【完結】可愛く転生したのに、僕は生まれ変わっても好きなものを好きと言えない

cyan

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騎士学校篇

14.

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「リアン、どこに行ってたんだ?」
「街に買い物に行っていました」
 さっきみんなで噂をしたからだろうか? 僕の部屋の前で殿下が待っていた。いつから待っていたんだろう?

「休みだと聞いたからお茶にでも誘おうと思ったのに、いないから待ってたんだ」
「お待たせして申し訳ございません」
「夕飯一緒に食べようぜ」
「いえ、僕は寮の食堂でみんなと食べます」
 王族と食事なんて怖すぎる。食事マナーは実家で習ったけど、僕は気楽に食堂でみんなとお話ししながら食事をしたい。
「リアンは相変わらずつれないな」
「じゃあまた明日来る」
 そう言うと殿下は手を振りながら帰っていった。明日は何しに来るんだろう?
 一応明日も休みだけど、僕は明日はぬいぐるみを作るつもりだった。せっかく材料も買いに行ったんだし、できれば断りたい。
 部屋にいなければいいのかも。そうだ、そうしよう。
 僕は夕飯の後でぬいぐるみを作ることにして、明日は治癒魔法の勉強もしたかったし図書室に行くことを決めた。

 殿下に明日来ると言われて図書室に逃げた日、夕方になって部屋に戻ると、部屋の前に殿下がいた。もういないと思ってたのに……。
「俺から逃げたな?」
「僕は学生だから、勉強の方が大事です」
 これで許してくれないかな?
「ふぅ、仕方ないな。どこへ行っていた?」
「図書室で魔法の勉強をしていました」
 嘘じゃないからね。司書さんに聞いてみれば嘘じゃないって分かるはずだ。
 恐る恐る顔色を窺ってみると、何か考えているみたいだった。

「分かった。次は俺も誘え。俺も一緒に勉強する。リアンと一緒に勉強したい」
「え?」
「なんだ? 学生しか勉強してはいけないなどという決まりはない」
「はい」
 確かにそうだけど……。
 逃がさないぞってことですか?

 それからも僕は、図書室に逃げたり、訓練場に逃げて自主訓練をしていたと言い訳をしたり、殿下のものになるってのが怖くて逃げた。

「逃げるな。一度二人きりで話をしよう」
 手を掴まれると、僕の力では解けそうになかった。逃げ続けてきたけど、今までは咎められなかったから大丈夫だと思っていた。だがダメだったようだ。震えながら殿下についていくと、団長室に通され鍵がかけられた。

「そんなに怯えるな。怯える姿も可愛いが、怖がらせたいわけじゃない。
 だが、強引だったことは認める」
「よ、夜の、相手を所望、なんですよね……?」

 部屋に鍵までかけられて、覚悟を決めるしかなかった。震える手で制服のボタンを一つずつ外していく。
「いいのか?」
 僕は何も答えず、服を脱いでいった。
「は、初めて、なんです……」
「そうか」
 殿下は震える僕を抱きしめてキスをした。怖くて涙が溢れた。

「んっ……」
 前世ではモテなかったし、ちゃんとしたキスはこれが初めてだ。初めてなのに、舌まで入れてきて、どうしたらいいのか分からず戸惑った。逃げようとしたけど、首の後ろに手を回されて掴まれてたから逃げられなかった。
 怖くて、小刻みに震えていたと思う。でもなんか変な感じ。なんか分からないけどふわふわして力が抜けていく。

「すまん、泣かせるつもりはなかった」
 泣いていることに気づいた殿下はキスをやめて床に落ちた服を着せてくれた。
「可哀想にこんなに縮こまって……」
「…………」
 誰のせいだ、とは言えなかった。

「今日は何もしないから、もう泣くな」
 怖がらせた張本人のくせに、抱きしめてずっと背中をさすっていてくれた。
 それで僕が落ち着くと寮の部屋まで送ってくれた。
 殿下は一体僕に何を求めてるんだろう?
 しようと思えばできたのに、しなかった。でもキスはした。淫らなキスだ。


 *

 >>>殿下と秘書

「やっぱり俺って怖い?」
「その大きな体で王族が迫ってきたら怖いですね。好きだと言ったのですか?」
「言ってない」
「じゃあ夜の相手だけさせられると思ったんでしょうね。可哀想に」
「分かるだろ。俺、結構アピールしてるだろ?」
「言葉にしなければ伝わりませんよ」
「好きなんて言えるかよ」
「そうですか。彼に想いが伝わるといいですね」
 やる気がなさそうに答えた秘書官。彼にとっては、殿下の恋が実ろうが儚く散ろうが、どうでもいいことだった。

 
 
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