月光霧刀の魔幻導士~The Phantom Story’s~

河鹿 虫圭

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重/壱之巻:妨害するのは彼らだ

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一年生。我々は「ギア研究会」を立ち上げた。最強のギアを研究し我々のように幻導力エナジーの少ない人間でもギアで上位へ食い込むことを目標に活動していた。だが、そんな我々が気に入らなかった実技試験の戦績が上位の一軍たちは我々の活動の邪魔をしてきた。最初は気にしていなかった。我々のギアのコアが壊されたり、紛失したりするが、この学校では戦績がすべてなのをわかっていた我々はいつか、いつか上位のやつらを超えようと日々ギアの研究をして、オリジナルのギアも製作したりした。それでも、上位のやつらには敵わなかった。やがて、十人はいた部員たちも次々にやめていき、とうとう立ち上げた頃の我々三人になってしまった。そして、今年、僕研究会部長の染谷そめたに おうぎ、副部長消溝けしみぞ 旋風せんぷう落葉おちば みのるの三人は「下剋上」を企てた。その過程で爆誕したのが、我々の持っているありとあらゆるギアの情報を持ちよって作成された操人形マリオネット型ギア染消落せんしょうらく製 低幻導力エナジー起動オートマトンだ。主に動かしているのは僕で、他の二人はギアの猛攻で弱ったターゲットを仕留める役だ。

「では、定刻までにオートマトンたちを配置するぞ」

「あぁ、わかったよ。」

「御意。」

二人はそれぞれ五個ずつギアのカプセルを持ち散らばった。我々は来年まで天下を維持する。そのために、絶対に、生徒会もスーパールーキーの二人のギアと体を破壊する。

「我らが天下を取る!!!!」

僕もギアのカプセルをもって校外へ出て行った。

─────────────

生徒会室にて、朧と九頭竜、生徒会役員たちは試験の順番でないことを確認して再度集合していた。無事に敵襲から逃げてきたはよいものの、あのギアの強度が全員の頭を悩ませていた。

「どうすんだ。Sランクでも傷一つつかない防御の複数体のギア使いの攻略。」

九頭竜の言葉に朧は神妙な面持ちで静かに語る。

「オレの、メインウェポンならもしかしたら突破できるかもしてれない。」

その言葉に全員が視線を向ける。朧は無言でうなずき発言を続ける。

「だが、今修理中で手元にないんだ。」

「じゃ、意味ないじゃぁん。期待させないでよ~」

彼方は足をパタパタとさせて天を仰いだ。そんな彼方を無視して他の面々は質問を開始する。

「今のEランクの刀がメインではないんですね……ランクは?」

「一応、Sランクのはずですけど…全盛期にさんざん言われたのは「SSランクよりも上のような気がする」でした。おそらく、オレの抜刀術などで底上げされているかもしれません。」

「なるほど…ちなみに、君は今のギアで全力を出すとどうなる?」

「ギアが耐えきれず灰になります。そして、二度と再生しません。だから今は幻導力エナジーを制限しています。」

「俺、初耳なんだが。」

「オレの目的を話してないからね。」

「……目的とは?」

「「この学校で一番になってこの学校も一番にする」はあくまで通過点です。その先にある強さの証明をするためにオレは六華に来ました……話の筋を戻しましょう。オレの全開はSランクのギアでも耐えられるか怪しいです。だから誰かからギアを借りるのはあまりしたくないです。」

「その案をつぶされては、何も言えませんね……でしたら、やることは一つです。」

朧はうなずき会長と通じ合う。他のメンバーは何がどうなっているのかわからず戸惑っている様子だった。

「作戦を話しましょう。おそらく、事件の犯人は放課後に再度私たちに仕掛けてきます。相手の作戦を利用しながら、夜月くんがおとりになる。」

朧以外は騒然として当人を見つめる。朧はそれでいいと言わんばかりにうなずいた。会長はうなずき返し立ち上がる。

「では、放課後、ギアと遭遇してしまった場合ギアに追い詰められてください。最後に夜月くんに決めてもらいます。では、放課後まで解散です。」

困惑の中、生徒会役員と九頭竜はしぶしぶと部屋を出て行った。朧も立ち上がり部屋を出ようとしたが、会長に呼び止められた。

「夜月くん。待ってください。これを……」

会長は五角形型のギアのカプセルを朧へ手渡す。

「これは……?」

「私が前に使っていたギアです。ランクはBですこし心もとないですがないよりはましです。あなたの持ちギアが全部破壊された場合、そのギアを使ってください。」

朧はうなずきカプセルを懐へしまい、部屋を後にした。

「さて、私も行きましょう。」

会長は生徒会室にカギをかけるとそのまま皆のあとを追うように一歩を踏み出したが、寸前で目の前が真っ暗になった。

─────────────

放課後。朧は試験を見てる最中も操人形型ギアの攻略法を考えていた。九頭竜も同じく頭を回転させていたが、作戦に納得いってないのが頭の大半を占めており朧に何度も相談したが、「もう、決まったことだ。心配するな」と言われてそれ以上は話をしてくれなかった。

「誠にはすまないことをしてしまったな……」

朧はそんなことをつぶやきながら帰路を歩いていた。なるべく監視カメラのない場所を選び遠回りに帰路を進んでいた。そして、それはとうとう目の前に現れる。今度ははっきりと関節から機械音がちゃんと聞こえる距離に見えた。黒ずくめの操人形型ギアだ。朧はそのまま逃走の体勢に入る。それを察知したギアはピピッと合図を送りすぐに朧の背後に仲間を呼ぶ。取り囲まれた朧はその間を走り抜ける。ギアたちはそれを追い詰めるように朧の後を追った。その後は朧がルートを外れるたびにギアたちは仲間を呼び特定の場所へ誘導した。
数分後、朧は町の廃墟へとたどり着いた。朧が到着したタイミングで他のメンバーも到着したが、一人足りない。副会長はそれにすぐに気づき目の前のギアへ話しかける。

「会長はどこだ?!」

ギアはピピッと目を赤く光らせてそこから音が聞こえてきた。声はボイスチェンジャーで変えられており男性のものか女性のものかはわからない。

「生徒会長はこちらで預かっている。安心しろ、命は保証する。さぁ、来い生徒会とスーパールーキー!」

ギアはピピと音を立てると次々にギアを持ち出した。それに合わせて朧も九頭竜も生徒会役員もギアを起動した。

名刀玄道めいとうげんどうE」

銘刀 虎徹めいとう こてつA」

「グランツ製重装甲狙撃銃ヘヴィメタルガントレットA」

魔月まがつ双刃ふたばA」

「大剣絶覇ぜつはA」


会計が構えるは長さの違う二つの剣。その刀身は赤黒く血の色と見まがう色をしている。書記が構えるは己が身長と同じほどの大剣。銀色の刀身は夕日に照らされて優しい赤色になっている。会計はトリッキーな動きでギアを相手取るが、やはりコアまでは破壊できない。書記も同じく大剣を大きく振り回すが、ギアたちは巧みに攻撃を躱して攻撃を仕掛けてくる。

「やはり動きが尋常ではないな。とりあえず、作戦通りにしようか。」

書記は大剣を振り回しながら廃墟へ入っていった。その後ろに会計と副会長が続き、朧と九頭竜も続く。

「夜月。体力は?」

「まだまだ余裕さ。それより……」

朧は上の階を睨みこぼれそうになる殺気を抑える。

「そうだな……だが、その殺気は最後まで取っておけ。」

「あぁ……」

五人はひたすらにギアから逃げて会長とギアの主を探した。数分逃げ回り、最上階。真ん中に気を失った会長が縛り付けられていてその周りに三人の黒ずくめとそのさらに周りに多くのギアたちが戦闘準備をしている。

「後ろにも、敵がいるってのに……」

「前にもこんなに敵がいたんじゃ…ね?」

会計と九頭竜の弱気な発言をかき分けて前に出る。

「関係ない。やるからには全力だ。」

朧はその殺気を最大限に開放した。

重/壱之巻:妨害するのは彼らだ
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