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25 エレベーターの怪
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夕方、俺は憂鬱になりながら帰り道を歩いてた。高校3年生の今、進路について先生や親からうるさく言われるからだ。いっそ他の世界にでも行きたいと思いながら、重い足を引きずるようにして、自宅マンションのエレベーターに向かった。エレベーターの上に行くボタンを押した。ウィーンとエレベーターが音を立てて、上の階から降りてくる。チンッと音が鳴り、エレベーターの扉が開く。俺は、はぁ~!と深いため息をつきながら、エレベーターに乗ると階数ボタンを押した。エレベーターが上がっていく。自分が降りる階が、近づくにつれ気分が重くなっていった。親に会いたくなかった。すると、チンッと音が鳴り、エレベーターが突然止まった。そして扉が開くと暗闇が目の前に広がった。「えっどういうこと?」俺は、思わず独り言を言った。そして、エレベーターの階数表示を見たが、階数が書いてないのだ。多分、もう4階ぐらいまで上がっていても、おかしくはない。暗闇に目が慣れてくるとうっすらとだが、目の前が通路になっていて、それに沿って部屋の扉が並んでいるのが見えた。やはり、ここは住んでるマンションの何階かなのだ。しかし、まだ夕方で日の光が無いのは、おかしいと思った。俺は、この階に降りてはいけない感じがして、エレベーターの閉じるボタンを押した。しかし、扉が閉まらない。何回もボタンを押しても反応が無い。流石に焦った俺は、ボタンを押す力を強めた。それでも反応なし。そして、次第にボタンを叩いていた。恐ろしさが、全身を襲う。その時だった。通路からペタペタと裸足で歩く音がした。一旦ボタンを叩くのをやめた。誰かが来ると思ったと同時に、何故裸足なのだろうかと思った。ここの階には、人が住んでる気配が全く無いのだ。俺は、震える手でボタンを再び必死に叩いた。「頼むから、元の場所へ返して!」俺は叫んだ。目から涙が溢れて、全身の震えが止まらなくなった。息が吸いづらくなるのを感じた。完全にパニック状態になっていた。目の前の、通路から誰かの足が見えた。裸足だ。体までは見えないが、誰かがこちらに歩いて来ているのが見えた瞬間、エレベーターの扉が閉まりだし、完全に閉まると上の階へと上がり出した。俺は、エレベーターの中で倒れ込み、ホッとした。まだ完全に安心は出来ないが、エレベーターの階数表示が6となっていて、次の階が自分の降りる階だった。そして、無事にエレベーターは7階に着いた。俺は、足早にエレベーターを降りて部屋に入った。 後に、あのエレベーターに乗る前に、他の世界に行きたいと思っていたことが原因で、俺はあの暗闇に吸い込まれそうになったのではないだろうかと思った。そして、あの階にいたのは、いったい何者だったのかは今だに分かっていない。俺を暗闇に連れて行こうとしていたのかもしれない。
終
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