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二学期編
戸惑い →side Y
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腕の中に抱きしめた体は、異様にひんやりとしていた。
多分、組から出た後に外を長いことひとりで外を徘徊していたのだろう。
恐怖という言葉に無縁で、どんなにオレが虐めても恐怖など微塵も覚えたことがない東流が、オレに何かあったらって考えただけでこんなに震えているのだ。
不謹慎だけど、とても嬉しいと感じてしまう。
「なあ……口実つけて、オレから離れようなんて思ってるわけじゃないよな」
そんなことはないと分かっていても思わず聞いてしまう。
泣きそうになっている東流が可愛いらしくて、ついつい虐めたくなってしまう。
「……ンな……真似しねえ」
低い声が微かに掠れている。外を歩き回って、普段使わない頭で無理矢理色々考えた上で出した結果なのだろう。
前に、輪姦された後もそんな感じで別れを切り出したのは記憶に新しい。
いつだって、そうだ。本心を誤魔化して、無理矢理潔く全てぶった切ろうとする。
「前にも言ったよね。別れようなんて、もう言うなって……」
「…………でも……怖ェ…んだよ!!」
「聞き分けないな。ンなこと言うトールには、お仕置きすんぞ」
なおもぶつぶつ言っている東流のズボンのベルトバックル金具を外して、するっと引き抜くと拘束するように腕にくるくると巻きつける。
「オレから離れるなんて許さない。トール、オマエがオレから離れるっていうなら、オレは……、オマエを壊すよ」
受け止め切れずに、すべてを壊したくなるオレの感情も相当ぶっ壊れていると思う。
誠士に東流を壊す気かと聞かれた時に、答えに迷った。
正直言って壊れてずっとオレを求め続けろって、深層心理で願っていたことには間違いない。
全部くれるって言ったのに、いきなり終わりにしようとか言い出す東流をオレは許すつもりはない。
「ヤス……ゴメン…………」
謝る東流もとても可愛いけど、今日は凶暴な気分でいっぱいだよ。
愛している。
愛しているって気持ちが凶暴に変わってしまうのは、本当に不思議なことだけど。
「脱がせるよ。尻あげて…………」
東流は俯いたまま言う通りに尻をあげて、オレが下半身を脱がすのを、じいっと凝視している。
視線を向けた表情は静かで感情が見えない。
こんな顔をするときは………ヤバイ。
不穏な空気。
こういう時は……。
振り返って顔をあげた瞬間、がつっとこぶしが首筋に当たり鈍い痛みを覚える。
「……ヤス……ゴメン……あいしてる」
ぼやける視界に映る東流の泣き顔は、本当に……可愛いくて。
殴られながらそんなことを思う、オレもオレだけど……。
どこにも……いかないでくれ。
必死で伸ばす腕は、立ち上がる東流には届かなくて。
ブチりとベルトを引きちぎる音と、立ち上がった広い背中が、どんどん遠くなっていくのを薄れる意識の中で見ていた。
多分、組から出た後に外を長いことひとりで外を徘徊していたのだろう。
恐怖という言葉に無縁で、どんなにオレが虐めても恐怖など微塵も覚えたことがない東流が、オレに何かあったらって考えただけでこんなに震えているのだ。
不謹慎だけど、とても嬉しいと感じてしまう。
「なあ……口実つけて、オレから離れようなんて思ってるわけじゃないよな」
そんなことはないと分かっていても思わず聞いてしまう。
泣きそうになっている東流が可愛いらしくて、ついつい虐めたくなってしまう。
「……ンな……真似しねえ」
低い声が微かに掠れている。外を歩き回って、普段使わない頭で無理矢理色々考えた上で出した結果なのだろう。
前に、輪姦された後もそんな感じで別れを切り出したのは記憶に新しい。
いつだって、そうだ。本心を誤魔化して、無理矢理潔く全てぶった切ろうとする。
「前にも言ったよね。別れようなんて、もう言うなって……」
「…………でも……怖ェ…んだよ!!」
「聞き分けないな。ンなこと言うトールには、お仕置きすんぞ」
なおもぶつぶつ言っている東流のズボンのベルトバックル金具を外して、するっと引き抜くと拘束するように腕にくるくると巻きつける。
「オレから離れるなんて許さない。トール、オマエがオレから離れるっていうなら、オレは……、オマエを壊すよ」
受け止め切れずに、すべてを壊したくなるオレの感情も相当ぶっ壊れていると思う。
誠士に東流を壊す気かと聞かれた時に、答えに迷った。
正直言って壊れてずっとオレを求め続けろって、深層心理で願っていたことには間違いない。
全部くれるって言ったのに、いきなり終わりにしようとか言い出す東流をオレは許すつもりはない。
「ヤス……ゴメン…………」
謝る東流もとても可愛いけど、今日は凶暴な気分でいっぱいだよ。
愛している。
愛しているって気持ちが凶暴に変わってしまうのは、本当に不思議なことだけど。
「脱がせるよ。尻あげて…………」
東流は俯いたまま言う通りに尻をあげて、オレが下半身を脱がすのを、じいっと凝視している。
視線を向けた表情は静かで感情が見えない。
こんな顔をするときは………ヤバイ。
不穏な空気。
こういう時は……。
振り返って顔をあげた瞬間、がつっとこぶしが首筋に当たり鈍い痛みを覚える。
「……ヤス……ゴメン……あいしてる」
ぼやける視界に映る東流の泣き顔は、本当に……可愛いくて。
殴られながらそんなことを思う、オレもオレだけど……。
どこにも……いかないでくれ。
必死で伸ばす腕は、立ち上がる東流には届かなくて。
ブチりとベルトを引きちぎる音と、立ち上がった広い背中が、どんどん遠くなっていくのを薄れる意識の中で見ていた。
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