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「絶対イヤですわ!!!」
ルーナの本気の絶叫が、静かな湖畔にこだました。
別荘の窓からは、アンナとティム、エマが、真っ青になって成り行きを見守っている。
「き、貴様…! 本気か! 本気で王命に背くというのか!」
宰相補佐官、バートレット侯爵は、公爵令嬢のまさかの、あまりに本気の拒絶に狼狽を隠せない。
(アレクシス副団長の懸念は、このことだったのか!)
「わたくしは、謹慎中の身ですと、何度も申し上げているでしょう!」
ルーナは、ぷいと侯爵に背を向けたまま、釣り道具を片付け始めた。
ああ、もう! せっかく魚がかかりそうでしたのに! 面倒な!
「このままでは、貴様は…アッシュフィールド公爵家は、反逆罪に問われることになるのだぞ! それでも良いのか!」
「結構ですわ! 悪役令嬢から、反逆者にランクアップですわね。上等ではございませんか!」
ルーナは、もう侯爵の方を見ようともしない。
完全に「交渉決裂」の態度だった。
だめだ…! 通常の脅しが、一切通じん!
バートレット侯爵は、冷や汗が背中を伝うのを感じた。
エリオット王子の、あの狂気じみた「命令」の顔が、脳裏をよぎる。
このまま手ぶらで帰れば、自分の首が危うい。
(こ、こうなれば…! アレクシス副団長が、出発前に、わしにだけこっそり教えてくださった、あの『最後の手』を…!)
正直、バートレット侯爵は、その「切り札」の意味が、全く理解できていなかった。
あまりに馬鹿馬鹿しい、とさえ思った。
だが、王宮騎士団の「氷の騎士」が、大真面目な顔で「もし、ルーナ嬢が本気で拒絶されたら、これをお伝えください」と託した言葉だ。
今、それに賭けるしかない。
「ま、待たれよ! ルーナ嬢!」
侯爵は、震える声で、ルーナの背中に呼びかけた。
「まだお伝えすべき、重要な『王命』が、もう一つ!」
「まだありますの!? しつこいですわね!」
ルーナが、心底うんざりした顔で、片付けの手を止めた。
バートレット侯爵は、一度、ゴクリと唾を飲み込んだ。
(こんなことで、本当に、この女が動くというのか…?)
「…アレクシス・ラインフォルト副団長からの、伝言でもある!」
「…!」
(アレクシス様から?)
ルーナは、その名前に、わずかに反応した。
彼女は、ゆっくりと、怪訝そうな顔で振り返った。
「あの堅物様が、今さら何の用ですの。わたくしのフォカッチャのレシピでも、聞きに来ましたの?」
「い、いや!」
侯爵は、咳払いを一つした。
そして、アレクシスに言われた通りの言葉を、できるだけ「重要事項」っぽく、厳かに口にした。
「ルーナ嬢。此度の任務、非常に困難なものであることは、重々承知しておる」
「はぁ」
「そこで、だ。貴殿が、その任務(教育係)を引き受けるにあたり、国王陛下より、最大限の『便宜』が図られることになっておる」
「便宜、ですって?」
「うむ」
侯爵は、核心を口にした。
アレクシスが「ここを強調してください」と言っていた、最大のポイントだ。
「貴殿の王宮での滞在中は…」
「…」
「王宮の、あの、第一厨房(キッチン)の、全ての機材、並びに、全ての食材の、無制限(・・・)の使用を、許可する、とのことだ!」
「「「…………」」」
時が、止まった。
ルーナは、瞬きもせず、侯爵を凝視している。
侯爵も、息を詰めて、ルーナの反応を待っている。
アンナたちも、固唾を呑んでいる。
(第一厨房…? 全ての機材…? 無制限…?)
ルーナの脳裏に、ある光景が、鮮烈に蘇った。
それは、彼女が王妃教育の一環で、一度だけ見学を許された、あの場所。
王宮の料理人たちが、聖地と崇める、王国で最も巨大で、最も機能的な、あの厨房。
(あそこは…)
ルーナの記憶が、猛スピードで再生される。
(隣国から輸入されたばかりの、最新式の…『スチームコンベクションオーブン』…!)
(熱風と蒸気を自在に操り、パンはふっくらと、肉はジューシーに焼き上げる、あの、夢のオーブン…!)
(壁一面に並んだ、最高級の銅製の鍋とフライパン!)
(巨大な大理石の作業台!)
(王家御用達の、世界中から集められた、最高級のスパイスと、小麦粉と、バターが、使い放題…!)
(…ごくり)
ルーナの喉が、かすかに鳴った。
彼女の顔から、先ほどまでの「絶対的嫌悪」が、すうっと消えていく。
代わりに、その瞳の奥に、料理人としての、熱く、ギラギラとした「欲望」の炎が宿り始めていた。
バートレット侯爵は、そのルーナの表情の変化を、見逃さなかった。
(…! 反応が、変わった!)
(なぜだか分からんが、アレクシス様の言った通りだ!)
侯爵は、畳み掛けた。
「そ、そうだ! 確か、アレクシス様は、こうも仰っていた!」
「…」
「『あのオーブンがあれば、マリア様の教育に必要な、茶会用の菓子も、完璧に焼き上がる。教育係の任務遂行に、不可欠な設備である』と!」
(…教育係の任務に、不可欠…)
ルーナの頭が、猛スピードで回転を始めた。
(マリア様の教育係 = 面倒くさい。地獄)
(王宮の厨房 = 使ってみたい。天国)
(もし、わたくしが、教育係として王宮に戻れば…)
(あの、夢の厨房を、わたくしが、独り占めできる…?)
(スチームコンベクションオーブンで、クロワッサンを焼いて…)
(あの巨大なミキサーで、メレンゲを泡立てて…)
(王家の財産で、最高級のチョコレートケーキを、心ゆくまで…!)
「…侯爵様」
ルーナが、静かに、口を開いた。
その声には、もう、先ほどのヒステリックな響きはなかった。
「な、なんだね」
「王宮の厨房が、最新式であるというのは、真(まこと)ですわよね?」
「あ、ああ! もちろんだとも! 先日、新しい機材がまた導入されたと、料理長が自慢していた!」
ルーナは、天を仰ぎ、深呼吸を一つした。
そして、アンナの方を、ゆっくりと振り返った。
「アンナ」
「は、はい…」
「わたくし、決心いたしましたわ」
「お、お嬢様…?」
ルーナは、再び侯爵に向き直ると、完璧な淑女のカーテシーと共に、悲壮な(しかし、どこか覚悟を決めた)表情で、宣言した。
「…仕方ありませんわね」
「そ、それは…!」
「全ては、国のため。そして、道を踏み外した、哀れなマリア様を、正しく導くため…」
(そして、何より、あのスチームコンベクションオーブンのために!)
「このルーナ・フォン・アッシュフィールド! 王妃候補の教育係という、あまりにも重すぎる任務、謹んで、お受けいたしますわ…!」
「おおおお!!」
バートレット侯爵は、歓喜の声を上げた。
(やった! 引き受けた! 理由は、全くもって、微塵も分からんが!)
「よくぞ、決心された、ルーナ嬢! さあ、すぐに馬車へ!」
「お待ちになって」
ルーナは、きっぱりと侯爵を制した。
「わたくしの荷造りが、まだですわ。アンナ」
「はい!」
「ドレスは不要ですわ。あそこに積んである、わたくしの調理器具(マイ・ツール)と、エプロンを全て。それから、ハーブ園の、あの乾燥ハーブも、忘れずに詰めてちょうだい!」
「かしこまりました!」
(調理器具…?)
侯爵は、またしても意味が分からなかったが、もう、何も言うまいと心に決めた。
こうして、ルーナ・フォン・アッシュフィールドは、エリオット王子の目論見である罪滅ぼしとも、バートレット侯爵の苦悩の王命とも、全く別の次元の動機(食欲と調理欲)によって、王都への「強制送還」を、渋々、承諾したのだった。
ルーナの本気の絶叫が、静かな湖畔にこだました。
別荘の窓からは、アンナとティム、エマが、真っ青になって成り行きを見守っている。
「き、貴様…! 本気か! 本気で王命に背くというのか!」
宰相補佐官、バートレット侯爵は、公爵令嬢のまさかの、あまりに本気の拒絶に狼狽を隠せない。
(アレクシス副団長の懸念は、このことだったのか!)
「わたくしは、謹慎中の身ですと、何度も申し上げているでしょう!」
ルーナは、ぷいと侯爵に背を向けたまま、釣り道具を片付け始めた。
ああ、もう! せっかく魚がかかりそうでしたのに! 面倒な!
「このままでは、貴様は…アッシュフィールド公爵家は、反逆罪に問われることになるのだぞ! それでも良いのか!」
「結構ですわ! 悪役令嬢から、反逆者にランクアップですわね。上等ではございませんか!」
ルーナは、もう侯爵の方を見ようともしない。
完全に「交渉決裂」の態度だった。
だめだ…! 通常の脅しが、一切通じん!
バートレット侯爵は、冷や汗が背中を伝うのを感じた。
エリオット王子の、あの狂気じみた「命令」の顔が、脳裏をよぎる。
このまま手ぶらで帰れば、自分の首が危うい。
(こ、こうなれば…! アレクシス副団長が、出発前に、わしにだけこっそり教えてくださった、あの『最後の手』を…!)
正直、バートレット侯爵は、その「切り札」の意味が、全く理解できていなかった。
あまりに馬鹿馬鹿しい、とさえ思った。
だが、王宮騎士団の「氷の騎士」が、大真面目な顔で「もし、ルーナ嬢が本気で拒絶されたら、これをお伝えください」と託した言葉だ。
今、それに賭けるしかない。
「ま、待たれよ! ルーナ嬢!」
侯爵は、震える声で、ルーナの背中に呼びかけた。
「まだお伝えすべき、重要な『王命』が、もう一つ!」
「まだありますの!? しつこいですわね!」
ルーナが、心底うんざりした顔で、片付けの手を止めた。
バートレット侯爵は、一度、ゴクリと唾を飲み込んだ。
(こんなことで、本当に、この女が動くというのか…?)
「…アレクシス・ラインフォルト副団長からの、伝言でもある!」
「…!」
(アレクシス様から?)
ルーナは、その名前に、わずかに反応した。
彼女は、ゆっくりと、怪訝そうな顔で振り返った。
「あの堅物様が、今さら何の用ですの。わたくしのフォカッチャのレシピでも、聞きに来ましたの?」
「い、いや!」
侯爵は、咳払いを一つした。
そして、アレクシスに言われた通りの言葉を、できるだけ「重要事項」っぽく、厳かに口にした。
「ルーナ嬢。此度の任務、非常に困難なものであることは、重々承知しておる」
「はぁ」
「そこで、だ。貴殿が、その任務(教育係)を引き受けるにあたり、国王陛下より、最大限の『便宜』が図られることになっておる」
「便宜、ですって?」
「うむ」
侯爵は、核心を口にした。
アレクシスが「ここを強調してください」と言っていた、最大のポイントだ。
「貴殿の王宮での滞在中は…」
「…」
「王宮の、あの、第一厨房(キッチン)の、全ての機材、並びに、全ての食材の、無制限(・・・)の使用を、許可する、とのことだ!」
「「「…………」」」
時が、止まった。
ルーナは、瞬きもせず、侯爵を凝視している。
侯爵も、息を詰めて、ルーナの反応を待っている。
アンナたちも、固唾を呑んでいる。
(第一厨房…? 全ての機材…? 無制限…?)
ルーナの脳裏に、ある光景が、鮮烈に蘇った。
それは、彼女が王妃教育の一環で、一度だけ見学を許された、あの場所。
王宮の料理人たちが、聖地と崇める、王国で最も巨大で、最も機能的な、あの厨房。
(あそこは…)
ルーナの記憶が、猛スピードで再生される。
(隣国から輸入されたばかりの、最新式の…『スチームコンベクションオーブン』…!)
(熱風と蒸気を自在に操り、パンはふっくらと、肉はジューシーに焼き上げる、あの、夢のオーブン…!)
(壁一面に並んだ、最高級の銅製の鍋とフライパン!)
(巨大な大理石の作業台!)
(王家御用達の、世界中から集められた、最高級のスパイスと、小麦粉と、バターが、使い放題…!)
(…ごくり)
ルーナの喉が、かすかに鳴った。
彼女の顔から、先ほどまでの「絶対的嫌悪」が、すうっと消えていく。
代わりに、その瞳の奥に、料理人としての、熱く、ギラギラとした「欲望」の炎が宿り始めていた。
バートレット侯爵は、そのルーナの表情の変化を、見逃さなかった。
(…! 反応が、変わった!)
(なぜだか分からんが、アレクシス様の言った通りだ!)
侯爵は、畳み掛けた。
「そ、そうだ! 確か、アレクシス様は、こうも仰っていた!」
「…」
「『あのオーブンがあれば、マリア様の教育に必要な、茶会用の菓子も、完璧に焼き上がる。教育係の任務遂行に、不可欠な設備である』と!」
(…教育係の任務に、不可欠…)
ルーナの頭が、猛スピードで回転を始めた。
(マリア様の教育係 = 面倒くさい。地獄)
(王宮の厨房 = 使ってみたい。天国)
(もし、わたくしが、教育係として王宮に戻れば…)
(あの、夢の厨房を、わたくしが、独り占めできる…?)
(スチームコンベクションオーブンで、クロワッサンを焼いて…)
(あの巨大なミキサーで、メレンゲを泡立てて…)
(王家の財産で、最高級のチョコレートケーキを、心ゆくまで…!)
「…侯爵様」
ルーナが、静かに、口を開いた。
その声には、もう、先ほどのヒステリックな響きはなかった。
「な、なんだね」
「王宮の厨房が、最新式であるというのは、真(まこと)ですわよね?」
「あ、ああ! もちろんだとも! 先日、新しい機材がまた導入されたと、料理長が自慢していた!」
ルーナは、天を仰ぎ、深呼吸を一つした。
そして、アンナの方を、ゆっくりと振り返った。
「アンナ」
「は、はい…」
「わたくし、決心いたしましたわ」
「お、お嬢様…?」
ルーナは、再び侯爵に向き直ると、完璧な淑女のカーテシーと共に、悲壮な(しかし、どこか覚悟を決めた)表情で、宣言した。
「…仕方ありませんわね」
「そ、それは…!」
「全ては、国のため。そして、道を踏み外した、哀れなマリア様を、正しく導くため…」
(そして、何より、あのスチームコンベクションオーブンのために!)
「このルーナ・フォン・アッシュフィールド! 王妃候補の教育係という、あまりにも重すぎる任務、謹んで、お受けいたしますわ…!」
「おおおお!!」
バートレット侯爵は、歓喜の声を上げた。
(やった! 引き受けた! 理由は、全くもって、微塵も分からんが!)
「よくぞ、決心された、ルーナ嬢! さあ、すぐに馬車へ!」
「お待ちになって」
ルーナは、きっぱりと侯爵を制した。
「わたくしの荷造りが、まだですわ。アンナ」
「はい!」
「ドレスは不要ですわ。あそこに積んである、わたくしの調理器具(マイ・ツール)と、エプロンを全て。それから、ハーブ園の、あの乾燥ハーブも、忘れずに詰めてちょうだい!」
「かしこまりました!」
(調理器具…?)
侯爵は、またしても意味が分からなかったが、もう、何も言うまいと心に決めた。
こうして、ルーナ・フォン・アッシュフィールドは、エリオット王子の目論見である罪滅ぼしとも、バートレット侯爵の苦悩の王命とも、全く別の次元の動機(食欲と調理欲)によって、王都への「強制送還」を、渋々、承諾したのだった。
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