【完結】可愛く転生したのに、僕は生まれ変わっても好きなものを好きと言えない

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第五援軍篇

28.

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「え? 君が第二の人? 着くの早くない?」
「そうですか? 頑張って走ってきました」
 身体強化をかけて走ったから、第五の人に到着が早いって驚かれたけど、怪我人が多いと聞いているから到着は早い方がいいだろう。
「まあいい、一人でも治癒が使える者がいるのは助かる」
 救護班は足りていなかったから、歓迎してくれた。

 第五に配属された友達とも再会したりして、しばらく救護班で働いた。ディート兄さんともすぐに合流して、危ないかもしれないということで兄さんと相部屋になった。
 ここの寮は一人部屋と二人部屋がある。王都の騎士団本部のような大きな建物が建てられなかったからだそうだ。
 危ないって、寮まで敵が入り込むことがあるんだろうか? スパイってやつかな?

「惜しいな……王子の庇護下に入っていなければうちに欲しかった」
 お世辞でもそんなふうに言ってくれるなんて嬉しい。第五の救護班の人たちともだいぶ打ち解けた。
 でも残念ながら僕は殿下の庇護下に置かれているから聞かなかったことにした。
 僕は今でも、殿下のものなんだろうか?

 第五で友達も増えた。僕の三歳上の救護班のカールとは最近はよく一緒にいる。食堂や寮では他の友達みんなもいるけど、仕事中は先輩ということで一緒に行動することが増えて、ほとんど彼と一緒にいる。

「リアン、次はこっちだ。いいか? こういう怪我の時は初期対応をせずに治癒魔法やポーションをかけてはいけない」
「はい」
「刺さった枝や傷口の汚れを取り除いてからかけるんだ。毒も同じだ」
「分かりました」
 そっか、枝が刺さっているところに治癒をかけたら枝が取り込まれたままになってしまう。汚れも同じだ。第二にいた頃は裂傷や噛みつかれた傷、火傷などが多かったけど、対人戦は少し違う傷が混ざってくる。
 基本は剣で切り裂かれたり、槍や矢で貫かれたり、魔法攻撃による火傷が多いんだけど、敵と揉み合いになったりした際には、手当たり次第にその辺の枝や石で攻撃をしてくる人がいるらしい。
 それと殺傷能力を上げるために武器に毒を塗っていることもある。毒は肌が変色しているから、それを確認したら治癒の前に解毒ポーションをかける。これも魔物との戦いではないことだ。

 珍しい怪我があると、こうしてカールは僕を呼んで治療方法を教えてくれる。本当に頼りになる先輩だ。僕はもう学生ではないのに、まだまだ教わることがたくさんある。

 現場での対応を教えてもらう代わりに、僕はカールに治癒魔法を教えている。できる限り魔力を抑えて、回数を使えるようにと、学生の頃に研究した技術だ。
 主に龍男の頃の知識が大きいかもしれない。止血が必要な時は血管を縫合するようなイメージをしたり、傷口は元に戻る逆再生をイメージをするよりも、自己の治癒力を促進する方が効率が良い。
 白血球が……などと説明しても分からないから、なんとなくのイメージで理解してもらっている。
 もっと医学の知識があればいいんだけど、それは今更嘆いても仕方ない。
 こんな感じで、救護班の人たちとは仲良くやっているし、特にカールにはとてもお世話になっている。

 対人戦は相手が人だ。殺意を向けられたり、敵に助けてくれと言われても殺さなきゃいけない場面もあるから、精神的に辛くなる人がいる。
 そこで役立ったのが、僕の作ったウサギさんだった。ある日、眠れないと言っていた騎士にウサギさんを貸したら、ラベンダーのリラックス効果もあって久しぶりに眠れたと言われた。そこから僕の可愛いウサギさんは色んな人のところを渡り歩いて、屈強な騎士たちに安眠を与えている。

「フロリアンさん、あのウサギはどこで買えますか? 辺境で探したんですが見つからなくて」
「あれは僕が作ったもので、売ってないんです」
「簡単に作れたりしますか? 数個でいいので第五に提供いただけないでしょうか?」
 ゴリマッチョに坊主頭というとても厳つい見た目の、しかしとても腰の低い優しい副団長に懇願されて、お休みをもらって材料を街で探して作ってあげたこともある。
 ぬいぐるみをたくさん作るのは大変だから、ラベンダーの花を入れたサシェも提供した。

 僕が援軍として来てニヶ月ほどするとだいぶ第五の混乱も落ち着いて、みんなに余裕が出てきた。
 ディート兄さんが率いる分隊の活躍もあるかもしれない。ディート兄さんは、ムードメーカーという感じで周りの騎士の士気を上げるのが上手い。それで劣勢になってもディート兄さんが駆け回って声をかけると、騎士たちの士気が落ちず巻き返せると聞いた。
 ちょっとやんちゃな感じが人の心を掴みやすいのかもしれない。

「ディート兄さんはすごいですね。いつもみんなの中心にいて盛り上げ役というか、僕には真似できない才能です」
「お前、それ自分の周りを見て言えよ。リアンこそ、いつも周り囲まれてるじゃないか」
 そっか、そうだった。僕には百人を超える友達がいる。もうみんなに遠巻きにされる龍男じゃないんだ。
 たまに忘れそうになる。たった一人の心が手に入らないくらいで悲観してしまう、僕の心の弱さが原因かもしれない。

 
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