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服を脱がされたり
しおりを挟むドンッ! ドンッ! ドンッ!
扉を叩く音が聞こえ、意識が次第に覚醒する。
右腕に僅かな重みと、何か柔らかなものを抱きしめている感触に違和感を覚えて、僕は瞼を持ち上げた。
なッ!!!
小さな獣耳少女が腕の中で眠っている。
そしてその少女も今起きたのか、僕の腕の中で目を擦って、顔を上げて僕を見上げた瞬間に顔を赤らめた。
「お、お、おはようございます」
獣耳少女――チトちゃんが恥ずかしそうに挨拶をしてきた。
僕は動転して挨拶を返すことも出来ずにいた。
これはどういう状況?
……そうだ、昨日チトちゃんが部屋にやってきて、一緒に寝て欲しいと言われたんだ。
ようやく僕は昨晩のことを思い出した。
と、部屋の扉がカチャリと開いた。
えええっ、鍵かけてたはずだよね?
「いつまで寝ているのよ! 起きないから魔法で鍵開けたわよ」
そんなことを言いながらマリスさまが部屋に入ってきた。
ちょっと、この状況は見られたらヤバイよ。
僕はとっさにチトちゃんを頭に布団を被せた。
「朝いちばんで起こしなさいって言ったわよね、いつまで寝ているのよ」
マリスさまが少し怒り気味に部屋に入ってくる。
「ご、ごめん、ちょっと寝過ごしちゃったみたいだね。すぐ起きるから外で、いや部屋で待っててよ」
「どうしてよ、わたしはもう洗浄も済んで準備万端なのよ、後は朝食をとって出かけるだけ、ここで待っててあげるからさっさと起きなさい!」
「いや、あの、着替えたいし、出来たら自分の部屋で待ってて欲しいかなぁと……」
「着替え? キルナ着替えなんて持ってないでしょ、いつも同じ格好じゃない」
そ、そうだった。
僕はいまだに寝間着にしていたスウェットを着ている。
「ていうか、その布団はなに? 変に膨らみすぎじゃない?」
「え、な、なにも隠してないよ。へ、へんな誤解はやめてよ」
ひえぇぇぇ、もう隠しきれないよ、どうしよう……。
「は~ん、何か隠してるわけ、ちょっと見せなさい!」
強引に布団を引っぺがされた。
ベッドの上では僕の腕の中で小さく丸まるチトちゃんがいた。
マリスさまが僕たちを指差して、一歩二歩後退する。
「ちょ、ちょっと、あ、あんた達、な、何してるわけ……」
マリスさまが吃っている。
マリスさまでも動じることがあるんだ……。
「ちょっとキルナ、コッチにきなさい!」
僕は素直に従った。
布団からでてマリスさまの方に歩いていく。
マリスさまは僕の腕を強引に掴んで廊下に連れ出した。
バタンッと部屋の扉が閉じられる。
「あんた、自分がなにやってるのかわかってるの?」
「な、なにって、別になにも……」
「いくら発育が良いからってチトはまだ十歳の幼女なのよ、それをあんたは……ロリコンにもほどがあるわよ!」
「へんな誤解は止めてよ、ただ添い寝してただけで……」
「ただの添い寝? 腕枕して抱きしめる様に寝てたわよね?」
「それは、寝てる間に知らずに……ただけで……」
「知らずに、や、や、やっちゃったってうの?!!!」
「@@@! やっちゃったって、何をだよ。なにもやってないよ」
「じゃぁ、知らずになんなのよ?」
「だから、知らずに腕を回してただけで、それ以上はなにもしてないよ」
「それ本当なんでしょうね!? ウソだったら承知しないわよ!」
「ほんとだよ、チトちゃんが一人で眠れないって言うから……」
「言うから?」
「仕方なく添い寝して、腕膜をもしてほしいって言いうから、してあげて、それで僕はなかなか眠れなくて、やっと寝付けたが朝方だったから、ちょっと寝坊しただけだよ」
「チトにも詳しく聴くからね、嘘だったらカエルにして井戸に放り込むわよ」
そしてマリスさまはチトちゃんもベッドから出る様に言った。
椅子に座らせ、事情を聴いている。
「どうしてチトがキルナと一緒に寝ているの? 正直に答えなさい」
「えっと、ベッドが広すぎて落ち着かなくて、キルナさんに一緒に寝て下さいって頼みました」
「どうしてわたしじゃなく、キルナなの?」
「そ、それは……」
「正直に言いなさい」
「ま、マリスさまは寝相があまり良くないみたいだから、それで……」
「わたしの寝相が悪い? なによそれ、どうしてそんなことがわかるのよ?」
「だって……馬車の中でよく寝台から落ちてました……」
チトちゃんも知ってたんだ。思わず笑いそうになる。
「あれは馬車が揺れたからで……、そりゃたまには寝返り打って落ちることもあったけど……、まぁそれはいいわよ。問題はキルナと一緒に寝ている時よ、なにもされなかった?」
「へ? なにもって?」
「だから、その、あれよ……だ、抱き付かれり、変なとこ触られたり、ふ、服を脱がされたり……」
「そ、そんなことされてません! 腕枕をしてもらって、頭を撫でてもらっただけです」
え、僕、いつそんなことしたの? 記憶にないんだけど……。
「ほんとうにそれだけ? でも頭を撫でたなんてキルナは言わなかったわよね」
マリスさまが僕をジト目で睨む。
だって記憶になかったし……。
「あ、でも、なかなか眠れなかったんですけど、頭を撫でて貰ってたら気持ちよくて、それで寝れたみたいなんです」
「じゃ頭を撫でられたことは嫌じゃなかったのね?」
「はい、お母さんもいつも撫でてくれました。だから嬉しかったです」
「そう……、それならまあ今回は許してあげるけど、でも二度と一緒に寝ることは禁止よ。こんどから宿屋に泊まる時も三人部屋か四人部屋を借りるわ。いいわね」
「「はい」」
僕とチトちゃんの返事が重なった。
その後僕たちは宿屋から食堂に移動して朝食を取った。
この村にもう用事はない。
もともと用もなく立ち寄っただけだし。
まぁ一応馬用に干し草だけ買い足した。
そして僕たちは村を後にした。
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