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「素晴らしいダンスでしたわ!」
「その肌の輝き、どうやったら維持できるのですか?」
一曲踊り終えた私は、あっという間に貴族たちの中心にいた。
さっきまで私を遠巻きにしていたご婦人たちが、今は目を輝かせて美容法を聞き出そうとしている。
「秘訣? そうね。まずは鏡を見ることよ。一日五時間は自分の顔と対話しなさい。細胞の一つ一つに『今日も可愛いわね』と語りかけるの。そうすれば、細胞もやる気を出して輝き始めるわ」
「ご、五時間もですか……?」
「ええ。美しさは一日にしてならず。努力と、圧倒的な自己愛の賜物よ」
私が得意げに講釈を垂れていると、人垣を割って鋭い声が飛んできた。
「……少し調子に乗っていらっしゃるんじゃなくて?」
空気が冷える。
集まっていた人々が、蜘蛛の子を散らすように道を空けた。
そこに立っていたのは、濃い紫色のドレスを着た令嬢だった。
吊り上がった目、きつく結ばれた唇。
いかにも「私がこの場の女王よ」と言いたげなオーラを出しているが、残念ながら私の輝きの前では豆電球レベルだ。
「あら、あなたは?」
私が首を傾げると、彼女は扇子をバチリと鳴らした。
「私はベラ・フォン・クロイツ。この国の伯爵令嬢ですわ。隣国から流れてきた素性の知れない女が、殿下の隣で大きな顔をしているのが不愉快でしてよ」
典型的な悪役令嬢ムーブだ。
教科書通りの展開に、私は少し感動すら覚えた。
「はじめまして、ベラ様。大きな顔だなんて失礼ね。私の顔は黄金比率に基づいた完璧な小顔よ。測量し直してきてくださる?」
「言葉の綾ですわ! これだから田舎者は困りますのよ」
ベラ嬢は私の全身をねめつけるように見た。
「そのドレスも、品がないほど派手ですわね。まるで成金趣味のシャンデリアみたい。アークライト王国の伝統ある夜会には相応しくありませんわ」
周囲がざわつく。
真っ向からの侮辱だ。
しかし、私はニッコリと微笑んだ。
「ありがとう」
「は?」
ベラ嬢が虚を突かれた顔をする。
「シャンデリアみたいだなんて、最高の褒め言葉だわ。だってシャンデリアは、高いところから全てを見下ろし、光を降り注ぐ存在でしょう? まさに私そのものじゃない」
「ほ、褒めてませんわよ!」
「照れなくていいのよ。私の圧倒的な存在感を、そんな素敵な比喩で表現してくれるなんて。貴女、意外と詩的なセンスがあるのね」
「っ……! 話が通じない女ですわね!」
ベラ嬢の顔が怒りで赤く染まる。
紫色のドレスと相まって、なんだか熟れすぎたブドウみたいだ。
「大体、聞きましてよ? 貴女、元いた国で婚約破棄されたそうですわね。しかも、聖女様をいじめたとか。そんな傷物の女が、ジェラルド殿下に近づくなんて厚かましいにも程がありますわ」
彼女は勝ち誇ったように言った。
この情報を出せば、私が恥じ入って俯くとでも思ったのだろう。
甘いわ。
私のメンタルはダイヤモンド製よ。傷なんてつくはずがない。
「婚約破棄? ああ、あの解放記念日のことね」
「か、解放記念日……?」
「ええ。狭い鳥籠から、美しい鳳凰(私)が解き放たれた記念すべき日よ。傷物だなんてとんでもない。私は『誰のものにも染まらない自由な芸術品』へと進化したの」
私は扇子で口元を隠し、流し目を送った。
「それに、殿下に近づいたわけじゃないわ。殿下が私を拾ったの。道端に落ちている最高級の宝石を無視できる男なんていないでしょう? それは自然の摂理よ」
「なっ……どこまで自意識過剰なんですの!」
ベラ嬢の肩が震えている。
どうやら限界が近いようだ。
彼女は近くを通りかかった給仕から、赤ワインのたっぷり入ったグラスを奪い取った。
「口の減らない女……! その化けの皮を剥いでやりますわ!」
ベラ嬢が私に向かって歩み寄ってくる。
その足取りは、あからさまに不自然だった。
何もない床につまづくフリをして、ワインを私にかけるつもりだ。
古典的すぎてあくびが出るわ。
「きゃあっ! 足が滑ったわ!」
棒読みの悲鳴と共に、彼女は私の目の前で盛大に転んだ。
手にしたグラスの中身が、赤い弧を描いて宙を舞う。
狙いは私の純白(と金色)のドレスだ。
スローモーションのように見える液体。
周囲から「あっ!」という悲鳴が上がる。
しかし。
私は動かなかった。
避ける必要すら感じなかったからだ。
バシャッ!
ワインが床にぶち撒けられる音が響いた。
赤い飛沫が飛び散る。
……ベラ嬢のドレスに。
「きゃああああっ!?」
ベラ嬢が悲鳴を上げた。
彼女が転んだ拍子に手元が狂い、投げたはずのワインが自分の膝元に直撃したのだ。
私のドレスには、一滴のシミもついていなかった。
「……あらあら」
私は扇子をパタパタと動かし、床にへたり込んだベラ嬢を見下ろした。
「大変ね、ベラ様。足元がお留守だったようよ。それにしても……奇跡ね」
「な、何が……っ!」
ドレスを赤く染めたベラ嬢が、涙目で私を睨む。
「見て、この床のシミ。私のドレスを避けるように広がっているわ」
私は自分の足元を指差した。
実際、ワインの飛沫は私のドレスの裾ギリギリのところで止まっていた。
「ワインですら、遠慮したのね」
「は……?」
「このワイン、おそらく最高級のヴィンテージでしょう? だからこそ知性があったのよ。『あんな美しいドレスを汚したら、ワインとしての誇りが許さない』って。空中で必死に軌道修正したのが見えたわ」
「そ、そんなわけあるかーッ!!」
ベラ嬢が絶叫する。
令嬢らしからぬ叫び声に、会場が静まり返る。
「貴女が避けたんでしょう!? いえ、貴女が何か呪術でも使ったんですわ!」
「呪術? いいえ、これは『美の結界(ATフィールド)』よ。汚れしものは私に触れることができないの。物理法則すら、私の美貌には忖度(そんたく)するようね」
私はしゃがみ込み、ベラ嬢に手を差し伸べるふりをして、床に落ちたグラスを拾い上げた。
「それにしても、もったいないわ。こんな良い香りのするワインを床に飲ませるなんて。貴女のドレスが吸ってしまった分、クリーニング代が高くつきそうね。紫色のドレスに赤ワインのシミ……うん、前衛的な柄に見えなくもないわよ?」
「き、きえぇぇぇっ!」
ベラ嬢は顔を真っ赤にして立ち上がると、脱兎のごとく会場から走り去ってしまった。
泣き声が廊下に響き渡る。
「……勝負あり、だな」
いつの間にか後ろに立っていたジェラルドが、呆れたように呟いた。
「ジェラルド。見ていたのなら助けてくださる?」
「助ける必要などなかっただろう。お前は一歩も動かずに撃退したんだから」
彼は床に散らばったガラス片を避けるように私をエスコートした。
「それにしても、『ワインが軌道を変えた』という解釈には恐れ入ったよ。普通なら『運が良かった』で済ませるところを」
「運じゃないわ、実力よ。私のオーラが風圧となってワインを吹き飛ばした可能性もあるわね」
「はいはい、そういうことにしておこう」
ジェラルドは苦笑しながら、ハンカチを取り出して私の靴のつま先を拭いた。
汚れてもいないのに。
その跪(ひざまず)く姿があまりにも自然で、周囲のご婦人たちから「まぁ……素敵」とため息が漏れる。
「ニアン。お前は本当に……退屈させない女だな」
立ち上がったジェラルドの瞳が、優しく細められる。
「退屈? 私の辞書にそんな言葉はないわ。あるのは『刺激』と『感動』だけよ」
私は胸を張った。
「それに、今の騒ぎで証明されたでしょう? 悪意すらも、私の前では無力化されるってこと。ベラ様には気の毒だけど、彼女は引き立て役としていい仕事をしたわ」
「お前のその強メンタル、我が騎士団の講義に取り入れたいくらいだ」
「出演料は高いわよ?」
私たちが軽口を叩き合っていると、会場から拍手が起こった。
意地悪な令嬢を、暴力も暴言も使わず(言葉の暴力はあったかもしれないが)、ただ「圧倒的な勘違い力」で撃退した私への賞賛の拍手だ。
「ブラボー! ニアン嬢!」
「あんなにスカッとしたのは初めてだ!」
貴族たちが口々に褒め称える。
私はスカートの端をつまみ、優雅にカーテシーをした。
「ありがとう、ありがとう! 皆さまの応援が、私の美しさの肥料になりますわ!」
こうして、私の「嫌味な令嬢撃退イベント」は、完全勝利という形で幕を閉じた。
ワインをかけられそうになっても、それを「美への忖度」と解釈する。
このポジティブさこそが、悪役令嬢(元)として生き抜くための最強の鎧なのだ。
「さあジェラルド。喉が渇いたわ。さっきのワインの代わりに、もっと美味しいシャンパンを持ってきてちょうだい。私の勝利の美酒を味わいたいの」
「やれやれ……今夜は長い夜になりそうだ」
ジェラルドは肩をすくめたが、その表情はどこか楽しげだった。
私の隣国でのポジションは、今夜をもって不動のものとなったのである。
「触れるものみな傷つける」ならぬ、「触れるものみな調子を狂わせる」ナルシスト令嬢として。
「その肌の輝き、どうやったら維持できるのですか?」
一曲踊り終えた私は、あっという間に貴族たちの中心にいた。
さっきまで私を遠巻きにしていたご婦人たちが、今は目を輝かせて美容法を聞き出そうとしている。
「秘訣? そうね。まずは鏡を見ることよ。一日五時間は自分の顔と対話しなさい。細胞の一つ一つに『今日も可愛いわね』と語りかけるの。そうすれば、細胞もやる気を出して輝き始めるわ」
「ご、五時間もですか……?」
「ええ。美しさは一日にしてならず。努力と、圧倒的な自己愛の賜物よ」
私が得意げに講釈を垂れていると、人垣を割って鋭い声が飛んできた。
「……少し調子に乗っていらっしゃるんじゃなくて?」
空気が冷える。
集まっていた人々が、蜘蛛の子を散らすように道を空けた。
そこに立っていたのは、濃い紫色のドレスを着た令嬢だった。
吊り上がった目、きつく結ばれた唇。
いかにも「私がこの場の女王よ」と言いたげなオーラを出しているが、残念ながら私の輝きの前では豆電球レベルだ。
「あら、あなたは?」
私が首を傾げると、彼女は扇子をバチリと鳴らした。
「私はベラ・フォン・クロイツ。この国の伯爵令嬢ですわ。隣国から流れてきた素性の知れない女が、殿下の隣で大きな顔をしているのが不愉快でしてよ」
典型的な悪役令嬢ムーブだ。
教科書通りの展開に、私は少し感動すら覚えた。
「はじめまして、ベラ様。大きな顔だなんて失礼ね。私の顔は黄金比率に基づいた完璧な小顔よ。測量し直してきてくださる?」
「言葉の綾ですわ! これだから田舎者は困りますのよ」
ベラ嬢は私の全身をねめつけるように見た。
「そのドレスも、品がないほど派手ですわね。まるで成金趣味のシャンデリアみたい。アークライト王国の伝統ある夜会には相応しくありませんわ」
周囲がざわつく。
真っ向からの侮辱だ。
しかし、私はニッコリと微笑んだ。
「ありがとう」
「は?」
ベラ嬢が虚を突かれた顔をする。
「シャンデリアみたいだなんて、最高の褒め言葉だわ。だってシャンデリアは、高いところから全てを見下ろし、光を降り注ぐ存在でしょう? まさに私そのものじゃない」
「ほ、褒めてませんわよ!」
「照れなくていいのよ。私の圧倒的な存在感を、そんな素敵な比喩で表現してくれるなんて。貴女、意外と詩的なセンスがあるのね」
「っ……! 話が通じない女ですわね!」
ベラ嬢の顔が怒りで赤く染まる。
紫色のドレスと相まって、なんだか熟れすぎたブドウみたいだ。
「大体、聞きましてよ? 貴女、元いた国で婚約破棄されたそうですわね。しかも、聖女様をいじめたとか。そんな傷物の女が、ジェラルド殿下に近づくなんて厚かましいにも程がありますわ」
彼女は勝ち誇ったように言った。
この情報を出せば、私が恥じ入って俯くとでも思ったのだろう。
甘いわ。
私のメンタルはダイヤモンド製よ。傷なんてつくはずがない。
「婚約破棄? ああ、あの解放記念日のことね」
「か、解放記念日……?」
「ええ。狭い鳥籠から、美しい鳳凰(私)が解き放たれた記念すべき日よ。傷物だなんてとんでもない。私は『誰のものにも染まらない自由な芸術品』へと進化したの」
私は扇子で口元を隠し、流し目を送った。
「それに、殿下に近づいたわけじゃないわ。殿下が私を拾ったの。道端に落ちている最高級の宝石を無視できる男なんていないでしょう? それは自然の摂理よ」
「なっ……どこまで自意識過剰なんですの!」
ベラ嬢の肩が震えている。
どうやら限界が近いようだ。
彼女は近くを通りかかった給仕から、赤ワインのたっぷり入ったグラスを奪い取った。
「口の減らない女……! その化けの皮を剥いでやりますわ!」
ベラ嬢が私に向かって歩み寄ってくる。
その足取りは、あからさまに不自然だった。
何もない床につまづくフリをして、ワインを私にかけるつもりだ。
古典的すぎてあくびが出るわ。
「きゃあっ! 足が滑ったわ!」
棒読みの悲鳴と共に、彼女は私の目の前で盛大に転んだ。
手にしたグラスの中身が、赤い弧を描いて宙を舞う。
狙いは私の純白(と金色)のドレスだ。
スローモーションのように見える液体。
周囲から「あっ!」という悲鳴が上がる。
しかし。
私は動かなかった。
避ける必要すら感じなかったからだ。
バシャッ!
ワインが床にぶち撒けられる音が響いた。
赤い飛沫が飛び散る。
……ベラ嬢のドレスに。
「きゃああああっ!?」
ベラ嬢が悲鳴を上げた。
彼女が転んだ拍子に手元が狂い、投げたはずのワインが自分の膝元に直撃したのだ。
私のドレスには、一滴のシミもついていなかった。
「……あらあら」
私は扇子をパタパタと動かし、床にへたり込んだベラ嬢を見下ろした。
「大変ね、ベラ様。足元がお留守だったようよ。それにしても……奇跡ね」
「な、何が……っ!」
ドレスを赤く染めたベラ嬢が、涙目で私を睨む。
「見て、この床のシミ。私のドレスを避けるように広がっているわ」
私は自分の足元を指差した。
実際、ワインの飛沫は私のドレスの裾ギリギリのところで止まっていた。
「ワインですら、遠慮したのね」
「は……?」
「このワイン、おそらく最高級のヴィンテージでしょう? だからこそ知性があったのよ。『あんな美しいドレスを汚したら、ワインとしての誇りが許さない』って。空中で必死に軌道修正したのが見えたわ」
「そ、そんなわけあるかーッ!!」
ベラ嬢が絶叫する。
令嬢らしからぬ叫び声に、会場が静まり返る。
「貴女が避けたんでしょう!? いえ、貴女が何か呪術でも使ったんですわ!」
「呪術? いいえ、これは『美の結界(ATフィールド)』よ。汚れしものは私に触れることができないの。物理法則すら、私の美貌には忖度(そんたく)するようね」
私はしゃがみ込み、ベラ嬢に手を差し伸べるふりをして、床に落ちたグラスを拾い上げた。
「それにしても、もったいないわ。こんな良い香りのするワインを床に飲ませるなんて。貴女のドレスが吸ってしまった分、クリーニング代が高くつきそうね。紫色のドレスに赤ワインのシミ……うん、前衛的な柄に見えなくもないわよ?」
「き、きえぇぇぇっ!」
ベラ嬢は顔を真っ赤にして立ち上がると、脱兎のごとく会場から走り去ってしまった。
泣き声が廊下に響き渡る。
「……勝負あり、だな」
いつの間にか後ろに立っていたジェラルドが、呆れたように呟いた。
「ジェラルド。見ていたのなら助けてくださる?」
「助ける必要などなかっただろう。お前は一歩も動かずに撃退したんだから」
彼は床に散らばったガラス片を避けるように私をエスコートした。
「それにしても、『ワインが軌道を変えた』という解釈には恐れ入ったよ。普通なら『運が良かった』で済ませるところを」
「運じゃないわ、実力よ。私のオーラが風圧となってワインを吹き飛ばした可能性もあるわね」
「はいはい、そういうことにしておこう」
ジェラルドは苦笑しながら、ハンカチを取り出して私の靴のつま先を拭いた。
汚れてもいないのに。
その跪(ひざまず)く姿があまりにも自然で、周囲のご婦人たちから「まぁ……素敵」とため息が漏れる。
「ニアン。お前は本当に……退屈させない女だな」
立ち上がったジェラルドの瞳が、優しく細められる。
「退屈? 私の辞書にそんな言葉はないわ。あるのは『刺激』と『感動』だけよ」
私は胸を張った。
「それに、今の騒ぎで証明されたでしょう? 悪意すらも、私の前では無力化されるってこと。ベラ様には気の毒だけど、彼女は引き立て役としていい仕事をしたわ」
「お前のその強メンタル、我が騎士団の講義に取り入れたいくらいだ」
「出演料は高いわよ?」
私たちが軽口を叩き合っていると、会場から拍手が起こった。
意地悪な令嬢を、暴力も暴言も使わず(言葉の暴力はあったかもしれないが)、ただ「圧倒的な勘違い力」で撃退した私への賞賛の拍手だ。
「ブラボー! ニアン嬢!」
「あんなにスカッとしたのは初めてだ!」
貴族たちが口々に褒め称える。
私はスカートの端をつまみ、優雅にカーテシーをした。
「ありがとう、ありがとう! 皆さまの応援が、私の美しさの肥料になりますわ!」
こうして、私の「嫌味な令嬢撃退イベント」は、完全勝利という形で幕を閉じた。
ワインをかけられそうになっても、それを「美への忖度」と解釈する。
このポジティブさこそが、悪役令嬢(元)として生き抜くための最強の鎧なのだ。
「さあジェラルド。喉が渇いたわ。さっきのワインの代わりに、もっと美味しいシャンパンを持ってきてちょうだい。私の勝利の美酒を味わいたいの」
「やれやれ……今夜は長い夜になりそうだ」
ジェラルドは肩をすくめたが、その表情はどこか楽しげだった。
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