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晴山優吾は石の中で目を覚ます。目の前には、各属性の大魔導師、雷の妖精、ギンロ=シルヴァス、フィジオが立っていた。
「なんか、この光景はちょっと面白いな。」
のんきなことを言い放つ優吾に無の大魔導師のロゼは頭を抱えている。
「主。そんなのんきなことを言っている場合ではありませんよ?」
「どういうこと?」
「どうもこうもありませんよ。主、あなたは今大変な状況に置かれているのです。理解してもらいたい。」
優吾が首をかしげるとあきれたアレイスターがロゼを押しのけて出てくる。そして、優吾へ近づくと右腕を吹き飛ばす。飛び散る鮮血に優吾は目を見開き、慌てて切り飛ばされた自分の腕を手に取ってアレイスターをにらみつける。
「なにすんだよ!」
「よく見ろ、すでに腕は再生している。」
飛び散った腕を拾ってくっつけようと右に伸ばすとそこにはきれいに整った腕が生えている。しかし、優吾は得意げににやついて口を開く。
「いや、これはこの空間が特殊でこうなっているだけだろ?」
「何を言っているのだ。この空間は文字通り石の中……その体は貴様の精神とか意識とかそういうものではないぞ?龍の時にそれはわかっているだろう?」
優吾は身体が固まる。そして、握っている自分の腕を見て顔がだんだんとこわばって青ざめていく。やっと状況を理解した優吾に石の中の者たちは頭を抱える。
「え、これって、もしかして……」
「はい、魔族化です。もちろん、そこにいる銀狼の王が原因です。しかしながら、契約魔術でここまで魔族化が進んだ事象はこれが初めてです。何か心当たりはありませんか?」
「そういわれてもな……記憶が抜けている部分があるからなぁ……」
その言葉にアレイスターは何かを思い出したように自分の魔導書を取り出して、あるページを開く。
「貴様の記憶の一部、我が持っているぞ。」
そのページをちぎって優吾へ投げつける。それを受け取って隅々まで目を通す。
契約者
晴山 春香
上記の者は契約魔術の契約者である。この者の魔力と引き換えに下記の者の記憶をこの頁に封印する。
晴山 優吾
五歳の時のこの魔導書を開いたときの記憶を封印する。
「なんだよこれ……」
「それを頭につけろ。それで記憶が戻る。」
優吾は持っている紙を恐る恐る額に当てた。
───────────────────
晴山 優吾 。考古学者の父と元魔法術対策機関所属の母を持つ子供である。知能、性別、顔は父譲り、魔力回路、魔力量、身体能力は母譲りととてもバランスがいい感じの配分で生まれてきた。父に似て本を読むのが小さいころからの趣味で幼稚園でも絵本ではなく、父の本棚から持ち出した学書を持って行って一日中読んでいるような子だ。
「優吾ぉ…?勝手に書斎に入ったダメって言ったでしょ?」
「えぇ~でももう、部屋にある本はほとんど読み終わったし……」
「はぁ……後で買い物に行くからそこで何か好きな本一冊買ってあげる。」
春香はそう言って書斎から出るように促す。そんな時、優吾の目に一冊の本が目に入ってしまった。黒い無地の背表紙の本。優吾はその吸い込まれるような黒に目を奪われていた。
そして、それは突然起きる。
いつも通りに家事をしていたらまた書斎から優吾の足音が聞こえてきてまたかと思い注意しに書斎へ入ると眼前の光景に春香は目を見開いた。
広げられた魔導書からアレイスターが出ており、その傍には全身から血が噴き出して倒れている優吾が転がっていた。春香はすぐにアレイスターへ手を構える。アレイスターはそれに困惑しながら口を開く。
「何か勘違いしているから口を開くが、我がここにいるのは、そこに転がっているガキがそこの魔導書を開いたからだ。そして、我はここに出て害を与えようとは全く思っていない。むしろ、もっと本の中にいたかった……それよりも、だ。そこのガキ、早くしないと死ぬぞ。」
「勝手に口を開いて何をくっちゃべるかと思えば……ほざけ。殺す。」
「はぁ……この魔力の感じ、貴様家系に魔族がいるな……いや、そんなことはどうでもいい……貴様の息子。死ぬぞ?どうする。」
春香は、目に涙を溜めながら優吾を持ち上げ止血ができないか調べるが、内側から突き破られているためすでに失血死寸前の状態である。春香は優吾を抱き寄せたままアレイスターへ視線を向ける。
「どうすればいい…?」
「選択肢は二つある。一つ目。お前の魔力を糧にこの子を救う。その場合、お前はこの場ですぐに死ぬ。二つ目。俺とお前の間に契約を持つ。この場合代償はお前が自由に決める。それによってはこの場の誰もが命を落とさない可能性もある。さぁ、どうする?」
春香は、優吾を抱えたままアレイスターへ口を開いた。
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「なんか、この光景はちょっと面白いな。」
のんきなことを言い放つ優吾に無の大魔導師のロゼは頭を抱えている。
「主。そんなのんきなことを言っている場合ではありませんよ?」
「どういうこと?」
「どうもこうもありませんよ。主、あなたは今大変な状況に置かれているのです。理解してもらいたい。」
優吾が首をかしげるとあきれたアレイスターがロゼを押しのけて出てくる。そして、優吾へ近づくと右腕を吹き飛ばす。飛び散る鮮血に優吾は目を見開き、慌てて切り飛ばされた自分の腕を手に取ってアレイスターをにらみつける。
「なにすんだよ!」
「よく見ろ、すでに腕は再生している。」
飛び散った腕を拾ってくっつけようと右に伸ばすとそこにはきれいに整った腕が生えている。しかし、優吾は得意げににやついて口を開く。
「いや、これはこの空間が特殊でこうなっているだけだろ?」
「何を言っているのだ。この空間は文字通り石の中……その体は貴様の精神とか意識とかそういうものではないぞ?龍の時にそれはわかっているだろう?」
優吾は身体が固まる。そして、握っている自分の腕を見て顔がだんだんとこわばって青ざめていく。やっと状況を理解した優吾に石の中の者たちは頭を抱える。
「え、これって、もしかして……」
「はい、魔族化です。もちろん、そこにいる銀狼の王が原因です。しかしながら、契約魔術でここまで魔族化が進んだ事象はこれが初めてです。何か心当たりはありませんか?」
「そういわれてもな……記憶が抜けている部分があるからなぁ……」
その言葉にアレイスターは何かを思い出したように自分の魔導書を取り出して、あるページを開く。
「貴様の記憶の一部、我が持っているぞ。」
そのページをちぎって優吾へ投げつける。それを受け取って隅々まで目を通す。
契約者
晴山 春香
上記の者は契約魔術の契約者である。この者の魔力と引き換えに下記の者の記憶をこの頁に封印する。
晴山 優吾
五歳の時のこの魔導書を開いたときの記憶を封印する。
「なんだよこれ……」
「それを頭につけろ。それで記憶が戻る。」
優吾は持っている紙を恐る恐る額に当てた。
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晴山 優吾 。考古学者の父と元魔法術対策機関所属の母を持つ子供である。知能、性別、顔は父譲り、魔力回路、魔力量、身体能力は母譲りととてもバランスがいい感じの配分で生まれてきた。父に似て本を読むのが小さいころからの趣味で幼稚園でも絵本ではなく、父の本棚から持ち出した学書を持って行って一日中読んでいるような子だ。
「優吾ぉ…?勝手に書斎に入ったダメって言ったでしょ?」
「えぇ~でももう、部屋にある本はほとんど読み終わったし……」
「はぁ……後で買い物に行くからそこで何か好きな本一冊買ってあげる。」
春香はそう言って書斎から出るように促す。そんな時、優吾の目に一冊の本が目に入ってしまった。黒い無地の背表紙の本。優吾はその吸い込まれるような黒に目を奪われていた。
そして、それは突然起きる。
いつも通りに家事をしていたらまた書斎から優吾の足音が聞こえてきてまたかと思い注意しに書斎へ入ると眼前の光景に春香は目を見開いた。
広げられた魔導書からアレイスターが出ており、その傍には全身から血が噴き出して倒れている優吾が転がっていた。春香はすぐにアレイスターへ手を構える。アレイスターはそれに困惑しながら口を開く。
「何か勘違いしているから口を開くが、我がここにいるのは、そこに転がっているガキがそこの魔導書を開いたからだ。そして、我はここに出て害を与えようとは全く思っていない。むしろ、もっと本の中にいたかった……それよりも、だ。そこのガキ、早くしないと死ぬぞ。」
「勝手に口を開いて何をくっちゃべるかと思えば……ほざけ。殺す。」
「はぁ……この魔力の感じ、貴様家系に魔族がいるな……いや、そんなことはどうでもいい……貴様の息子。死ぬぞ?どうする。」
春香は、目に涙を溜めながら優吾を持ち上げ止血ができないか調べるが、内側から突き破られているためすでに失血死寸前の状態である。春香は優吾を抱き寄せたままアレイスターへ視線を向ける。
「どうすればいい…?」
「選択肢は二つある。一つ目。お前の魔力を糧にこの子を救う。その場合、お前はこの場ですぐに死ぬ。二つ目。俺とお前の間に契約を持つ。この場合代償はお前が自由に決める。それによってはこの場の誰もが命を落とさない可能性もある。さぁ、どうする?」
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