月光霧刀の魔幻導士~The Phantom Story’s~

河鹿 虫圭

文字の大きさ
16 / 20

拾/陸之巻:夏休みの山で修行 2

しおりを挟む
集中力をあげるメリットとは、エナジーのコントロールと安定化、強化まで行われる。そのため、集中力をあげる修行が必要なのだ。元気よく説明を終える筋骨隆々の数学教科担任の緑化りょっか 木林森きりもは早速修行内容を伝える。

「簡単に端的に説明するぞ。集中力をあげるための修行……日本特有の修行法、座禅だ!」

クラスメイトたちの他に他のクラスの生徒たちも座禅をさせられている。朧は挙手して質問する。

「緑化先生。合格のラインはどうなるんですか?」

「クリアラインはそうだな……あの子を見ろ。」

合格できていない生徒の中であと少しで合格ラインに立とうとしてる生徒が丁度出てきた。胡坐をかいて胸の前で円を作っている生徒はエナジーを全身から放出する。だが、そのエナジーに乱れはなく、済んだ水面のようなエナジーである。それを見た緑化はその生徒に合格を言い渡して、まだできていない生徒やこれからやる生徒にアドバイスを送る。

「コツは最初に全身のエナジーを全開で放出してそこからだんだんと理科で使うガスバーナーのようにつまみを回して量を調節するイメージだ。」

朧、九頭竜、諸星、武田の4人は納得しつつ先生の言うとおりにしてみた。エナジーを放出し、だんだんと弱くしていく…武田と九頭竜は弱くしすぎてエナジーの放出が止まり、朧と諸星はいい感じまでできたが風の音、虫の羽音など外的要因でそれが乱れる…二人はなるほどと内心で理解しているもののやはりちょっとした要因でエナジーが乱れる。四人を含めた生徒たちはその日ギリギリまで修行をして夕方ごろにやっと全員が合格をもらえた。全員、気温による暑さと虫刺されによってひどい見た目になっていた。

「今日、ギリギリまで集中力のトレーニングをした生徒は明日の朝に模擬戦の前にもう一度集合して今の座禅を行う。では解散!」

「お、終わった……」

「もう、全身汗でベトベトで虫刺されでかゆすぎです……」

「やはり、難しいな。」

「今まで武器しか握ってこなかったからよ…私も強くは言えないけど……」

「にしても、夜月が苦戦って珍しいな。」

「そりゃ、武器を振り回して筋トレに柔軟体操しかやってなかったからな。明日の朝までこの状態をキープしようと思う。」

「キープって、もしかしてさっきの状態を保ってるのか?」

朧は何食わぬ顔でうなずく。諸星もその横で「私もなんだけど」と顔を出す。九頭竜と武田は慌てて先ほどの状態をやろうとエナジーを放出して調節していく…九頭竜はお腹の痛そうな顔をしており、武田は泣きそうな怒っているような変顔になっている。

「……あまり無理するなよ。」

「静乃もかわいい顔が台無しになるわ。」

そういわれた二人は力を抜いてしまい、元の状態に戻る。

「ちくしょ~ぜってぇ負けねぇからな。」

「わ、私も聖華ちゃんに追いつけるようにがんばる……」

二人は顔を見合わせて力強くうなずいた。

─────────────

画面に映る朧の姿にうっとりとする少女。そのまま山をショートカットしてとびとびに朧のいる旅館に近づく。

「朧くん。もうすぐ、もうすぐだよ。」

そして、画面に映る朧を取り囲む生徒を見ると舌打ちをして再び朧に目を向ける。

「私だけ、朧くんをわかるのは私だけ。他のやつには絶対に渡さない!!」

少女は聖華を睨みつけて手に持っているパソコンを閉じて急いで朧のいる旅館へこっそりと侵入した。

─────────────

お風呂上がりの朧は背筋に悪寒が走ったのを感じて同時にくしゃみもする。

「おいおい、風邪か?せっかくの修行で帰宅ってなったらもったいねぇぞ?」

「そうだな。今日は集まりが終わり次第早めに寝るとするよ。」

「……私はなにかいやな予感がするわね。」

「せ、聖華ちゃんの予感は当たるから心配だよ…」

「大丈夫よ。静乃には何も起こらない。ただ、夜月くんに何か迫っているような気がするの……」

「怖ぇこと言うなよ。」

「大丈夫さ。風邪なら早めに寝て、その他なら全力で相手するまでだ。」

「「「えぇ……」」」

朧のその発言に三人はあきれながらも束の間の安寧を楽しむのであった。

そう、背後に過去が迫っているのも知らずに……

拾/陸之巻:夏休みの山で修行 2
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。 記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?

処理中です...