炎上ラプソディ 

怜悧(サトシ)

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辺境と呼ばれる地域だけあり、宇宙空港に着陸する宇宙船は二三隻が関の山である。
こんな田舎では事件自体があまり起こらない。
「たいてい先入観で、見逃してるんだけどな」
独りごちでパトロール用のバイクにもたれかかりながら、指定時間に現れない部下にため息をついて、閑散とした空路を眺める。
舐めきってるんだろうな。
統久は5年間辺境を渡り歩き、隊員達のパターンも大体読めてきていた。

「遅くなりました」

パトロールバイクに乗った男が、ヘルメットをとって頭を下げる。
「シェン·リァウォーカー巡査、たるんでるんじゃねえのか」
頭を上から軽く小突いて、興味もないように統久は日差しのきつい方角を指さす。
「罰として、アッチで検問かけるように」
「はあ?あんなとこ、誰も通らないですよ」
細い道はあるが、わざわざ通りたい輩はいないだろう。
「俺は遅刻の罰だって言ってんの。通るとか通らないとかそーいうの要らねえから、ちゃんと従って」
検問表をシェンへと手渡すと、自分は木の下の日影に入り込む。
「理不尽なんですけど」
罰と言われてむっとしたまま、彼は下から睨みあげてくる。
「今日はくるぜ。薬かなんか密売してそう。そっちに車を飛ばしてくるぜ。ちゃんと止められたら功績はお前のもんだよ」
「は、功績ならアンタがどうせ横取りするんだろ」
部下の功績は大体その上のものに搾取される。
シェンの言葉を聞いて統久は弾倉に弾を詰めながら、心外だとばかりの表情を浮かべた。
「功績とか要らねえし、能力ありまくりの俺様が功績なんかあげまくったら、出世しちまうじゃねえか」
「出世したくないんですかね」
胸元には勲章までつけていて、中隊長クラスには思えない功績を積んでいるのがシェンには分かった。
「したくねえよ。婚期が遅れるだろ。お嫁にいかなきゃなんねえからな」
「お嫁って」
唖然としたシェンの言葉に統久は鼻で笑い、宇宙港に着陸する船を見て、苛立った表情でブツブツ言いながら、早く指示に従えと命じた。



得体が知れないな。

シェンは中隊長に指示された場所に検問を敷くと、優雅に木陰で寝そべっている彼を見遣る。
大体実弾使うとか、何処の戦争マニアだよ。

簡単に自分がオメガだと告白するのも、上から目線で命じるのも何もかもが定石から外れていて気味が悪い。
あの性格じゃ、嫁の貰い手なんかないだろうな。
そう考えると何故か不憫になる。
風は乾燥していて、恒星が近いこの地域では肌を紫外線でやられないように服を脱ぐことすらできない。
隊服の中身は汗だくでたまらなくなってくる。
遅刻の罰とはいえ、遅刻の理由くらい聞いてくれないかなとシェンはため息をつく。
こういう前時代的な無意味な罰とかは、大嫌いなんだけど。

「シェンッ、ぼんやりしてんな!!行ったぞ、ソッチ」

シェンが目を上げると、スピードをあげたワゴン車が検問目掛けて突進してくる。

マジか、強行突破かける気かよ。

シェンは、バイクから降りて光線銃を構えて放つが、ガラスに弾き返される。
待てよ、レーザー遮断ガラスか?
タイヤ目掛けて撃ち込むが、タイヤも焼き切ることが出来ない。
今からランチャーに持ち替えて、って間に合わない。

シェンがなんとか車を停めようとバイクで突っ込もうとした瞬間、ズキューンズキューンと音が響き、ワゴン車がごろんごろんと横転する。

実弾。

振り返ると寝そべった格好のまま、中隊長が狙撃してダメ押しとばかりに、開いたドアから転がり出てきた男の脚を狙撃して撃ち倒していた。

半端ねえだろ。
驚きに目を見開いたまま、シェンは立ち尽くした。
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