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「こんなに乱れた性癖のこと、親父さんが知ったら泣くんじゃないか」
「ああ、多分知ってる。グレンと付き合っているのも。俺が男でも女でも、どっちでもいけるのも」
さらっと言ってのけるのには、罪悪感や後ろめたい気持ちなどは何もなかった。
もうすでにカミングアウト済みのようだ。
「なんだ知ってるのか。彼……は怒ったりしなかったのか」
もし自分が父親で息子が乱れた性活をしていると知ったらどうなのだろう。
ジムは自問自答をしてみて首を横に振った。
弟でさえ、そんな恋愛とか色恋とかそういうものに絶対に近づけたくないのだから、実の息子だったら絶対に阻止するはずだ。
カミングアウトされて知っているならなおさらである。
少し考えた様子で答えるイーグルは、思い返すような表情を浮かべた。
「親父はね、めったに怒らない人だよ。すごく……優しい人なんだ。声を荒げたこともない。綺麗な海みたいな穏やかな眼でね……色っぽくて……たまらない。うわ……思い出したら………股間、やっばい」
股間を押さえるイーグルをジムは呆れた表情で見返した。
思い出しただけで勃つとかあきらかに変態すぎるだろ……。
コイツが純粋培養のあの弟に似てるなんて、少しでも思った自分に腹が立つ。
ジムは深々とため息をもらしつつ、イーグルを見返す。
つうか、その恋人がいなかったら、親父さんは掘られちまうのか………恐ろしいな。
内心冷や汗をかきつつ、信じられないような気持ちで不信に思いながら問いただす。
「へぇ……、思い出しただけで勃つほど色っぽいのかよ。そのエルシア・デューンは、さ。なあ、オマエの親父さんは、さっき言っていた双子のもう一人ってことはねえのか」
念を押すジムに、イーグルは首をかしげる。
「エルシアの方だよ。叔父さんは、エル。ちゃんと確認ありがたいけど、エル叔父さんは身体が弱かったから、多分まだ、学校にはいってないよ」
細かいことを覚えているジムにちょっと見直したような表情を浮かべるイーグルには、不審な点はない。
確かにこの時代には、エルシア・デューンの弟は病弱で外とのかかわりを断絶されている。
逆にイーグルは、ジムを不思議そうに眺める。
双子の話はしたが、自分の父親の名前を間違えるわけはないだろう。
なんで間違うとか思うのかと。
「…………俺は、結構情報知ってんだよ。だから、間違いかもしれねえから確認したしただけだ」
「そうなんか。それじゃあ……プレオ医学館に行ってみたいなあ。データにない文献全部焼失しちゃったから……。あーでも難しいか」
いくら情報通でも、専門の学術会館へつながりをつけるのは難しいだろう。
「プレオ……。ああ、わかった、えーと入館証とってきてやればいいのか」
「え、マジでとれるのか?あそこは医大生とか医者じゃなけりゃ入れないんじゃないのか」
イーグルはジムの答えに不審そうな表情を浮かべて首をかしげた。
「だから、俺はそんくらいとれるんだって」
無理だってわかってるなら最初からいうなっての。
心の中で毒づきつつ、専門外の人が滅多にしらない学術会館名を持ち出すあたり、やはり本当に医者かなにかなのだろう。
「じゃあ、ここで待ってろ」
ジムは、ベッドの棚からひょいっと手枷をとってイーグルの体をふいうちに押さえつけると後ろ手に拘束する。
「な、なに………ィっ」
驚いている裸の体を組み敷いて、さっさと手際よく媚薬入りのローターをゆっくりとアナルへと押し込んでいく。
「余計な詮索できないようにね、後、帰ったらやらせて。ホテル代」
部屋に知らない人間をひとりにするのは、かなり危険すぎる。
浅い息を熱く吐き出す男の様子がとてもかわいらしい。
「……ちょ…っ…ああ………ま………って」
まあ、うまくいけば、調教して飼ってあげてもいいかもしれない。
などと、気楽なことを考えながら、ジムは出かける準備を始める。
「宿代、宿代」
頬にちゅっと唇を押し付けて、ジムは部屋を後にした。
「ああ、多分知ってる。グレンと付き合っているのも。俺が男でも女でも、どっちでもいけるのも」
さらっと言ってのけるのには、罪悪感や後ろめたい気持ちなどは何もなかった。
もうすでにカミングアウト済みのようだ。
「なんだ知ってるのか。彼……は怒ったりしなかったのか」
もし自分が父親で息子が乱れた性活をしていると知ったらどうなのだろう。
ジムは自問自答をしてみて首を横に振った。
弟でさえ、そんな恋愛とか色恋とかそういうものに絶対に近づけたくないのだから、実の息子だったら絶対に阻止するはずだ。
カミングアウトされて知っているならなおさらである。
少し考えた様子で答えるイーグルは、思い返すような表情を浮かべた。
「親父はね、めったに怒らない人だよ。すごく……優しい人なんだ。声を荒げたこともない。綺麗な海みたいな穏やかな眼でね……色っぽくて……たまらない。うわ……思い出したら………股間、やっばい」
股間を押さえるイーグルをジムは呆れた表情で見返した。
思い出しただけで勃つとかあきらかに変態すぎるだろ……。
コイツが純粋培養のあの弟に似てるなんて、少しでも思った自分に腹が立つ。
ジムは深々とため息をもらしつつ、イーグルを見返す。
つうか、その恋人がいなかったら、親父さんは掘られちまうのか………恐ろしいな。
内心冷や汗をかきつつ、信じられないような気持ちで不信に思いながら問いただす。
「へぇ……、思い出しただけで勃つほど色っぽいのかよ。そのエルシア・デューンは、さ。なあ、オマエの親父さんは、さっき言っていた双子のもう一人ってことはねえのか」
念を押すジムに、イーグルは首をかしげる。
「エルシアの方だよ。叔父さんは、エル。ちゃんと確認ありがたいけど、エル叔父さんは身体が弱かったから、多分まだ、学校にはいってないよ」
細かいことを覚えているジムにちょっと見直したような表情を浮かべるイーグルには、不審な点はない。
確かにこの時代には、エルシア・デューンの弟は病弱で外とのかかわりを断絶されている。
逆にイーグルは、ジムを不思議そうに眺める。
双子の話はしたが、自分の父親の名前を間違えるわけはないだろう。
なんで間違うとか思うのかと。
「…………俺は、結構情報知ってんだよ。だから、間違いかもしれねえから確認したしただけだ」
「そうなんか。それじゃあ……プレオ医学館に行ってみたいなあ。データにない文献全部焼失しちゃったから……。あーでも難しいか」
いくら情報通でも、専門の学術会館へつながりをつけるのは難しいだろう。
「プレオ……。ああ、わかった、えーと入館証とってきてやればいいのか」
「え、マジでとれるのか?あそこは医大生とか医者じゃなけりゃ入れないんじゃないのか」
イーグルはジムの答えに不審そうな表情を浮かべて首をかしげた。
「だから、俺はそんくらいとれるんだって」
無理だってわかってるなら最初からいうなっての。
心の中で毒づきつつ、専門外の人が滅多にしらない学術会館名を持ち出すあたり、やはり本当に医者かなにかなのだろう。
「じゃあ、ここで待ってろ」
ジムは、ベッドの棚からひょいっと手枷をとってイーグルの体をふいうちに押さえつけると後ろ手に拘束する。
「な、なに………ィっ」
驚いている裸の体を組み敷いて、さっさと手際よく媚薬入りのローターをゆっくりとアナルへと押し込んでいく。
「余計な詮索できないようにね、後、帰ったらやらせて。ホテル代」
部屋に知らない人間をひとりにするのは、かなり危険すぎる。
浅い息を熱く吐き出す男の様子がとてもかわいらしい。
「……ちょ…っ…ああ………ま………って」
まあ、うまくいけば、調教して飼ってあげてもいいかもしれない。
などと、気楽なことを考えながら、ジムは出かける準備を始める。
「宿代、宿代」
頬にちゅっと唇を押し付けて、ジムは部屋を後にした。
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