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33.帝国の友人たち
しおりを挟む「怪しい人物は全て調べた。これはもうマルクというあの男が連れ去ったと考えていいだろう。」
「だとしたら、どこへ連れ去ったのかという点が気になる。」
「あいつはランディーを実家から連れ去ったが、ちゃんと帝国に届けた。ランディーの希望を無視して無茶をするということはないのではないかと思う。」
「だとしたらランディーの実家へ向かっているということか?」
「そう考えるのが普通だが、あの男が何を考えているのか正直測りかねる。」
「だよな。」
「不誠実の塊に見えるが、ランディーがあれだけ信頼しているんだ。ランディーの希望は従者らしくちゃんと叶えてきたのかもしれないな。」
「そこが本当に分からないところだ。」
「ランディーのことだから、無事家にたどり着いたら手紙をくれるんじゃないか?」
「たぶんな。」
「それを待つしかないのか・・・」
「無力だ。」
「ひと月待って手紙が届かなければ捜索を再開しよう。本当に実家に届けるだけなら、ひと月も経たず手紙が来るはずだ。」
「そうだな。」
無力だと言った言葉が、4人の胸に深く影を落とした。目の前にいたのにあっさりと攫われて、全く見つけられなかった。
「ランディーが実家に閉じ込められたら、今度は俺たちがマルクより先に連れ出そう。」
「そうだな。」
「そしてランディーを含め5人で商会を立ち上げるぞ。」
「必ずな。」
「実家からすぐに出て帝国に向かった場合も、途中でマルクに連れ去られないとは限らない。」
「確かに。二度もやられているからな。」
「では、ランディーから手紙が届いたら、すぐに馬車を出して迎えにいこう。」
「あぁ、そうしよう。」
「とりあえず、商会立ち上げの件は進めよう。」
「ランディーが戻ればすぐに始動できるようにしておきたいな。」
「そうだな。」
「それにしてもランディーってさ、強い割に隙ありすぎじゃないか?」
「彼は隙があるのではなく、人を信じすぎるというか疑わないんだろう。」
「あぁ、そういうことか。」
「それはここにいるみんなも分かっているだろ?」
「そうだな。あんなキスを友達同士でするなどあり得ないからな。」
「ランディーは兄にもキスしたらしいぞ。」
「は?兄?兄と慕っている人ではなく本当の兄か?」
「そうだ。子供の頃に母親がおやすみと言って額にキスをしてくれて、それが嬉しかったから兄にもしたらしい。」
「なんだ、額か。」
「いや、兄には口にしたらしい。」
「マジかよ。」
「そうしたら、引き剥がされたとか。」
「だよな。それが普通の反応だ。」
「兄はまともでよかった。」
「いや、キスをしてほしいとねだったら酔った勢いか何かで一度だけ濃厚なやつをしたらしい。」
「嘘だろ?」
「「・・・。」」
「それ以降は、キスをしてくれと言っても文化の違いなのか触れるだけのキスしかしてくれなくなったと言っていた。」
「文化の違いではないな。」
「ランディーは俺たちのキスは帝国では普通だと思っているから、そんなことをしてしまったのは俺たちのせいか・・・。」
「ランディーは兄と一緒のベッドで寝ていたらしい。」
「まさか、間違いなど起きてないだろうな?」
「手を繋いで寝るのは子供の頃のお昼寝のようで嬉しかったと言っていた。」
「そうか。ランディーは可愛いが、危なっかしいな。」
「そんなことをするから屋敷に閉じ込められたのかもしれん。」
「あり得るな。」
「まぁそういうことだから、ランディーのことはちゃんと俺たちで守ってやらなければならないということだ。」
「そうだな。」
彼らは彼らで、ランディー確保に動くようだ。
それが上手くいくかどうかはまだ誰にも分からない。
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