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26 気温の怪
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その日、最初に衝撃を感じたのは朝起きると、冷房だったはずのエアコンから温風が流れていたことだ。俺は、汗だくの状態で目が覚めた。間違って、暖房にしてしまったと思い、エアコンのリモコンを確認した。しかし、ちゃんと冷房になっていた。 俺は、急いで自分の部屋から出た。携帯で気温を確認したが、役に立たなかった。リビングも同様に暑い。俺は一人暮らしで散らかったリビングで、床に落ちたゴミを踏みながら、テレビに近づいた。テレビのリモコンを手探りでゴミに手を突っ込みながら探す。手が汗だらけでベトベトとしていて気持ち悪い感触だった。リモコンを見つけテレビの電源を入れた。テレビでは、外出注意を呼びかけていた。この暑さでは、さすがにそうだろうなと思った。しかし、今日は学校がある。単位認定のためにも、この暑さの中行かなければならない。玄関から外に出る時、テレビから地球温暖化という言葉が聞こえた。俺は、テレビの電源を切り忘れたと思ったが、暑さで思考が劣っていて、そのまま外に出た。電車に乗ると、皆汗をぐっしょりと濡れていた。何人かが持っている小型の扇風機も、もはや意味がないように、涼しげな顔をしてる人は誰もいなかった。電車は窓を全開にしても、風が一ミリも入ってこない。なんとか電車を乗り終え、持ってきていた水を飲もうとしたら、暑すぎてペットボトルを掴む事が出来なかった。「おい、、まじかよ」俺は、家に帰ろうとしたが、今だったら学校の方が距離が近いので、家に戻るのをやめた。そして、学校が涼しいことを祈った。歩いていると、服やカバンが邪魔に感じた。脱ぎ捨てたいと思った。その時、前の方から誰かが来た。しかし、その人は明らかに変な様子だった。その人との距離が近くなった時、俺は言葉を失った。その人の姿は、顔が半分溶けたようにドロッとした状態で無くなっていて、体もドロドロ溶けて、服から肌が垂れ始めていたのだ。やがてその人は、スライム状になって完全に人の姿では無くなってしまった。そして、服だけが残った。俺は外にいては危険だと思って、学校に急いで走った。しかしこの暑さで上手く走れるはずもなく、俺は意識が朦朧として地面に倒れ込んだ。目の前に茶色の塊があった。それは、溶けた犬の姿だった。まだ頭が少し残った状態だったので辛うじて犬だと分かった。俺は、犬の頭を撫でて「かわいそうに、、」と呟いた。そして、俺も徐々に自分の体が溶けていくのを感じた。だんだんと意識が消えていく。
終
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