魔装戦士

河鹿 虫圭

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この身を骨とし、その身を血肉とする───。

これは契約であり、互いに何があろうとその運命を分かち合う───。

契約魔法コントラトゥス

まるで、結婚のような詠唱とともに血と肉が軋み、光に包まれて俺と目の前の狼の魔族は一つになった。これで、また皆に会える……俺はそう思い瞳を閉じた。しかし、次に目を開けてみれば俺は、いや、俺たちの体は摩訶不思議なことになっていた。

─────────────

満干町から少し離れた瘴気のあふれる森の中。数カ月前の爆発の影響はまだ残っており汚染された土と草木のせいで周りに生命は集まってこない。完全防護服に身を包んだ魔法術対策機関の面々は調査をするがやはり人の影は一つもない。一班 班長 星々 琉聖は他の班員へ通信を取り集合の合図をする。

「成果は?」

「こちらも何もありませんでした。爆発で証拠何もか残っていません。」

副班長 彩虹寺 綾那が答えると班員 雪白 夢希、焔 凪の二名も同様の報告をする。星々はその様子に縦に首を振り撤退の連絡を本部へ送り瘴気の森から捜査の撤退をした。彩虹寺はどこかいらだった様子で星々へ駆け寄り掛け合う。

「班長。操作時間をもう少し伸ばすことはできないんですか。移動時間を含めて4時間はとても少なすぎます。」

「僕も掛け合っているんだけどね。やっぱり、瘴気の森ってとこがネックになってるみたいでさ。三時間以上は身体に異常が出るみたいでさ。」

「……晴山はすでにその時間以上の何倍もこの森をさまよっているんですよ。」

「それも知っている。でも捜索する方の僕らが体調を崩すと元も子もないでしょ?綾那ちゃん…少し焦りすぎだよ。」

星々に肩をポンポンと叩かれて彩虹寺はその場で奥歯を鳴らしながら山の方を見る。脳裏に浮かぶのは優吾の何も考えていないようで皆のことを考えている顔。もどかしい気持ちを抑え込み彩虹寺は前を向き歩き出す。優吾が銀色の使徒との山を一部半壊差せるほどの激しい戦いで行方不明になりはや三カ月。頬を、冷たくなり始めた空気が撫でる。雨が振りそうな曇り空を見つめて彩虹寺はそろそろ冬が来ることに心配そうにまた山を見つめる。

「晴山……」

「彩虹寺さん。行きましょう。今日は午後から雨の予報でした。」

「あぁ……」

二人に連れられて彩虹寺は車へ入っていった。帰還の途中も彩虹寺は山の方へ目を向けて何かを考えているようだ。そんな彩虹寺を見て星々はどうにかしてあげたいと考える。そんな二人をよそに夢希と凪は参考書を広げて目を通している。

「夢希ちゃん、凪ちゃん…勉強熱心なのはいいことなんだけど、酔わないかい?なんなら帰った後のミーティングは参加しなくていいからさ。」

「そうもいきません。学生の本分は勉強なので。」

「ボクも雪姉ぇも綾那姉ぇと一緒の高校に行くんだからこれくらいはしないと。」

「いやいや、そこまでしなくても優吾君も入学してるんだからそこまで……」

三人の会話を聞いていた彩虹寺は会話に入る。

「晴山があんなだから忘れてるようですけど、うちの高校結構偏差値高いので並大抵の勉強量じゃ入学できませんよ。魔力量は高いのが当たり前なので結構勉学の成績を見ていますよ。」

「へ?それじゃ、優吾君って。」

「はい、あいつよく授業サボったりとか内申点は良くないですけど、座学だけなら私よりも頭いいかと。」

「ほぇ……」

「と言うことです。私たちは私たちのタイミングで勉強します。お兄様は口出ししないでください。」

「あぁ……はい。」

そして、一班は本部へ帰還し本日の報告を終え、任務終了した。そこから時間は彩虹寺が二年生に上がり、夢希と凪が無事彩虹寺と同じ高校に入学できたところまで早送りされる。晴山優吾は未だ見つかっておらず、彩虹寺の性格は前に比べてきつくなってしまい、学校生活ではいじめはないものの、誰も寄り付かなくなってしまった。

今日も今日とて任務に励んでいる。今日の瘴気の山の捜索は戻ってきた獅子王 玲央を迎えた三班の三人で行っていたのだが本部全体に応援の要請が入った。内容は驚くべきことに今まで人の影一つも見つからなかった山に三人の人影を見たという報告だった。

「魔力の感覚からして晴山優吾ではないが、背丈がなんとなく同じだった。」

報告した班長 熱翔原 一心自身も自分の目を疑っていたが、これでさまよっている晴山優吾を見殺しにするくらいなら班全体で実態を確かめるのが一番だと報告したらしい。一班も二班も間違いなら間違いなら別に構わないと言ってすぐに今の任務を切り上げて森の捜索へ向かった。

「この辺だ。中肉中背だけじゃねぇ…ちびっこの影の二つ見えた。野生動物でも飼いならしか、最近あった行方不明の子供二人を連れているかのどっちかだな。」

「確かにあったね~そんな事件。二班僕らが町中探しに探して結局見つからなかったアレ。親も山か町にどこに捨てかなんで覚えとけよクソったれ。」

「班長口はいいから足と手を動かしてください。」

森を捜索して、山から数キロ離れたところで全体は洞窟を見つけた。

「結構離れているね~10㎞とかそんなところだね~」

「こりゃ、一本取られたな。」

「とりあえず入ってみようか。」

三人の班長はうなずき合い、班員たちへ合図を送り洞窟へ入った。懐中電灯で照らしながら奥へ奥へ入っていく。一心はわずかに魔力を感じ取り皆を止める。二班 班長 天々望 四夜華は臨戦態勢に入る。だが、一番殺気だったのは星々だった。

「この魔力…覚えているぞ……アイツだ。」

「もしかして、ギンロとかいう奴か。」

「厄介だね。」

そして、最奥へくるとだんだんと仄明るくなってくる。懐中電灯をけして全体で臨戦態勢を崩さずにゆっくりと動き出す。赤らんできた壁に影が薄く見える。影がこちらに気づき動く全体は一斉に止まり影が姿を現わすまで待つ。

「誰だ?」

影が姿を現わすとその場の全員は驚愕する。

「優吾くん?」

「いや、ギンロに見える。というか、どっちも似ているって話だからギンロだろ。」

「いえ、この感じは晴山です。でも……」

「あぁ、魔力がギンロなんだ。」

騒然とするその優吾にもギンロともとれる少年は少し警戒しながらにらみつける。そんな少年の背後から幼い二つの声とともに小さな女の子と男の子が出てくる。


「ば、お前ら出てくんなって言っただろ。」

「でもお兄ちゃんが心配で……」

「お兄ちゃんこの人たちだれ?怖い。」

少年は機関の面々へ殺気を剝き出しにする。そんな少年を見て一心は防護服を脱ぎ煙草に火をつける。

「まるで、人間の子を拾った狼だな。」

「ちょ、はんちょー…ここ、一応瘴気の中っすよ?」

「あぁ?莫迦か。ここらには瘴気はねぇよ。さっきで脱ぐべきだった。」

確かにと他の面々も防護服を脱ぎ顔を見セる。そして、星々は訝しげにだが、それでも少しの可能性にかけて少年へ近づく。

「警戒しないでほしい。僕らは人を探してここまで来た。それで君たちを見つけたんだ。」

「……嘘は言ってないな。それなら好都合だ。こっちもそろそろ食料が底を尽きそうだったからな。一応、遭難しているっちゃ遭難している身なんでな。ありがたい。」

戦闘はなく無事、晴山優吾と思しき人物と子供二人を保護した機関の面々は本部へ報告して帰還した。

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