一の救いだ」
アリステア様が私を引き寄せ、耳元で熱く、どこか哀切な声で囁きました。
「私の良さがわからない貴方へ、私が贈る最後の慈悲ですわ」
私は彼の胸に顔を寄せ、世界で一番甘く、傲慢な言葉を口にしました。
「アリステア様。私と、結婚しましょう。……そして一生、私の光の中で溺れていなさいな」
「……喜んで。お前のいない天国より、お前のいる地獄を私は選ぶ」
誓いのキスが交わされた瞬間、大聖堂の窓から差し込む光が爆ぜ、世界は真っ白な輝きに包まれました。
無数の光の粒が、私たちの周囲で激しく、そして美しく踊り狂います。
それは、哀切な過去をすべて飲み込み、透明な未来へと繋がっていく祝福の調べ。
私は確信していました。
これから始まる私たちの物語は、どんな小説よりもドラマチックで、そして……。
世界で一番、私の「素敵さ」に溢れたものになるのだと。
光の粒が、私たちの歩む道をどこまでも白く照らし出し、二人の影は、一つの大きな光へと溶けていきました。
天井の高いドームから降り注ぐ正午の陽光が、私の纏う純白のドレスに反射し、数千の光の粒となって堂内に飛び散ります。
バージンロードの先に立つアリステア様は、眩しさに耐えるように目を細め、けれど一瞬たりとも私から視線を逸らそうとはしません。
(ああ……見て。私の美しさが、ついに神域にまで達してしまったわ)
私は、父の腕に添えた指先に力を込め、一歩ずつ、彼のもとへと進みました。
参列者たちの溜息が、静かなさざ波のように私の背中を追いかけてきます。
それは悲鳴にも似た、圧倒的な光への畏怖。
「……エリヤーヌ。君は、本当に……」
祭壇の前で私を迎えたアリステア様の声は、震えていました。
その瞳には、私の放つ光が、涙の膜となってキラキラと砕け散っています。
「殿下。泣かないで。貴方のその涙を、私はこれからの長い人生をかけて、すべて光の粒に変えて差し上げますわ」
私は、彼の震える手を取りました。
司祭の言葉が遠くで響く中、私たちは互いを見つめ合いました。
「かつて、私は貴方に『婚約破棄』を提案いたしました。それは、貴方を私の影から救い出すための、最高の慈悲でしたわ」
「……ああ。だがあの時、私は自分の魂が死ぬ音を聞いた」
「ええ、わかっております。貴方は私のいない自由よりも、私の隣にいる不自由を選ばれた。……なんて救いようのない、愛すべき方」
私は完璧な微笑みを浮かべました。
光の粒が、二人の重なり合う指の間で、パチパチと祝福の火花を散らしています。
「アリステア様。貴方の幸せは、私という太陽に焼かれ続けること。……ならば、私はその望みを生涯、叶え続けて差し上げます」
「……それが私の、唯一の救いだ」
アリステア様が私を引き寄せ、耳元で熱く、どこか哀切な声で囁きました。
「私の良さがわからない貴方へ、私が贈る最後の慈悲ですわ」
私は彼の胸に顔を寄せ、世界で一番甘く、傲慢な言葉を口にしました。
「アリステア様。私と、結婚しましょう。……そして一生、私の光の中で溺れていなさいな」
「……喜んで。お前のいない天国より、お前のいる地獄を私は選ぶ」
誓いのキスが交わされた瞬間、大聖堂の窓から差し込む光が爆ぜ、世界は真っ白な輝きに包まれました。
無数の光の粒が、私たちの周囲で激しく、そして美しく踊り狂います。
それは、哀切な過去をすべて飲み込み、透明な未来へと繋がっていく祝福の調べ。
私は確信していました。
これから始まる私たちの物語は、どんな小説よりもドラマチックで、そして……。
世界で一番、私の「素敵さ」に溢れたものになるのだと。
光の粒が、私たちの歩む道をどこまでも白く照らし出し、二人の影は、一つの大きな光へと溶けていきました。
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