月光霧刀の魔幻導士~The Phantom Story’s~

河鹿 虫圭

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仂之巻:起動機の授業以外での使用を禁ずる

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以下、上記の通り「校内での起動機の使用は授業または、行事のみとする。」

校内でそんな張り紙が掲示されると各教室はそのことを話題に盛り上がっていた。

入学生たちは

「なんで入学早々に厳しいルールを決めたのか」や「誰が生徒を襲った犯人なのか」など色々な話が飛び交い、2,3年生たちは

「いつか、こうなると思っていた。」「まぁ、仕方ないとは思っている」など納得している人の意見が聞こえてくる。

朧のクラスのドアが開き、委員長が号令する。ホームルームが始まると担任の茂木は早速今話題の新校則の話を始める。

「さて、我が校では数年前から授業以外での起動機の使用マナーについて話し合われていたわけだが、昨日の生徒が二名襲われた件で今朝の張り紙が張り出されたわけだ。俺も一応賛成の意見だった。他校ではマナーが守られており、きちんと授業以外で使用している生徒はいないことが生徒会の調査でもわかっている。では、今朝のホームルームはこれにて終わりとしよう。一時限目に送れないように、では、あいさつ。」

茂木の合図で委員長が挨拶を済ませると、席を勢いよく立ち上がった九頭竜は朧に近づいていく。昨日の体育の件があったとはいえ、クラスの皆は九頭竜のことをまだ警戒している様子だった。

「おい、ちょっとツラ……いや、ちょっと飲み物買うのに付き合え。」

朧は首をかしげながら短く返事をして九頭竜のあとへついていく。クラスメイトたちは昨日の生徒が二名負傷した件は九頭竜だと察し、これ以上は何も言うまいと噂話すらもしなかった。校内の自販機にて、飲み物二本を買った九頭竜は一本を朧へ投げ渡す。朧はそれをキャッチしてポケットに入れながら九頭竜がなぜ誘ってきたのかを問うた。

「なぜ、いきなり飲み物なんか……」

「いや、昨日生徒がギアで負傷した件なんだが……あれ、俺なんだよ。」

朧は、固まった後九頭竜を二度見する。九頭竜はそんな朧のリアクションに難しい顔をしながら話を続ける。

「昨日の、決闘のあとむしゃくしゃして不良、多分を二人とギアを起動して俺が勝っちまったんだ。」

「間接的にオレのせいにもなるな……」

「いや、お前は気にしなくていい。それよりも、俺はこれから生徒会に今回の件を謝ってあの校則をどうか取りしてもらうように頼んでくるつもりだ。これをお前に伝えたくて……」

「そうか、それなら、オレも一緒に頭を下げに行こう、一人よりも二人の方がいいだろ?」

そんな話をしていると、二人の前に生徒会の四人が来た。二人は生徒会の強者たる風格に若干気圧されそうになる。四人が止まると生徒会長の美紀が前に出て口を開く。

「あなたが問題を起こした生徒 九頭竜 誠ね?」

九頭竜は生徒会長の顔を見るなりぎょっとして固まり、あ、あぁ…と微妙な顔になった。生徒会長もそのリアクションに気づいたのか、付け加えるように口を開く。

「あと、私の姉の教え子。」

「やっぱり、あのセンコーの妹かよ……」

九頭竜の無礼な態度に副会長は冷たく視線を送り九頭竜は姿勢をただす。

「……それで、俺に何の用ですか?」

「用もなにも、昨日の一件のことです。あなたからギアを回収しに来ました。」

「は?回収ってなんでだ?」

「決まってます。あなたがこの校則を作る理由になったんですから、あなたにペナルティが必要と考えたんです。あなたがペナルティを受けることで、このルールはやがて元のマナーに戻っていくのです。」

もっともな意見に九頭竜はぐぅの音も出ずに大きくため息をつきギアを渡そうとポケットに手を入れたが、その横にいた朧が勢いよく頭を下げて、九頭竜の頭も下げさせる。

「昨日の件は大変猛省しております。放課後に行くつもりでしたが、生徒会長の方から出向いてくれるとはありがたく思います。つきましては、この校則、考え直してはいただけないでしょうか!」

朧の勢いに押され気味になった生徒会長は驚いた表情を見せて咳ばらいをして二人の頭をあげさせる。

「頭をあげてください。校則には先生たちも賛成してくれています。この校則はもう考え直すことはできません。」

「そこを何とか……本人はこの通り大いに反省しております。」

そういわれて無理やり押さえつけられていた九頭竜は再度姿勢をただして自らの意志で頭を下げる。その様子に生徒会の面々は難しい顔をする。



「いくら謝罪してもこの校則は動きません。ただ……」

生徒会長はギアを起動して九頭竜の前に突き出す。神楽美紀のギアは銃型のギア。黒い銃身が九頭竜に光を反射させる。

「ここは、ギアを使える学校です。私と公式決闘をして勝てたら校則の件は前向きに考え直しましょう。」

九頭竜の顔が反射した銃身。九頭竜はその銃身を握り左胸に引き寄せる。

「いいぜ。やってやる。」

生徒会長はその銃身を朧にも向ける。

「あなたもやりますか?」

「ええ、喜んで。」

こうして、生徒会 対 九頭竜、夜月ペアの対戦が決まった。

「では、対戦は放課後。ルールは公式戦ルールに追加で制限時間をプラス5分の10分で対戦いたします。対戦は私と隣の副会長沙織がやります。では」

二人は礼をして無言で感謝を伝えて九頭竜は腰を落とした。

「お、お前は……バカか?何とか話は丸く収まったが、やばいことになっちまったぞ?」

「……まぁ、いいんじゃないか?オレは戦えてると思うとわくわくしてきた。」

「はぁ、お前はブレないのな……」

九頭竜と朧はそのまま教室へと戻り放課後までに作戦を考えるのだった。そして、放課後までに生徒会 対 九頭竜、夜月ペアの公式決闘は広まりクラスメイトたちも二人に注目していた。

「そういえば、公式決闘って先生たちは容認したのかな?」

朧の疑問に九頭竜は昼ごはんの菓子パンをほおばりながら確かにという表情をする。そんな二人の背中に茂木が近づき公式決闘のことを容認したことを伝える。

「それは、校内の先生、校長先生も容認している。まるで、犯人が挑んでくるのが分かっていたかのように校則のことを伝えるときにこの決闘のことも伝えられた。」

「……確かに、そうだよな。犯人が分かってないと公式決闘なんてものは提案しないだろうし……」

「で、何か作戦はあるのか?」

朧と九頭竜は顔を見合わせて「ノリとテンションでどうにかします」と言い放った。

「せめて、どっちが先峰をするのかとかも相談しないのか?」

「いや、オレが先にやります。向こうは副会長が一番目に出て会長が大将になるでしょうから。当事者同士が一戦交えたほうが話が早いし、盛り上がるでしょう?」

「お前、そんなこと考えてたのか、俺は別にノリで二番目に出ようとか考えてたんだよな~」

茂木は二人の脳みそ筋肉な会話に頭を抱えるが、二人らしいと割り切ってそうかがんばれよと言ってその場を後にした。

「さて、一対一は、ノリとテンションで決めたけど、二対二だった場合はどうする?」

「……あ~…まぁ、適当に合わせてりゃいいだろ。お前ならできるだろ?」

九頭竜は朧を期待の眼差しで見つめると朧は口角を上げてまかせろと言い放った。

仂之巻:起動機の授業以外での使用を禁ずる
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