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「……それで、これは何かしら?」
私は目の前に差し出された巨大な花束を見下ろした。
朝食後のテラス。
優雅にハーブティーを嗜んでいた私の元へ、ジェラルドがやってきたかと思えば、いきなりこれを突きつけてきたのだ。
「見れば分かるだろう。青い薔薇だ」
ジェラルドは少し顔を背けながら言った。
その耳がほんのりと赤くなっているのを、私の鋭い観察眼は見逃さない。
「薔薇なのは見れば分かるわ。私が聞きたいのは、その『意図』よ」
私はティーカップを置き、花束を受け取った。
ずっしりと重い。
本数にして五十本はあるだろうか。
しかも、ただの青い薔薇ではない。
花弁の縁が金粉でコーティングされている、希少品種『ロイヤル・ブルー』だ。
「昨夜の夜会での……礼だ」
ジェラルドが咳払いを一つした。
「お前のおかげで、あの退屈な夜会が活気づいた。それに、ベラ嬢の件も穏便に(?)解決してくれたしな。その……感謝の気持ちだ」
「感謝、ね」
私は花束に顔を寄せ、香りを吸い込んだ。
芳醇で上品な香り。
私のフェロモンと良い勝負だわ。
「素直じゃないわね、ジェラルド。感謝だけなら言葉で十分でしょう? わざわざこんな高価な花束を用意するなんて、理由は一つしかないわ」
私はニヤリと笑い、彼を指差した。
「私のファンクラブに入会したいのね?」
「……は?」
ジェラルドが呆気にとられた顔をする。
「無理に隠さなくてもいいのよ。昨夜の私のドレス姿を見て、心を撃ち抜かれてしまったんでしょう? 『ああ、ニアン様。貴女の輝きを一生そばで拝ませてください』って。その気持ちを花束に託した……健気だわ」
「待て。飛躍しすぎだ」
「照れなくていいの。貴方を『ニアン・ローズベルク親衛隊』の会員番号1番に任命してあげる。名誉なことよ? 世界中の男たちが喉から手が出るほど欲しがるポジションなんだから」
「親衛隊……1番……」
ジェラルドは額に手を当て、深い深いため息をついた。
しかし、拒絶はしなかった。
ほらごらんなさい。
図星だから反論できないのよ。
「それで? 会員特典として、今日は何を献上してくれるのかしら?」
私が上から目線で尋ねると、ジェラルドは気を取り直したように顔を上げた。
「……街へ行くぞ」
「街?」
「公務の視察だ。王都の市場や広場を見て回る。お前も暇だろう? ついてこい」
彼はぶっきらぼうに言ったが、その瞳は少し期待しているように見えた。
「デートのお誘いってわけね。いいわ、許可してあげる。庶民たちに私の美顔を拝ませてあげるのも、貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)だもの」
「デートではない。視察だと言っているだろう」
「はいはい。ツンデレという属性も悪くないけれど、あまり使いすぎると胃もたれするわよ?」
私は花束をセバスチャンに預け(「一番目立つ花瓶に生けなさい!」と指示して)、お出かけの準備に向かった。
王都のメインストリート。
ジェラルドと私は並んで歩いていた。
もちろん、護衛の騎士たちが遠巻きに囲んでいるが、実質的には二人きりのようなものだ。
「見て、ジェラルド。ショーウィンドウのガラスに映る私たちが、まるで絵画のようよ」
「……前を見て歩け。転ぶぞ」
「転ばないわ。私が転ぶ時は、地球が揺れた時だけよ」
今日の私は、外出用ということで少し控えめな(当社比)ピンクのドレスに、つばの広い帽子を被っている。
それでも通行人たちの視線は釘付けだ。
「あの方が、噂の……?」
「すげぇ美人だ……」
「隣にいるのは氷の騎士様か? あんなに柔らかい顔をして……」
聞こえてくる声を、私は心地よいBGMとして聞き流す。
「人気者だな」
ジェラルドが苦笑する。
「当然よ。美は国境を越える共通言語だもの」
私たちは市場を抜け、見晴らしの良い広場のベンチに腰を下ろした。
ジェラルドが屋台で買ったフルーツジュースを差し出してくれる。
「飲め。喉が渇いただろう」
「ありがとう。気が利くわね、会員番号1番」
「その呼び方はやめろ」
彼はストローをくわえた私を、じっと見つめてきた。
その視線が、いつもより熱を帯びている気がする。
「……ニアン」
「何? 私の横顔に見惚れて言葉を失った?」
「お前は、本当に変わっているな」
ジェラルドは静かに言った。
「俺は今まで、多くの令嬢を見てきた。権力目当てですり寄ってくる女、俺の顔色ばかり伺う女、計算高い女……。だが、お前のようなタイプは初めてだ」
「唯一無二、それが私よ」
「ああ、そうだ。お前は……強烈すぎる。だが、不思議と不快ではない。むしろ、お前といると世界が明るく見える」
彼は私の手元に視線を落とした。
私の手袋に覆われた手に、彼の手がそっと触れる。
「俺は、お前のその自信が……眩しいと思う」
おっと。
これは、いわゆる「愛の告白」の前兆かしら?
普通の乙女なら、ここで顔を赤らめて「殿下……」と潤んだ瞳で見つめ返す場面だ。
しかし、私はニアン・ローズベルク。
恋愛脳よりもナルシスト脳が発達している女だ。
私は彼の手をパチンと扇子で叩いた。
「お触りは禁止よ、ジェラルド」
「……っ」
彼が驚いて手を引っ込める。
「まだ会員ランクが低いの。私の手に触れるには、あと一万回くらい『ニアン様美しい』と唱えて徳を積む必要があるわ」
「徳を積む……?」
「ええ。それに、私の自信が眩しいのは当たり前よ。太陽を見て『眩しい』と言うのと同じこと。貴方はただ、自然現象としての私に圧倒されているだけなの」
私は真顔で説いた。
「勘違いしないでね。貴方が感じているそのドキドキは、恋じゃないわ。あまりに高貴な存在を前にした時の『畏怖』よ。神殿でお祈りをする時のような気持ちね」
ジェラルドは口をポカンと開けていた。
しばらく固まっていたが、やがて肩を震わせ、空を仰いで笑い出した。
「くっ、ははははは! 畏怖か! 俺が女に畏怖を感じているだと!」
「笑い事じゃないわ。心拍数が上がっているでしょう? それは吊り橋効果ならぬ『女神降臨効果』よ」
「参ったな……。お前を口説こうとした俺が馬鹿だった」
彼は涙が出るほど笑っていた。
口説こうとした、とさらりと言った気がするけれど、きっと気のせいね。
彼はただ、信者としての信仰心を告白しようとしただけだわ。
「でも、悪い気分じゃない」
ジェラルドは笑い収めると、改めて私を見た。
今度は触れようとはせず、ただ真っ直ぐに。
「お前は最強の盾を持っているな。ナルシストという名の、傷つかない盾を」
「盾じゃないわ。これは皮膚よ。生まれつきのね」
「そうか。なら、その皮膚を貫くのは骨が折れそうだ」
彼は楽しそうに目を細めた。
まるで、攻略しがいのある難攻不落の城を見つけた攻城戦の指揮官のような顔だ。
「諦めないぞ、ニアン」
「何を?」
「会員ランクを上げることだ」
ジェラルドはニヤリと笑った。
「いつか必ず、その手に触れる許可を得てみせる。氷の騎士の名にかけてな」
「あら、言うわね」
私は残りのジュースを飲み干し、不敵に笑い返した。
「頑張りなさい。私の審査基準は厳しいわよ? まずは、この街一番の宝石店で、私の瞳と同じ色のサファイアを見つけてくることね」
「金のかかる女だ」
「美しさを維持するにはコストがかかるの。文句があるなら退会してもよくてよ?」
「いや、継続しよう。こんな面白い会員特典は、他では味わえないからな」
私たちはベンチから立ち上がった。
夕暮れ時の風が吹き抜ける。
ジェラルドは自然な動作で腕を差し出し、私は当然のようにその腕に手を絡めた。
エスコートは許可制だが、これは歩行補助だからノーカウントだ。
「帰りましょう、ジェラルド。そろそろお肌のゴールデンタイムに向けて準備をしなきゃいけないの」
「ああ。屋敷に戻ったら、また鏡とにらめっこか?」
「ミーティングと言いなさい。自分自身との重要な会議よ」
屋敷への帰路。
私の心は満たされていた。
ファン1号が、思ったよりも熱心な信者になりそうで満足だ。
彼が時折向けてくる熱っぽい視線も、私の美しさへの崇拝だと思えば悪くない。
ただ、少しだけ。
ほんの少しだけ、彼の手の温もりが心地よいと感じてしまったのは……きっと、夕方の気温が下がってきたせいね。
そう、寒かったからよ。
私が誰かにときめくなんて、あり得ないもの。
世界で一番好きなのは、いつだって私自身なんだから。
「ねえジェラルド」
「なんだ」
「明日の朝食には、イチゴを山盛りにしてちょうだい。ビタミンCが足りていない気がするの」
「……了解した。農家に走らせる」
うん、良い心がけだわ。
この調子なら、会員ランクを『ブロンズ』から『シルバー』に上げてあげてもいいかもしれないわね。
こうして、ジェラルドの不器用な求愛(?)は、私の鉄壁のポジティブ変換によって、見事に「ファン活動」として処理されたのだった。
私は目の前に差し出された巨大な花束を見下ろした。
朝食後のテラス。
優雅にハーブティーを嗜んでいた私の元へ、ジェラルドがやってきたかと思えば、いきなりこれを突きつけてきたのだ。
「見れば分かるだろう。青い薔薇だ」
ジェラルドは少し顔を背けながら言った。
その耳がほんのりと赤くなっているのを、私の鋭い観察眼は見逃さない。
「薔薇なのは見れば分かるわ。私が聞きたいのは、その『意図』よ」
私はティーカップを置き、花束を受け取った。
ずっしりと重い。
本数にして五十本はあるだろうか。
しかも、ただの青い薔薇ではない。
花弁の縁が金粉でコーティングされている、希少品種『ロイヤル・ブルー』だ。
「昨夜の夜会での……礼だ」
ジェラルドが咳払いを一つした。
「お前のおかげで、あの退屈な夜会が活気づいた。それに、ベラ嬢の件も穏便に(?)解決してくれたしな。その……感謝の気持ちだ」
「感謝、ね」
私は花束に顔を寄せ、香りを吸い込んだ。
芳醇で上品な香り。
私のフェロモンと良い勝負だわ。
「素直じゃないわね、ジェラルド。感謝だけなら言葉で十分でしょう? わざわざこんな高価な花束を用意するなんて、理由は一つしかないわ」
私はニヤリと笑い、彼を指差した。
「私のファンクラブに入会したいのね?」
「……は?」
ジェラルドが呆気にとられた顔をする。
「無理に隠さなくてもいいのよ。昨夜の私のドレス姿を見て、心を撃ち抜かれてしまったんでしょう? 『ああ、ニアン様。貴女の輝きを一生そばで拝ませてください』って。その気持ちを花束に託した……健気だわ」
「待て。飛躍しすぎだ」
「照れなくていいの。貴方を『ニアン・ローズベルク親衛隊』の会員番号1番に任命してあげる。名誉なことよ? 世界中の男たちが喉から手が出るほど欲しがるポジションなんだから」
「親衛隊……1番……」
ジェラルドは額に手を当て、深い深いため息をついた。
しかし、拒絶はしなかった。
ほらごらんなさい。
図星だから反論できないのよ。
「それで? 会員特典として、今日は何を献上してくれるのかしら?」
私が上から目線で尋ねると、ジェラルドは気を取り直したように顔を上げた。
「……街へ行くぞ」
「街?」
「公務の視察だ。王都の市場や広場を見て回る。お前も暇だろう? ついてこい」
彼はぶっきらぼうに言ったが、その瞳は少し期待しているように見えた。
「デートのお誘いってわけね。いいわ、許可してあげる。庶民たちに私の美顔を拝ませてあげるのも、貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)だもの」
「デートではない。視察だと言っているだろう」
「はいはい。ツンデレという属性も悪くないけれど、あまり使いすぎると胃もたれするわよ?」
私は花束をセバスチャンに預け(「一番目立つ花瓶に生けなさい!」と指示して)、お出かけの準備に向かった。
王都のメインストリート。
ジェラルドと私は並んで歩いていた。
もちろん、護衛の騎士たちが遠巻きに囲んでいるが、実質的には二人きりのようなものだ。
「見て、ジェラルド。ショーウィンドウのガラスに映る私たちが、まるで絵画のようよ」
「……前を見て歩け。転ぶぞ」
「転ばないわ。私が転ぶ時は、地球が揺れた時だけよ」
今日の私は、外出用ということで少し控えめな(当社比)ピンクのドレスに、つばの広い帽子を被っている。
それでも通行人たちの視線は釘付けだ。
「あの方が、噂の……?」
「すげぇ美人だ……」
「隣にいるのは氷の騎士様か? あんなに柔らかい顔をして……」
聞こえてくる声を、私は心地よいBGMとして聞き流す。
「人気者だな」
ジェラルドが苦笑する。
「当然よ。美は国境を越える共通言語だもの」
私たちは市場を抜け、見晴らしの良い広場のベンチに腰を下ろした。
ジェラルドが屋台で買ったフルーツジュースを差し出してくれる。
「飲め。喉が渇いただろう」
「ありがとう。気が利くわね、会員番号1番」
「その呼び方はやめろ」
彼はストローをくわえた私を、じっと見つめてきた。
その視線が、いつもより熱を帯びている気がする。
「……ニアン」
「何? 私の横顔に見惚れて言葉を失った?」
「お前は、本当に変わっているな」
ジェラルドは静かに言った。
「俺は今まで、多くの令嬢を見てきた。権力目当てですり寄ってくる女、俺の顔色ばかり伺う女、計算高い女……。だが、お前のようなタイプは初めてだ」
「唯一無二、それが私よ」
「ああ、そうだ。お前は……強烈すぎる。だが、不思議と不快ではない。むしろ、お前といると世界が明るく見える」
彼は私の手元に視線を落とした。
私の手袋に覆われた手に、彼の手がそっと触れる。
「俺は、お前のその自信が……眩しいと思う」
おっと。
これは、いわゆる「愛の告白」の前兆かしら?
普通の乙女なら、ここで顔を赤らめて「殿下……」と潤んだ瞳で見つめ返す場面だ。
しかし、私はニアン・ローズベルク。
恋愛脳よりもナルシスト脳が発達している女だ。
私は彼の手をパチンと扇子で叩いた。
「お触りは禁止よ、ジェラルド」
「……っ」
彼が驚いて手を引っ込める。
「まだ会員ランクが低いの。私の手に触れるには、あと一万回くらい『ニアン様美しい』と唱えて徳を積む必要があるわ」
「徳を積む……?」
「ええ。それに、私の自信が眩しいのは当たり前よ。太陽を見て『眩しい』と言うのと同じこと。貴方はただ、自然現象としての私に圧倒されているだけなの」
私は真顔で説いた。
「勘違いしないでね。貴方が感じているそのドキドキは、恋じゃないわ。あまりに高貴な存在を前にした時の『畏怖』よ。神殿でお祈りをする時のような気持ちね」
ジェラルドは口をポカンと開けていた。
しばらく固まっていたが、やがて肩を震わせ、空を仰いで笑い出した。
「くっ、ははははは! 畏怖か! 俺が女に畏怖を感じているだと!」
「笑い事じゃないわ。心拍数が上がっているでしょう? それは吊り橋効果ならぬ『女神降臨効果』よ」
「参ったな……。お前を口説こうとした俺が馬鹿だった」
彼は涙が出るほど笑っていた。
口説こうとした、とさらりと言った気がするけれど、きっと気のせいね。
彼はただ、信者としての信仰心を告白しようとしただけだわ。
「でも、悪い気分じゃない」
ジェラルドは笑い収めると、改めて私を見た。
今度は触れようとはせず、ただ真っ直ぐに。
「お前は最強の盾を持っているな。ナルシストという名の、傷つかない盾を」
「盾じゃないわ。これは皮膚よ。生まれつきのね」
「そうか。なら、その皮膚を貫くのは骨が折れそうだ」
彼は楽しそうに目を細めた。
まるで、攻略しがいのある難攻不落の城を見つけた攻城戦の指揮官のような顔だ。
「諦めないぞ、ニアン」
「何を?」
「会員ランクを上げることだ」
ジェラルドはニヤリと笑った。
「いつか必ず、その手に触れる許可を得てみせる。氷の騎士の名にかけてな」
「あら、言うわね」
私は残りのジュースを飲み干し、不敵に笑い返した。
「頑張りなさい。私の審査基準は厳しいわよ? まずは、この街一番の宝石店で、私の瞳と同じ色のサファイアを見つけてくることね」
「金のかかる女だ」
「美しさを維持するにはコストがかかるの。文句があるなら退会してもよくてよ?」
「いや、継続しよう。こんな面白い会員特典は、他では味わえないからな」
私たちはベンチから立ち上がった。
夕暮れ時の風が吹き抜ける。
ジェラルドは自然な動作で腕を差し出し、私は当然のようにその腕に手を絡めた。
エスコートは許可制だが、これは歩行補助だからノーカウントだ。
「帰りましょう、ジェラルド。そろそろお肌のゴールデンタイムに向けて準備をしなきゃいけないの」
「ああ。屋敷に戻ったら、また鏡とにらめっこか?」
「ミーティングと言いなさい。自分自身との重要な会議よ」
屋敷への帰路。
私の心は満たされていた。
ファン1号が、思ったよりも熱心な信者になりそうで満足だ。
彼が時折向けてくる熱っぽい視線も、私の美しさへの崇拝だと思えば悪くない。
ただ、少しだけ。
ほんの少しだけ、彼の手の温もりが心地よいと感じてしまったのは……きっと、夕方の気温が下がってきたせいね。
そう、寒かったからよ。
私が誰かにときめくなんて、あり得ないもの。
世界で一番好きなのは、いつだって私自身なんだから。
「ねえジェラルド」
「なんだ」
「明日の朝食には、イチゴを山盛りにしてちょうだい。ビタミンCが足りていない気がするの」
「……了解した。農家に走らせる」
うん、良い心がけだわ。
この調子なら、会員ランクを『ブロンズ』から『シルバー』に上げてあげてもいいかもしれないわね。
こうして、ジェラルドの不器用な求愛(?)は、私の鉄壁のポジティブ変換によって、見事に「ファン活動」として処理されたのだった。
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