オウィディウス:リュコス乂ティグリス

河鹿 虫圭

文字の大きさ
5 / 30

【薄明】虎、狼と出会う。

しおりを挟む
とある地下施設。画面を見つめ大きくため息をついた人物は天を仰ぎ、近くの職員を呼ぶ。耳打ちで職員に話し、よろしくと言って再び画面を見つめる。画面の中には瓦礫の中で血だまりで膝をつく少年を見つめる。

「困るよ…№103000……まぁ、施設分の費用にはなってもらうか……」

画面を切り替え明星あけほし一狼いちろうのデータを処分に切り替えた。

────────────

血だまりに映る自分の顔。

今、僕は何をした?

自分の真っ赤な手を見ながら立ち上がり惨状を見渡す。瓦礫の山と血の海。その中に自分は立っている。これはまずい。このまま僕がこの場にいれば、間違いなく僕は警察に捕まる。
急いで校外へ出る。どこか遠くへ、それか身を隠せる場所に……走っていると声をかけられる。だが、僕は恐怖のあまり後ろを振り返ることができず走るが、銃声と共に僕の足が打ち抜かれる。銃声が鳴った方へ目を向けると防護服に身を包んだ人物が僕に銃を向けている。

「ちょっと~困るな~呼び声には反応してもらわないと~」

「だ、誰ですか……」

防護服の人物はマスクを外し顔を見せる。やせ細った血色の悪い男性。目の下にはクマもあり、今にも倒れそうな雰囲気だ。

「私はね…害虫駆除業者だよ。君がそこの害虫がいるであろう学校から出てきたからね。呼び止めたけど、その必要がなくなったからね。足を撃たせてもらった。」

意味が分からない。そう思い僕はふと自分が来たであろう道を見る。赤い足跡がこちらまで続いており、僕は男性と目を合わせて首を横に振る。

「ち、違います。僕は何も、襲われたから……逃げてきただけで……」

「嘘だね。」

一言バッサリ切られると男性は銃口を僕に向ける。

「さて、君の処遇は……ん?」

引き金に指までかけていたが男性は僕の顔をまじまじと見て銃を降ろす。

「君はもしや明星あけほし一狼いちろう君かな?」

「は、はい……」

男性は僕の名前を確認すると誰かに連絡を取り始めた。

僕はその隙に逃げ出した。

────────────

『今朝のニュースです。芽吹市の高校OWL創立 薬師寺高等学校にて生徒、教師含め謎の大量殺人が行われてしまいました……』

月下琥珀はテレビに視線を向ける。OWLが創立した高校で生徒と教師の大量殺人が行われてたのだが、容疑者不明で校内は何者かに爆破された痕跡があると報道されている。校内はテレビでは映せないほどの惨状になっているという。月下は顔をしかめてテレビの情報を確認する。

「芽吹市か……」

OWL創立と言うのもあり月下はニュースの高校に向かうと決めベルトを持ちコートを羽織った。庭に出るとカバーを被せているバイクに手を伸ばす。カバーを取りホコリがかぶったシートをさわりホコリをなぞる。

「久しぶりに乗るか。」

挿しっぱなしのカギを回しエンジンを始動する。赤いボディのガスガスパンペーラ250が起動するとアイドリング音が庭内に響く。月下は近くに放置していたヘルメットを手に取り中のホコリや汚れを取り頭にはめる。顎紐をしめてスマホをホルダーにセットしてマップを起動し行き先を「芽吹」に設定し、エンジンが温まったバイクのアクセルを吹かして家から出発した。

月下の家から芽吹市までの距離は案外遠く、マップが表示していた時間は60分。月下はその時間を見て悩んだ末に山道へと入り、マップが案内する道とは別の道へ入りマップで表示できない山道を走っていく。道を飛ばし飛ばしで進んでいくため、マップの音声案内は諦めたように黙る。そして30分後、月下はやっと山道から抜け出しマップ内の道へ戻る。それを確認してか、音声案内は再びナビを始める。そして、10分後には芽吹市へと到着していた。高校までの道を入力しているのでそのまま高校まで走る。高校に近づくに連れて、警察やテレビ関係の仕事の人が多く見え始める。速度を落としながら、高校の近くの路地裏にバイクを止めて誰にも見られずに高校に入る術を探す。校門だと大勢の人に見られて目立つ。それならばと裏門へと向かう。その途中、男子高生とぶつかった。月下は体幹が強いのでそのまま男子高生を飛ばしてしまい、尻餅をついた男子高生へ手を伸ばす。

「大丈夫か?」

男子高生は私の手を振り払いそのまま顔も見ずに走り去って行った。何があったんだろうと月下はそのまま裏門へ行こうとしたが、男子高生が走ってきた道を見ると血が伝っていた。

「まさか、あいつが?」

月下は踵を返し少年の後を追おうとしたが呼び止められる。振り返ると、防護服を着た男性が息を切らしながら月下の前に来る。

「こ、あ、今、男子高生とすれ違ってないかい?」

「あぁ、あっちへ走っていったが……」

「そうか良かった。よし、救援要請しよう。」

男性が誰かに連絡をしながら走るのを月下は呼び止める。

「待て。」

「何だい?」

「君の仲間にカラスマという男はいるか?」

「あぁ、いるよ……まさか、君はカラスマが言っていた影虎かい?」

月下が短く返事をすると男性は再び連絡をする。

「……そうだよ。そう、その人、あぁ頼んだよ……さて、影虎とやら。協力してくれ。依頼料は私が出そう。」

「いいだろう。内容は?」

「あの少年を捕まえる。ただ、殺しはなしだ。あくまでも保護が目的の捕獲だ。」

「わかった。いいだろう。」

月下と男性は一狼の血の跡を追いながら住宅街を離れた。

続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...