オウィディウス:リュコス乂ティグリス

河鹿 虫圭

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【洛陽】ゲームスタート

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一攫千金ウェブ

ターゲット:明星 一狼 高校生 賞金¥100000000 キャリーオーバー実施。
※一人失敗するごとに+一億※

270:ゲームスタートでございます。それぞれ思い思いに創意工夫をして賞金首を狙ってください。

真っ黒のサイトに浮かぶその文字を見てため息をつきながら男はメッセージを打ち込んだ。

280:>> 270.またこんなくだらないこと始めて、、、どのみち今回もあんたの所からも出るんだろ?

270:>> 280.もちろんこちらも参加します。何せ、自分のお金ですからね。こちらからの妨害はありませんのでご安心を。

290:ま~た面白いことやってんねぇ~今回は賭けじゃないんだ……様子はライブしてくれんの?

270:>>290.もちろんでございます。ご参加されない方々にも楽しんでいただけるようにこちらでライブ配信いたしますのでこうご期待。

290:>>270.いやぁ~…ありがたいね~俺の生きがいはこれなんよ…なぁ、もう毎月でもいいから開催してくれんか…?

270:>>290.この企画自体、わたくしの気まぐれですので毎月はちょっと難しいですね……

300:>>270.参加しよう。情報を送信した。好きに晒せ。

270:>>300.ご参加ありがとうございます。

270:>>300.情報 バレッド 前職 陸軍スナイパー でございます。では、バレッド様のご活躍をライブで配信いたします。なお、今回のターゲットは人知を超えた力を持っておりますのでこちらから一度きりの支援もします。恐らく、今バレッド様の元へ我々から贈り物が授与されているかと思います。そちらの支援物資を受け取りましたら、我々とのゲームをスタートとなります。

それから流れ始めるスレッド欄を閉じると元陸軍スナイパーのバレッドの背後に黒の防護服を身にまとった人影が現れる。黒防護服は両手に収まるくらいの黒い箱をバレッドに突き出し無言で丁寧にお辞儀をして踵を返しバレッドの前から消えた。

「これが、一度きりの支援物資……」

バレッドは、その黒い箱を空けて一本の注射器を手に取った。

────────────

保護から数日。明星 一狼はカラスマやLWOの皆から仕事のアレコレを習い、今は一ヶ月外出禁止が言い渡されたので、事務所の掃除や依頼主が来た時のお茶出し、そして、従業員の身の回りのアレコレをしている。

「おっはよー!皆今日も元気してるかーい!」

カラスマが思い切りドアを開けると一狼はカラスマを呆れた目で見つめる。ここ数日で一狼はカラスマから散々にいじり倒されたのでカラスマのことをほぼ見下している。

「あぁ、来たんですね。」

「いやひどくない?それはそうと、今日お客さん来るから一狼くんはお茶の準備とかヨロね~」

「いつもストックを置いているので問題ないかと……それよりも、大沢さん。そこ掃除したばっかなので筋トレは実質でやってくださいってさっきも言いましたよね?」

「お、おぉ…すまん。」

大沢はダンベルを下げて体を起こすと、周りにあった筋トレ道具をもって奥の階段を登って自室へと入っていった。ここ数日で馴染んできた一狼を見てカラスマは微笑みながら一狼の肩に手を置く。

「は?なんですか?無言でニヤつきながら触らんでもらえます?」

「いやぁ……この数日でここまで馴染んで僕はうれしいよ。一狼くん。」

一狼はカラスマの言葉に首をかしげて手を払いのける。

「そうだ、カラスマさん。お客様はいつ来ますか。今日は紅茶を出す予定なんですけど。」

「そうだな…今が9時だから一時間後くらいかな?」

一狼はその言葉を聞くと身支度を始める。

「えっと、一狼くん。何をしているんだい?」

「買い出しです。ここからすぐ近くのカフェに買い物に行きます。もちろん、マリーさん使いの人も一緒です。」

カラスマは少し抵抗はあったが、ローズマリーの使いの人がいるのならいいかと考え買い出しを許諾した。

「ありがとうございます。」

「なるべく、早めに帰ってきてね。」
一狼は返事をして事務所のドアをあけて階段を上がっていった。階段を上がりきるとそこにはLWO創立者の一人ローズマリー・センチピートが使いの人と一緒に待っていた。

「お待ちしておりましたわ。一狼様。こちら私の一番信用できる使用人の萩原です。何かあれば彼を使ってください……萩原さん。一狼様のいうことは私のいうことだと思ってください。そして、いつもより慎重に護衛をしてくださいね?」

「承知しました。明星様、どうぞよろしくお願いします。」

一狼は一礼をすると萩原とともに数十メートル先のカフェへと歩き始めた。それを見送ったローズマリーは階段を降りて事務所のドアを開けて、クッキーを食べているカラスマを見つけるとその向かいに座る。

「おはよう。」

「えぇ、気持ちの良い朝ですわね。」

「そうは見えないけどね……それで、一狼くんの様子は?」

「えぇ。萩原以外にも小清水や長谷にも頼んでますので大丈夫ですわ。あそこのカフェも一狼様が買い物を終えるまでは貸し切り状態ですのでご安心を。」

「そこまでやってもらわなくてもよかったんだけどね……まぁ、いいや……とりあえず一狼くんのことは一旦マリィに任せるよ。」

「えぇ、豪華客船に乗ったつもりで任せてくださいまし。」

「その船がタイタニックじゃないことを祈るよ。」

カラスマはネクタイを緩めて事務所の奥から何かを持ってきた。その手に握られていたのは月下が持っていたベルトに似た形のベルトと注射器だった。

「あら、お出かけですの?」

「うん。一狼くんに届け物を渡してくる。」

「お気をつけて。」

カラスマはドアを開けて事務所を出ていった。

────────────

ビルから数十メートルのカフェ。静かで客もぽつりぽつりと居てかなり雰囲気があるカフェだ。そんなカフェに入店した一狼と萩原はカウンターにいる店員に声をかける。

「いらっしゃい。どうされました?」

「紅茶の茶葉が欲しくて来ました。三種類くらい買いますので。150gずつください。」

店員は「かしこまりました」といって一狼からメモを受け取り裏へと回った。

「明星様、立っていると疲れるので近くの席で待ちましょう。」

「そうですね。えっと…あっちの席が空いてますね。行きましょう。」

その時、店内の照明が破裂する。萩原は音と共に一狼をかばいながらしゃがむ。何事かと店内は騒然とし、店内の人は慌ただしくなる。その後、また照明が破裂する。客の一人が店員に知らせようと席を立つとその客は突然倒れる。その際、客の左側にあった壁に鮮血が飛ぶ。その様子を見た一狼と萩原は冷や汗を流しその場に固まった。

「一狼様。ご安心を。私が命に代えてもお守りいたします。」

一狼はただ怯えて無言でうなずき、萩原の腕にしがみつくことしかできなかった。

続く。
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