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あの男を拾ってしまったのは、弟に似ていたから。
初めて会話した瞬間に、似ていると思ってしまった。
まあ、色々と話してみたら全然違ってガッカリしたのだが。
エアカーで病院の前に止めると、ジムはふうっと息を吐き出すと、クシと白衣を取り出して髪型を整える。
純粋無垢にみえたイーグルの表情がとても似ていて、ソレを犯すことで鬱屈しまくった思いを遂げたいと思ってしまった。
病弱で外部と接触させずに育った弟は、本当の純粋培養で、顔も姿も自分に瓜二つなのに、雰囲気だけが変わるだけでまったく似ていないといわれるほどに持っているものは違った。
エアカーを降りて、髪型も整えた白衣姿のジムは病院へ入ると、指先に埋め込んだIDチップを入口で翳して、医務室を抜けて病室へと入っていく。
慣れたように廊下をあるき、ネームプレートを確認して病室へ入る。
病室には、車椅子に腰をかけた、ジムに瓜二つの青年が窓の外をのぞいて微笑んでいた。
「調子はどうだ?エル」
かけられた声に、振り向いた顔はぱあっと明るく輝き、嬉しいと満面の表情で笑みを浮かべる。
もっている雰囲気で、顔つきがまったく異なってみえる。
「あ、今日はインターンの来院日だから、エルシアが来てくれるっで思っていたよ。会いたかったよ。手術成功したからかな、前と違ってだいぶ体が軽いんだ」
頬をほころばせて満面の笑みを浮かべる弟は、彼の本名を呼んで車椅子を転がして近寄ってくる。
ジムと言う名前は偽名である。
権力のある家の名前は、名乗るだけでトラブルに巻き込まれやすいので、街中で彼はずっとどこにでもある名前であるジムと名乗っている。
「エルの好きなパティシエのケーキも届けたかったし、インターンの教習と医局にも用事があるんだ」
途中で購入した綺麗な箱をあけて、かわいらしいぞうの形をしたケーキを取り出す。
最近受けた手術で、今回はエルの体は完治するといわれている。
術後の経過もよさそうで、最近はエルにも笑顔が増えている。
「ぞうさんのケーキ可愛いね。エルシアが選んでくれるものって、いっつも僕が大好きなものばっかりだ」
年端もいかない少年のような話し方に、いつもなんだか癒される。
だけど、その分辛くなっていく。
好きで好きでたまらなくなる。この思いは一生封印しないとならない。
「外にいけるようになったら、エルシアとまた一緒に海が見たいな」
「ああ、エルはすごく海が好きだったよな。車でつれてってあげるから早く外出許可がおりるように元気になれよ」
ケーキを食べながら、一生懸命やりたいことを必死に話す姿が可愛くて可愛くて仕方がないというような目を彼はして、手を伸ばして黒い髪を撫でる。
もって数年の命と生まれた時から言われていた。
双子として一部を共有した状態で産まれ、切り分けられた。
そして、その時に間にあった病疫の腫瘍をエルが請け負ったのだ。
自分の分身。
自分の健康の引き換えに、病を体にもった分身。
完全なる純粋培養。
拾った男とはまったく似てもにつかないのに、何故似てるなんて思ったんだろう。
しかも、未来からきた俺の息子だなんて……だいたい言ってることが信用できない。
親父を犯したいくらいのファザコンとか、マジで怖いだろ。
もし本物だったら、マジで怖すぎる。
貞操の危機すぎる。
まあ…………本物だったら俺の方が息子を犯してしまったことになるんだが、そんなことあるわけがない。
タイムマシンとか本当に信用ならない。
「なあ。エル、タイムマシンって信じる?」
「あったらいいよね。未来にいってみたいな。元気で、僕、暮らしてるかな、何してるかな、知りたいけど…………怖いよね」
いつも余命が数年と言われる弟は、未来で生きているかすら危うい。
あの男、イーグルの話だとエルにも俺にも子供がいて、エルの子供がイーグルの恋人らしい。
未来に、エルが幸せだったら俺はそれでいい。
そういう幸せな未来だとわかるなら、少しは信じてもいいかもしれない。
「そうだな……きっと、俺もエルも未来は幸せだ」
「エルシアは優しいよね。本当に、優しい兄さんだよ……ちゃんと元気になるからね、幸せな未来信じて大丈夫だ」
逆に励ますような口調で、まじめに言われて、ふっと体の力が抜ける。
この弟だけは守り抜く。絶対に悲しませたりはしない。
そのために、絶対にこの思いを……封印する。
ジム、もといエルシアは強くその気持ちに制限をかけた。
初めて会話した瞬間に、似ていると思ってしまった。
まあ、色々と話してみたら全然違ってガッカリしたのだが。
エアカーで病院の前に止めると、ジムはふうっと息を吐き出すと、クシと白衣を取り出して髪型を整える。
純粋無垢にみえたイーグルの表情がとても似ていて、ソレを犯すことで鬱屈しまくった思いを遂げたいと思ってしまった。
病弱で外部と接触させずに育った弟は、本当の純粋培養で、顔も姿も自分に瓜二つなのに、雰囲気だけが変わるだけでまったく似ていないといわれるほどに持っているものは違った。
エアカーを降りて、髪型も整えた白衣姿のジムは病院へ入ると、指先に埋め込んだIDチップを入口で翳して、医務室を抜けて病室へと入っていく。
慣れたように廊下をあるき、ネームプレートを確認して病室へ入る。
病室には、車椅子に腰をかけた、ジムに瓜二つの青年が窓の外をのぞいて微笑んでいた。
「調子はどうだ?エル」
かけられた声に、振り向いた顔はぱあっと明るく輝き、嬉しいと満面の表情で笑みを浮かべる。
もっている雰囲気で、顔つきがまったく異なってみえる。
「あ、今日はインターンの来院日だから、エルシアが来てくれるっで思っていたよ。会いたかったよ。手術成功したからかな、前と違ってだいぶ体が軽いんだ」
頬をほころばせて満面の笑みを浮かべる弟は、彼の本名を呼んで車椅子を転がして近寄ってくる。
ジムと言う名前は偽名である。
権力のある家の名前は、名乗るだけでトラブルに巻き込まれやすいので、街中で彼はずっとどこにでもある名前であるジムと名乗っている。
「エルの好きなパティシエのケーキも届けたかったし、インターンの教習と医局にも用事があるんだ」
途中で購入した綺麗な箱をあけて、かわいらしいぞうの形をしたケーキを取り出す。
最近受けた手術で、今回はエルの体は完治するといわれている。
術後の経過もよさそうで、最近はエルにも笑顔が増えている。
「ぞうさんのケーキ可愛いね。エルシアが選んでくれるものって、いっつも僕が大好きなものばっかりだ」
年端もいかない少年のような話し方に、いつもなんだか癒される。
だけど、その分辛くなっていく。
好きで好きでたまらなくなる。この思いは一生封印しないとならない。
「外にいけるようになったら、エルシアとまた一緒に海が見たいな」
「ああ、エルはすごく海が好きだったよな。車でつれてってあげるから早く外出許可がおりるように元気になれよ」
ケーキを食べながら、一生懸命やりたいことを必死に話す姿が可愛くて可愛くて仕方がないというような目を彼はして、手を伸ばして黒い髪を撫でる。
もって数年の命と生まれた時から言われていた。
双子として一部を共有した状態で産まれ、切り分けられた。
そして、その時に間にあった病疫の腫瘍をエルが請け負ったのだ。
自分の分身。
自分の健康の引き換えに、病を体にもった分身。
完全なる純粋培養。
拾った男とはまったく似てもにつかないのに、何故似てるなんて思ったんだろう。
しかも、未来からきた俺の息子だなんて……だいたい言ってることが信用できない。
親父を犯したいくらいのファザコンとか、マジで怖いだろ。
もし本物だったら、マジで怖すぎる。
貞操の危機すぎる。
まあ…………本物だったら俺の方が息子を犯してしまったことになるんだが、そんなことあるわけがない。
タイムマシンとか本当に信用ならない。
「なあ。エル、タイムマシンって信じる?」
「あったらいいよね。未来にいってみたいな。元気で、僕、暮らしてるかな、何してるかな、知りたいけど…………怖いよね」
いつも余命が数年と言われる弟は、未来で生きているかすら危うい。
あの男、イーグルの話だとエルにも俺にも子供がいて、エルの子供がイーグルの恋人らしい。
未来に、エルが幸せだったら俺はそれでいい。
そういう幸せな未来だとわかるなら、少しは信じてもいいかもしれない。
「そうだな……きっと、俺もエルも未来は幸せだ」
「エルシアは優しいよね。本当に、優しい兄さんだよ……ちゃんと元気になるからね、幸せな未来信じて大丈夫だ」
逆に励ますような口調で、まじめに言われて、ふっと体の力が抜ける。
この弟だけは守り抜く。絶対に悲しませたりはしない。
そのために、絶対にこの思いを……封印する。
ジム、もといエルシアは強くその気持ちに制限をかけた。
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