UNLEASH

いらはらい

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呪縛

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  先に目が覚めたのはマコトだった。
 見慣れた天井が目に入り、マサキが部屋へと運んだのだろうとマコトは思った。痛む身体をムリヤリ起こし、この痛みの原因となった記憶が思い出され、マコトはため息を吐いた。そして、同じ部屋で横たわり眠っているアキが目に入り、その横顔を眺めた。
 キレイな顔立ちに不釣り合いのアザが処置が施された箇所から覗いていた。
「なぁ……どうして、おっさんばかりに言うんだ?オレは……そんなに頼りないか?」
 アキの傍に座り込み、顔を覗きながら静かに呟いた。なにも反応もないアキの顔を見つめていたが、そのまま唇へと自分の唇を落とした。
「お前に必要ないと言われて、すげぇショックだった。また、オレは独りになるのかって……でも今まで独りでいたから、元に戻るだけだって強がってみたけど……ヤッパリ駄目だった。お前のぬくもりを知ってしまったから……オレはお前が必要だよ」
 そう呟いた時、アキの目から涙が流れた。マコトは驚き、慌てて距離をとった。
「てっ、お前!起きてっ!」
「ごめん……ごめんよ……マコト……」
 流れる涙を隠すかのよう腕で目元を覆い、アキはそのまま喋り出した。
「すごく怖かったんだ……すべて話したら、ボクから遠ざかるんじゃないかって……だけど……もう、それも今は意味がない。隠さないで、すべて言うよ……」
 目元を覆った腕で涙をぬぐい、ゆっくりと身体を起こした。マコトはなにも言わず、距離を詰める事もせず静かに語り始めるアキを見つめた。
 自分が憑依されやすくなった原因の父親のこと、そして叔父のこと……昨日まで起きたことを直叙した。
 一通り話を聞き、マコトはアキを見つめた。アキはその場に膝を抱え座り込み、顔を埋めたままだった。
「それでも、キミはボクと一緒にいれるかい?」
 消えそうな声でアキはマコトに問いかけ、マコトはガシガシと荒く頭をかいた。
「……お前はどうなんだ……オレを必要としないんだろ?」
 その言葉にアキはゆっくり顔をあげた。
「必要って言葉はボクの口からは意味を持たない……ボクが言っても重みがない。だけど……本音は……ボクは……ボクはまた、キミの隣に立って、一緒に笑ったり泣いたりしたい……」
 口元は微笑んでいるが、目から涙が溢れていた。マコトは軽くため息を吐き、アキの前に座りなおした。
「スッゲー顔だな……キレイな顔が台無しだ……まぁ殴ったのはオレだけど……」
 気まずそうに笑い、アキの涙を親指で拭い、そのままアキの唇へと滑らし唇の輪郭を軽くなぞった。
「……聞いていただろ?お前が居ないとオレはイヤだって。もし、これから先……裏切る事があるとしたら、それはどちらかが先に死ぬ事だ……だから、いつまでも一緒にバカをやろう……今まで通りに解呪を手伝ってくれるんだろ?」
 その言葉にアキは目を見開き、マコトの手を握り顔を伏せた。
 嗚咽混じりの泣き声が部屋に響いた。いつも飄々とした姿しか見せなかったアキが、大声をあげて泣いている。そんなアキをマコトは抱き締めた。

 あの時、マコトと別れ公園で独り泣いていた時から、アキの心には雨が降っていた。だが、今は心に陽が射し、大きく空いた穴は塞がっていた。

 
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