月光霧刀の魔幻導士~The Phantom Story’s~

河鹿 虫圭

文字の大きさ
8 / 20

八之巻:中間テストと校内戦

しおりを挟む
放課後に行われたVS生徒会コンビの敗北は後日、学校全体に広まり授業以外でのギア制限の校則はすぐさま取り下げられた。朧と九頭竜の二人の名前は知れ渡り、隣のクラスや上の学年の生徒たちが男女問わず連日茂木クラスへ野次馬しに来ている。不良で授業を真面目に受けない九頭竜は野次馬が集まり始めると教室からすぐさまいなくなり注目されるのは朧だけとなっていた。今日も野次馬が教室の前で朧の一挙手一投足を見学しに来ていた。

「……連日こんなに集まられては、いよいよクラスにいずらくなるな……なんで、こんなに集まってくんだ?」

そんな朧のつぶやきに隣に座って読書をしていた女生徒が答える。

「来月の中間テストの後の校内戦の影響かもね。」

朧はその女生徒と顔を合わせるが自己紹介の時には見なかったと頭を回転させ、名前を絞りだそうとする。女生徒はそんな朧の様子に改めて自己紹介をした。

諸星もろぼし 聖華せいか。あなたの自己紹介のせいで皆からもあまり覚えてもらえていないの。」

「そ、そうか、それはすまない。それで、校内戦っていうのは……?」

「そうね、簡単に説明するとギアの実技試験といったところかしら。各学年でトーナメント戦を行って順位を争うの。私たち一年生は5クラスあるから大体200名トーナメントを2週間で終わらせる形になるわね。」

「入学したてなのに詳しいんだね。」

「えぇ、一つ上の学年に兄がいるの。実技試験の2週間はピリピリしてとても怖かったわ。」

「そうだったんだ……試験一緒にがんばろうね。」

朧のそんな声に聖華はうっとうしそうにため息をつく。

「えぇ、そうね……でも気をつけた方がいいわよ。あの野次馬たちはあなたのファンだけじゃなくてあなたの戦略を攻略しようとする輩もいるから。」

「隣のクラスはわかるけど、先輩方はなんでそんな意味のないことを?」

「意味はあるわ。テストのあとは学校全体でのトーナメントもあるんだから。ま、あなたがクラス代表になれれば先輩たちの監視には意味があるのかもね。」

読書を再開した聖華に朧は納得したように机に視線を落としてテストの範囲を確かめる。その後は担任の茂木が教室に入ってきてホームルームを始めて、中間テストのことそして、そのあとの校内戦のことを説明した。

「……以上、校内戦の説明を終了する。何か質問のあるものは?」

「先生!校内戦の結果とテストの結果って一緒に計算されるんですか?」

「それは別で計算される。ただ、内申点等は筆記試験での結果を最重要視するので勉強はサボらないように。」

ブーイング気味の生徒たちの声に茂木は何も言わずにホームルームを終了した。そして、いつも通りに授業が進み、昼休みの時間になると朧は野次馬が集まる前に教室を出て九頭竜を探しに校内をこっそりと走り回った。九頭竜は校舎の屋上で昼寝をしており、ドアが風で揺れたり、人の話し声が近くなるたびに急いで身をひそめたりしていた。

「……ったく…!安心して昼寝すらもできねぇ……」

「じゃあ、サボりをやめたらいいのに……」

「どあ!脅かすなよ……夜月…」

「はは、すまない。それにしてもずいぶんと座学が嫌いなんだな。」

「いや、別に嫌いってわけじゃねぇんだ。中学時代はがり勉だったわけだし……」

「じゃあ、なんで?」

「朝から集まる野次馬共のせいだ。」

「それは言えてるね。……ほら、これ昼食だ。」

朧は袋から菓子パンを九頭竜へ渡す。九頭竜は菓子パンを受け取ると財布を取り出した。

「いくらだった?払う。」

「いや、いいよ。オレからのおごりってことで……そういえば、中間テストのあとの校内戦の話を聞いたか?」

「聞いたもなにもここに入ってくる前にあらかた情報は調べた。だから俺は前の生徒会長との戦いは受けるべきじゃなかったと後悔した。あの戦闘で俺の実力は一年から三年まで知れ渡っちまった。これからは家とか隣町の公園でコソ練だ。」

「確かに、あの戦闘でオレの戦略もあらかたはバレたのか…オレもまた別の方法も探らないといけないか?」

「殺気だけで戦意喪失させるバケモンが、そんなこと気にすんな。」と内心つぶやいた九頭竜は何も言わず黙々と菓子パンを平らげて校内へ続くドアを開けた。

「誠、行くのか?教室の前にはまだ野次馬が……」

「野次馬にもみくちゃにされることより内申点が大事だ。」

ガチャリとドアを閉めた九頭竜は教室へ向かっていった。

「すごいな。オレだったらあんな野次馬の中には飛び込みたくない。」

朧は菓子パンを食べて一緒に買ったいちごミルクを飲み、授業開始5分前の予鈴が鳴るまで屋上でくつろいだ。

─────────────

放課後の校内の一室にて生徒が会話をしている。

「例の件。準備はできたか?」

「うむ。もちろんだ。」

「そっちはできたんかい?」

「こっちも万全だ。」

3人は何やらこそこそと周りを確認しながら話している。

「……よし、では来月に決行だ。」

「あぁ、我々の栄光のため。」

「おう……必ず成し遂げるぞ。下剋上だ。」

3人はそのまま校内を後にした。

八之巻:中間テストと校内戦
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。 記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?

処理中です...