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桑嶋は、統久がいつもどこに帰っているのか不明だったが、持っていた財布から探しあてた住所にたどり着く。
どうやら、彼はオメガ専用の居住スペースに住んでいるようだった。
局長も、ずっと会っていないと言っていたしな。
実家じゃないんだとは思っていたけど。
重たい体を抱えて桑嶋は財布から取り出したキーで、統久の部屋に入る。そこは、殺風景でトレーニング器具と机とベッドしかない部屋で、まるでどこかの監獄か何かのようで、どこか生活感に欠けていた。
こんな、部屋……なんだか似合わないな。
統久をベッドに転がして、汗だくの制服とシャツをぬがしにかかると、鼻栓を嵌めているにもかかわらず強烈なフェロモンに頭が飛びそうになって、桑嶋は奥歯をぐっと噛み締める。
オレもヒートにあてられちまってるってのか。やっぱり、ホントにオメガなんだな。
改めて統久の性を再認識する。心のどこかで、運命の番の件同様に、それもまた嘘なのかもしれないと疑っていたのもある。彼が、嘘をつく意味など全くないのもわかっていたが、それ以上にオメガらしさがなかった、
棚から出したタオルで汗を拭ってやり、着替えを着せようと体を動かすと、彼は僅かに目を開いて力が入らない腕を伸ばし、とんと桑嶋の体を押しのける。
「セルジュ…………ありがとな…………もう……だいじょぶだから…………帰ってくれ」
しわ嗄れた声を出して、辛そうに言う相手に桑嶋はタオルをぎゅっと握ったまま首を振る。
「アンタ1人で動けないじゃないすか。汗だくだし……そんなんじゃ風邪ひきますよ」
辛そうな様子に介護する必要ありとみなして、浴室から洗面器を持ってくる。
「だから…………それはッ…………アルファのオマエがいるからだ、……かえ、れッ……かえって、くれ」
飄々としている統久には珍しく声を荒らげる様子に、切羽詰まっていてかなり余裕がないことを知る。
オメガだった母親の記憶などほとんどなく、性教育の時間も流すように聞いていた桑嶋には、なんで彼がこんなにも辛そうなのか分からないかのように、目を見開く。
「……かえ、ってくれ……ッ」
必死な引き絞るような声に艶が混じり、桑嶋は魅入ってしまったように動けなくなる。
置いていかれそうになった時に、自分を引き剥がそうと苦しそうな表情をしていた母に面影が重なる。
身体が求めているのを、精神力だけでなんとか理性を保っているのである。
……なんて、顔、してる……んだよ。
「クソ……ッ、はやく……かえらねぇ、オマエが悪い……」
今もてる渾身の力で統久は桑嶋の腕を強く掴むと、固いベッドへ押し倒して馬乗りになる。
鼻から栓を抜かれると、桑嶋の鼻腔から甘く濃いかおりが入り込み頭を痺れさせる。
見上げると統久は熱をもった目を桑嶋へと向けて、じっと眺め下ろす。上着を早急な仕草でたくし上げられる。
「ごめん、訴えて…………いいから……、いまは……オマエをくれよ……」
許しを請うような口調で、普段の彼からはまるで想像できない欲情にとらわれた表情で求められているのが分かり、桑嶋は唾を飲み込んだ。
どうやら、彼はオメガ専用の居住スペースに住んでいるようだった。
局長も、ずっと会っていないと言っていたしな。
実家じゃないんだとは思っていたけど。
重たい体を抱えて桑嶋は財布から取り出したキーで、統久の部屋に入る。そこは、殺風景でトレーニング器具と机とベッドしかない部屋で、まるでどこかの監獄か何かのようで、どこか生活感に欠けていた。
こんな、部屋……なんだか似合わないな。
統久をベッドに転がして、汗だくの制服とシャツをぬがしにかかると、鼻栓を嵌めているにもかかわらず強烈なフェロモンに頭が飛びそうになって、桑嶋は奥歯をぐっと噛み締める。
オレもヒートにあてられちまってるってのか。やっぱり、ホントにオメガなんだな。
改めて統久の性を再認識する。心のどこかで、運命の番の件同様に、それもまた嘘なのかもしれないと疑っていたのもある。彼が、嘘をつく意味など全くないのもわかっていたが、それ以上にオメガらしさがなかった、
棚から出したタオルで汗を拭ってやり、着替えを着せようと体を動かすと、彼は僅かに目を開いて力が入らない腕を伸ばし、とんと桑嶋の体を押しのける。
「セルジュ…………ありがとな…………もう……だいじょぶだから…………帰ってくれ」
しわ嗄れた声を出して、辛そうに言う相手に桑嶋はタオルをぎゅっと握ったまま首を振る。
「アンタ1人で動けないじゃないすか。汗だくだし……そんなんじゃ風邪ひきますよ」
辛そうな様子に介護する必要ありとみなして、浴室から洗面器を持ってくる。
「だから…………それはッ…………アルファのオマエがいるからだ、……かえ、れッ……かえって、くれ」
飄々としている統久には珍しく声を荒らげる様子に、切羽詰まっていてかなり余裕がないことを知る。
オメガだった母親の記憶などほとんどなく、性教育の時間も流すように聞いていた桑嶋には、なんで彼がこんなにも辛そうなのか分からないかのように、目を見開く。
「……かえ、ってくれ……ッ」
必死な引き絞るような声に艶が混じり、桑嶋は魅入ってしまったように動けなくなる。
置いていかれそうになった時に、自分を引き剥がそうと苦しそうな表情をしていた母に面影が重なる。
身体が求めているのを、精神力だけでなんとか理性を保っているのである。
……なんて、顔、してる……んだよ。
「クソ……ッ、はやく……かえらねぇ、オマエが悪い……」
今もてる渾身の力で統久は桑嶋の腕を強く掴むと、固いベッドへ押し倒して馬乗りになる。
鼻から栓を抜かれると、桑嶋の鼻腔から甘く濃いかおりが入り込み頭を痺れさせる。
見上げると統久は熱をもった目を桑嶋へと向けて、じっと眺め下ろす。上着を早急な仕草でたくし上げられる。
「ごめん、訴えて…………いいから……、いまは……オマエをくれよ……」
許しを請うような口調で、普段の彼からはまるで想像できない欲情にとらわれた表情で求められているのが分かり、桑嶋は唾を飲み込んだ。
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